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外伝~人魚と騎士~01
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◇
ノースフィルド王国に魔法騎士が生まれて20年。彼らはその強大な軍事力で王国の繁栄を支えてきた。
どの国も魔法剣士の育成に力を注いでいる。だがノースフィルド王国には遠く及ばない。なぜなら、かの国には『魔導大公』がいる。大公は魔法騎士団を作り、今なお新魔法や魔道具で彼らを鍛え続けているからだ。
「反魔法士組織の調査報告書です。こちらは反亜人組織ですね」
王城の一室。王国諜報部の長官は2束の書類を出した。元魔法騎士団1期生であり、主将騎士であった男だ。ヤマタイ皇国の忍びの里で隠密調査の技術を学び、初代諜報部長官となっていた。
「ご苦労だった。…どちらも多いな」
分厚い紙束を受け取ったアスカ大公は眉を顰めた。
「魔力持ちの方が稼げる時代です。魔法士が妬まれるのも無理はありません。反亜人運動は…恐らく扇動者が」
「何者だ?」
「まだ確定ではありませんが、獣人族の番被害者の線が濃厚です」
大公の眉間の皺が深まった。人族と最も交流のある亜人は獣人族だ。王国では番抑制装置の装着を勧めているが、番騒動が絶えないのが現実だった。
「配偶者を獣人に奪われた人族の洗い出し中です。…こちらも閣下にはご不快な話題で申し訳ないのですが、亜人の誘拐団が確認されました。11年前の公子誘拐事件とは別組織です」
長官は別の書類束を大公に渡した。公子がラミアの王女と共に攫われた時は、諜報部が誘拐組織のアジトを探し当てた。当時の激高した大公を思い出すと今でも背筋が凍る。その組織は末端に至るまで消されたのだ。
「この手の輩は潰しても潰しても湧いてくるな」
「亜人の女子供は美しいですからね。オークションで最低でも1000万ゴルドで売れるらしいです」
最も高いのがエルフ族。次いで人魚族、ラミア族となる。ハーピー族はその歌声に高値がつくらしい…。長官の説明を聞いていた大公はその美貌を曇らせた。人気亜人種のいずれもが大公家の身内だからだろう。
「屑共が。根絶やしにしろ。必要なら俺か護が出向く」
「ありがとうございます。閣下や公子がいれば千人力です」
長官は真面目に言った。世辞ではない。世界最強の魔法士はアスカ大公だ。その次が護公子。この2人に勝てる者は亜人と言えどもいないだろう。
報告を終えると、大公閣下はすぐに影に消えた。いつもながら忙しそうだ。長官も城下へ行くため着替えると隠形で城を後にした。
◇
諜報部長官は名をジョシュア・カディスと言った。元は平民なので姓は出身の村の名だ。浅黒い肌は王国では珍しい。多分南方の血が入っている。隠密には不向きな容姿なので、城下では南の国から来た傭兵に身をやつしている。
「おやジョシュ。都に戻ってたんだ?」
宵の口、馴染みの酒場で酌婦が声をかけてくる。傭兵は椅子に座りながら答えた。
「ああ。タキアまで隊商の護衛をしてたんだ。何か面白い事あったかい?」
「面白いことねぇ。そういや、最近あちこちの酒場に凄い美人が現れるってさ」
「美人?へえ。どれくらい?」
酌婦の分の酒も注文してやり、銀貨を数枚渡した。話の続きを促す。
「もう絶世の美人だって。緑の長い髪に水色の瞳は宝石みたいだって、見た客が言ってたよ」
「本当かよ?何しにこんな下町に来るんだ?」
疑わしそうに傭兵が訊くと、酌婦も理由は知らないと言う。身内を探しているという噂だ。絡まれると水魔法らしい技で相手を撃退し、逃げるらしい。ジョシュアは嫌な予感がした。
(緑の髪に水色の目。絶世の美人で水魔法を使うって…)
どう考えても人魚族だろう。杯の酒を飲み干すと、酌婦に礼を言い店を出る。彼は路地裏の暗がりで伝話を取り出し、短文を部下たちに送信した。
『城下の酒場に人魚族。緑の髪に水色の目。至急確保せよ』
諜報部は今や網の目の様に王国を監視している。すぐにそれらしき人物の目撃情報が寄せられた。緊急の集合をかけ、その現場に向かった。
下町でも最も貧しく危険な地区の暗がりで、その女はならず者たちと揉めていた。
「知ってるって言ったじゃない!嘘つき!」
鈴を振るような美しい声。いくら怒っても、ちっとも怖くない。
「男は皆嘘つきなのさ~。覚えときなよ、お嬢様。って、もう遅いか」
下卑た笑い顔で10人以上の男たちが女を囲む。だが女に怯んだ様子はない。よほど腕に覚えがあるようだ。
「もういいわ。どきなさい」
「帰れると思ってんだ。こんな上玉、逃すワケねえだろ」
男たちが腕を伸ばし女を捕らえようとする。女は魔法を発動しようとしていた。
「そこまで。警察だ」
ジョシュアは部下に合図をした。とたんにならず者たちは1人残らず昏倒する。認識阻害の魔法に優れた者がここ数時間の記憶を消す。ざっと連中の身体検査をし、危険な武器は没収した。
「余計なことを。こんな奴らくらい倒せるわ」
女はジョシュアに食ってかかった。緑の髪をフードに隠しているが美しい顔は丸出しだ。彼はさっと跪いた。部下もそれに倣う。
「亜人族が人族を傷つけることは条約で禁止されております。マリエル陛下」
「!!」
人魚の女王は顔を強張らせた。その美貌でバレないと思っていたのか。ジョシュアは呆れた。だが面には出さず、
「ご同行願います」
と、諜報部が回した馬車に女王をエスコートした。
◇
今、亜人の王族が国内にいるという情報はない。密入国だ。表に知れると不味いので、ジョシュアは大公家に伝話を入れた。
「諜報部です。人魚族の女王を確保いたしました。指示をお願いします」
閣下は留守だった。代わりにミーナ妃が出た。
『マリエルが?とりあえず、ウチ連れてきて。尋問するから』
「はっ」
『主将、ご飯食べた?まだなら一緒に食べよう』
「ありがとうございます」
未だに主将と呼ばれる。少し気恥ずかしいが嬉しい。ジョシュアの緩んだ頬を、女王は見咎めた。
「何よ。ミーナに惚れてるの?」
御者にを大公家に向かうよう言い、彼は改めて人魚を見た。直に話すのは十数年ぶりだ。皇国で馬に乗れない彼女を交代で乗せてやった。あの頃は大公閣下に夢中で、お供の騎士なぞ覚えてはいまい。
「…一旦、アスカ大公家でお話を伺いたく存じます。ご無礼お許しください」
「ミーナに会いたいの?」
違う。大公家が亜人との窓口だからだ。ジョシュアは慎重に答えた。
「大公家の皆様に深い敬愛を抱いております。王国の恩人ですから」
「人族の言葉って曖昧で分かりづらいわ。好きなの?嫌いなの?」
「申し訳ありません。閣下も妃殿下もそのお子様方も、皆さまが好きです」
「ふうん」
女王は納得したようだ。亜人とのこういったやり取りは疲れる。早くこの要人を引き取ってもらいたい。そんな内心はおくびにも出さず、ジョシュアは微笑の仮面を保った。
◇
ジョシュアとマリエル女王は大公家で夕食を御馳走になった。3妃とその子供たちが勢ぞろいした光景は圧巻だ。髪色や目の色に違いはあるが、どの子供も素晴らしく美しい。
「しゅしょー。遊んで」
「だっこして。しゅしょー」
小さな公子公女が浅黒い肌に触りたがる。モミジのような手がぺたぺたとジョシュアの顔に触れると、くすぐったさに笑ってしまう。食後の小1時間ほど、諜報部長官は子供たちと遊んでやった。
「…降参です…」
「お疲れー。今日はヨッシーがいなくて、みんな寂しがってたんだ。助かったよー」
慣れない相手にぐったりとする長官に、ミーナ妃が茶を出してくれた。
「いいえ。子供の頃を思い出します。自分も9人弟妹の長男だったので」
「えー。お母さん1人でしょ。すごいね」
昔は多く産んで多く亡くしたものだ。9人のうち、半分は流行り病で死んでいる。母も最後の出産で死んだ。一家の貧しさに同情した村の司祭がタダで魔力検査をしてくれたのが、騎士への一歩だった。そんな話をしていると、終始無言だった女王が口を開いた。
「村ってどこ?お父さんは何してたの?」
「海沿いの漁村です。父は漁師でした。自分も16まで船に乗ってました」
ミーナ妃が子供を寝かしつけてくると言って席を外す。暫く2人は話をした。主にジョシュアの生い立ちについてだった。面白いことは特にない。平凡な平民の人生だ。魔法騎士になり、留学を経て諜報部になっただけだ。
「結婚はしてるの?子供は?」
女王の質問は直球だ。亜人らしい。人族だったらもうちょっと遠慮するものだ。
「いいえ。自分は独身です。諜報部は基本、家族を持ちません。人質に取られると困るので」
「寂しくないの?」
「今夜の様に公子公女殿下たちとお会いすると、少し寂しさを感じますね。家庭は良いものです」
亜人は血を残すことに拘るが、己は多くの国民を影ながら守ってきた自負がある。ジョシュアはもう40代半ばだ。あと数年が現役諜報員の限度だろう。引退し、養子をもらって財産を残してもいいと考えている。
そうこうしているうちに、妃殿下と帰宅した大公閣下が来た。マリエル女王は身を固くして下を向く。
「さて。話を聞かせてもらおうか。マリエル」
閣下の威圧が凄い。ジョシュアもメモを取るため、手帳とペンを取り出した。
ノースフィルド王国に魔法騎士が生まれて20年。彼らはその強大な軍事力で王国の繁栄を支えてきた。
どの国も魔法剣士の育成に力を注いでいる。だがノースフィルド王国には遠く及ばない。なぜなら、かの国には『魔導大公』がいる。大公は魔法騎士団を作り、今なお新魔法や魔道具で彼らを鍛え続けているからだ。
「反魔法士組織の調査報告書です。こちらは反亜人組織ですね」
王城の一室。王国諜報部の長官は2束の書類を出した。元魔法騎士団1期生であり、主将騎士であった男だ。ヤマタイ皇国の忍びの里で隠密調査の技術を学び、初代諜報部長官となっていた。
「ご苦労だった。…どちらも多いな」
分厚い紙束を受け取ったアスカ大公は眉を顰めた。
「魔力持ちの方が稼げる時代です。魔法士が妬まれるのも無理はありません。反亜人運動は…恐らく扇動者が」
「何者だ?」
「まだ確定ではありませんが、獣人族の番被害者の線が濃厚です」
大公の眉間の皺が深まった。人族と最も交流のある亜人は獣人族だ。王国では番抑制装置の装着を勧めているが、番騒動が絶えないのが現実だった。
「配偶者を獣人に奪われた人族の洗い出し中です。…こちらも閣下にはご不快な話題で申し訳ないのですが、亜人の誘拐団が確認されました。11年前の公子誘拐事件とは別組織です」
長官は別の書類束を大公に渡した。公子がラミアの王女と共に攫われた時は、諜報部が誘拐組織のアジトを探し当てた。当時の激高した大公を思い出すと今でも背筋が凍る。その組織は末端に至るまで消されたのだ。
「この手の輩は潰しても潰しても湧いてくるな」
「亜人の女子供は美しいですからね。オークションで最低でも1000万ゴルドで売れるらしいです」
最も高いのがエルフ族。次いで人魚族、ラミア族となる。ハーピー族はその歌声に高値がつくらしい…。長官の説明を聞いていた大公はその美貌を曇らせた。人気亜人種のいずれもが大公家の身内だからだろう。
「屑共が。根絶やしにしろ。必要なら俺か護が出向く」
「ありがとうございます。閣下や公子がいれば千人力です」
長官は真面目に言った。世辞ではない。世界最強の魔法士はアスカ大公だ。その次が護公子。この2人に勝てる者は亜人と言えどもいないだろう。
報告を終えると、大公閣下はすぐに影に消えた。いつもながら忙しそうだ。長官も城下へ行くため着替えると隠形で城を後にした。
◇
諜報部長官は名をジョシュア・カディスと言った。元は平民なので姓は出身の村の名だ。浅黒い肌は王国では珍しい。多分南方の血が入っている。隠密には不向きな容姿なので、城下では南の国から来た傭兵に身をやつしている。
「おやジョシュ。都に戻ってたんだ?」
宵の口、馴染みの酒場で酌婦が声をかけてくる。傭兵は椅子に座りながら答えた。
「ああ。タキアまで隊商の護衛をしてたんだ。何か面白い事あったかい?」
「面白いことねぇ。そういや、最近あちこちの酒場に凄い美人が現れるってさ」
「美人?へえ。どれくらい?」
酌婦の分の酒も注文してやり、銀貨を数枚渡した。話の続きを促す。
「もう絶世の美人だって。緑の長い髪に水色の瞳は宝石みたいだって、見た客が言ってたよ」
「本当かよ?何しにこんな下町に来るんだ?」
疑わしそうに傭兵が訊くと、酌婦も理由は知らないと言う。身内を探しているという噂だ。絡まれると水魔法らしい技で相手を撃退し、逃げるらしい。ジョシュアは嫌な予感がした。
(緑の髪に水色の目。絶世の美人で水魔法を使うって…)
どう考えても人魚族だろう。杯の酒を飲み干すと、酌婦に礼を言い店を出る。彼は路地裏の暗がりで伝話を取り出し、短文を部下たちに送信した。
『城下の酒場に人魚族。緑の髪に水色の目。至急確保せよ』
諜報部は今や網の目の様に王国を監視している。すぐにそれらしき人物の目撃情報が寄せられた。緊急の集合をかけ、その現場に向かった。
下町でも最も貧しく危険な地区の暗がりで、その女はならず者たちと揉めていた。
「知ってるって言ったじゃない!嘘つき!」
鈴を振るような美しい声。いくら怒っても、ちっとも怖くない。
「男は皆嘘つきなのさ~。覚えときなよ、お嬢様。って、もう遅いか」
下卑た笑い顔で10人以上の男たちが女を囲む。だが女に怯んだ様子はない。よほど腕に覚えがあるようだ。
「もういいわ。どきなさい」
「帰れると思ってんだ。こんな上玉、逃すワケねえだろ」
男たちが腕を伸ばし女を捕らえようとする。女は魔法を発動しようとしていた。
「そこまで。警察だ」
ジョシュアは部下に合図をした。とたんにならず者たちは1人残らず昏倒する。認識阻害の魔法に優れた者がここ数時間の記憶を消す。ざっと連中の身体検査をし、危険な武器は没収した。
「余計なことを。こんな奴らくらい倒せるわ」
女はジョシュアに食ってかかった。緑の髪をフードに隠しているが美しい顔は丸出しだ。彼はさっと跪いた。部下もそれに倣う。
「亜人族が人族を傷つけることは条約で禁止されております。マリエル陛下」
「!!」
人魚の女王は顔を強張らせた。その美貌でバレないと思っていたのか。ジョシュアは呆れた。だが面には出さず、
「ご同行願います」
と、諜報部が回した馬車に女王をエスコートした。
◇
今、亜人の王族が国内にいるという情報はない。密入国だ。表に知れると不味いので、ジョシュアは大公家に伝話を入れた。
「諜報部です。人魚族の女王を確保いたしました。指示をお願いします」
閣下は留守だった。代わりにミーナ妃が出た。
『マリエルが?とりあえず、ウチ連れてきて。尋問するから』
「はっ」
『主将、ご飯食べた?まだなら一緒に食べよう』
「ありがとうございます」
未だに主将と呼ばれる。少し気恥ずかしいが嬉しい。ジョシュアの緩んだ頬を、女王は見咎めた。
「何よ。ミーナに惚れてるの?」
御者にを大公家に向かうよう言い、彼は改めて人魚を見た。直に話すのは十数年ぶりだ。皇国で馬に乗れない彼女を交代で乗せてやった。あの頃は大公閣下に夢中で、お供の騎士なぞ覚えてはいまい。
「…一旦、アスカ大公家でお話を伺いたく存じます。ご無礼お許しください」
「ミーナに会いたいの?」
違う。大公家が亜人との窓口だからだ。ジョシュアは慎重に答えた。
「大公家の皆様に深い敬愛を抱いております。王国の恩人ですから」
「人族の言葉って曖昧で分かりづらいわ。好きなの?嫌いなの?」
「申し訳ありません。閣下も妃殿下もそのお子様方も、皆さまが好きです」
「ふうん」
女王は納得したようだ。亜人とのこういったやり取りは疲れる。早くこの要人を引き取ってもらいたい。そんな内心はおくびにも出さず、ジョシュアは微笑の仮面を保った。
◇
ジョシュアとマリエル女王は大公家で夕食を御馳走になった。3妃とその子供たちが勢ぞろいした光景は圧巻だ。髪色や目の色に違いはあるが、どの子供も素晴らしく美しい。
「しゅしょー。遊んで」
「だっこして。しゅしょー」
小さな公子公女が浅黒い肌に触りたがる。モミジのような手がぺたぺたとジョシュアの顔に触れると、くすぐったさに笑ってしまう。食後の小1時間ほど、諜報部長官は子供たちと遊んでやった。
「…降参です…」
「お疲れー。今日はヨッシーがいなくて、みんな寂しがってたんだ。助かったよー」
慣れない相手にぐったりとする長官に、ミーナ妃が茶を出してくれた。
「いいえ。子供の頃を思い出します。自分も9人弟妹の長男だったので」
「えー。お母さん1人でしょ。すごいね」
昔は多く産んで多く亡くしたものだ。9人のうち、半分は流行り病で死んでいる。母も最後の出産で死んだ。一家の貧しさに同情した村の司祭がタダで魔力検査をしてくれたのが、騎士への一歩だった。そんな話をしていると、終始無言だった女王が口を開いた。
「村ってどこ?お父さんは何してたの?」
「海沿いの漁村です。父は漁師でした。自分も16まで船に乗ってました」
ミーナ妃が子供を寝かしつけてくると言って席を外す。暫く2人は話をした。主にジョシュアの生い立ちについてだった。面白いことは特にない。平凡な平民の人生だ。魔法騎士になり、留学を経て諜報部になっただけだ。
「結婚はしてるの?子供は?」
女王の質問は直球だ。亜人らしい。人族だったらもうちょっと遠慮するものだ。
「いいえ。自分は独身です。諜報部は基本、家族を持ちません。人質に取られると困るので」
「寂しくないの?」
「今夜の様に公子公女殿下たちとお会いすると、少し寂しさを感じますね。家庭は良いものです」
亜人は血を残すことに拘るが、己は多くの国民を影ながら守ってきた自負がある。ジョシュアはもう40代半ばだ。あと数年が現役諜報員の限度だろう。引退し、養子をもらって財産を残してもいいと考えている。
そうこうしているうちに、妃殿下と帰宅した大公閣下が来た。マリエル女王は身を固くして下を向く。
「さて。話を聞かせてもらおうか。マリエル」
閣下の威圧が凄い。ジョシュアもメモを取るため、手帳とペンを取り出した。
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