25 / 27
25 太公の最期
しおりを挟む
◇
マリオンは後ろ手に縛られたまま、馬車の床に転がされていた。凄い速さで走る馬車の外では剣を撃ち合う音や馬の嘶き、叫び声がひっきりなしに聞こえる。恐らく帝国軍が太公軍と戦っているのだろう。
(な、何とかして逃げ出さないと)
しかし縄でぎゅうぎゅうに縛られ、猿轡をされて声も出せない。このままでは人質として連れ去られるか、最悪、盾にされて味方の足枷になる。それだけは避けたい。
「マリオン!どこだ!?」
殿下の声が聞こえた。彼女は揺れる馬車の中で苦心して立ち上がり、窓のカーテンを頭で押しやった。すると遠くに馬に乗った殿下が見えた。
「ヴィクター!3台目の馬車だ!」
アンリがすぐ側まで駆けてきてくれる。馬車はいつの間にか街道に出ていた。
「国境を越えたら同盟軍がいるぞ!それまで持ち堪えろ!」
赤毛のピエールが仲間を叱咤していた。太公に逃げ切られてしまう。マリオンが焦っていると、馬車が急停車した。その勢いで積まれた宝石や金貨が詰まった箱や高級な織物が崩れ、彼女はその下敷きになってしまった。
◆
国境の関所の手前に帝国軍が布陣していた。それを見た太公軍は慌てて止まった。
「太公に告ぐ!」
白い鎧姿のコージィが騎馬で進み出る。その背後には弓と矢が一体化したような、見たこともない武器を構える兵達が並んでいた。
「死にたくなければ、今すぐ武器を捨てて投降しろ!」
女が総大将と見て、大公側から数騎が走り出した。
「コナー家のじゃじゃ馬が!そこをどけ!」
と彼女に斬りかかった。だが次の瞬間、馬にも人にも無数の矢が突き刺さった。コージィの護衛が謎の兵器で射たのだ。ヴィクターは太公軍の背後からその様子を見ていた。
「ありゃ何や?」
族長がヴィクターに訊いた。
「さあ。コージィが開発した武器だろう。あいつは時々、未来を見てきたかのような発明をする」
「横にした弓の引き金を引いたら、何本も矢が出てきたがじゃ。凄いねや!」
前方を新兵器を持つコージィ軍に、後方を皇太子軍に挟まれた太公に逃げ場は無い。しかし赤毛の男が馬車から白金の髪の虜囚を引き摺り出してきた。
「マリオン!」
飛び出そうとするヴィクターを隠密が止めた。
「いけません!」
人質は太公の前に引き倒される。太公は馬を降りて、後ろ手に縛られた王女の首に刃を押し当てた。
「見えるか?ヴィクター!お前の愛人が死ぬの見たくなければ、引け!」
この後に及んで、太公はマリオンを盾に逃亡する気だ。だが言うことを聞かねば彼女が殺される。一切の戦闘が止んだ。アオキやアンリもなす術がないように固まっていた。
ヴィクターは自兵に下がるよう命じ、太公に向かって言った。
「…良いだろう。マリオンを解放しろ。国境を越えるでは待ってやる」
太公はせせら笑った。
「愚か者。命令できるのはこちらだ。そらそら、どかねばお前の愛人を刺すぞ」
コージィがサッと手を上げると前方の帝国兵が割れた。
「側近の方が話が通じるな。ではな、ヴィクター。後からゆるりと来い」
と言って、太公は先頭の馬車に乗り込もうとした。奴が白金の髪を乱暴に掴むのを、ヴィクターは腑が煮え繰り返る思いで見るしかない。
その時、マリオンが太公の剣に身を投げた。
「なっ…!!」
刃が胸を貫き、背から突き出る。ヴィクターは隠密を振り切って駆け出した。
(何をやってるんだ?マリオン?)
また自己犠牲か。良い加減にしろ。その横を剣聖とサムライマスターが凄まじい速さで追い越した。彼らは一瞬で太公に追いつき、その手足を斬った。
「ぎゃああああああっ!」
絶叫が響く中、マスター達は次々と敵を倒してゆく。ヴィクターは馬を飛び降りて、倒れるマリオンに走り寄ったが、その髪がみるみる真っ白になるの見て立ち止まった。
「違う!マリオンじゃないぞ!」
アンリが叫んだ。人質を縛る縄がするりと解けて地に落ちる。剣が刺さったまま、白い髪の男はゆっくりと立ち上がった。外宮の小屋にいた赤目の護衛じゃないか。
彼の顔を見て、のたうち回る太公が悲鳴を上げた。
「お…お前は…」
「君は嘘をついた。第二皇子よ。地獄に行け」
太公は絶命した。恐怖に歪んだ酷い死に顔だった。それを見た部下達は皆、戦意を失くして投降し、白髪赤目の男は消えていった。
「成仏なさったな」
「ああ」
アオキとアンリは何故か納得している。ヴィクターが周囲を見回すと、3台目の馬車からマリオンが降りてきた。
◇
財宝の下敷きになっていたマリオンは、芋虫のように身をくねらせ、何とか脱出した。体当たりをして馬車のドアを開けると、隠密さんがいた。
「マジか。じゃあ、あっちは誰だったんだ?」
意味不明な事を言いながら、口の悪い隠密さんはマリオンの縄を切ってくれた。ヨロヨロと馬車を降りて前方を見たら、血みどろの戦場だったので思わず目を瞑ってしまった。
「マリオン!!」
殿下が駆け寄ってきて、彼女を抱きしめた。新しいお召し物が汚れてしまう。身を引こうとしたが、殿下は許さなかった。その暖かい胸に頬を寄せていると自然と涙が出てきた。
(助けに来てくださった…)
「マリオン!怪我はないか?」
アンリが殿下を押し除けて義妹の無事を確認した。さらにアオキとシャトレー族長が歩いてやってきた。
「無事で何より。あと、ご婚約おめでとう!マリオン殿」
「ん?」
「結婚式には呼んどーせ!帰って飲むぜよ、アオキ」
「んん?」
2人は笑いながら行ってしまった。
「何のこと?」
マリオンはアンリに尋ねたが、
「ヴィクターに訊け。後でな」
と言って、彼女を殿下に押し付けてアオキ達の方へ去っていった。再び殿下の腕に収まったマリオンは小さな声で謝った。まんまと捕まって迷惑をかけてしまったから。
「も、申し訳ございません…」
「ありがとう。君のおかげで助かった」
だが怒られなかった。殿下は優しくマリオンの髪を撫でてくださった。
「私こそ…ありがとうございました。…背の高い隠密さん」
2人は顔を見合わせて微笑んだ。そう言えば、殿下は眼鏡をしていない。見えていらっしゃるのかしら。そこへコナー卿が駆け寄ってきた。
「うわーん!遅くなってごめんね!マリオン君!めっちゃ刺されたよね?大丈夫だった?」
「え?何の事ですか?」
全く事情が分からず、マリオンは殿下を見上げた。
マリオンは後ろ手に縛られたまま、馬車の床に転がされていた。凄い速さで走る馬車の外では剣を撃ち合う音や馬の嘶き、叫び声がひっきりなしに聞こえる。恐らく帝国軍が太公軍と戦っているのだろう。
(な、何とかして逃げ出さないと)
しかし縄でぎゅうぎゅうに縛られ、猿轡をされて声も出せない。このままでは人質として連れ去られるか、最悪、盾にされて味方の足枷になる。それだけは避けたい。
「マリオン!どこだ!?」
殿下の声が聞こえた。彼女は揺れる馬車の中で苦心して立ち上がり、窓のカーテンを頭で押しやった。すると遠くに馬に乗った殿下が見えた。
「ヴィクター!3台目の馬車だ!」
アンリがすぐ側まで駆けてきてくれる。馬車はいつの間にか街道に出ていた。
「国境を越えたら同盟軍がいるぞ!それまで持ち堪えろ!」
赤毛のピエールが仲間を叱咤していた。太公に逃げ切られてしまう。マリオンが焦っていると、馬車が急停車した。その勢いで積まれた宝石や金貨が詰まった箱や高級な織物が崩れ、彼女はその下敷きになってしまった。
◆
国境の関所の手前に帝国軍が布陣していた。それを見た太公軍は慌てて止まった。
「太公に告ぐ!」
白い鎧姿のコージィが騎馬で進み出る。その背後には弓と矢が一体化したような、見たこともない武器を構える兵達が並んでいた。
「死にたくなければ、今すぐ武器を捨てて投降しろ!」
女が総大将と見て、大公側から数騎が走り出した。
「コナー家のじゃじゃ馬が!そこをどけ!」
と彼女に斬りかかった。だが次の瞬間、馬にも人にも無数の矢が突き刺さった。コージィの護衛が謎の兵器で射たのだ。ヴィクターは太公軍の背後からその様子を見ていた。
「ありゃ何や?」
族長がヴィクターに訊いた。
「さあ。コージィが開発した武器だろう。あいつは時々、未来を見てきたかのような発明をする」
「横にした弓の引き金を引いたら、何本も矢が出てきたがじゃ。凄いねや!」
前方を新兵器を持つコージィ軍に、後方を皇太子軍に挟まれた太公に逃げ場は無い。しかし赤毛の男が馬車から白金の髪の虜囚を引き摺り出してきた。
「マリオン!」
飛び出そうとするヴィクターを隠密が止めた。
「いけません!」
人質は太公の前に引き倒される。太公は馬を降りて、後ろ手に縛られた王女の首に刃を押し当てた。
「見えるか?ヴィクター!お前の愛人が死ぬの見たくなければ、引け!」
この後に及んで、太公はマリオンを盾に逃亡する気だ。だが言うことを聞かねば彼女が殺される。一切の戦闘が止んだ。アオキやアンリもなす術がないように固まっていた。
ヴィクターは自兵に下がるよう命じ、太公に向かって言った。
「…良いだろう。マリオンを解放しろ。国境を越えるでは待ってやる」
太公はせせら笑った。
「愚か者。命令できるのはこちらだ。そらそら、どかねばお前の愛人を刺すぞ」
コージィがサッと手を上げると前方の帝国兵が割れた。
「側近の方が話が通じるな。ではな、ヴィクター。後からゆるりと来い」
と言って、太公は先頭の馬車に乗り込もうとした。奴が白金の髪を乱暴に掴むのを、ヴィクターは腑が煮え繰り返る思いで見るしかない。
その時、マリオンが太公の剣に身を投げた。
「なっ…!!」
刃が胸を貫き、背から突き出る。ヴィクターは隠密を振り切って駆け出した。
(何をやってるんだ?マリオン?)
また自己犠牲か。良い加減にしろ。その横を剣聖とサムライマスターが凄まじい速さで追い越した。彼らは一瞬で太公に追いつき、その手足を斬った。
「ぎゃああああああっ!」
絶叫が響く中、マスター達は次々と敵を倒してゆく。ヴィクターは馬を飛び降りて、倒れるマリオンに走り寄ったが、その髪がみるみる真っ白になるの見て立ち止まった。
「違う!マリオンじゃないぞ!」
アンリが叫んだ。人質を縛る縄がするりと解けて地に落ちる。剣が刺さったまま、白い髪の男はゆっくりと立ち上がった。外宮の小屋にいた赤目の護衛じゃないか。
彼の顔を見て、のたうち回る太公が悲鳴を上げた。
「お…お前は…」
「君は嘘をついた。第二皇子よ。地獄に行け」
太公は絶命した。恐怖に歪んだ酷い死に顔だった。それを見た部下達は皆、戦意を失くして投降し、白髪赤目の男は消えていった。
「成仏なさったな」
「ああ」
アオキとアンリは何故か納得している。ヴィクターが周囲を見回すと、3台目の馬車からマリオンが降りてきた。
◇
財宝の下敷きになっていたマリオンは、芋虫のように身をくねらせ、何とか脱出した。体当たりをして馬車のドアを開けると、隠密さんがいた。
「マジか。じゃあ、あっちは誰だったんだ?」
意味不明な事を言いながら、口の悪い隠密さんはマリオンの縄を切ってくれた。ヨロヨロと馬車を降りて前方を見たら、血みどろの戦場だったので思わず目を瞑ってしまった。
「マリオン!!」
殿下が駆け寄ってきて、彼女を抱きしめた。新しいお召し物が汚れてしまう。身を引こうとしたが、殿下は許さなかった。その暖かい胸に頬を寄せていると自然と涙が出てきた。
(助けに来てくださった…)
「マリオン!怪我はないか?」
アンリが殿下を押し除けて義妹の無事を確認した。さらにアオキとシャトレー族長が歩いてやってきた。
「無事で何より。あと、ご婚約おめでとう!マリオン殿」
「ん?」
「結婚式には呼んどーせ!帰って飲むぜよ、アオキ」
「んん?」
2人は笑いながら行ってしまった。
「何のこと?」
マリオンはアンリに尋ねたが、
「ヴィクターに訊け。後でな」
と言って、彼女を殿下に押し付けてアオキ達の方へ去っていった。再び殿下の腕に収まったマリオンは小さな声で謝った。まんまと捕まって迷惑をかけてしまったから。
「も、申し訳ございません…」
「ありがとう。君のおかげで助かった」
だが怒られなかった。殿下は優しくマリオンの髪を撫でてくださった。
「私こそ…ありがとうございました。…背の高い隠密さん」
2人は顔を見合わせて微笑んだ。そう言えば、殿下は眼鏡をしていない。見えていらっしゃるのかしら。そこへコナー卿が駆け寄ってきた。
「うわーん!遅くなってごめんね!マリオン君!めっちゃ刺されたよね?大丈夫だった?」
「え?何の事ですか?」
全く事情が分からず、マリオンは殿下を見上げた。
68
あなたにおすすめの小説
助けた騎士団になつかれました。
藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。
しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。
一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。
☆本編完結しました。ありがとうございました!☆
番外編①~2020.03.11 終了
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢フィーア・エメラインは、地味で効果が現れるのに時間がかかる「大地の浄化」の力を持っていたため、派手な治癒魔法を使う異母妹リシアンの嫉妬により、「偽聖女」として断罪され、魔物汚染が深刻な獣人族の国へ追放される。
絶望的な状況の中、フィーアは「冷酷な牙」と恐れられる最強の獣人王ガゼルと出会い、「国の安寧のために力を提供する」という愛のない契約結婚を結ぶ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる