【完結】ヒロインになれなかった妃の 赤い糸~突然、愛してるなんて言われて、溺愛されるのは、聞いてない!~

瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!

文字の大きさ
上 下
19 / 116
第1章 気が付かない3人の関係

王妃の企て

しおりを挟む
【SIDE 王妃】

「どうしてっ! フレデリックがワーグナー公爵家の娘と婚約が決まったですって! フレデリックは、これまで陛下に、探している令嬢がいるって言い続けていたでしょう。それは何だったのよ」

 それも、よりによってワーグナー公爵家の娘。
 思い返しても忌々しい。
 一番利用価値のある家だと思ったから、ミカエルの婚約相手の指名をした。
 それなのに、何度も申し出を断ってくる非常識な家。
 公爵家の人間が生意気なのよ。
 王室からの婚約を断っていたくせに、どうして第1王子の婚約者になっているのよ。

 国王陛下は、圧倒的にフレデリックを王太子にすると決めているのに。
 それに加えて、フレデリックは、あのワーグナー公爵家まで味方に付けたというの?
 これでは王太子の選考で、ミカエルが圧倒的に不利になる。

「ワーグナー公爵家は、貴族議会で絶対の権力者ですが、自分の意見を言わない当主として有名ですから、王太子の選考にも口を出すとは思えませんが」

「絶対にフレデリックを押さない保証もないでしょう。ましてや、娘がフレデリックに付いているのよ。ワーグナー家の当主が中立でいるから、大半の貴族達を、第2王子派に引き込んだのに」

「まあフレデリック殿下は、貴族達から人気がありませんからね。自ら貴族達の評判を落とす、あの視察を繰り返していますから。第1王子へ不満を持つ貴族が多いのは事実ですし、これからも変わりません。国王は第1王子、貴族は第2王子を押せば、第3の意見として、王妃様の意見も反映される。そうなれば、第2王子のミカエル殿下が王太子というシナリオに、変わりませんよ」

「でも、ワーグナー公爵家が『フレデリック』と一言発したら、全ての貴族が寝返る。そうなる前に、ワーグナー公爵家の娘を、フレデリックから引き剥がすわよ」
「どうやって?」
「フレデリックが探していた、娘が現れたらいいのよ。そうしたら、フレデリック自ら、価値のあるワーグナー家の娘を捨てて、偽物の娘を欲しがるはずよ。あの気取ったフレデリックが無様に騙されるのは楽しみじゃない」
「そう上手くいくでしょうか?」
「フレデリックが探している娘は、容姿さえ合っていればいいのよ。記憶は、事故で失ったと言えば何とかなる。ふふっ、そうすればミカエルの婚約を断ってきたワーグナー公爵家にだって、仕返しができる。願ったりかなったりだわ」

「正直言って、容姿だけで、でっち上げた娘を、あのフレデリック殿下が選ぶとは思えませんが」
「ワーグナー公爵家と引き離せないなら、フレデリックを殺す。フレデリックは、仮にもわたしの義理の息子なの。やり方はいくらでもあるわ。だけど、まずは娘の件からね。父へ詳しい情報を報告して、容姿の合う娘を用意して頂戴。瞳と髪の色さえ合えば問題ないわ」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ごめんなさい、お姉様の旦那様と結婚します

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
しがない伯爵令嬢のエーファには、三つ歳の離れた姉がいる。姉のブリュンヒルデは、女神と比喩される程美しく完璧な女性だった。端麗な顔立ちに陶器の様に白い肌。ミルクティー色のふわふわな長い髪。立ち居振る舞い、勉学、ダンスから演奏と全てが完璧で、非の打ち所がない。正に淑女の鑑と呼ぶに相応しく誰もが憧れ一目置くそんな人だ。  一方で妹のエーファは、一言で言えば普通。容姿も頭も、芸術的センスもなく秀でたものはない。無論両親は、エーファが物心ついた時から姉を溺愛しエーファには全く関心はなかった。周囲も姉とエーファを比較しては笑いの種にしていた。  そんな姉は公爵令息であるマンフレットと結婚をした。彼もまた姉と同様眉目秀麗、文武両道と完璧な人物だった。また周囲からは冷笑の貴公子などとも呼ばれているが、令嬢等からはかなり人気がある。かく言うエーファも彼が初恋の人だった。ただ姉と婚約し結婚した事で彼への想いは断念をした。だが、姉が結婚して二年後。姉が事故に遭い急死をした。社交界ではおしどり夫婦、愛妻家として有名だった夫のマンフレットは憔悴しているらしくーーその僅か半年後、何故か妹のエーファが後妻としてマンフレットに嫁ぐ事が決まってしまう。そして迎えた初夜、彼からは「私は君を愛さない」と冷たく突き放され、彼が家督を継ぐ一年後に離縁すると告げられた。

【完結】彼を幸せにする十の方法

玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。 フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。 婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。 しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。 婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。 婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

【完結】愛してるなんて言うから

空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」  婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。  婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。 ――なんだそれ。ふざけてんのか。  わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。 第1部が恋物語。 第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ! ※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。  苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。

たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。 その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。 スティーブはアルク国に留学してしまった。 セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。 本人は全く気がついていないが騎士団員の間では 『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。 そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。 お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。 本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。 そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度…… 始めの数話は幼い頃の出会い。 そして結婚1年間の話。 再会と続きます。

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。

ふまさ
恋愛
 楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。  でも。  愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。

拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様

オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。

処理中です...