【完結】ヒロインになれなかった妃の 赤い糸~突然、愛してるなんて言われて、溺愛されるのは、聞いてない!~

瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!

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第4章 夢の実現へ

呑気な妃②

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【SIDE マックス】

「あーっ、わたし、部屋に万年筆を置いてきちゃった。あれが書きやすいから、直ぐに取ってくるわ」
 姉は僕の方を見た。
 これは駄目だな。姉の気分はもう、すっかり仕事に切り替わっている。

「一緒について行く」

 王太子とのデート気分でないのなら、これ以上言っても無駄だろう。
「フレデリック様ってば、わたしは子どもじゃないんだし、大丈夫ですよ。すぐに戻るから、マックスと仲良くしててください」

 案の定、姉は、王太子の返事も聞かずに飛び出して行った。
 王太子は、やはりさりげなく時計を見たか……。
 姉が、この部屋と姉の部屋の往復に、何分戻って来なければ動き出すつもりだ。

 王太子が、随分と姉の扱いに慣れているようで、僕としては、嫉妬してしまう。

 姉は、自分のしたいことは、1度言い出したら、止めても聞かない。
 出来ないことまで、余計な世話を焼き始めるから油断ならない。
 それに、観察力も判断力も高いから何でも気が付くが、なにせ、相当ズレた妄想を始めるから、気が気ではない。
 僕は何度、それで苦労したか。

 姉は、横にいる人物がトミー事務官のように頼りなければ、勝手に動いて迷惑をかけないように気を配るが、王太子相手なら、そうもいかないだろう。
 目の前のこの男が苦労すればいい。
 僕なら、そんなことは、可愛いもんだと気にかけて、あげられるから。


「マックス、お前はいい加減に姉離れをしたらどうだ」
「姉上以外で、僕の気を惹く令嬢はいませんから無理ですね。そんなこと言うなら、フレデリック王太子が、僕の相手を探してください。っと言っても無理でしょうね。僕たちは趣味が一緒ですから、王太子が姉上しか目に入らないのと同じです。まさか、あの、痛い性格の姉を、王太子が可愛いと言うとは思いませんでした」

「私は、昔から妃はアリーチェと決めていたからな。知れば知るほど、あの無邪気な感じが、堪らなく可愛いんだ。今だって、離れたら不安でしょうがない」

「僕が、姉が何処にも行けないように、子どもみたいに作りあげたんです。不愉快なので惚気ないでください。そう言えば、報告を忘れてましたが、姉上は、王都の外れに屋敷を購入しました。何を企んでるのかは知りませんが、金を渡して放置していたフレデリック王太子の責任ですからね。何とかしてくださいよ」

「何をするかは想像がつく。おそらくアリーチェは、私にサプライズと語り、外に行くと言いだすだろう。予め伝えておくが、私はアリーチェの外出は許可している。外に行くときは、マックスに言うだろうから、一緒に行って欲しい。アリーチェを安心して任せられるのは、お前しかいないからな」

「分かりました。王太子から言われなくても、そうしますけど」
「王太子妃の外出まで、当たり前に付き添うとは、随分と働き者な事務官長だな。それにしても、アリーチェは遅いな。迎えに行ってくるから、マックスは、ここで待っててくれ」

 姉がこの部屋を飛び出して8分。王族居住区の入口に立つ、あの衛兵から姉の部屋は、それ程遠くないのか。





※投稿の順番を間違えました。
 続けて投稿してます。
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