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第4章 夢の実現へ
誕生日のサプライズ④
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【SIDE フレデリック】
私が視察へ出発する前に、アリーチェの執務室を訪ねた……。
一時でも離れたくない妃を、抱擁してからと思ったが、それどころではなく冷静さを失いかけた。
――アリーチェがいない……。
どうして、マックスしかいないのだ!
フレンツへ行くと譲らないアリーチェから、目を離さないようにしていたのに、何があった⁉︎
「アリーチェは何処だっ!」
「トミー事務官、それにミカエル殿下と王都の外れの屋敷へ行ってます」
平然と言い放つマックスを見て、感情が沸き立った。
「おいっ、それは明日だろう」
立てていた計画は明日。
マックスとアリーチェの誕生日当日だったはずだ。
ミカエルが警戒しないように、アリーチェの護衛は全て外しているというのに、3人で出掛けたと言うのかっ!
あの事務官では、ミカエルの横暴を止められないのは分かりきった話なのに、何故止めなかった……。
マックスの企みに気付かなかった自分に、絶望した。
「いえ、姉上が僕にくれる手紙の1通は、必ず誕生日の前日に僕の枕元に置くんです。どこでも寝落ちする姉上をベッドへ連れて行って、日付が変わって僕が自分の部屋に戻ると必ずそれがあるので」
「どうして、それを言わない」
目的は一緒ではなかったのかっ!
私をはめたというのか、こいつ……。
「言ったでしょう、姉上は王太子の嘘を見破ると。僕は、姉上は騙せないけど、王太子は騙せる自信があったから。王太子は、姉から今日の予定を聞かれたんじゃないですか?」
「――っ!」
「どうせ今日の視察は、その書類を持って行けば済む話でしょう。それは僕が持って行きます。王太子は、姉の元へ向かってください」
「マックス……」
「姉上が乗った馬車が出発して16分。もうそろそろ追いかけないと、姉上が本当に危ないかも知れません。本当は、そっちに僕が行きたいけど、これは、貴方じゃないと出来ないから頼んでいるんです。ここまで僕にさせて、姉上を守れなかったら、……まあ、そうなったら……、姉上は自分で貴方の元から居なくなるでしょうけど」
「まさか私の遣いまでしてくれるとは……、マックスは随分と働き者な事務官長だな。アリーチェの書類を伯爵へ渡して、これでも駄目なら、もう一度要望書を出せと伝えてくれ。それから、ファウラーをミカエルが借りてる屋敷の前で待機するように手配を頼む。手のかかる2人を、それぞれ回収してくる。……マックスへの礼は、帰って来てからだ」
私は、計り知れないワーグナー公爵家の姉弟の実力を見せつけられている。
ファウラーがいれば、私がマックスに騙されて、アリーチェを失いかける事はなかったと思っていた。
だけど、恐らくそれは関係なかった気がする。
マックスは、自分がしたいことは、手段を選ばずに何でもするんだろう。それを、アリーチェが踏みとどまらせていた。この姉弟は、そんな関係なのかもしれない。
マックスが私の味方で良かったと、心の底から思わずにはいられない。
私が視察へ出発する前に、アリーチェの執務室を訪ねた……。
一時でも離れたくない妃を、抱擁してからと思ったが、それどころではなく冷静さを失いかけた。
――アリーチェがいない……。
どうして、マックスしかいないのだ!
フレンツへ行くと譲らないアリーチェから、目を離さないようにしていたのに、何があった⁉︎
「アリーチェは何処だっ!」
「トミー事務官、それにミカエル殿下と王都の外れの屋敷へ行ってます」
平然と言い放つマックスを見て、感情が沸き立った。
「おいっ、それは明日だろう」
立てていた計画は明日。
マックスとアリーチェの誕生日当日だったはずだ。
ミカエルが警戒しないように、アリーチェの護衛は全て外しているというのに、3人で出掛けたと言うのかっ!
あの事務官では、ミカエルの横暴を止められないのは分かりきった話なのに、何故止めなかった……。
マックスの企みに気付かなかった自分に、絶望した。
「いえ、姉上が僕にくれる手紙の1通は、必ず誕生日の前日に僕の枕元に置くんです。どこでも寝落ちする姉上をベッドへ連れて行って、日付が変わって僕が自分の部屋に戻ると必ずそれがあるので」
「どうして、それを言わない」
目的は一緒ではなかったのかっ!
私をはめたというのか、こいつ……。
「言ったでしょう、姉上は王太子の嘘を見破ると。僕は、姉上は騙せないけど、王太子は騙せる自信があったから。王太子は、姉から今日の予定を聞かれたんじゃないですか?」
「――っ!」
「どうせ今日の視察は、その書類を持って行けば済む話でしょう。それは僕が持って行きます。王太子は、姉の元へ向かってください」
「マックス……」
「姉上が乗った馬車が出発して16分。もうそろそろ追いかけないと、姉上が本当に危ないかも知れません。本当は、そっちに僕が行きたいけど、これは、貴方じゃないと出来ないから頼んでいるんです。ここまで僕にさせて、姉上を守れなかったら、……まあ、そうなったら……、姉上は自分で貴方の元から居なくなるでしょうけど」
「まさか私の遣いまでしてくれるとは……、マックスは随分と働き者な事務官長だな。アリーチェの書類を伯爵へ渡して、これでも駄目なら、もう一度要望書を出せと伝えてくれ。それから、ファウラーをミカエルが借りてる屋敷の前で待機するように手配を頼む。手のかかる2人を、それぞれ回収してくる。……マックスへの礼は、帰って来てからだ」
私は、計り知れないワーグナー公爵家の姉弟の実力を見せつけられている。
ファウラーがいれば、私がマックスに騙されて、アリーチェを失いかける事はなかったと思っていた。
だけど、恐らくそれは関係なかった気がする。
マックスは、自分がしたいことは、手段を選ばずに何でもするんだろう。それを、アリーチェが踏みとどまらせていた。この姉弟は、そんな関係なのかもしれない。
マックスが私の味方で良かったと、心の底から思わずにはいられない。
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