上 下
22 / 31
第3章〜内乱の激化と流行病の発症〜

21.兄と王子

しおりを挟む

*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*


目が覚めてすぐに突撃してきたヴィクトールに母からだという手紙を受け取った。

ヴィクトールはそのまま居座る気満々だったがアリシアナに拒否され渋々仕事に行ったのでアリシアナはまたジークフリートと2人きりになった。
落ち着かないので1人にして欲しいと頼んだけど、前同じ事を言って1人になった後に毎回何かしらの騒ぎが起こっているせいか笑顔で拒否され1人にはなれなかった。中を開けると宛名が違う3枚の手紙が入っていた。

当面は2枚目の手紙に書いてあった問題をなんとかしないとフラグを折るどころじゃないかもしれないと思った所で『あっ、そもそもフラグの折り方わからないわ』と少し泣きたくなった。
それと3枚目の手紙に書いてあったスキルに関する詳細と使用制御方法はありがたかった。宛名がないのは気になったけど【星の記憶書】って書いてあったしアリシアナ宛の手紙の内の1つだし大丈夫だよね?

そう、3枚目と言えば視た未来を変えることは出来ないって書いてあったけどじゃあ謎空間で大変な目にあって書き換えたあれは意味なかったのかな?何となく犠牲者って字をただ消すだけだと意味無い気がして、ゲームっぽい単語ならいいかなと思って復活って単語に変えてみたんだけど、どうなったんだろう。

「まあ、こんな所で悩んでてもなにが変わるわけでもないわよね。」

自分に言い聞かせるように呟くと横から返事が返ってきた。

「それは僕も同意だけど、僕で良ければ話を聞くよ?」

あ、そういえば1人じゃないんだった。
考えに集中すると周りが見えなくなるのは前世の頃からの悪い癖だわ。変なこと言わない様に気をつけないと間違いなく面倒な事になるわね。

気をつけようとアリシアナがこっそり決意していると、相変わらずなジークフリートが何がそんなに楽しんだろうかと思うほどのニッコニコの笑顔でこちらを見ている。

何なのかしら、この王子。
ここまでニッコニコだと逆に気になってくるわ。

「ジーク様ありがとうございます、ですが大丈夫です。」

アリシアナがジークフリートにそう返すと間髪入れずにゲームではよく聞いた声で悪役令嬢になってからは初めて聞く声がした。

「そういう切り替えが早い所はシアの長所だと思いますが、少し悩んだ方がいいとも思います。」

思わぬ方から指摘を受けびっくりして声の方を見ると自分と同じ銀髪の男の子がいた。

「えっと…リオン、お兄様…?」

自分と同じ白銀の髪に空の様な蒼眼は少し冷たい印象も受ける整った顔と相まってとても綺麗。さすが攻略キャラだ。

「おはよう、シア。記憶喪失だって聞いた時はどうなるかと思ったのですが記憶が無くてもシアはシアみたいでちょっと安心しました。」

「おはようございます、どういうことですか?というかいつの間にこの部屋に来てたんですか?」

「シア、リオンはさっき入室許可求めてきたから僕が許可しておいたよ。」

「そうだったんですか、気が付きませんでした。」

「…………だろうね、話しかけても無反応だったからそんな事だろうと思ってたよ。」

「…………シアの口調が丁寧だと小さな母上を見てる様ですね。」

リオンは珍しいものを見たとまじまじ見てくる。

「殿下、本当にこんなのでいんですか?見た目は可愛いですし美人な部類でしょうけど中身これですよ?」

「だから可愛いんじゃないか。」

「……ちっ。」

リオン今王子のジーク様に舌打ちしませんでした!?
というか、こんなのってなんですか!こんなのって!失礼なっ!
まあ、ゲーム通りである意味安心したけど。
ジーク様がゲームとはほぼ別人だったから他のキャラはどうなのかと思ってたけどお兄様はゲーム通り毒舌なツンデレで違いはなさそう…?
まあ、この程度の会話では完全に把握するなんて出来ないだろうしまだ分からないけど。

私がのんびりと分析していると横から冷気が漂ってきた。

…ジ、ジーク様まさか怒ってる?いやいや、あなたそんなキャラじゃないでしょう!?


*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

王子妃だった記憶はもう消えました。

cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。 元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。 実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。 記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。 記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。 記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。 ★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日) ●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので) ●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。  敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。 ●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました

冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。 家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。 過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。 関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。 記憶と共に隠された真実とは——— ※小説家になろうでも投稿しています。

壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~

志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。 政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。 社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。 ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。 ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。 一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。 リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。 ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。 そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。 王家までも巻き込んだその作戦とは……。 他サイトでも掲載中です。 コメントありがとうございます。 タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。 必ず完結させますので、よろしくお願いします。

【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです

たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。 お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。 これからどうやって暮らしていけばいいのか…… 子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに…… そして………

危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました

しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。 自分のことも誰のことも覚えていない。 王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。 聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。 なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

旦那様の様子がおかしいのでそろそろ離婚を切り出されるみたいです。

バナナマヨネーズ
恋愛
 とある王国の北部を治める公爵夫婦は、すべての領民に愛されていた。  しかし、公爵夫人である、ギネヴィアは、旦那様であるアルトラーディの様子がおかしいことに気が付く。  最近、旦那様の様子がおかしい気がする……。  わたしの顔を見て、何か言いたそうにするけれど、結局何も言わない旦那様。  旦那様と結婚して十年の月日が経過したわ。  当時、十歳になったばかりの幼い旦那様と、見た目十歳くらいのわたし。  とある事情で荒れ果てた北部を治めることとなった旦那様を支える為、結婚と同時に北部へ住処を移した。    それから十年。  なるほど、とうとうその時が来たのね。  大丈夫よ。旦那様。ちゃんと離婚してあげますから、安心してください。  一人の女性を心から愛する旦那様(超絶妻ラブ)と幼い旦那様を立派な紳士へと育て上げた一人の女性(合法ロリ)の二人が紡ぐ、勘違いから始まり、運命的な恋に気が付き、真実の愛に至るまでの物語。 全36話

処理中です...