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少女偶像…歌姫を救え

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俺達はカゴシマシティに到着した。ここら辺で一番でかい町ということもあり、とても栄えている。

「大きい町だな。カジノ?やパチンコ?とか言う遊技場もあるみたいだぞ。初めてみるなぁ。リィナもカゴシマシティは初めてなんだよな?」
リィナは笑顔で答える。
「はい。あたしマクラザキシティから出た事はありませんでしたから。パチンコ?やカジノ?は気をつけた方が良いですよ。負けてスッテンテンになる事があるって聞いたことがあります。酒場の常連のお客さんが良く負けていたみたいです。いわゆるギャンブル?ですね。」
エクスが口を挟んできた。
「何時の時代も賭け事は無くならないものね。古のブリテンでも様々な賭け事が横行していたわ。アーサーが撲滅しようとしていたけど、自分も賭け事にのめり込んでいたのは笑えたわね。シオン、パチンコもカジノも禁止よ。軍資金はあるけれど、普通に生活していたら何年も持つくらい余裕があるんだから。」
「了解。金には困っていないしな。多分知らない方が良い遊びなんだろう。金は無理して増やさなくても良いしな。敵を倒せば降って湧いてくるし。さあマーケットを見てから宿屋に行くか?」
リィナが答える。
「そうしましょう。これだけ広い町ならもしかしたら伝説のアーティファクトがあるかもしれません。そうしたらそのデータを拝借すれば…買わずともアーティファクトが幻想顕現出来るようになるっていう寸法です。ちょっとケチかもしれませんけど、そうやってレパートリーを増やしていけば無敵です。フンス!」
「まあ私達は実用的な品でも見るとしましょうか。食料品や雑貨になると思うけれど。」
「了解。マーケットに行こう。」

俺達は町の広場からマーケットに向かった。
生活雑貨等を見て回った後、武器屋に向かう。
そこには様々な銃が展示されていたが、一品だけ目を引く物があった。赤い布でぐるぐる巻きにされた槍?だ。

「これは掘り出し物かもしれません。店長さん…中身を見せてください。」
ガタイの良い店長が答える。
「買うなら見せても良いぜ。こいつは名は伏せるが伝説のアーティファクト…金貨五袋の価値がある。どうする俺は別に売れなくても構わないんだぜ。」
俺が口を開く。
「その武器買った。見せてもらおうか。伝説のアーティファクトとやらを…」
エクスが呆れた様に答える。
「状態も見ないで買うなんて…金貨五袋は結構な出費よ。大丈夫かしら?偽物や破損していたら目も当てられないわ。」
「あたしのためにありがとうございます。さあ見せてください。伝説のアーティファクトを…」
店長が応じる。
「確かに金貨五袋頂いたぜ。良いだろう。これが伝説の魔槍…ゲイボルグのレプリカだ。本体に負けず劣らずの性能を持っているぜ。はいどうぞ。返品は不可だぜ。」

俺は冷や汗をかく。やられた。
「偽物って事じゃないか!金を返せ!」
「いーやダメだね。見るだけで金が掛かると言っただろう?さぁこいつを持って帰りな。大丈夫性能は本体と変わらない…らしいぜ。」

リィナが泣きそうになっている。
「シオン…ごめんなさい。あたしのせいで…大事なお金が…どう償ったらいいか分かりません。どうしましょう…アタフタ…」

エクスが口を開く。
「だから言ったでしょう。まあ買ってしまった物は仕方ないわ。取り敢えずリィナに装備させて実戦で使いましょう。ゲイボルグと言えば天界にも名前が知れた伝説の名槍…レプリカでも程々の戦闘能力がある筈よ。さあ宿屋に帰りましょう。」

俺が答える。
「ああ…一度ゆっくり休んで考えた方が良いな。」

俺達はマーケットから宿屋に足を向けた。その道中で美しい歌を聞いた。マーケットの中心広場から聞こえる。
俺は自然と足をそっちへ向けた。リィナもついてくる。

「♪~世界が終わるとしても~♪君を愛し続けたい♪それが私の宿命♪十五夜の果てから♪君を守る♪~」

美しい声だ。マーケットの皆も聞き入っている。その後歌が終わると拍手とともに金品が投げ込まれた。

「ミーシャいいぞー!」
「かっこいいわー。」
「可愛い!もっと歌声を聞かせてー!」
「結婚してくれー!」
「家のプロダクションと契約してくれないか?金貨二十袋は出すぞ!」

聴衆のボルテージは最高潮だ。ミーシャと呼ばれる歌姫は真っ直ぐに俺の事を見つめている。えっ見られている。

そして彼女はこちらまで真っ直ぐ歩いてきた。人の山がミーシャが歩くと割れていく。
今彼女が目の前に居る。何かの冗談か?

ミーシャが口を開く。
「貴方が伝説の漆黒の騎士ですね。シオン。」
リィナが問いかける。
「何故シオンの名前を知っているんですか?貴女初対面ですよね?」

「説明すると長くなります。私は単刀直入に言うと現人神の一種。天界と通信しています。そこで現世で暴れまわっている漆黒の騎士とその仲間の存在を知りました。」

エクスが聞こえるように話した。
「じゃあ当然私の事も知っているわけよね。現人神の歌姫様がどう言った風の吹きまわしかしら。」

ミーシャが驚いた様な顔をする。
「あら、貴方がエクスカリバー?本当に喋る聖剣なんて居るんですね。びっくりしました。天界の情報で知っているは知っていたのですが実物を見ると驚きます。」

「見ての通り俺達は普通じゃないし、追われる身だ。そんな俺達に何のようだ?」

ミーシャは覚悟を決めた顔をする。
「良いでしょう。お教えします。私には天界の知識があり、帝国と闘う運命なのを知りました。実は私も帝国軍でしか歌うなと何度も帝国の将軍に圧力を掛けられていまして、その将軍を懲らしめて頂き、私を救ってほしいのです。報酬は金貨五袋。私の全財産です。」

俺は答える。
「どちらにしてもこの町にいれば帝国軍と闘いになる。先手を打つという事になるんだろう。俺も貴女の歌のファンだしな。金貨三袋に負けてやらぁ。帝国軍はこのカゴシマシティから駆逐してやる。」

ミーシャは涙を流しながら感謝した。
「ありがとうございます。私にとってはカゴシマシティの皆に歌を届けるのが現世での唯一の慰めなのです。このご恩は一生忘れません。」

リィナだ。
「顔を上げてください。ミーシャさん。あたし達必ず貴女を救いますから。大船に乗ったつもりで任せてください。なんたってあたし達には無敵の聖剣エクスカリバーが着いていますから!」

エクスが口を開く。
「帝国軍の屯所に行く必要は無いみたいね。向こうからお出ましよ。」

広場に居た人達が気づくと散り散りに逃げていた。そこには重武装をした帝国兵…数は千人位か…と指揮官の姿があった。ミーシャに話しかける。

「ようミーシャ。今日も綺麗な歌声だな。帝国軍の士気高揚の為に歌え。そして夜は俺の✕✕をムフムフしろ。要求に従わないのならまた前のように公然でムフムフしてやる。」

ミーシャは激昂する。
「もう貴方達の機嫌を伺う事はありません!人を人とも思わない残酷な獣の様な帝国軍に歌う歌はありません!シオンさん!お願い。私の苦しみを終わらせて…」

「おいおい。こんな美人に下品な迫りかたするなんて発情期ですか、このヤロー。俺は帝国軍が大嫌いなんだ。勝手に漆黒の騎士とかダセー渾名つけて人を追い回しやがって。死んどけ!リィナ新武器行けるか?」

リィナはゲイボルグを自分の霊脈から力を回しながら投擲する。敵の軍隊の真上にゲイボルグが到達すると拡散し、槍の雨となって降り注いだ。敵軍小破。

将軍は怒号を飛ばした。
「面白い。俺達帝国軍千人と正面からやりあうつもりか!全軍射撃開始撃て撃て!カゴシマシティを灰塵と帰せ!帝国軍に歯向かう者を何人足りとも許すな!」

残り八百人程…とエクスが教えてくれた…の兵士達が持っている銃を乱射してくる。リィナとミーシャを後ろに下がらせた。

エクスが叫ぶ。
「限定結界…アヴァロン!」
楽園の守りを前に銃弾が無効化されていく。

「リィナ!俺は守りに専念する。奴らを倒しきれるか?」

「や…やってみます!霊脈を燃やし尽くします!幻想顕現…ゲイボルグ、グングニル、ブリューナク装填、射出用意。衛星軌道上に転移。対象ガルバニア帝国軍数805人。発射!」

空が煌めいた。そして神速で三本の神槍が帝国軍に叩き込まれる。そして極大の爆発。

将軍が爆発に巻き込まれながら断末魔を上げる。
「うおお…馬鹿な!馬鹿な!俺達帝国軍が破れるだとぉぉぉぉ!オウアアアア!」

帝国軍壊滅。マーケットの帝国軍が居た辺りには巨大なクレーターが開いていた。

エクスが声を上げる。
「やったわね。リィナ。あれだけの敵を殲滅するだなんて…素晴らしい戦果よ。対軍戦闘は私達よりもリィナが向いてるかもしれないわね。」

「エヘヘ…ありがとうございます。でもちょっと疲れ…まし…た…。」

そう言うとリィナはその場にへたりこんだ。全霊脈を燃焼しきったのだろう。無理もない。

「ミーシャ。これで良かったか?帝国軍は全滅させた。もう君を脅かす者は居ないさ。」

ミーシャは潤みながら答える。
「はい。ありがとう。本当にありがとう。私には歌う事しか出来ません。将軍の為に亡くなった帝国軍の兵士の為にも歌います。」

そう言うとミーシャは優しい歌声で歌い始めた。

「♪時を止めて君を愛せるかい♪本当に…だけど僕は歩き続けよう♪真実の愛を見つけるまでさ迷うかい♪~」

俺達は彼女の歌を聴きながらその場を離れていった。後日俺達が泊まる宿屋に金貨三袋といっぱいの花束が送られてきた。

歌姫は今日も歌う…帝国軍も町の人も分け隔てずに平和の祈りを込めて…その手は帝国軍の血でまみれているけど…逃げずに歌い続ける。
♪また次の冒険で会いましょう~♪
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