異世界への転生そして僕はある意味強くなった

第一章 ワイスのワイス製スペシャルトラップ

1-３

｢あれはらワシが繁華街で転生してくれる相手を探して片っ端から通行人に声をかけていた時のこと。奴らはどこからともなく現れた。銃刀法が守られてるこの日本で、見せつけのように拳銃を身につけ、紺のスーツで｣徘徊する。奴らが……」



｢そ、それは……｣ 


ごくりと、唾を飲み込む。ワイスはその時の恐怖を思い出すように身を震わせ、震える声で続きを言う。



｢奴らはワシを見つけるとトランシーバーで連絡を取り合い、逃げ道を無くした。ワシは怖くなって周りに助けを求めたのじゃ、じゃが、誰も助けてくれない……。そして、紺のスーツの奴はこういってきたのじゃ。…………君？ちょっといいかな？保護者さんはいる？話聞きたいから署まで同行を……｣



｢それは、警察だよぉぉぉぉぉぉ！｣



大声で叫んでしまって、ワイスはビクンと耳を震わせた。しかし、ユウヒは止まらなかった。



｢……けいさつ？｣



｢そうだよ！警察が不審人物に声をかけただけだ！｣



｢にゃっはっはっ。そんなのありえにゃいのじゃよ！こんなに可愛げな猫耳と愛らしい尻尾をつけた美少女が、『自殺して転生したくありませんか？』って訊いて回ってるんじゃ！どこにも怪しい要素なんt……｣



｢むしろ怪しくない要素がないよ！？｣



ユウヒに対し、ワイスも負けじと反論する。



｢ま、待つのじゃよ！まだ続きがあるのじゃよ！ワシは転んでも転んでも起き上がる人間……神様じゃ！その秘密組織から子猫の姿で逃げてる時、ショーウィンドウに映っていた自分の姿を見て、おもったのじゃ。『だれ？このかわいいこ』と。｣



｢何言ってんの？お前？｣



とうとうユウヒは神様をお前呼ばわりだ。しかしワイスはめげない。むしろ不敵に笑っていた。



｢ふふふ。その時じゃよわワシの頭に天才的なひらめきが生まれたのは！ワシ思いついたのじゃ。



子猫姿のワシの可憐さを利用して転生者を確保する！



この悪魔のような得策を！｣


｢っ！？……まさか……｣ 


＿＿＿＿車道に出ていた猫。タイミングよく現れたトラック。転生してくれる、つまりは、目の前で死ぬ人間を待っていたワイス。

これらが意味するのは………………。