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第2章 今の情勢とこれからの立場
閑話 幼い太陽と孤独な月
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ある意味ここからが本編とも言えるこの作品の2章。
それがまさかの閑話スタート…
作者としてはものすごく想定外です。
どうぞよろしく?お願いします。
^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-
クリスティーナが第一王子の婚約者として王城に頻繁に行くきっかけになったのはクリスティーナが精霊伝いである話を聞いたのが始まりだった。
王子もティナと同じでこの国から逃げようとしてたよ、と。
悪役令嬢としての死の運命が怖くて初対面以降一切城に行ってなかったクリスティーナはそれを聞いて初めて自分以外の人間の未来を視た。
【神眼】と呼ばれる神子のみが持つ事を許されるクリスティーナの特別な眼は未来さえも見る事ができる唯一無二なものだった。
ゲームで1番プレイしたルートだったのもあって、ソレイユと呼ばれていた王子の事をよく知ったつもりになっていたクリスティーナは未来を見て愕然とした。
王子は実父である…と当時は思われていた、国王に殺されるか、殺される前に自力で城から逃げ出す未来しかなかったのだ。
そこでクリスティーナはふと思い出す。
ゲームでクリスティーナが婚約破棄された時の捨て台詞で『私のおかげでこれまでうまくいっていたのに私を捨てるの!?』とヒステリックに叫ぶシーンがあったのを。
そして気づく。
ゲームでソレイユ王子の国王としての未来があったのはクリスティーナのおかげだったのだと。
ゲームではそのセリフを聞いても、往生際が悪いとしか思わなかったが自分がクリスティーナとなった今はその気持ちが理解出来てしまって泣きたくなった。
死ぬのは怖い。出来ることならこのまま関わりたくない。でも、王子を何とかしないと自分も未来で危険が増える。
こうした状況だったのでクリスティーナは仕方なく再びソレイユに会いに行ったのだ。
こうして始まった2回目の王子とのお茶会。
開始早々にクリスティーナは王子にある言葉を投げつけた。
「殿下、あなたも私と同じ事を考えていたのね。」
そう言った瞬間、退屈そうにただ笑っているだけだった王子の態度が変わった。
じっとクリスティーナを視たソレイユ王子はびっくりしたようで目を丸くしていた。
「月は太陽には勝てないのよ。その様子だと知らなかったようね!」
自身の力で視れない過去がクリスティーナにある事にようやく気づいたらしいソレイユがクリスティーナに「君は僕の太陽?」ときいてきた。
「それは貴方しだいよ。」
クリスティーナはそれだけ言うと城の庭が見たいわとわがままを言うフリをしてソレイユを監視から引き離す事にした。
監視の目がある場所だと満足に話もできないと思ったからだ。
そして、幼い子供のお転婆を装って監視を完全にまいたあとに状況がわからず混乱している様子の王子に向き直り「監視がいたわよ」と告げると「やっぱりそうだったんだ」となんでもない事のような返事が返ってきたのを聞いてクリスティーナは危機感を抱いた。
なぜなら信用できて頼れる大人が誰1人としていない事がわかったからだ。
クリスティーナの父は国王派ではないが、クリスティーナの味方には決してなり得ない。選民思想の塊みたいな人だから。
ソレイユの今の父である国王やその妃達も言わずもがな。
「ここには敵しかいないのね…。」
「そうなるかな。」
「初めに聞いておきたいんだけど、〈月と太陽〉の予言書の原本は貴方が持ってるって事でいい?未来で貴方にその事について教えられてるのを視たわ。」
「うん。僕の本当の父上が亡くなる時にその本を守ってる精霊と一緒に原本も託されたから今は僕しか読めないし触れない。」
なんとあの豚王は予言書の警告を信じないどころか月と太陽の力を我欲のために利用してやろうとしか思わない性根の腐りきったやつなのだ。
「そうなのね。よかった。ソレを絶対にあの国王に見せちゃダメ。世界が滅びるわ。」
「っ!、わかった。それは太陽の巫女としての予言?」
「そうよ。私が太陽の神子なのはあなた以外誰も知らないからこれも誰にも言わないで。貴方が殺されるから。」
「わかった。」
「…ところで確認なのだけど、貴方が月の王で、過去を視る眼を持ってるって事であってる…のよね?」
いつまた監視の目が復活するか分からない。だから最低限言っておくべき事だけは言っておかなければ。そう焦っていたクリスティーナはまくし立てるように自分の言いたい事だけを言ってた事に気づいた。そして気づいた事で今さら不安になってソレイユに聞いたのだった。
「今さらそれを聞くの?」
ソレイユはぱちくりと数回瞬きをしてからそう言うとクスクスと笑い出した。
「だって本人の口からちゃんと聞かないと不安じゃない!」
「そうなの?僕は他人の過去がわかるからそんなこと考えた事もなかった。」
そうよ、ソレイユ王子はこんなキャラだったわ!
クリスティーナは今さらになってここが前世のゲームと酷似しているんだという事を実感した。
「普通の人はそういうものなのよ。」
「君がそれを言うの?巫女なのに?」
「私は確かに神子だけど、私の力はそこまでいいものじゃないわ。それに私は普通の人でありたいと思ってるしそう思い続けるつもりよ。」
「普通の人?君が?無理だと思うけど…。」
「夢は諦めなければいつか叶うの!!」
クリスティーナは精一杯の気持ちを込めて叫んだ。
「…君、変な人だね。」
「そういう貴方は失礼な人だわ。」
こうして2度目の対面でようやく普通に話すくらいに仲良くなった2人はよくお互いの家で会うようになった。
日々悪い方に変わっていく未来にクリスティーナは焦ったがそんな時はソレイユが励ましてくれた。逆に過去に酷い目にあっていていたり、大変な事を企んでいる者が現れた時はクリスティーナがその人の未来を視て助言したりした。
2人で少しずつ、将来のための布石を打っていったのだ。 だが、そんな平穏な日々は唐突に終わりを告げた。
ソレイユの学生生活もあと1年で終わりとなった年の春のある日の朝。毎朝の日課となっていたソレイユの未来の確認をした時の事だ。
ソレイユの数ヶ月先の未来に突然、隣国に留学する未来が現れたのだ。しかも、その後自分の未来も確認してみるとソレイユが居なくなっている1年の内にクリスティーナは何者かの策略で殺される未来しか視えない。
クリスティーナはラブレターに偽装した手紙でいつも通りすぐさまソレイユに緊急事態を知らせた。
何とかすぐに2人になる時間を作ることが出来たクリスティーナとソレイユはこれからの事を話し合う。
「留学に行くとクリスティーナが死ぬんだね?」
「そうみたい。死因はバラバラだけど貴方が帰ってくるのは毎回ギリギリで間に合ってない。どうしよう。やっぱり無理だったのかしら。なんで突然こんな未来が増えたの?誰の仕業なのかしら。いやよ。死にたくないわ。」
怖くて錯乱しかけているクリスティーナを抱きしめて落ち着いてと慰めるソレイユもここまで取り乱したクリスティーナを見た事はなかった。
だが普段は明るく天真爛漫な性格を演じているクリスティーナが本当はとても臆病で、物静かなのがクリスティーナの素だと言うことを唯一知っているソレイユは今回のこの予知には言いしれない不気味さを感じていたのだ。
「大丈夫、落ち着いて。きっと何とかしてみせるから。」
──この時2人は太陽の巫女の力をかいくぐれる存在がいるとは思ってもみなかった。
だからどうにか予知を覆せるように方々に手をまわしたソレイユだったが、国に帰ってきて真っ先に向かった先で見たのは光となって消えていくクリスティーナの死体だった。
その後の事をソレイユはあまり覚えていない。とにかく怒りのままに、国王の悪事を暴き、無感情のまま淡々と処刑した。
そんな事があった後、気づけば自分は冷酷非道な太陽王などと呼ばれていたのだ。
そして今、1度は失ったと思っていた最愛の天使が本物の天使になって再びソレイユの前に現れてくれた。
疲れて眠っているクリスティーナの頬に手を添えて過去を視る眼を開く。城で眠っていた時は何も視えなかったがクリスティーナ本人が思い出したからなのか今度は断片的にだが3年前に何があったのかを視る事ができた。
「…さて、城に居る連中は私の置き土産を気に入ってくれただろうか。」
ソレイユはようやく自分の近く手の届く所まで戻ってきてくれた太陽を眺めつつ、今頃大騒ぎしているだろう城のもの達へ思いを馳せた。
^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-
クリスティーナなら自分に国に戻れと言うだろうと最初からわかっていてソレイユはやってるので、そもそもが確信犯だし、腹の中は真っ黒黒です。
そして、クリスティーナもこの事は何となく察してます。
お城では誰が聞いているかわからないから演技しかできないんですね。だから、再会してからずっと本音で話せてなかったんです。
次回も明日のお昼ぐらいに更新できるように頑張ります。また読みに来てくれると嬉しいです。
それがまさかの閑話スタート…
作者としてはものすごく想定外です。
どうぞよろしく?お願いします。
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クリスティーナが第一王子の婚約者として王城に頻繁に行くきっかけになったのはクリスティーナが精霊伝いである話を聞いたのが始まりだった。
王子もティナと同じでこの国から逃げようとしてたよ、と。
悪役令嬢としての死の運命が怖くて初対面以降一切城に行ってなかったクリスティーナはそれを聞いて初めて自分以外の人間の未来を視た。
【神眼】と呼ばれる神子のみが持つ事を許されるクリスティーナの特別な眼は未来さえも見る事ができる唯一無二なものだった。
ゲームで1番プレイしたルートだったのもあって、ソレイユと呼ばれていた王子の事をよく知ったつもりになっていたクリスティーナは未来を見て愕然とした。
王子は実父である…と当時は思われていた、国王に殺されるか、殺される前に自力で城から逃げ出す未来しかなかったのだ。
そこでクリスティーナはふと思い出す。
ゲームでクリスティーナが婚約破棄された時の捨て台詞で『私のおかげでこれまでうまくいっていたのに私を捨てるの!?』とヒステリックに叫ぶシーンがあったのを。
そして気づく。
ゲームでソレイユ王子の国王としての未来があったのはクリスティーナのおかげだったのだと。
ゲームではそのセリフを聞いても、往生際が悪いとしか思わなかったが自分がクリスティーナとなった今はその気持ちが理解出来てしまって泣きたくなった。
死ぬのは怖い。出来ることならこのまま関わりたくない。でも、王子を何とかしないと自分も未来で危険が増える。
こうした状況だったのでクリスティーナは仕方なく再びソレイユに会いに行ったのだ。
こうして始まった2回目の王子とのお茶会。
開始早々にクリスティーナは王子にある言葉を投げつけた。
「殿下、あなたも私と同じ事を考えていたのね。」
そう言った瞬間、退屈そうにただ笑っているだけだった王子の態度が変わった。
じっとクリスティーナを視たソレイユ王子はびっくりしたようで目を丸くしていた。
「月は太陽には勝てないのよ。その様子だと知らなかったようね!」
自身の力で視れない過去がクリスティーナにある事にようやく気づいたらしいソレイユがクリスティーナに「君は僕の太陽?」ときいてきた。
「それは貴方しだいよ。」
クリスティーナはそれだけ言うと城の庭が見たいわとわがままを言うフリをしてソレイユを監視から引き離す事にした。
監視の目がある場所だと満足に話もできないと思ったからだ。
そして、幼い子供のお転婆を装って監視を完全にまいたあとに状況がわからず混乱している様子の王子に向き直り「監視がいたわよ」と告げると「やっぱりそうだったんだ」となんでもない事のような返事が返ってきたのを聞いてクリスティーナは危機感を抱いた。
なぜなら信用できて頼れる大人が誰1人としていない事がわかったからだ。
クリスティーナの父は国王派ではないが、クリスティーナの味方には決してなり得ない。選民思想の塊みたいな人だから。
ソレイユの今の父である国王やその妃達も言わずもがな。
「ここには敵しかいないのね…。」
「そうなるかな。」
「初めに聞いておきたいんだけど、〈月と太陽〉の予言書の原本は貴方が持ってるって事でいい?未来で貴方にその事について教えられてるのを視たわ。」
「うん。僕の本当の父上が亡くなる時にその本を守ってる精霊と一緒に原本も託されたから今は僕しか読めないし触れない。」
なんとあの豚王は予言書の警告を信じないどころか月と太陽の力を我欲のために利用してやろうとしか思わない性根の腐りきったやつなのだ。
「そうなのね。よかった。ソレを絶対にあの国王に見せちゃダメ。世界が滅びるわ。」
「っ!、わかった。それは太陽の巫女としての予言?」
「そうよ。私が太陽の神子なのはあなた以外誰も知らないからこれも誰にも言わないで。貴方が殺されるから。」
「わかった。」
「…ところで確認なのだけど、貴方が月の王で、過去を視る眼を持ってるって事であってる…のよね?」
いつまた監視の目が復活するか分からない。だから最低限言っておくべき事だけは言っておかなければ。そう焦っていたクリスティーナはまくし立てるように自分の言いたい事だけを言ってた事に気づいた。そして気づいた事で今さら不安になってソレイユに聞いたのだった。
「今さらそれを聞くの?」
ソレイユはぱちくりと数回瞬きをしてからそう言うとクスクスと笑い出した。
「だって本人の口からちゃんと聞かないと不安じゃない!」
「そうなの?僕は他人の過去がわかるからそんなこと考えた事もなかった。」
そうよ、ソレイユ王子はこんなキャラだったわ!
クリスティーナは今さらになってここが前世のゲームと酷似しているんだという事を実感した。
「普通の人はそういうものなのよ。」
「君がそれを言うの?巫女なのに?」
「私は確かに神子だけど、私の力はそこまでいいものじゃないわ。それに私は普通の人でありたいと思ってるしそう思い続けるつもりよ。」
「普通の人?君が?無理だと思うけど…。」
「夢は諦めなければいつか叶うの!!」
クリスティーナは精一杯の気持ちを込めて叫んだ。
「…君、変な人だね。」
「そういう貴方は失礼な人だわ。」
こうして2度目の対面でようやく普通に話すくらいに仲良くなった2人はよくお互いの家で会うようになった。
日々悪い方に変わっていく未来にクリスティーナは焦ったがそんな時はソレイユが励ましてくれた。逆に過去に酷い目にあっていていたり、大変な事を企んでいる者が現れた時はクリスティーナがその人の未来を視て助言したりした。
2人で少しずつ、将来のための布石を打っていったのだ。 だが、そんな平穏な日々は唐突に終わりを告げた。
ソレイユの学生生活もあと1年で終わりとなった年の春のある日の朝。毎朝の日課となっていたソレイユの未来の確認をした時の事だ。
ソレイユの数ヶ月先の未来に突然、隣国に留学する未来が現れたのだ。しかも、その後自分の未来も確認してみるとソレイユが居なくなっている1年の内にクリスティーナは何者かの策略で殺される未来しか視えない。
クリスティーナはラブレターに偽装した手紙でいつも通りすぐさまソレイユに緊急事態を知らせた。
何とかすぐに2人になる時間を作ることが出来たクリスティーナとソレイユはこれからの事を話し合う。
「留学に行くとクリスティーナが死ぬんだね?」
「そうみたい。死因はバラバラだけど貴方が帰ってくるのは毎回ギリギリで間に合ってない。どうしよう。やっぱり無理だったのかしら。なんで突然こんな未来が増えたの?誰の仕業なのかしら。いやよ。死にたくないわ。」
怖くて錯乱しかけているクリスティーナを抱きしめて落ち着いてと慰めるソレイユもここまで取り乱したクリスティーナを見た事はなかった。
だが普段は明るく天真爛漫な性格を演じているクリスティーナが本当はとても臆病で、物静かなのがクリスティーナの素だと言うことを唯一知っているソレイユは今回のこの予知には言いしれない不気味さを感じていたのだ。
「大丈夫、落ち着いて。きっと何とかしてみせるから。」
──この時2人は太陽の巫女の力をかいくぐれる存在がいるとは思ってもみなかった。
だからどうにか予知を覆せるように方々に手をまわしたソレイユだったが、国に帰ってきて真っ先に向かった先で見たのは光となって消えていくクリスティーナの死体だった。
その後の事をソレイユはあまり覚えていない。とにかく怒りのままに、国王の悪事を暴き、無感情のまま淡々と処刑した。
そんな事があった後、気づけば自分は冷酷非道な太陽王などと呼ばれていたのだ。
そして今、1度は失ったと思っていた最愛の天使が本物の天使になって再びソレイユの前に現れてくれた。
疲れて眠っているクリスティーナの頬に手を添えて過去を視る眼を開く。城で眠っていた時は何も視えなかったがクリスティーナ本人が思い出したからなのか今度は断片的にだが3年前に何があったのかを視る事ができた。
「…さて、城に居る連中は私の置き土産を気に入ってくれただろうか。」
ソレイユはようやく自分の近く手の届く所まで戻ってきてくれた太陽を眺めつつ、今頃大騒ぎしているだろう城のもの達へ思いを馳せた。
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クリスティーナなら自分に国に戻れと言うだろうと最初からわかっていてソレイユはやってるので、そもそもが確信犯だし、腹の中は真っ黒黒です。
そして、クリスティーナもこの事は何となく察してます。
お城では誰が聞いているかわからないから演技しかできないんですね。だから、再会してからずっと本音で話せてなかったんです。
次回も明日のお昼ぐらいに更新できるように頑張ります。また読みに来てくれると嬉しいです。
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