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第1章〜目覚めと出会い〜
5.目覚めた彼女(ジークフリート視点)
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あれからアリシアナ嬢をグラスフィリア公爵邸から、城の僕の部屋の近くに人目につかないように注意して運んだ。
それから1ヶ月、今日も彼女は眠ったまま目覚めない。
(医者の話だと、そろそろ目覚めるはずなんだけどな…。)
僕は彼女に魔力供給を兼ねた魔力循環をしながらないつもの様に彼女を眺める。
初めの方こそ死んだみたいだったアリシアナも今ではすっかり顔色も良くなって、寝ている時の表情もだいぶ柔らかいものになっていたので、アリシアナに魔力循環をしながらジークフリートはホッとしていた。
綺麗な銀色の髪は毎日美容魔法をかけている侍女のおかげで美しいままに保たれ、1ヶ月も眠っているとは思えないほどだった。
体の方も僕が毎日魔力循環と王家専属の医師が治癒魔法をかけているおかげで起きて直ぐに普通に食べても問題ないくらい胃腸も弱ってないらしい。
僕は彼女の白い手を左手でそっと握り右手で手の甲を撫でながら流していると、僕の魔力と彼女の魔力は相性がいいらしく、ぽかぽかと暖かく気持ちいい。
しばらくぼーっと彼女を見つめ、そろそろ帰ろうかと思った時。
この1ヶ月間1度も開かれることのなかったアリシアナの瞼がそっと開いた。
初めて見る彼女の瞳はとっても綺麗なピンクゴールドで吸い込まれそうだと思った。
僕はちゃんと目覚めたことにほっと一安心してアリシアナ嬢にバレないように息をついた。
アリシアナ嬢は少しの間動かずにぼーっと部屋を見た後、手を握り魔力を送る僕の存在に気づいたようで大きな瞳を丸くして驚く。
それから可愛らしい声で呟いた。
「ジ、ジークフリート王子殿下…?」
「やあ、おはよう。」
やっと聞けた彼女の第一声が自分の名前で嬉しくてニヤけそうになる。
危ない危ない。
アリシアナ嬢に、にやけ顔の王子なんて覚え方はされたくない。
僕は顔を引き締める。
「え、あっ、おはようございます…?」
最後の方なぜ僕に挨拶しているのかわからなくなったようで疑問形になり首をかしげる彼女はとっても可愛いらしかった。
ついつい僕は握ったままの彼女の左手を撫でてしまう。
「あの…殿下?」
「ん?なに?」
「いえ、その…何故私は殿下と二人きりなんでしょうか…?」
「それは僕と君が婚約したからだよ。」
そう言うと、ポカーンとなるアリシアナ嬢。
「勝手にごめんね。君を助けるために必要だったんだ。」
「………えっと……婚…約?…なんで?何がどうしてそんなことになってる?そもそもここって―。」
最後の方はなんと言っているか分からなかったが混乱していることは分かった。
目が覚めて急に婚約したなんて言われれば混乱するのはわかる。
でも、泣きそうなのはなんでだ…。
一応嫁ぎ先としては1番人気だと思うんだけど。
ジークフリートは地味にショックを受けていた。
「大丈夫、落ち着いて。納得できるように説明するから。ところでアリシアナ嬢、君は倒れる前のことはどれくらい覚えてる?」
ジークフリートは慌てて泣きそうなアリシアナに弁解する為に質問した。
「なんで記憶がないってご存知なんですか?殿下の目はそういうことも分かるんですか?」
なんだか話が噛み合ってない気がする…。
僕の目とは、僕の神の加護の話をしているのだろう。
僕はものを詳しく見ることが出来る。
僕の目について、純粋な興味で聞くアリシアナに僕はおかしいなと内心思ったが、まずは彼女の質問に答えることにした。
「いや、僕の目はそこまでは分からないよ。記憶の件は以前君が家で公爵に…君のお父上に記憶が無いと話していたという報告を聞いただけだよ、覚えてない?」
そう聞くとアリシアナ嬢は必死に思い出そうとしてるようで顔を顰めていたが結局思い出せなかったようだった。
******
かなりの長さになったので1度切ります。
皆様、読みに来てくれて本当にありがとうございます。
この作品、描きだめがあまり出来てないので1日1話がいつまでやれるか分かりませんがなるべく頑張ります!
これからも覗きに来てくれると嬉し限りです。
それから1ヶ月、今日も彼女は眠ったまま目覚めない。
(医者の話だと、そろそろ目覚めるはずなんだけどな…。)
僕は彼女に魔力供給を兼ねた魔力循環をしながらないつもの様に彼女を眺める。
初めの方こそ死んだみたいだったアリシアナも今ではすっかり顔色も良くなって、寝ている時の表情もだいぶ柔らかいものになっていたので、アリシアナに魔力循環をしながらジークフリートはホッとしていた。
綺麗な銀色の髪は毎日美容魔法をかけている侍女のおかげで美しいままに保たれ、1ヶ月も眠っているとは思えないほどだった。
体の方も僕が毎日魔力循環と王家専属の医師が治癒魔法をかけているおかげで起きて直ぐに普通に食べても問題ないくらい胃腸も弱ってないらしい。
僕は彼女の白い手を左手でそっと握り右手で手の甲を撫でながら流していると、僕の魔力と彼女の魔力は相性がいいらしく、ぽかぽかと暖かく気持ちいい。
しばらくぼーっと彼女を見つめ、そろそろ帰ろうかと思った時。
この1ヶ月間1度も開かれることのなかったアリシアナの瞼がそっと開いた。
初めて見る彼女の瞳はとっても綺麗なピンクゴールドで吸い込まれそうだと思った。
僕はちゃんと目覚めたことにほっと一安心してアリシアナ嬢にバレないように息をついた。
アリシアナ嬢は少しの間動かずにぼーっと部屋を見た後、手を握り魔力を送る僕の存在に気づいたようで大きな瞳を丸くして驚く。
それから可愛らしい声で呟いた。
「ジ、ジークフリート王子殿下…?」
「やあ、おはよう。」
やっと聞けた彼女の第一声が自分の名前で嬉しくてニヤけそうになる。
危ない危ない。
アリシアナ嬢に、にやけ顔の王子なんて覚え方はされたくない。
僕は顔を引き締める。
「え、あっ、おはようございます…?」
最後の方なぜ僕に挨拶しているのかわからなくなったようで疑問形になり首をかしげる彼女はとっても可愛いらしかった。
ついつい僕は握ったままの彼女の左手を撫でてしまう。
「あの…殿下?」
「ん?なに?」
「いえ、その…何故私は殿下と二人きりなんでしょうか…?」
「それは僕と君が婚約したからだよ。」
そう言うと、ポカーンとなるアリシアナ嬢。
「勝手にごめんね。君を助けるために必要だったんだ。」
「………えっと……婚…約?…なんで?何がどうしてそんなことになってる?そもそもここって―。」
最後の方はなんと言っているか分からなかったが混乱していることは分かった。
目が覚めて急に婚約したなんて言われれば混乱するのはわかる。
でも、泣きそうなのはなんでだ…。
一応嫁ぎ先としては1番人気だと思うんだけど。
ジークフリートは地味にショックを受けていた。
「大丈夫、落ち着いて。納得できるように説明するから。ところでアリシアナ嬢、君は倒れる前のことはどれくらい覚えてる?」
ジークフリートは慌てて泣きそうなアリシアナに弁解する為に質問した。
「なんで記憶がないってご存知なんですか?殿下の目はそういうことも分かるんですか?」
なんだか話が噛み合ってない気がする…。
僕の目とは、僕の神の加護の話をしているのだろう。
僕はものを詳しく見ることが出来る。
僕の目について、純粋な興味で聞くアリシアナに僕はおかしいなと内心思ったが、まずは彼女の質問に答えることにした。
「いや、僕の目はそこまでは分からないよ。記憶の件は以前君が家で公爵に…君のお父上に記憶が無いと話していたという報告を聞いただけだよ、覚えてない?」
そう聞くとアリシアナ嬢は必死に思い出そうとしてるようで顔を顰めていたが結局思い出せなかったようだった。
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かなりの長さになったので1度切ります。
皆様、読みに来てくれて本当にありがとうございます。
この作品、描きだめがあまり出来てないので1日1話がいつまでやれるか分かりませんがなるべく頑張ります!
これからも覗きに来てくれると嬉し限りです。
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