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第二章 玩具編
7夜目 掻きまわすもの
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一息にねじ込んだためか、最初はひどく苦しそうな顔をしていた。
「すぐ抜いてやるさ。そう睨むな」
「……ったりまえ……んっ、ふぁ」
つぷりと一段ずつ引き抜くと、その度に刺激されたアグラヴィスが息をつく。
腰を高く上げさせ、太腿の間から前へ手を回すと、油の混じった先走りが露のように滴っていた。
先端を擦りながら、再び淫具を差し込んでいく。今度は、先ほどよりもゆっくりと。
「あっ、ぐ……んっ、んっ」
「抜くぞ」
「待……っ、あ、ああ……やめ、ろ!」
奥まで差し込んだところで抜き、抜いたところでまた差し込む。
手を伸ばして止めようとしてくるのを払いのけ、抜き差しを続ける。
さすがに飽きてきたところで、ユインはため息をついて魔王の両手を掴んだ。
「しつこいぞ。そろそろ諦めろ。ろくな抵抗もできていない癖に」
「……ふっ、あっ、あん」
「どうしてもやめないなら、おれにも考えがあるが」
脱ぎ捨てられたアグラヴィスの濡れたシャツを取り、寝台の柱に両手をくくりつける。
やすやすと繋ぎ留められて、なおアグラヴィスはそれ以上の抗いを見せない。
「さして嫌がらないな。言葉ばかりだ」
「……俺にだって、都合があるんだ……ふぁっ」
「本気で嫌がらないなら、おれを欲しがっているのだと判断するぞ」
「バカな……やっ、ああぁっ」
引き抜いた途端に声が漏れた。くねらせた腰がひどく官能的に見えて、ユインは自分の下穿きをくつろげた。
「お前……そっ、それはいやだ……!」
「嫌だだめだと口ばかりで、身体は嫌がってないようだが……な!」
「んぅ……っ!」
押し当てた先端が、ぐっと肉を割って内側へ入っていく。
きつく食いしばろうとする内壁を擦り上げ、割入るように進んだ。
柔らかな隘路を切り開いていく歓びは、想像以上だ。久しぶりの快楽が、極上の酒のようにユインの脳を揺らす。
「あっ……あ、は、んぐ……」
「くっ……もっと力抜け。さすがにきついぞ」
「ぅうぅぅ……無理、に、決まって……ぅあっ」
奥まで入り切ったところで、アグラヴィスが目をしばたかせた。
ユインはその細い背に胸板を乗せて囁く。
「ああも愚弄されてもおれを許していたのは、ただ単におれとこうしたかったというだけか?」
「そ、そんな訳あるか。バカもたいがいに……っ、してくれ」
呼吸を短く切りながらも、どうやらまともに話せる程度には落ち着いたらしい。
ただし、ユインの腕の間から抜け出そうと身をよじると、それだけで痛みか圧迫感か知らないが、喋れなくなって背筋をぴんと逸らしてしまうのだが。
「理由があると言いながら、まったくその理由を言おうとしない。なぜだ?」
「……お前のことを、信用してない、からだ」
「は、ここまでやらせて、まだ信用できないと?」
ぐっと腰を押し込んで、内側の存在を主張してやる。
アグラヴィスは目尻に涙を溜めながらユインを振り仰ぎ――すぐに、視線を外した。
「なぜ、逸らす」
「お前……目が怖いんだよ! なんだその野獣のような目は」
叱りつけられたところで、知ったことではない。
入れるだけ入れて動かないでいることが、男にとってどれだけ苦しいことなのか、同じものがついているのだから分かるだろうに。
ユインは小さく頷いて、その細い肩を強く抱いた。
「よく分かった。つまり、一度出さねば落ち着いて話ができないと言いたいんだな」
「は? 落ち着けないのはお前だけ――あっあああぁぁァっ!」
腰を引き、強く叩きつける。
突然がつがつと動き出したユインについていけず、魔王は甲高い嬌声を上げた。
開いた唇に押し込むように舌を入れ、内側を舐めまわす。
くぐもった声と熱に浮かされて、ユインはますます腰の動きを速めた。
あれだけ促され、脅されて、まだ惜しむような秘密がある訳もない。
どうせ、なにやらたくらみがあるはずなのだ。もしくは。
もしくは、やはり快楽を求めているだけなのか。
単に男娼として求められているならそれでもいいだろうと、そう思えるようになったのは、案外絆されたというのかもしれないが。
「すぐ抜いてやるさ。そう睨むな」
「……ったりまえ……んっ、ふぁ」
つぷりと一段ずつ引き抜くと、その度に刺激されたアグラヴィスが息をつく。
腰を高く上げさせ、太腿の間から前へ手を回すと、油の混じった先走りが露のように滴っていた。
先端を擦りながら、再び淫具を差し込んでいく。今度は、先ほどよりもゆっくりと。
「あっ、ぐ……んっ、んっ」
「抜くぞ」
「待……っ、あ、ああ……やめ、ろ!」
奥まで差し込んだところで抜き、抜いたところでまた差し込む。
手を伸ばして止めようとしてくるのを払いのけ、抜き差しを続ける。
さすがに飽きてきたところで、ユインはため息をついて魔王の両手を掴んだ。
「しつこいぞ。そろそろ諦めろ。ろくな抵抗もできていない癖に」
「……ふっ、あっ、あん」
「どうしてもやめないなら、おれにも考えがあるが」
脱ぎ捨てられたアグラヴィスの濡れたシャツを取り、寝台の柱に両手をくくりつける。
やすやすと繋ぎ留められて、なおアグラヴィスはそれ以上の抗いを見せない。
「さして嫌がらないな。言葉ばかりだ」
「……俺にだって、都合があるんだ……ふぁっ」
「本気で嫌がらないなら、おれを欲しがっているのだと判断するぞ」
「バカな……やっ、ああぁっ」
引き抜いた途端に声が漏れた。くねらせた腰がひどく官能的に見えて、ユインは自分の下穿きをくつろげた。
「お前……そっ、それはいやだ……!」
「嫌だだめだと口ばかりで、身体は嫌がってないようだが……な!」
「んぅ……っ!」
押し当てた先端が、ぐっと肉を割って内側へ入っていく。
きつく食いしばろうとする内壁を擦り上げ、割入るように進んだ。
柔らかな隘路を切り開いていく歓びは、想像以上だ。久しぶりの快楽が、極上の酒のようにユインの脳を揺らす。
「あっ……あ、は、んぐ……」
「くっ……もっと力抜け。さすがにきついぞ」
「ぅうぅぅ……無理、に、決まって……ぅあっ」
奥まで入り切ったところで、アグラヴィスが目をしばたかせた。
ユインはその細い背に胸板を乗せて囁く。
「ああも愚弄されてもおれを許していたのは、ただ単におれとこうしたかったというだけか?」
「そ、そんな訳あるか。バカもたいがいに……っ、してくれ」
呼吸を短く切りながらも、どうやらまともに話せる程度には落ち着いたらしい。
ただし、ユインの腕の間から抜け出そうと身をよじると、それだけで痛みか圧迫感か知らないが、喋れなくなって背筋をぴんと逸らしてしまうのだが。
「理由があると言いながら、まったくその理由を言おうとしない。なぜだ?」
「……お前のことを、信用してない、からだ」
「は、ここまでやらせて、まだ信用できないと?」
ぐっと腰を押し込んで、内側の存在を主張してやる。
アグラヴィスは目尻に涙を溜めながらユインを振り仰ぎ――すぐに、視線を外した。
「なぜ、逸らす」
「お前……目が怖いんだよ! なんだその野獣のような目は」
叱りつけられたところで、知ったことではない。
入れるだけ入れて動かないでいることが、男にとってどれだけ苦しいことなのか、同じものがついているのだから分かるだろうに。
ユインは小さく頷いて、その細い肩を強く抱いた。
「よく分かった。つまり、一度出さねば落ち着いて話ができないと言いたいんだな」
「は? 落ち着けないのはお前だけ――あっあああぁぁァっ!」
腰を引き、強く叩きつける。
突然がつがつと動き出したユインについていけず、魔王は甲高い嬌声を上げた。
開いた唇に押し込むように舌を入れ、内側を舐めまわす。
くぐもった声と熱に浮かされて、ユインはますます腰の動きを速めた。
あれだけ促され、脅されて、まだ惜しむような秘密がある訳もない。
どうせ、なにやらたくらみがあるはずなのだ。もしくは。
もしくは、やはり快楽を求めているだけなのか。
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