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第4章 夢の実現へ
約束②
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【SIDE アリーチェ】
わたしの誕生日から半年後。
今、わたしは、ワーグナー公爵家の庭で開催する披露宴を目前にして、感情が忙しなく動き、酷いことになっている。
「姉上、泣かないでください」
「だって、(うっ)甘えん坊のマックスが、こんなに立派になって。お嫁さんを貰うなんて、それもまさか、(ぐすっ)あの可愛いカテリーヌ王女だなんて、嬉し過ぎて」
マックスが、突然結婚すると言い出した!
それも、お相手はフレンツ王国のカテリーヌ王女と言うから驚きだ。
それに、わたしには何が何だか分からないうちに、フレンツ王国との同盟関係は上手くいっていた。
何だか、わたしだけ置いてけぼりにされたようで少し寂しい。だけど、それ以上に王女様に、また会えるのが楽しみだったから、気にしていない。
「ほら、泣き止んで、僕の事で泣いてると、あの我儘な王太子が今度は何を言い出すか分からないでしょう。王太子が、こっち見て睨んでるし」
「おい、マックス! どこが我儘な王太子だって! わたしはアリーチェの為に、何でもするだけだ」
「はぁっ、王位を継ぐのを10年も延期するとか、馬鹿な事を言ってるのはどこの誰ですか⁉ 僕は王太子に言いましたよねっ! 我が家の事業だけでも忙しいんです。あんた達と違って、僕は1回見たり聞いたりしただけで、何でも頭に入る訳じゃないんだから、時間がかかるんです」
「マックス、そうだったの。それじゃあ、わたしが毎日手伝いに行くわ」
「アリーチェ、こいつを甘やかすな! 大丈夫だ、優秀なカテリーヌ夫人が問題なく、公爵家の事業をこなすだろう。言ってるだけだ、こいつは私を脅す暇があるんだ」
「くくっ、姉上から『僕が居ないと寂しい』って言われた事を僻む位なら、僕を事務官長に、しておかなきゃいいのに」
「いや、お前以上に公務の分かる奴はいないからな」
相変わらず会えば喧嘩ばかりしている2人。だけど、本当は仲良しだって、わたしは知っている。それを言うと、益々喧嘩するから言わない事にしているけど。
カテリーヌ王女が希望した10段のウェディングケーキ。
マックスは以前、そんなのは流行ってないから絶対に嫌だと言っていたのに、愛する妻の我儘には弱いようだ。この会場で一際目を惹いている。
仲良くケーキを切れば、2人で楽しそうに食べさせあっていて、マックスはとても幸せそうだ。
カテリーヌ王女が、絶対に飛ばしたいと言って譲らなかった鳩。
空に飛び立ったはずの鳩が、何故か戻って来て、会場は騒然としている。わたしは、こんなハプニングも楽しい想い出になる気がして、良いと思っている。
だけど、主役はそうもいかないようで、王女様が泣き出してしまった。
そんな王女様を宥めて寄り添うマックスは、鳩なんて気にしてないようだ。
やっぱりね、わたし達姉弟は価値観が似ているわ。
わたしは毎年、誕生日当日に、マックスの部屋中に手紙を隠していた。
だけど1通だけ、誕生日の前日に、マックスの枕元に手紙を置いていた。
わたしが枕を持ち上げると、決まってその場所には、マックスからわたし宛ての手紙がある。
それも、わたしが書いた手紙と同じ「一緒に生まれてくれて、ありがとう」の一言。
まさかそれが、初めてマックスに手紙を置きに行った時からあったんだもの、考えている事が一緒で驚いた。
わたし達の次の誕生日。
マックスの枕は、あなた1人のものでは無さそうだから、そんなサプライズは出来そうもないわね。
ふふっ、何だか2人楽しそうに笑っているから、王女様のご機嫌も戻ったようだ。
フレンツの国王に挨拶するからと、フレデリック様がわたしの傍を離れて行った。
「あっ、女神様、それジュースですよ。祝いの席なんだからシャンパンがいいですよ。いっぱい飲んで楽しまないと」
「あら、ファウラーは気が利くわね。誰もそんな事、言ってくれなかったわ」
そう言って、シャンパンの入ったグラスを受け取った。
「飲んでみて良かった、美味しいわ」
「そうですか。もっと、どうぞ」
「アリーチェ、待たせたな。フレンツの国王と話が弾み過ぎてしまった。このフィナンシエ、国王からのお土産。それと、料理長から、アリーチェが頼んでたバジルのサンドイッチを貰って来た。一緒に食べよう……」
わたしは、迎えに来てくれたリックに、思わず抱き付いた。
「リック、……待ってたわよ」
「リックって、それは2人きりの時だろう。ここでは駄目だ」
「何言ってるの? 2人きりでしょう。それにしても、暑いわね」
「ファウラー、アリーチェに何を飲ませた⁉」
「えっ、新郎の姉の女神様がジュースを飲んでたから、そんな馬鹿なと思ってシャンパンをお渡ししました。美味しいと言って、4杯目ですが」
「馬鹿、お前……」
「リック、暑くてたまらないわ」
「アリーチェ、ここで服を脱ぐな……。おい、――マックスがこっちを見て笑ってるだろう。頼むから、スカートを捲るな」
「駄目だっ! アリーチェの部屋はどこだ?」
「ふふっ、リックったら、わたしの部屋は…………あれ、どこだっけ」
「あー、もういい、屋敷の者に聞くっ! ドレスに手をかけるな!」
ずっと、待っていたリックが、サンドイッチを持って、わたしの事を迎えに来てくれた。それに、リックが一緒に食べようって言っていたフィナンシエまで一緒に。
わたしは何も言ってないのに、憧れの10段のウェディングケーキまで用意してくれている。
リックは嫌がって、してくれないと思っていたのに、お姫様抱っこまで、してくれてドキッとした。
まだ明るいのに、初夜を待ちきれないなんて……。
相変わらず6歳の時に出会ったままで、リックってば強引なんだから。
「リック、大好き」
「ああ、私もアリーチェが大好きだ。この先も永遠に愛してる――」
再会を夢見た王子様の初めてのキスは、……優しく温かくて、まるで、眠りに落ちるような安らぎをくれた――……。
=Sweet Dreams=
本編はこれにて完結ですが、本編中に触れていたストーリーは、この後の挿話にて展開します。
=======
最後までお読みいただきありがとうございました。
アリーチェのキャラを知り尽くしているのが、マックスになってしまうので、どうやって3人のバランスをとるか、執筆に苦労した作品でした。
前半は、数えきれない程、書き直しました(笑)。
読者の皆様が、楽しんでいただけていたら、嬉しいです。
そして、近々、ファンタジー要素のある次回作も投稿予定です。
引き続き、応援を頂けると嬉しいです。
わたしの誕生日から半年後。
今、わたしは、ワーグナー公爵家の庭で開催する披露宴を目前にして、感情が忙しなく動き、酷いことになっている。
「姉上、泣かないでください」
「だって、(うっ)甘えん坊のマックスが、こんなに立派になって。お嫁さんを貰うなんて、それもまさか、(ぐすっ)あの可愛いカテリーヌ王女だなんて、嬉し過ぎて」
マックスが、突然結婚すると言い出した!
それも、お相手はフレンツ王国のカテリーヌ王女と言うから驚きだ。
それに、わたしには何が何だか分からないうちに、フレンツ王国との同盟関係は上手くいっていた。
何だか、わたしだけ置いてけぼりにされたようで少し寂しい。だけど、それ以上に王女様に、また会えるのが楽しみだったから、気にしていない。
「ほら、泣き止んで、僕の事で泣いてると、あの我儘な王太子が今度は何を言い出すか分からないでしょう。王太子が、こっち見て睨んでるし」
「おい、マックス! どこが我儘な王太子だって! わたしはアリーチェの為に、何でもするだけだ」
「はぁっ、王位を継ぐのを10年も延期するとか、馬鹿な事を言ってるのはどこの誰ですか⁉ 僕は王太子に言いましたよねっ! 我が家の事業だけでも忙しいんです。あんた達と違って、僕は1回見たり聞いたりしただけで、何でも頭に入る訳じゃないんだから、時間がかかるんです」
「マックス、そうだったの。それじゃあ、わたしが毎日手伝いに行くわ」
「アリーチェ、こいつを甘やかすな! 大丈夫だ、優秀なカテリーヌ夫人が問題なく、公爵家の事業をこなすだろう。言ってるだけだ、こいつは私を脅す暇があるんだ」
「くくっ、姉上から『僕が居ないと寂しい』って言われた事を僻む位なら、僕を事務官長に、しておかなきゃいいのに」
「いや、お前以上に公務の分かる奴はいないからな」
相変わらず会えば喧嘩ばかりしている2人。だけど、本当は仲良しだって、わたしは知っている。それを言うと、益々喧嘩するから言わない事にしているけど。
カテリーヌ王女が希望した10段のウェディングケーキ。
マックスは以前、そんなのは流行ってないから絶対に嫌だと言っていたのに、愛する妻の我儘には弱いようだ。この会場で一際目を惹いている。
仲良くケーキを切れば、2人で楽しそうに食べさせあっていて、マックスはとても幸せそうだ。
カテリーヌ王女が、絶対に飛ばしたいと言って譲らなかった鳩。
空に飛び立ったはずの鳩が、何故か戻って来て、会場は騒然としている。わたしは、こんなハプニングも楽しい想い出になる気がして、良いと思っている。
だけど、主役はそうもいかないようで、王女様が泣き出してしまった。
そんな王女様を宥めて寄り添うマックスは、鳩なんて気にしてないようだ。
やっぱりね、わたし達姉弟は価値観が似ているわ。
わたしは毎年、誕生日当日に、マックスの部屋中に手紙を隠していた。
だけど1通だけ、誕生日の前日に、マックスの枕元に手紙を置いていた。
わたしが枕を持ち上げると、決まってその場所には、マックスからわたし宛ての手紙がある。
それも、わたしが書いた手紙と同じ「一緒に生まれてくれて、ありがとう」の一言。
まさかそれが、初めてマックスに手紙を置きに行った時からあったんだもの、考えている事が一緒で驚いた。
わたし達の次の誕生日。
マックスの枕は、あなた1人のものでは無さそうだから、そんなサプライズは出来そうもないわね。
ふふっ、何だか2人楽しそうに笑っているから、王女様のご機嫌も戻ったようだ。
フレンツの国王に挨拶するからと、フレデリック様がわたしの傍を離れて行った。
「あっ、女神様、それジュースですよ。祝いの席なんだからシャンパンがいいですよ。いっぱい飲んで楽しまないと」
「あら、ファウラーは気が利くわね。誰もそんな事、言ってくれなかったわ」
そう言って、シャンパンの入ったグラスを受け取った。
「飲んでみて良かった、美味しいわ」
「そうですか。もっと、どうぞ」
「アリーチェ、待たせたな。フレンツの国王と話が弾み過ぎてしまった。このフィナンシエ、国王からのお土産。それと、料理長から、アリーチェが頼んでたバジルのサンドイッチを貰って来た。一緒に食べよう……」
わたしは、迎えに来てくれたリックに、思わず抱き付いた。
「リック、……待ってたわよ」
「リックって、それは2人きりの時だろう。ここでは駄目だ」
「何言ってるの? 2人きりでしょう。それにしても、暑いわね」
「ファウラー、アリーチェに何を飲ませた⁉」
「えっ、新郎の姉の女神様がジュースを飲んでたから、そんな馬鹿なと思ってシャンパンをお渡ししました。美味しいと言って、4杯目ですが」
「馬鹿、お前……」
「リック、暑くてたまらないわ」
「アリーチェ、ここで服を脱ぐな……。おい、――マックスがこっちを見て笑ってるだろう。頼むから、スカートを捲るな」
「駄目だっ! アリーチェの部屋はどこだ?」
「ふふっ、リックったら、わたしの部屋は…………あれ、どこだっけ」
「あー、もういい、屋敷の者に聞くっ! ドレスに手をかけるな!」
ずっと、待っていたリックが、サンドイッチを持って、わたしの事を迎えに来てくれた。それに、リックが一緒に食べようって言っていたフィナンシエまで一緒に。
わたしは何も言ってないのに、憧れの10段のウェディングケーキまで用意してくれている。
リックは嫌がって、してくれないと思っていたのに、お姫様抱っこまで、してくれてドキッとした。
まだ明るいのに、初夜を待ちきれないなんて……。
相変わらず6歳の時に出会ったままで、リックってば強引なんだから。
「リック、大好き」
「ああ、私もアリーチェが大好きだ。この先も永遠に愛してる――」
再会を夢見た王子様の初めてのキスは、……優しく温かくて、まるで、眠りに落ちるような安らぎをくれた――……。
=Sweet Dreams=
本編はこれにて完結ですが、本編中に触れていたストーリーは、この後の挿話にて展開します。
=======
最後までお読みいただきありがとうございました。
アリーチェのキャラを知り尽くしているのが、マックスになってしまうので、どうやって3人のバランスをとるか、執筆に苦労した作品でした。
前半は、数えきれない程、書き直しました(笑)。
読者の皆様が、楽しんでいただけていたら、嬉しいです。
そして、近々、ファンタジー要素のある次回作も投稿予定です。
引き続き、応援を頂けると嬉しいです。
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