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Mと姫騎士編
第五話:ドMと襲撃と姫騎士
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「では詳しい話を聞かせてもらおうじゃないか」
エカテリーナ様は、金色の豪奢な髪を、ファサァッとか音を立てそうな感じでかきあげると、鎧を脱いだくつろいだ格好で、天幕の中に座った。
ここは姫騎士用のとびきり大きな天幕である。
僕たちはここに招かれて、固いパンと干した肉とチーズとぶどう酒を与えられていた。
「あっひゃっひゃっひゃっひゃ! あっしはなんだか気持ちが良くなってきたっすよ!!」
うわあ、新聞屋がいきなりべろんべろんに酔っ払った!
そもそも僕たち未成年です。
お酒はいけない。
「なんと、酒がだめなのか。難儀だな」
そんな事をいう姫騎士エカテリーナ様も、小鞠さんくらいの年齢に思える。
16歳位じゃないかな。
鎧を脱ぐと、その抜群にかっこいいプロポーションがあらわになって凄い。
胸とかロケットみたいでかっこいい。
「あれは垂れるタイプです」
「階さんそういう正論は今求められてないよ!!」
お酒がダメな僕たちのために、エカテリーナ様は果汁を用意してくれた。
その隙に、酔った新聞屋が僕に抱きついてくる。
むっ、こ、これはチョークスリーパー!!
「うぐぐ、新聞や、くるしいっ」
「げっへっへ、そんな事いいながら、あっしの胸が後頭部に当たるのを喜んでるっすね!!」
「くうっ、なんで僕のことをそんなにわかってるんだお前は!!」
『HPがアップ!』
『愛がアップ!』
「これこれ、何をしているのだ、やめよ」
兵士たちが慌てて、新聞屋を拘束する。
そうしたら、揺さぶられて彼女は気持ち悪くなったようだ。
「うっ、ちょっと張井くん」
「なんだい新聞屋」
僕が彼女に振り返ると、新聞屋は僕の襟元を優しく開いて胸ぐらを掴み。
「えろえろえろ」
『魔力がアップ!』
『魅力がアップ!』
くっそう!!
周囲は阿鼻叫喚だが、こう、僕は新しい世界が開けた気分だぞ!!
「うっわあ」
エカテリーナ様がすごくばっちいものを見る目を僕に向けた。
ゾクゾクする。
『魔力がアップ!』
ともかく、僕はなんとか近場の川で体を流してさっぱりした。
それから、僕たちが経験した異世界転移について、詳しく解説したわけだ。
そのシーンは退屈だから飛ばすよ!
「なるほどな……。それは利用できるかもしれない。ベルゼブブは今、聖王国地方という、ここから南の土地で都市国家を築いている。そこに、イリアーノとしても食い込んで、ベルゼブブは倒せないにしても、聖王国進出の楔となるかもしれない」
「難しくてよくわかりません!」
僕たちは中学生だからそんなことを説明されてもよくわからないのだ。
こういうのは、何事も無駄に難しくする階さんに任せよう。
とりあえず、よく分からないけれど僕たちはエカテリーナ様と一緒に行くことになった。
イリアーノという国に向かうのだ。
「お前たちを鍛えることができれば、悪魔どもへの有効な対抗手段となろう。私の部下に腕に覚えがある者がいる、訓練をつけさせよう」
エカテリーナ様がそう言うと、富田くんはブヒー! と喜んだけれど、僕はとてもそんな気持ちにはならない。
「待ってくださいエカテリーナ様!! 部下の人は男性ですか!!」
「ああ。ベテランの騎士だ。様々な技を教えてくれるぞ」
「それはいけません……!! 僕は、僕は若い女の人に手取り足取り教えてもらいたいです!!」
「は?」
エカテリーナ様が一瞬、不可解そうな顔をした。
そして、困ったものを見つめる目を僕に向ける。
ひい、この冷たい視線がたまらない!
『魔力がアップ!』
『魅力がアップ!』
僕はこうやって綺麗な女の人と接していると強くなるのだ。
つまり、これこそが僕の訓練!
「くそっ、相変わらずこいつは気持ち悪いな!」
イヴァナさんが僕を棒で叩く。
彼女は僕たちの世話役として解放されたらしい。恩赦というやつなのだそうだ。
何より、この先には彼女と同じ悪魔と人間のハーフたちの村があるんだそうだ。
そこには、もっと凶悪な連中がうようよしているとか。もともと道案内役としてもイヴァナさんは考えられていたと言う話だった。
それはともかく。
「訓練だと! あたしがしてやるっ! このっ、このっ!!」
「ひい、どうしてそう執拗にお尻を狙って叩いてくるんですか! 絶妙な力加減です!!」
『HPがアップ!』
『体力がアップ!』
こうして強くなるのは実に楽しい。
ただ、問題があるのは……僕はまだ、戦う技を何も覚えていないということだ。
「えっ、ほんとっすか!? ヒャッハァー! 張井くんをどつきまわすなら今のうちっすー!!」
「ふぎゃあああ! し、新聞屋、なにをするー!」
その辺りで拾ってきた曲がった棒で僕のお尻を叩く新聞屋。
おのれ! 脊椎反射で動いているな!
『HPがアップ!』
『愛がアップ!』
「やるな……! あたしも負けないぞっ!」
「ひいっ、イヴァナさんまで! この集中攻撃、ま、まさかこれが3P……!!」
僕、感激です!!
ボッコボコにされながら、様々なステータスが上がっていくポップアップが流れる。
おおお、僕、今強くなってるよ!!
新聞屋とイヴァナさんが、いい加減僕をどつき疲れた頃合いで、そろそろ行ってみよう。
ステータス確認!
名前:張井辰馬
性別:男
種族:M
職業:M
HP:123/123→256
腕力:3
体力:11→26
器用さ:5
素早さ:3
知力:4
魔力:1→5
愛 :17→29
魅力:3→6
取得技:ダメージグロウアップ(女性限定、容姿条件あり)
順調にステータスが偏っていっている。
この体力という能力は、どうやらスタミナと防御力に関係しているみたいだ。
魔力も上がっているので、そろそろ魔法が使えるかもしれない。どうやって覚えるんだろう?
そして、愛。
なんだ、この能力。
魅力も意味がわからない。いや、僕のイケメン度合いがアップしているというのか……!?
ちなみに、僕は他人のステータスを覗けない。
だけど、これはどうやらまだ名も表示されてなかったうちのクラスメイトが覗けるみたいだ。
出羽亀さと子さん。
驚異の視力2,0超えを誇る、押しも押されぬクラスで一番目がいい系女子。
「そうです、うちの能力は、相手のステータスを丸裸にすることなんです」
そして、それを視覚共有してくれる。
さと子さんと手をつなぐと、相手のステータスが見えるようになるのだ。
さすがは写真部。
時折新聞屋と組んで、校内の笑えないスクープを激写している事が稀によく頻出する。
この出歯亀力が彼女の力を生んでいるに違いない。
さあ、新聞屋のプライバシーを侵害してみよう!
名前:新田亜美
性別:女
種族:ワータヌキ
職業:自称記者
HP:55/55
腕力:13
体力:12
器用さ:21
素早さ:25
知力:18
魔力:20
愛 :10
魅力:14
取得技:たぬきイヤー 光魔法行使レベル2 土魔法行使レベル3
完全な後衛タイプだね。
あれっ、結構強いんじゃないかこれ?
「最近、張井くんを殴ってたらどんどん強くなってる実感があるっすよ」
「確かに新田は、いつも張井にかまってるよねえ? もしかして好きなん?」
「ぎゃーっす!! そんなことは天地がひっくり返ったとしてもありえないっす!!」
おお、凄い否定だ!
だけど、もしかすると、僕を殴った女の子も強くなるのかもしれない。
これは要検証だね。
「あの、張井くん。いつまでうちの手を握ってるの? 汗でしっとりしてて不快なんだけど……」
心底嫌そうに出羽亀さん。
うっ、そ、その視線が……。
『魔力がアップ!』
『魅力がアップ!』
女性に見下されると、体内に湧き上がるこのパワー!
そんなこんなしていると、どうやらイベントみたいだ。
「山賊の襲撃だー!!」
見張りをしていた騎士の声が響き渡った。
エカテリーナ様は、金色の豪奢な髪を、ファサァッとか音を立てそうな感じでかきあげると、鎧を脱いだくつろいだ格好で、天幕の中に座った。
ここは姫騎士用のとびきり大きな天幕である。
僕たちはここに招かれて、固いパンと干した肉とチーズとぶどう酒を与えられていた。
「あっひゃっひゃっひゃっひゃ! あっしはなんだか気持ちが良くなってきたっすよ!!」
うわあ、新聞屋がいきなりべろんべろんに酔っ払った!
そもそも僕たち未成年です。
お酒はいけない。
「なんと、酒がだめなのか。難儀だな」
そんな事をいう姫騎士エカテリーナ様も、小鞠さんくらいの年齢に思える。
16歳位じゃないかな。
鎧を脱ぐと、その抜群にかっこいいプロポーションがあらわになって凄い。
胸とかロケットみたいでかっこいい。
「あれは垂れるタイプです」
「階さんそういう正論は今求められてないよ!!」
お酒がダメな僕たちのために、エカテリーナ様は果汁を用意してくれた。
その隙に、酔った新聞屋が僕に抱きついてくる。
むっ、こ、これはチョークスリーパー!!
「うぐぐ、新聞や、くるしいっ」
「げっへっへ、そんな事いいながら、あっしの胸が後頭部に当たるのを喜んでるっすね!!」
「くうっ、なんで僕のことをそんなにわかってるんだお前は!!」
『HPがアップ!』
『愛がアップ!』
「これこれ、何をしているのだ、やめよ」
兵士たちが慌てて、新聞屋を拘束する。
そうしたら、揺さぶられて彼女は気持ち悪くなったようだ。
「うっ、ちょっと張井くん」
「なんだい新聞屋」
僕が彼女に振り返ると、新聞屋は僕の襟元を優しく開いて胸ぐらを掴み。
「えろえろえろ」
『魔力がアップ!』
『魅力がアップ!』
くっそう!!
周囲は阿鼻叫喚だが、こう、僕は新しい世界が開けた気分だぞ!!
「うっわあ」
エカテリーナ様がすごくばっちいものを見る目を僕に向けた。
ゾクゾクする。
『魔力がアップ!』
ともかく、僕はなんとか近場の川で体を流してさっぱりした。
それから、僕たちが経験した異世界転移について、詳しく解説したわけだ。
そのシーンは退屈だから飛ばすよ!
「なるほどな……。それは利用できるかもしれない。ベルゼブブは今、聖王国地方という、ここから南の土地で都市国家を築いている。そこに、イリアーノとしても食い込んで、ベルゼブブは倒せないにしても、聖王国進出の楔となるかもしれない」
「難しくてよくわかりません!」
僕たちは中学生だからそんなことを説明されてもよくわからないのだ。
こういうのは、何事も無駄に難しくする階さんに任せよう。
とりあえず、よく分からないけれど僕たちはエカテリーナ様と一緒に行くことになった。
イリアーノという国に向かうのだ。
「お前たちを鍛えることができれば、悪魔どもへの有効な対抗手段となろう。私の部下に腕に覚えがある者がいる、訓練をつけさせよう」
エカテリーナ様がそう言うと、富田くんはブヒー! と喜んだけれど、僕はとてもそんな気持ちにはならない。
「待ってくださいエカテリーナ様!! 部下の人は男性ですか!!」
「ああ。ベテランの騎士だ。様々な技を教えてくれるぞ」
「それはいけません……!! 僕は、僕は若い女の人に手取り足取り教えてもらいたいです!!」
「は?」
エカテリーナ様が一瞬、不可解そうな顔をした。
そして、困ったものを見つめる目を僕に向ける。
ひい、この冷たい視線がたまらない!
『魔力がアップ!』
『魅力がアップ!』
僕はこうやって綺麗な女の人と接していると強くなるのだ。
つまり、これこそが僕の訓練!
「くそっ、相変わらずこいつは気持ち悪いな!」
イヴァナさんが僕を棒で叩く。
彼女は僕たちの世話役として解放されたらしい。恩赦というやつなのだそうだ。
何より、この先には彼女と同じ悪魔と人間のハーフたちの村があるんだそうだ。
そこには、もっと凶悪な連中がうようよしているとか。もともと道案内役としてもイヴァナさんは考えられていたと言う話だった。
それはともかく。
「訓練だと! あたしがしてやるっ! このっ、このっ!!」
「ひい、どうしてそう執拗にお尻を狙って叩いてくるんですか! 絶妙な力加減です!!」
『HPがアップ!』
『体力がアップ!』
こうして強くなるのは実に楽しい。
ただ、問題があるのは……僕はまだ、戦う技を何も覚えていないということだ。
「えっ、ほんとっすか!? ヒャッハァー! 張井くんをどつきまわすなら今のうちっすー!!」
「ふぎゃあああ! し、新聞屋、なにをするー!」
その辺りで拾ってきた曲がった棒で僕のお尻を叩く新聞屋。
おのれ! 脊椎反射で動いているな!
『HPがアップ!』
『愛がアップ!』
「やるな……! あたしも負けないぞっ!」
「ひいっ、イヴァナさんまで! この集中攻撃、ま、まさかこれが3P……!!」
僕、感激です!!
ボッコボコにされながら、様々なステータスが上がっていくポップアップが流れる。
おおお、僕、今強くなってるよ!!
新聞屋とイヴァナさんが、いい加減僕をどつき疲れた頃合いで、そろそろ行ってみよう。
ステータス確認!
名前:張井辰馬
性別:男
種族:M
職業:M
HP:123/123→256
腕力:3
体力:11→26
器用さ:5
素早さ:3
知力:4
魔力:1→5
愛 :17→29
魅力:3→6
取得技:ダメージグロウアップ(女性限定、容姿条件あり)
順調にステータスが偏っていっている。
この体力という能力は、どうやらスタミナと防御力に関係しているみたいだ。
魔力も上がっているので、そろそろ魔法が使えるかもしれない。どうやって覚えるんだろう?
そして、愛。
なんだ、この能力。
魅力も意味がわからない。いや、僕のイケメン度合いがアップしているというのか……!?
ちなみに、僕は他人のステータスを覗けない。
だけど、これはどうやらまだ名も表示されてなかったうちのクラスメイトが覗けるみたいだ。
出羽亀さと子さん。
驚異の視力2,0超えを誇る、押しも押されぬクラスで一番目がいい系女子。
「そうです、うちの能力は、相手のステータスを丸裸にすることなんです」
そして、それを視覚共有してくれる。
さと子さんと手をつなぐと、相手のステータスが見えるようになるのだ。
さすがは写真部。
時折新聞屋と組んで、校内の笑えないスクープを激写している事が稀によく頻出する。
この出歯亀力が彼女の力を生んでいるに違いない。
さあ、新聞屋のプライバシーを侵害してみよう!
名前:新田亜美
性別:女
種族:ワータヌキ
職業:自称記者
HP:55/55
腕力:13
体力:12
器用さ:21
素早さ:25
知力:18
魔力:20
愛 :10
魅力:14
取得技:たぬきイヤー 光魔法行使レベル2 土魔法行使レベル3
完全な後衛タイプだね。
あれっ、結構強いんじゃないかこれ?
「最近、張井くんを殴ってたらどんどん強くなってる実感があるっすよ」
「確かに新田は、いつも張井にかまってるよねえ? もしかして好きなん?」
「ぎゃーっす!! そんなことは天地がひっくり返ったとしてもありえないっす!!」
おお、凄い否定だ!
だけど、もしかすると、僕を殴った女の子も強くなるのかもしれない。
これは要検証だね。
「あの、張井くん。いつまでうちの手を握ってるの? 汗でしっとりしてて不快なんだけど……」
心底嫌そうに出羽亀さん。
うっ、そ、その視線が……。
『魔力がアップ!』
『魅力がアップ!』
女性に見下されると、体内に湧き上がるこのパワー!
そんなこんなしていると、どうやらイベントみたいだ。
「山賊の襲撃だー!!」
見張りをしていた騎士の声が響き渡った。
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