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第三章
第46話 トニーとドルマとある兵士
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ついにゴブリン砦に到着した。
普通、ゴブリン討伐義勇軍などがここまで来た時、それなりの損害が出ているものなのだそうだ。
だが、今回は全然そんな事がない。
主に俺たちフォンテインナイツが暴れているためだ。
俺とホムラが敵を薙ぎ払う中、ボスに襲いかかって殴り倒すエリカ。
巻き込まれて最前線でボコられるトニー。
フォンテイン義勇騎士団は俺たちに釘付けである。
目をキラキラさせながら「さすがっす!!」とか言ってくる。
「ああ~、トニー」
「うおー、お、オレはやったぞ~」
ヘロッヘロになって戻ってくるトニーを介抱するレーナ。
順調に愛が育まれていっている。
「あのねードルマさん」
「なんだいレーナ」
「ドルマさんたちだけで戦えるのに、なんでトニーを前線に……?」
「そりゃあもちろん、フォンテイン義勇騎士団の旗頭がトニーだからだろ。旗頭がかっこいいところ見せなきゃ、人心は離れていくぞ!」
「そ、そうかな。そうかも……」
レーナ、論戦苦手だな?
すぐに丸め込まれた。
俺としては、フォンテインの名を広げて過去に伝えるためには、象徴的フォンテインが必要ということだ。
トニー、君に決めた!
何しろ、フォンテイン伝説が後世に語り継がれないと、俺とエリカが出会うことができないのだ。
それは困る。
なのでトニーには死なない程度に頑張ってもらうのだ。
「お、お、俺も英雄になりたい!」
砦に突入するところで、そんな事を言ってきた男がいた。
おや?
見たことある男だ。
「カイナギオです! よろしくオナシャス! なんかこの間から、土の魔法が使えるようになって傷がすごい速さで治るようになりました!」
「カイナギオかあ。いいぞ、じゃあ俺の隣で魔法役を命じる」
「ありがたき幸せーっ! あの、どう呼べば」
「えーと、よし、俺のことは青魔道士と呼べ」
「分かりました、青魔道士殿!」
弟子ができてしまった。
「ドルマの弟子なのか? じゃあ私の弟子でもあるな! 私とドルマは一心同体!」
「えっ、お二人ともそういう関係なんですか!?」
カイナギオに驚かれる。
俺もエリカも、そういうのを察する能力が極めて低いので、
「そうだぞ」
「そんな感じだ!」
同意してしまった。
その後、義勇騎士団では青魔道士とバーサーカーはデキてるという共通認識になった。
さあ、砦に突入なのだ。
エリカはトニーを連れて。俺はホムラとともにカイナギオを従えて。
『ギギギ!?』
「イリュージョンアタック・ミサイル!!」
『ウグワーッ!!』
砦を囲むゴブリンをふっ飛ばした。
お陰で、義勇騎士団のみんなが持っていた投げられそうな武器も全部吹っ飛んだ。
「う、うおー! 土の魔法、スネア!」
カイナギオの魔法が炸裂し、ゴブリンが一体転んだ。
「ふう……。見たか!」
「カイナギオ、お前、攻撃魔法ないの?」
「け、研究中です!!」
「よし、じゃあ俺が一つ教えてやろう。ランドシャークという技でな……」
未来のこいつから俺が喰らい、覚えた技だ。
俺が過去のこいつに教えてたんだなあ。
「カイナギオにばかりずるいぞ! オレにも教えろよ!」
トニーが食ってかかってきた。
「トニーは魔法使えないだろう。俺の青魔法はほとんどがモンスターの技なので、モンスターでもなければマスターできないぞ」
「ランドシャーク! い、いけた! 小さいランドシャーク出ました!」
「はっはっは、偉いぞカイナギオ」
「……モンスターの技を使える……?」
おっと、トニーがカイナギオに疑念の目を向けている。
ここでうちの弟子がモンスター化していることを悟られてはいけない。
カイナギオが倒されてしまうと、色々話がおかしくなるのだ!
「カイナギオには俺と似た感じの才能がある……。土系統の青魔法限定だが」
「マジですか!? 俺やれるんですか!」
「いいなあ……」
そんな風に楽しくわいわい言っている場合ではない。
ゴブリン砦の真っ只中なのだ。
だが、外に出てきたゴブリンをまとめて倒したので、砦の中には少なくなっている。
「なんでござるか? 今度はドルマ殿、男子を集めてハーレムでござるか? ふひゃー! さすがの拙者もそこまで予測はできなかったでござるよー!」
「ホムラが戦いながらなのにめちゃくちゃこっちのことよく見てるんだが」
「ホムラの攻撃が激しくなった! なんだかテンションが上ってるぞ!」
うちの忍者は、忍術も使えるとか言っていたが、基本的に物を投げて攻撃するばかりだ。
今回は、投げられそうなものを俺があらかたミサイル化してしまったので、ゴブリンの武器を回収して使っている。
「あっはっはー! ドルマ殿といると拙者のテンションが上がるでござるなあー!」
投げつけた手斧が、30回ヒット! とか表示が飛び出す。
食らったゴブリンは文字通り粉々だ。
魔法よりも強い投擲!
「やめてよね!? トニーを変な道に引っ張らないでー!」
後ろからレーナの抗議の声が飛ぶ!
こんな風に、一見すると和気あいあいとゴブリン砦王略をしているように見えるのだが……。
「さすがフォンテインナイツだぜ!!」
「ゴブリンの奇襲が全然効かねえ!」
「なんか声を掛け合ってるぞ!」
「あれでチームワークが上がるんだな!」
「頼れるゥーっ!」
人は自分が感じたいようにしか物事を捉えられないものである。
俺たちは英雄視されているので、何をやっても英雄っぽいムーブとして受け取ってもらえるのだ。
良かったなホムラ……。
そんな事をやっていたら、ゴブリンジェネラルが登場するのである。
『ニンゲンドモ、ジャマヲスルナッ!!』
「エリカ! ここはトニーを前に出してそれっぽく、な!」
「? わかった!」
分かってない気がする。
普通、ゴブリン討伐義勇軍などがここまで来た時、それなりの損害が出ているものなのだそうだ。
だが、今回は全然そんな事がない。
主に俺たちフォンテインナイツが暴れているためだ。
俺とホムラが敵を薙ぎ払う中、ボスに襲いかかって殴り倒すエリカ。
巻き込まれて最前線でボコられるトニー。
フォンテイン義勇騎士団は俺たちに釘付けである。
目をキラキラさせながら「さすがっす!!」とか言ってくる。
「ああ~、トニー」
「うおー、お、オレはやったぞ~」
ヘロッヘロになって戻ってくるトニーを介抱するレーナ。
順調に愛が育まれていっている。
「あのねードルマさん」
「なんだいレーナ」
「ドルマさんたちだけで戦えるのに、なんでトニーを前線に……?」
「そりゃあもちろん、フォンテイン義勇騎士団の旗頭がトニーだからだろ。旗頭がかっこいいところ見せなきゃ、人心は離れていくぞ!」
「そ、そうかな。そうかも……」
レーナ、論戦苦手だな?
すぐに丸め込まれた。
俺としては、フォンテインの名を広げて過去に伝えるためには、象徴的フォンテインが必要ということだ。
トニー、君に決めた!
何しろ、フォンテイン伝説が後世に語り継がれないと、俺とエリカが出会うことができないのだ。
それは困る。
なのでトニーには死なない程度に頑張ってもらうのだ。
「お、お、俺も英雄になりたい!」
砦に突入するところで、そんな事を言ってきた男がいた。
おや?
見たことある男だ。
「カイナギオです! よろしくオナシャス! なんかこの間から、土の魔法が使えるようになって傷がすごい速さで治るようになりました!」
「カイナギオかあ。いいぞ、じゃあ俺の隣で魔法役を命じる」
「ありがたき幸せーっ! あの、どう呼べば」
「えーと、よし、俺のことは青魔道士と呼べ」
「分かりました、青魔道士殿!」
弟子ができてしまった。
「ドルマの弟子なのか? じゃあ私の弟子でもあるな! 私とドルマは一心同体!」
「えっ、お二人ともそういう関係なんですか!?」
カイナギオに驚かれる。
俺もエリカも、そういうのを察する能力が極めて低いので、
「そうだぞ」
「そんな感じだ!」
同意してしまった。
その後、義勇騎士団では青魔道士とバーサーカーはデキてるという共通認識になった。
さあ、砦に突入なのだ。
エリカはトニーを連れて。俺はホムラとともにカイナギオを従えて。
『ギギギ!?』
「イリュージョンアタック・ミサイル!!」
『ウグワーッ!!』
砦を囲むゴブリンをふっ飛ばした。
お陰で、義勇騎士団のみんなが持っていた投げられそうな武器も全部吹っ飛んだ。
「う、うおー! 土の魔法、スネア!」
カイナギオの魔法が炸裂し、ゴブリンが一体転んだ。
「ふう……。見たか!」
「カイナギオ、お前、攻撃魔法ないの?」
「け、研究中です!!」
「よし、じゃあ俺が一つ教えてやろう。ランドシャークという技でな……」
未来のこいつから俺が喰らい、覚えた技だ。
俺が過去のこいつに教えてたんだなあ。
「カイナギオにばかりずるいぞ! オレにも教えろよ!」
トニーが食ってかかってきた。
「トニーは魔法使えないだろう。俺の青魔法はほとんどがモンスターの技なので、モンスターでもなければマスターできないぞ」
「ランドシャーク! い、いけた! 小さいランドシャーク出ました!」
「はっはっは、偉いぞカイナギオ」
「……モンスターの技を使える……?」
おっと、トニーがカイナギオに疑念の目を向けている。
ここでうちの弟子がモンスター化していることを悟られてはいけない。
カイナギオが倒されてしまうと、色々話がおかしくなるのだ!
「カイナギオには俺と似た感じの才能がある……。土系統の青魔法限定だが」
「マジですか!? 俺やれるんですか!」
「いいなあ……」
そんな風に楽しくわいわい言っている場合ではない。
ゴブリン砦の真っ只中なのだ。
だが、外に出てきたゴブリンをまとめて倒したので、砦の中には少なくなっている。
「なんでござるか? 今度はドルマ殿、男子を集めてハーレムでござるか? ふひゃー! さすがの拙者もそこまで予測はできなかったでござるよー!」
「ホムラが戦いながらなのにめちゃくちゃこっちのことよく見てるんだが」
「ホムラの攻撃が激しくなった! なんだかテンションが上ってるぞ!」
うちの忍者は、忍術も使えるとか言っていたが、基本的に物を投げて攻撃するばかりだ。
今回は、投げられそうなものを俺があらかたミサイル化してしまったので、ゴブリンの武器を回収して使っている。
「あっはっはー! ドルマ殿といると拙者のテンションが上がるでござるなあー!」
投げつけた手斧が、30回ヒット! とか表示が飛び出す。
食らったゴブリンは文字通り粉々だ。
魔法よりも強い投擲!
「やめてよね!? トニーを変な道に引っ張らないでー!」
後ろからレーナの抗議の声が飛ぶ!
こんな風に、一見すると和気あいあいとゴブリン砦王略をしているように見えるのだが……。
「さすがフォンテインナイツだぜ!!」
「ゴブリンの奇襲が全然効かねえ!」
「なんか声を掛け合ってるぞ!」
「あれでチームワークが上がるんだな!」
「頼れるゥーっ!」
人は自分が感じたいようにしか物事を捉えられないものである。
俺たちは英雄視されているので、何をやっても英雄っぽいムーブとして受け取ってもらえるのだ。
良かったなホムラ……。
そんな事をやっていたら、ゴブリンジェネラルが登場するのである。
『ニンゲンドモ、ジャマヲスルナッ!!』
「エリカ! ここはトニーを前に出してそれっぽく、な!」
「? わかった!」
分かってない気がする。
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