「スキル:くさい息で敵ごと全滅するところだった!」と追放された俺は理解ある女騎士と出会って真の力に覚醒する~ラーニング能力で楽々冒険ライフ~

あけちともあき

文字の大きさ
上 下
22 / 83
第二章

第22話 新しい武器屋デビュー!と思ったら依頼が来たのだ

しおりを挟む
「い、い、行くぞ。武器屋だ!」

「ああ。中堅冒険者が行くという、武器屋……!! エリカ、舐められるなよ。ついこの間まで初心者だった俺たちだが、国を一つ救ったりしてるからな」

「ああ! 私たちはもう中堅だ!」

 こうして、俺たちは中堅冒険者御用達の武器屋に入店する。

 商業都市ポータルの武器屋は、武器と防具、そして冒険に必要な道具一般を扱っている。
 一歩街の外に出るとモンスターが溢れている世の中だから、武器と防具のニーズは薄れないんだよな。

 俺も村を旅立ってポータルに来る時、よく生きてたどり着けたもんだ。

 店内は、冒険者のパーティが何組もいる。
 金物屋と較べて、店内が広い。
 そして品揃えが武器防具に特化している。

「すごいな……」

「うーむ、すごい」

 二人で並んで、ポカーンと立ち尽くしていると、店員のお姉さんが近寄ってきた。

「ねえ、もしかしてうちのお店は初めて?」

「は、はあ」

「ちゅ、中堅だぞ!」

「そうねえ、やっぱり初めてだと緊張しちゃうわよね。お姉さんがお店のシステムを優しく教えてあげるわね。まず、ここは見せコーナーなの。確かに武器も防具も並んでいるけど、お値段を見てみて? 高級武具店に並んでるようなのが置いてあるでしょ?」

「うおわー! 俺たちの全財産でもガントレット一つ買えない!」

「た、高いー! 防具高いー!」

「だから、これはね、ディスプレイなの。こっちがお手頃コーナー。あなた達みたいな、中堅冒険者になりたての人はここで装備を揃えるといいわよ。試着は自由だからね? だけど汚したら買い取りだから。分からなかったらまた呼んでね。バーイ」

 店の片隅にあるコーナーへ案内された俺たち。
 なるほどなるほど、ここは中古の装備を簡単に補修したもののコーナーなのだ。
 見栄えはそんなに良くないが、その分だけ安く買える。

「これ、私のスケイルアーマーよりも高級なやつだ……! お値段一緒」

「俺も胴鎧が安いのあるぞ。金属のツギハギがされてるけど、頑丈そうだ」

「武器、武器……。剣がない」

「剣は全部刃だから、折れちゃったりしやすいのかもなあ。棍棒とかどうだ?」

「刃物がいいんだ!」

「じゃあ、これは……?」

 二人で、武器立てに無造作に突っ込まれている商品群を漁る。
 それぞれに、値札がついているから値段も確認だ。
 俺が引っこ抜いたのは、でかい出刃包丁みたいな武器だった。

「折れたグレイブの先を持てるように加工したものらしいぞ」

「へえ! これはかっこいいな、剣みたいだ!」

 一番似てるのはナタだな。
 ナタよりも大きく、ナタよりも重く、ところどころ刃こぼれしているが、斬るというよりは叩き割る用途で使うなら問題ないだろう。
 エリカのファイトスタイルは、叩き割るタイプだからな。

 俺は武器はいらない。
 石を沢山入れておける袋とか、水袋を幾つもストックできるリュックを買おう。
 防具は胴鎧。

 エリカは、この剣(ナタ)とスケイルアーマーの部品にしたようだ。
 部品というのは、肩アーマーとガントレットとすね当て。

「これでマントがつけられるんだ!」

「おお、騎士っぽい!」

 二人でわあわあ盛り上がっていると、店員のお姉さんが近寄ってきた。

「あらまあ、お二人共お似合いだわ! こうやって部品ずつ買って組み合わせて楽しむのも、冒険者の醍醐味よね! じゃあ、お値段はこうなるけど……」

 お姉さんは腰の後ろからソロバンを取り出し、パチパチと弾いた。

「あ、その金額ならいける。現実路線で行った甲斐があったな」

「公国一つを救ってこれかあ! 装備をきちんと揃えるの、本当に値段が天井知らずだなあ……!」

 お姉さんは、公国一つを救ったというエリカのトークに、一瞬怪訝そうな顔をした。
 だが、すぐに営業スマイルになる。

「高級店行ったら、剣一本で大きいお屋敷が買えるわよ? 高級店の商品って全部魔法の装備なんだから。さらにフルオーダーメードもしてるから、いつか報酬をたくさんもらえるようになったら、何かあつらえに行ってみるといいわねえ」

「見知らぬ世界だ……」

「わ、私もオーダーメイドの剣欲しい!」

 今はレディメイドの剣でも高くて買うのに躊躇するもんな!
 だが、俺たちの見た目もかなり見違えてきた。

 非常に冒険者っぽい。

「二人とも戦士のパーティなの? 魔法使いは数が少ないもんね。装備をしっかりして、怪我をしないようにしないとだめよ?」

「魔法使いならいるぞ! ドルマが青魔道士なんだ!」

「青……?」

 お姉さんは知らなかったようだ。
 だが、思わぬところで知っている人がいた。

「青魔道士だって!? それは本当なの!?」

 それは、近くを歩いて商品を物色していたらしい女性だった。
 白銀の髪に、青みがかった銀の瞳をしていて、肌は真っ白で耳が尖っている。

「エルフだ!」

「エルフだ!」

 俺とエリカでどよめく。
 エルフは生まれながらにして、優れた精霊魔法の使い手なのだ。
 なので、冒険者になる場合は最低でも中堅からスタートする。

 俺たち、この間まで初級だった冒険者には縁遠い存在……。

「青魔道士と言えば、モンスターの技を覚えて使う伝説の職業。まさか本当に存在していたとは……。ねえ二人共、今は仕事を受けてないの?」

「ああ、フリーだぞ!」

「ちょうど良かったわ! じゃあ、私の話を聞いてくれない? 実はね、エルフの里一つが眠りの精霊にやられて止まってしまったのだけれど……」

 思わぬところから、大きな仕事の話になっていくのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。 麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。 使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。 厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒! 忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪ 13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください! 最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^ ※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!  (なかなかお返事書けなくてごめんなさい) ※小説家になろう様にも投稿しています

元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南
ファンタジー
十二才の少年コウヤは、前世では病弱な少年だった。 それは、その更に前の生で邪神として倒されたからだ。 今世、その世界に再転生した彼は、元家族である神々に可愛がられ高い能力を持って人として生活している。 コウヤの現職は冒険者ギルドの職員。 日々仕事を押し付けられ、それらをこなしていくが……? ◆◆◆ 「だって武器がペーパーナイフってなに!? あれは普通切れないよ!? 何切るものかわかってるよね!?」 「紙でしょ? ペーパーって言うし」 「そうだね。正解!」 ◆◆◆ 神としての力は健在。 ちょっと天然でお人好し。 自重知らずの少年が今日も元気にお仕事中! ◆気まぐれ投稿になります。 お暇潰しにどうぞ♪

前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!

yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。 だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。  創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。  そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

僕が皇子?!~孤児だと思ったら行方不明の皇子で皇帝(兄)が度を超えるブラコンです~

びあ。
ファンタジー
身寄りのない孤児として近境地の領主の家で働いていたロイは、ある日王宮から迎えが来る。 そこへ待っていたのは、自分が兄だと言う皇帝。 なんと自分は7年前行方不明になった皇子だとか…。 だんだんと記憶を思い出すロイと、7年間の思いが積もり極度のブラコン化する兄弟の物語り。

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

処理中です...