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第1章 別世界のふたり
1-2 姉のかんしゃく
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ルイーズが読み書きできることは、姉にひた隠しにしていた。
それなのに、うっかり刺繍の文字を読み上げてしまった。
当然、ルイーズが文字を読めることを知り、姉のミラベルがブルブルと怒りで体を震わせる。
ギョッとするルイーズ。
やってしまったと、慌てて取り繕う手立てを考える。
だが、あたふたするルイーズが誤魔化そうといくら焦っても、既に遅い。
「それ、渡しなさいっ!」
ものすごい速さでミラベルの手が、目の前を横切った。
するとハンカチは、バッとミラベルに奪われてしまう。見事な早業!
何が起きたか分からず、ただ呆気にとられたルイーズは、口を開けてポカンとしている。
一方ミラベルは、うっとりとしながらハンカチを見入っている。
「エドワード様のハンカチなのね~。これであの彼にお近づきになれるわ~。わたしが声を掛けて返しておくわよ! だけどルイーズってば、わたしを差し置いて、いつの間に文字が読めるようになったのっ!」
ミラベルがとろーんとした口調で話し始めたせいで、ルイーズは惑わされ、よしっ! と、小さくガッツポーズをした。
だが、そんなに甘くはなかった。
とんだぬか喜び。ちゃんとバレている。それも、しっかり怒っているのだ。
こうなれば、できるだけ丁寧に言い訳をするしかない。
落ち着け自分と、言い聞かせたルイーズは、おもむろに口を開く。
「それは、お姉様が要らないとおっしゃった教科書が、わたしの部屋にはあふれていましたから、それで勉強して」
「もしかして、あれを使って1人で勉強したってこと!」
ルイーズは、遠慮がちに肯定を示すうなずきを見せる。
そうすれば、見る見るうちに眉間にしわが寄るミラベル。
「あんた1人で抜け駆けして許さない」と、身勝手な言い分で逆上されてしまった。
姉が勉強を嫌がったせいだ。自業自得と言いたいところだが言えるわけがない。
恐怖で後退るルイーズ。じりじりと迫るミラベル……。
今日までルイーズも自分と同じく、読み書きも、計算もできないと思い込んでいたのだろう。
幼い頃のミラベルが、勉強が嫌いだと駄々をこねて家庭教師を追い払っていた。
挙句の果てには、大量にあった教科書が邪魔だと文句を言いだしたのだ。
……その結果、ルイーズの部屋に教科書を放り込んだミラベル。勉強嫌いの異母姉は、まともに読み書きもできない。
ルイーズは激昂するミラベルに詰め寄られ、彼女の背には壁が迫っている。
異母姉の手が高く上がり、おびえ上がったルイーズは「たたかれる」と身を固くする。
だが、人の気配が近くに迫ってきた。
……それに気付いたミラベルは、何もしないまま静かに手を下した。
そしてミラベルは、反対の手に持っているハンカチを再び見つめて頬を紅潮させる。
どうやらミラベルの今の優先順位は、ハンカチの持ち主に声を掛けることに移ったらしい。ルイーズをにらみつけた後、会場のどこかへ消えていった。
1人になったルイーズは、ふっ~と息をはいて安堵する。
ルイーズは他の貴族との交流を継母からきつく禁じられている。
それでも継母が、年に1度だけ、ルイーズを社交場に出席させている理由。
……それは、この王家主催の舞踏会だけは、貴族籍の者は欠席が許されないからだ。
ルイーズは、舞踏会の会場に入った途端、壁の隅にひっそりとある立食ブースを確認する。
1年前にルイーズが初めて参加したときも、その場所は、最初から最後まで誰も来なかった記憶がある。
舞踏会が終わるまでルイーズがこっそりと待避するのに、まさにうってつけの空間。そう思いルイーズはほくそ笑む。
(良かった、今日も誰もいない。これで、1人でゆっくり過ごせるわね)
ルイーズは形式上用意されている軽食コーナーへ向かい、美しく並べられた料理を1口食べる度に、にんまりと表情を緩ませ、おいしそうに堪能している。
「う~ん、おいしくて幸せ。あー他のも全部おいしそうだわ。食べ切れるかな」
彼女の菫色の瞳は、立食ブースの料理しか捉えていない。
舞踏会の帰り。
びくびくするルイーズは、できるだけミラベルを刺激しないように、細心の注意を払っていた。
というのは、異母姉のミラベルは馬車の中で自分に当たり散らし、すこぶる機嫌が悪いからだ。
ルイーズは姉の様子を見て、ミラベルはハンカチの貴公子から見向きもされなかったのだろうと察する。
ルイーズは継母の指示により、舞踏会の会場で独り隠れるように時間を過ごしている。
当然ながら、令嬢たちの黄色い歓声を一身に浴びている、スペンサー侯爵家のエドワードのことを全く知らない。
屋敷へ着いた後、さらに癇癪を起した異母姉。
ルイーズが部屋に戻ると、ミラベルがルイーズの部屋にあった教科書を破ったり黒く塗りつぶしたりしている。
何としても止めなくては。そう思ったルイーズは、咄嗟に本棚とミラベルの間に割り込み、身を挺した。
「お姉様、これは今、アランが使っているので止めてください!」
「うるさいわよ。あんたが勝手に抜け駆けしたせいよ」
何の抜け駆けかと、全く腑に落ちない言い掛かり。
そんなことはどうでもいい。大事なのは教科書を守ること。
今、ルイーズの部屋で教科書を使っているのは、年の離れた弟。
弟のためにと、ルイーズは必死にミラベルを説得する。けれど、姉から何倍にも膨れ上がった罵声が返ってくるだけ。全く話にならない。
なんとしても教科書を死守したかったルイーズは、何度突き飛ばされても全力で抵抗した。が、そんなことは姉のミラベルは全く気にしていない。
それどころか姉は勝ち誇った顔をしている。
姉が立ち去った後、見るも無残になった教科書を張り合わせる彼女は、関係のない人物を恨んでいた。
(弟の勉強道具がめちゃくちゃになったのは、エドワードって人のせいだからね……。どこの誰か知らないけど、どうしてくれるのよ!)
ルイーズがエドワードのハンカチを拾った16歳の舞踏会。
この日を境に、ミラベルからも、ルイーズのいじめはエスカレートしていくことになった。
それなのに、うっかり刺繍の文字を読み上げてしまった。
当然、ルイーズが文字を読めることを知り、姉のミラベルがブルブルと怒りで体を震わせる。
ギョッとするルイーズ。
やってしまったと、慌てて取り繕う手立てを考える。
だが、あたふたするルイーズが誤魔化そうといくら焦っても、既に遅い。
「それ、渡しなさいっ!」
ものすごい速さでミラベルの手が、目の前を横切った。
するとハンカチは、バッとミラベルに奪われてしまう。見事な早業!
何が起きたか分からず、ただ呆気にとられたルイーズは、口を開けてポカンとしている。
一方ミラベルは、うっとりとしながらハンカチを見入っている。
「エドワード様のハンカチなのね~。これであの彼にお近づきになれるわ~。わたしが声を掛けて返しておくわよ! だけどルイーズってば、わたしを差し置いて、いつの間に文字が読めるようになったのっ!」
ミラベルがとろーんとした口調で話し始めたせいで、ルイーズは惑わされ、よしっ! と、小さくガッツポーズをした。
だが、そんなに甘くはなかった。
とんだぬか喜び。ちゃんとバレている。それも、しっかり怒っているのだ。
こうなれば、できるだけ丁寧に言い訳をするしかない。
落ち着け自分と、言い聞かせたルイーズは、おもむろに口を開く。
「それは、お姉様が要らないとおっしゃった教科書が、わたしの部屋にはあふれていましたから、それで勉強して」
「もしかして、あれを使って1人で勉強したってこと!」
ルイーズは、遠慮がちに肯定を示すうなずきを見せる。
そうすれば、見る見るうちに眉間にしわが寄るミラベル。
「あんた1人で抜け駆けして許さない」と、身勝手な言い分で逆上されてしまった。
姉が勉強を嫌がったせいだ。自業自得と言いたいところだが言えるわけがない。
恐怖で後退るルイーズ。じりじりと迫るミラベル……。
今日までルイーズも自分と同じく、読み書きも、計算もできないと思い込んでいたのだろう。
幼い頃のミラベルが、勉強が嫌いだと駄々をこねて家庭教師を追い払っていた。
挙句の果てには、大量にあった教科書が邪魔だと文句を言いだしたのだ。
……その結果、ルイーズの部屋に教科書を放り込んだミラベル。勉強嫌いの異母姉は、まともに読み書きもできない。
ルイーズは激昂するミラベルに詰め寄られ、彼女の背には壁が迫っている。
異母姉の手が高く上がり、おびえ上がったルイーズは「たたかれる」と身を固くする。
だが、人の気配が近くに迫ってきた。
……それに気付いたミラベルは、何もしないまま静かに手を下した。
そしてミラベルは、反対の手に持っているハンカチを再び見つめて頬を紅潮させる。
どうやらミラベルの今の優先順位は、ハンカチの持ち主に声を掛けることに移ったらしい。ルイーズをにらみつけた後、会場のどこかへ消えていった。
1人になったルイーズは、ふっ~と息をはいて安堵する。
ルイーズは他の貴族との交流を継母からきつく禁じられている。
それでも継母が、年に1度だけ、ルイーズを社交場に出席させている理由。
……それは、この王家主催の舞踏会だけは、貴族籍の者は欠席が許されないからだ。
ルイーズは、舞踏会の会場に入った途端、壁の隅にひっそりとある立食ブースを確認する。
1年前にルイーズが初めて参加したときも、その場所は、最初から最後まで誰も来なかった記憶がある。
舞踏会が終わるまでルイーズがこっそりと待避するのに、まさにうってつけの空間。そう思いルイーズはほくそ笑む。
(良かった、今日も誰もいない。これで、1人でゆっくり過ごせるわね)
ルイーズは形式上用意されている軽食コーナーへ向かい、美しく並べられた料理を1口食べる度に、にんまりと表情を緩ませ、おいしそうに堪能している。
「う~ん、おいしくて幸せ。あー他のも全部おいしそうだわ。食べ切れるかな」
彼女の菫色の瞳は、立食ブースの料理しか捉えていない。
舞踏会の帰り。
びくびくするルイーズは、できるだけミラベルを刺激しないように、細心の注意を払っていた。
というのは、異母姉のミラベルは馬車の中で自分に当たり散らし、すこぶる機嫌が悪いからだ。
ルイーズは姉の様子を見て、ミラベルはハンカチの貴公子から見向きもされなかったのだろうと察する。
ルイーズは継母の指示により、舞踏会の会場で独り隠れるように時間を過ごしている。
当然ながら、令嬢たちの黄色い歓声を一身に浴びている、スペンサー侯爵家のエドワードのことを全く知らない。
屋敷へ着いた後、さらに癇癪を起した異母姉。
ルイーズが部屋に戻ると、ミラベルがルイーズの部屋にあった教科書を破ったり黒く塗りつぶしたりしている。
何としても止めなくては。そう思ったルイーズは、咄嗟に本棚とミラベルの間に割り込み、身を挺した。
「お姉様、これは今、アランが使っているので止めてください!」
「うるさいわよ。あんたが勝手に抜け駆けしたせいよ」
何の抜け駆けかと、全く腑に落ちない言い掛かり。
そんなことはどうでもいい。大事なのは教科書を守ること。
今、ルイーズの部屋で教科書を使っているのは、年の離れた弟。
弟のためにと、ルイーズは必死にミラベルを説得する。けれど、姉から何倍にも膨れ上がった罵声が返ってくるだけ。全く話にならない。
なんとしても教科書を死守したかったルイーズは、何度突き飛ばされても全力で抵抗した。が、そんなことは姉のミラベルは全く気にしていない。
それどころか姉は勝ち誇った顔をしている。
姉が立ち去った後、見るも無残になった教科書を張り合わせる彼女は、関係のない人物を恨んでいた。
(弟の勉強道具がめちゃくちゃになったのは、エドワードって人のせいだからね……。どこの誰か知らないけど、どうしてくれるのよ!)
ルイーズがエドワードのハンカチを拾った16歳の舞踏会。
この日を境に、ミラベルからも、ルイーズのいじめはエスカレートしていくことになった。
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