異世界ドM戦記 ~僕は美少女にどつかれて無双する~

あけちともあき

文字の大きさ
上 下
13 / 75
Mと砂漠再生編

第十三話:ドMとようじょと罠は嵌まって踏み潰す

しおりを挟む
「ほのおがふきだすわなです! ハリイ、いくですよ!!」

「ぎゃーっ」

『HPがアップ!』
『体力がアップ!』

「ひい! 槍が飛び出してきたっす! 張井くんあっしを守るっすよー!!」

「ぎええーっ」

『HPがアップ!』
『体力がアップ!』
『愛がアップ!』

「ひっ! ゴーレムが襲ってきました! ハリイさん盾になってくれていいんですよ!」

「ほぎゃーっ」

『HPがアップ!』
『体力がアップ!』
『魅力がアップ!』


「いやあ、本当に張井くんは便利っすねえ」

「ハリイはおもったよりも、しごとができるです。グレモリーはハリイをみなおしたです!」

 わあい、悪魔っ娘のようじょが僕をなでなでしてくれるぞ!
 新聞屋も回復魔法を使ってくれる時、ちょっと膝枕をしてくれる。
 後頭部に新聞屋のプニプニした太ももとかお腹が当たって大変気持ちいい。

「な、なんであれだけの罠に嵌まって死なないんだ……!!」

「回復魔術を使う凄腕の魔術師がいても、嵌まった時点で死ぬだろ、あれ……」

「あんな細い体でゴーレムのパンチを受けても、傷一つないぞ……!?」

 外野からボソボソと畏怖に満ちた声が聞こえてくるぞ。
 具体的には、僕はギロチンが行き来する罠や、濃厚な酸のガスが吹き付けるところに投げ込まれたり、歩いていたら油を噴き出して、直後に炎を吹きかけてくる罠に飛び込まされたり。
 この世界で、僕たちクラスの人間だけがシステムが違っていて、どんなことがあってもHPが減るだけなのだ。
 なので、端から見ていると、僕が酸のガスに飛び込んでいって(その実、新聞屋に投げ込まれてるんだけど)スイッチを切ってピンピンしながら帰ってくるんだから、そりゃあ異常に見えるだろう。
 だが、あれだね。
 女の子に理不尽なことをされると、こう……どうしてこんなに興奮するんだろう……!

「? どうしたんですかハリイさん? 撫でて欲しいんですか? いいですよ、なでなでしてあげます。下々の者にも施しを忘れないなんて、さすが私ですね!」

 バレッタさんが僕をなでなでする。
 頭とかなでなではいいんだけど、背中とかお尻とかきわどいところとか撫でるのはどうなんだろう。
 いや僕としてはいいんだけどね!
 ここはバレッタさんの立場も考えて、何も言わないで置こう。

「でも、本当に罠が多いよね。これってやっぱり、ここから先に行かせたくないのかな」

「そうです。これがハリイでなかったら、いっこしだんでも、ぜんめつしているですよ! レヴィアタンのところに、いかせまいとする、なにものかがいるですね!」

「なんとー」

「でもハリイがいればだいじょうぶです! これほどがんじょうなにんげん、みたことがないです!」

 おっ、グレモリーちゃん、僕をべた褒めである。
 僕も、こっちにやってきてから痛い目に遭いまくって強くなったからね。
 もっと頼ってくれよ!
 というところでステータスをチェックしてみよう。
 出羽亀さんがいないから、自分のしか見られないのが不便だなあ。


名前:張井辰馬
性別:男
種族:M
職業:M
HP:6888/2471→6888
腕力:3
体力:48→79
器用さ:5
素早さ:3
知力:4
魔力:46→67
愛 :50→75
魅力:10→18

取得技:ダメージグロウアップ(女性限定、容姿条件あり)
    クロスカウンター(男性限定、相手攻撃力準拠)
    河津掛け(相手体重準拠)


 比べる対象がないから、どれくらい強いか分からないぞ。
 一応、酸のガスに突っ込んだ時は、HPが300くらい削れた。
 槍だと10くらい。
 かすり傷だね。
 体力が上がってきて、物理的な攻撃だとダメージを受けにくくなっているのかもしれない。
 しかし、このいたずらに上がり続ける魔力。
 未だに一つも魔法を覚えてない僕だけど、このパラメーターは意味があるのかな……。
 まあいいか!

「不死身の戦士だ……!」

「確かに天から遣わされた戦士なのかもしれないな……」

 僕を見る、ベレッタのお供さんたちの目が尊敬の色を帯びてくる。

「ははは、そんな大したことないよ! 僕はどこにでもいる普通の中学生さ!」

「チュガクセイ……!?」

「なるほど、それがこの特殊な力を持った戦士たちの名前なのか……!」

「みんな! ベレッタ様と俺たちにはチュガクセイのハリイ様がついているぞ!」

 うおおおおお、と盛り上がる一同。
 百人近くいるけど、基本的に僕たちの後ろを歩いてくるだけなので、全然役に立ってないよ!
 ていうか、これだけいて、この地底ダンジョン突破は僕一人が突っ込むだけっていうのはどうなんだろう?

「おっと、張井くん、出番っすよー。今度はなにやら怪しげな蠢く粘液の塊が!」

「えっ、それって新聞屋が行った方がみんなへのサービスになるんじゃない?」

「ほぎゃああああ!? や、やめるっすよぉぉぉぉ!! あっしを道連れにするなっすー!」

「そんなこと言わずに。ほら、どーん」

 僕はせっかくなので、新聞屋ごと粘液の海に飛び込んだ。

「うぎゃああああ! 溶けるう! あっしが溶けるっすううう! 具体的には服とか下着とか溶けてるっすうう!」

「いい体してるなあ……」

「何をまじまじ見てるっすかあ!! しねえ!! ”光の矢ライトアロー”!!」

「いたいいたい!!」

『HPがアップ!』
『精神パラメーターを獲得しました!』
『精神がアップ!』

 おっ!
 なんだか露骨に魔法抵抗っぽい能力が増えたよ。
 僕は、あられもない姿になった新聞屋からガンガン光の矢で撃たれて、粘液はこれに巻き込まれ、気づくと消滅していた。

「たいしたものです! ヒュージスライムをものともしないです!」

「私知っていますよ! ヒュージスライムは、フロアイミテーターとも言って、肌の表面にダンジョンの風景を映し出して、知らずに入り込んだ人間を溶かして食べてしまうって! さすがの知識ですね! 褒めていいんですよ!」

「そんなとんでもないところに、あっしを巻き込むなっすうううう!?」

「いや、いっつも僕ばっかり突き落とされてるから、たまにはさー」

「第一、なんで張井くんは服が溶けてないっすか!? 不公平っすよ!?」

 ほんとだ。
 僕の服は破れたりしないし、汚れもしない。
 基本、表面を払うと汚れが落ちてしまうのだ。
 この服も含めてのHPなのかもしれない。

「でも、新聞屋も凄いよ。よくあのスライムに飛び込んで溶けなかったね!」

「服が溶けたって言ってるっすよ!! ちなみにあっし、他人を盾にしたりするとどんどん強くなってるっすから、あのダメージだと全然平気だったっす」

「じゃあ次はお願い」

「人に嫌なことを押し付けるのは良くないっす!」

 えー。それを君が言うのか。
 新聞屋は、結局ベレッタさんの着替えを借りることになった。

「ぬう、胸と尻がきついっす!」

「ぐぬぬ……。ボンキュッボン勢め、死ねばいいのに」

 胸とか今にもはみ出しそうで、お尻はパツンパツンだなあ。
 ウエストはちょうどいいみたい。
 ベレッタさんの呪詛が聞こえる。

 かくして地下迷宮を快進撃する僕たちだったけど、ここでついに、迷宮の守護者が登場した。

『我はレヴィアタンを守護する者! 侵入者よ、排除する!』

 六本の腕を持つ、真っ赤な甲冑!
 大きさだって3mくらいある。
 これが突然襲い掛かってきたのだ!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

いい子ちゃんなんて嫌いだわ

F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが 聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。 おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。 どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。 それが優しさだと思ったの?

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...