6 / 27
06 皇妃宮の侍女
しおりを挟む
◇
手厚い看護のお陰でマリオンは全快した。そろそろ復帰したいとトラに相談したら、即、却下された。
「まだ早い。昨日も微熱だった。マリオン様は弱すぎる」
「ううっ…」
身長が180センチを超えた後、マリオンは結婚を諦めて趣味に没頭していた。あの時、身体を鍛えておけば良かった。もっと頑丈にならなければ、ここで生き延びる事はできない。
「鍛錬しよう。護身術も教える」
トラの提案で、翌日からフジヤマ流の特訓が始まった。
◆
「お帰りなさいませ、皇太子殿下」
ヴィクターは宮の扉の前で立ち止まり、頭を下げるマリオンをまじまじと見た。もうドアマンには復帰しないと思っていたので、少し驚いた。
「もういいのか?」
「はい。長く休んでしまい、申し訳ございません」
「マリオン君!良かったぁーっ!!」
コージィが泣いてマリオンに抱きつく。ずっと見舞いに行きたいと言っていたが、ヴィクターが許可しなかったのだ。
「本当にごめん!あのクソ野郎ども、絶対殺すから。…むむ?少しガッチリした?」
「ご心配おかけして、すみません。フジヤマ流護身術を習いました。もう、あんな怪我はしませんよ」
マリオンは自信ありげに力瘤を見せる。それが制服越しにも弱々しいので、ヴィクターは吹き出した。そして懐から音波笛を出して与えた。
「無理はするな。危なくなったら、これを吹け。隠密が駆けつける。その間に逃げろ」
「いただけません!そのような大切な物!」
「持っていろ」
固辞する彼の手に、無理やり握らせた。コージィ達はあんぐりと口を開けている。
「ありがとうございます…」
若葉色の瞳が潤んだ。隠密を使えるのは父と自分だけ。マリオンは寵臣だと宣言したに等しいが、これで彼を守れる。ヴィクターは満足だった。
◇
マリオンは以前よりも頻繁に皇太子殿下のお側に呼ばれた。ツボ押し係というより、お話し相手のようだ。しかし殿下や側近方の会話についていけない。またしても、あの引きこもり期間にもっと学んでおけばと悔やんでいた。
「じゃあ、この本を読んでみて。こっちも」
正直に打ち明けたら、コナー卿が帝国史や地理の本を貸してくれた。分からない部分は恐れ多くもヴィクター殿下が教えてくださる。マリオンは懸命に勉強した。
「コナー様。この本、面白かったです。でも『おめが』の男性が『あるふぁ』の男性の子供を身篭るなど、そんな事が可能なのですか?帝国神話ですか?」
先日お借りした薄い本の疑問点を尋ねると、コナー卿は満面の笑みを浮かべて、マリオンを執務室の隅に引っ張っていった。
「実は私が書いたお話なの。感想を聞かせて!どこが良かった?」
「すみません、半分しか理解できなかったのですが、『つんでれ』な王様が命懸けで『異世界から来た神子』を救う場面でしょうか。2人の結婚式も感動的でした」
「だよね!これも読む?寡黙な騎士団長と美貌の王子が…ギャン!」
ガツンと、殿下がコナー卿の頭を本の背で打った。
「止めろ。腐教するな」
側近方が皆、肩を震わせている。マリオンは首を傾げた。
「申し訳ありません、殿下。『腐教』という単語の意味が」
「知らなくて良い。薄い本も読むな」
執務室が笑いに満ちた。コナー卿は殿下に抗議し、殿下は知らん顔でお茶を飲む。ヴィクター殿下と周囲の人々に可愛がられ、マリオンは幸福な日々を過ごしていた。
だが、ある日突然逮捕され、牢に放り込まれてしまった。
◇
「クレイプ王子マリオン。皇妃宮の侍女を妊娠させた罪で逮捕する」
従業員用の休憩所に、宮中監察部を名乗る2人の厳つい男達が来た。彼らはマリオンに罪状が書かれた書類を見せてから、手枷を嵌めた。
「お待ちください。何のことだか全然…」
「問答無用。速やかに連行せよと皇后陛下の御命令だ」
あれよあれよという間に、マリオンは馬車に乗せられ、どこかの宮に連れて行かれた。そして冷たい石の壁と床の他には何もない牢に入れられた。
(何が起こった?侍女?誰?)
まるで心当たりがない。水も食事も与えられないまま、一晩が過ぎ、翌日、監察部の男がマリオンを牢から出した。その建物の上階の豪華な部屋に引っ立てられ、
「跪け」
と、頭を床に着かんばかりに押さえられた。随分長い間待たされ、大人数が入ってきた。ドレスの衣擦れの音が聞こえる。
「この者で間違いないか?」
威厳ある女性の声が言った。
「はいっ!白金の髪の、背が高い男でした!」
若い女性が涙声で叫んだ。綺麗な発音から貴族だと分かる。彼女は泣きながらマリオンを告発した。
5ヶ月前に皇妃宮にマリオン王子が忍んで来た。いずれ妻にしてやると言い、彼女を誑かした。王子を信じて待っていたのに、それきり来ない。やがて月のものが止まり、大きくなった腹を周囲に気づかれてしまった。
「お許しください、皇后陛下!恐ろしくて言えなかったのです!」
背中に嫌な汗が伝った。ここは皇妃宮で、目の前にいるのは皇后陛下だ。身籠った侍女はマリオンに罪を着せようとしている。
「…だそうだ。本当か?」
皇后陛下は、双方の言い分をお聞きくださるようだ。下を向いたまま、マリオンは慎重に口を開いた。
「恐れながら申し上げます。5ヶ月前、私は下宮の庭で働いておりました。内宮に異動になりましたのは、3ヶ月前でございます。誓って、皇妃宮に出入りしたことはございません」
「筋が通っている。急ぎ、この者の勤務記録と出入宮記録を」
「はっ!」
誰かが部屋を出て行った。侍女は更に哀れな声で皇后陛下に訴えた。
「信じてください!この男を罰してください!」
◇
マリオンが皇妃宮に出入りした記録は無く、怪しい所は見つからなかった。
(良かった)
だがホッとしたのも束の間、皇后陛下は記録所の官僚をお呼びになり、先例を尋ねられた。
「過去に一度、人質の王子が侍女に手をつけた事例があります。王子は罰として鞭打ち刑に処されました。侍女は出産後、母子共に王子の国に追放されました」
それを聞いた皇后陛下は判決を下された。
「では、処分を申し渡す。マリオン王子は鞭打ち100回の刑。当面の間、内宮への出入りを禁ずる。侍女メリーは懲戒免職。出産後、国外追放とする」
マリオンの涙が床に落ちた。もうヴィクター殿下が頭痛に苦しまれても、駆けつける事はできない。
「泣くな。顔をお上げ」
優しいお声に頭を起こすと、殿下に似た黒い髪の女性が見えた。美しく威厳に満ちた皇后陛下は、じっとマリオンの顔をご覧になった後、多くの供を連れて出て行かれた。
手厚い看護のお陰でマリオンは全快した。そろそろ復帰したいとトラに相談したら、即、却下された。
「まだ早い。昨日も微熱だった。マリオン様は弱すぎる」
「ううっ…」
身長が180センチを超えた後、マリオンは結婚を諦めて趣味に没頭していた。あの時、身体を鍛えておけば良かった。もっと頑丈にならなければ、ここで生き延びる事はできない。
「鍛錬しよう。護身術も教える」
トラの提案で、翌日からフジヤマ流の特訓が始まった。
◆
「お帰りなさいませ、皇太子殿下」
ヴィクターは宮の扉の前で立ち止まり、頭を下げるマリオンをまじまじと見た。もうドアマンには復帰しないと思っていたので、少し驚いた。
「もういいのか?」
「はい。長く休んでしまい、申し訳ございません」
「マリオン君!良かったぁーっ!!」
コージィが泣いてマリオンに抱きつく。ずっと見舞いに行きたいと言っていたが、ヴィクターが許可しなかったのだ。
「本当にごめん!あのクソ野郎ども、絶対殺すから。…むむ?少しガッチリした?」
「ご心配おかけして、すみません。フジヤマ流護身術を習いました。もう、あんな怪我はしませんよ」
マリオンは自信ありげに力瘤を見せる。それが制服越しにも弱々しいので、ヴィクターは吹き出した。そして懐から音波笛を出して与えた。
「無理はするな。危なくなったら、これを吹け。隠密が駆けつける。その間に逃げろ」
「いただけません!そのような大切な物!」
「持っていろ」
固辞する彼の手に、無理やり握らせた。コージィ達はあんぐりと口を開けている。
「ありがとうございます…」
若葉色の瞳が潤んだ。隠密を使えるのは父と自分だけ。マリオンは寵臣だと宣言したに等しいが、これで彼を守れる。ヴィクターは満足だった。
◇
マリオンは以前よりも頻繁に皇太子殿下のお側に呼ばれた。ツボ押し係というより、お話し相手のようだ。しかし殿下や側近方の会話についていけない。またしても、あの引きこもり期間にもっと学んでおけばと悔やんでいた。
「じゃあ、この本を読んでみて。こっちも」
正直に打ち明けたら、コナー卿が帝国史や地理の本を貸してくれた。分からない部分は恐れ多くもヴィクター殿下が教えてくださる。マリオンは懸命に勉強した。
「コナー様。この本、面白かったです。でも『おめが』の男性が『あるふぁ』の男性の子供を身篭るなど、そんな事が可能なのですか?帝国神話ですか?」
先日お借りした薄い本の疑問点を尋ねると、コナー卿は満面の笑みを浮かべて、マリオンを執務室の隅に引っ張っていった。
「実は私が書いたお話なの。感想を聞かせて!どこが良かった?」
「すみません、半分しか理解できなかったのですが、『つんでれ』な王様が命懸けで『異世界から来た神子』を救う場面でしょうか。2人の結婚式も感動的でした」
「だよね!これも読む?寡黙な騎士団長と美貌の王子が…ギャン!」
ガツンと、殿下がコナー卿の頭を本の背で打った。
「止めろ。腐教するな」
側近方が皆、肩を震わせている。マリオンは首を傾げた。
「申し訳ありません、殿下。『腐教』という単語の意味が」
「知らなくて良い。薄い本も読むな」
執務室が笑いに満ちた。コナー卿は殿下に抗議し、殿下は知らん顔でお茶を飲む。ヴィクター殿下と周囲の人々に可愛がられ、マリオンは幸福な日々を過ごしていた。
だが、ある日突然逮捕され、牢に放り込まれてしまった。
◇
「クレイプ王子マリオン。皇妃宮の侍女を妊娠させた罪で逮捕する」
従業員用の休憩所に、宮中監察部を名乗る2人の厳つい男達が来た。彼らはマリオンに罪状が書かれた書類を見せてから、手枷を嵌めた。
「お待ちください。何のことだか全然…」
「問答無用。速やかに連行せよと皇后陛下の御命令だ」
あれよあれよという間に、マリオンは馬車に乗せられ、どこかの宮に連れて行かれた。そして冷たい石の壁と床の他には何もない牢に入れられた。
(何が起こった?侍女?誰?)
まるで心当たりがない。水も食事も与えられないまま、一晩が過ぎ、翌日、監察部の男がマリオンを牢から出した。その建物の上階の豪華な部屋に引っ立てられ、
「跪け」
と、頭を床に着かんばかりに押さえられた。随分長い間待たされ、大人数が入ってきた。ドレスの衣擦れの音が聞こえる。
「この者で間違いないか?」
威厳ある女性の声が言った。
「はいっ!白金の髪の、背が高い男でした!」
若い女性が涙声で叫んだ。綺麗な発音から貴族だと分かる。彼女は泣きながらマリオンを告発した。
5ヶ月前に皇妃宮にマリオン王子が忍んで来た。いずれ妻にしてやると言い、彼女を誑かした。王子を信じて待っていたのに、それきり来ない。やがて月のものが止まり、大きくなった腹を周囲に気づかれてしまった。
「お許しください、皇后陛下!恐ろしくて言えなかったのです!」
背中に嫌な汗が伝った。ここは皇妃宮で、目の前にいるのは皇后陛下だ。身籠った侍女はマリオンに罪を着せようとしている。
「…だそうだ。本当か?」
皇后陛下は、双方の言い分をお聞きくださるようだ。下を向いたまま、マリオンは慎重に口を開いた。
「恐れながら申し上げます。5ヶ月前、私は下宮の庭で働いておりました。内宮に異動になりましたのは、3ヶ月前でございます。誓って、皇妃宮に出入りしたことはございません」
「筋が通っている。急ぎ、この者の勤務記録と出入宮記録を」
「はっ!」
誰かが部屋を出て行った。侍女は更に哀れな声で皇后陛下に訴えた。
「信じてください!この男を罰してください!」
◇
マリオンが皇妃宮に出入りした記録は無く、怪しい所は見つからなかった。
(良かった)
だがホッとしたのも束の間、皇后陛下は記録所の官僚をお呼びになり、先例を尋ねられた。
「過去に一度、人質の王子が侍女に手をつけた事例があります。王子は罰として鞭打ち刑に処されました。侍女は出産後、母子共に王子の国に追放されました」
それを聞いた皇后陛下は判決を下された。
「では、処分を申し渡す。マリオン王子は鞭打ち100回の刑。当面の間、内宮への出入りを禁ずる。侍女メリーは懲戒免職。出産後、国外追放とする」
マリオンの涙が床に落ちた。もうヴィクター殿下が頭痛に苦しまれても、駆けつける事はできない。
「泣くな。顔をお上げ」
優しいお声に頭を起こすと、殿下に似た黒い髪の女性が見えた。美しく威厳に満ちた皇后陛下は、じっとマリオンの顔をご覧になった後、多くの供を連れて出て行かれた。
62
あなたにおすすめの小説
助けた騎士団になつかれました。
藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。
しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。
一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。
☆本編完結しました。ありがとうございました!☆
番外編①~2020.03.11 終了
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢フィーア・エメラインは、地味で効果が現れるのに時間がかかる「大地の浄化」の力を持っていたため、派手な治癒魔法を使う異母妹リシアンの嫉妬により、「偽聖女」として断罪され、魔物汚染が深刻な獣人族の国へ追放される。
絶望的な状況の中、フィーアは「冷酷な牙」と恐れられる最強の獣人王ガゼルと出会い、「国の安寧のために力を提供する」という愛のない契約結婚を結ぶ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる