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香り。
しおりを挟む鍵が空いていた。
炊きたてのお米の香りが玄関まで届いていた。
「誰?」
私の声ではなかった。
「里緒…?」
怪しむように、私の様子を伺うように出てきた彼は、その態度とは真逆な不思議で悲しそうな声で名前を呼んだ。
「誰?」
それは私の声だった。
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