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101・コゲタ周りのドタバタ
第308話 ドキドキしながら結果を待つ
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コゲタがカッパー級の昇級試験を受ける日がやって来た。
あっという間だ。
冒険者の時間感覚というのはかなり速いのだ!
「いってきまーす!」
「行ってらっしゃい!」
「頑張ってねコゲタ」
「ばうわー」
僕とリップルとカルに見送られ、勇ましく旅立つコゲタなのだった。
まあ昼過ぎには帰ってくるんだけど。
ドキドキしながら待つ。
午前のお茶も味が分からない。
「落ち着いたらどうだいナザル」
「カルにおっぱい飲ませながら、泰然自若としている人がいる」
「私達がやきもきしても仕方ないのだ。受かる時は受かる、落ちる時は落ちる」
「確かにそうだが……。どう思う?」
「コゲタのことかい? そうだなあ……今回は落ちるだろうね」
「なんとリアリストな意見」
「カッパー級は命が掛かっている。だから、試験側も本気でやるのさ。ちょっと見どころがあるアイアン級は次々に声がかけられる。そして試験に挑み、少しでも甘い考え方なら容赦なく落とされる。そういうものだよ」
「なるほどー。それは厳しい。僕は一発で突破したからな」
リップルの助手をやって、成人したところでソロでアイアン級を受けた。
僕は油使いの技一本で合格し、その3ヶ月後にカッパー級試験を受けて油使いの技一本で合格した。
あまりにも実用的過ぎる、悪用するなよ、と散々釘を差されたものだ。
およそ七年くらいをリップルの助手として過ごしたので、その辺りの野心がほぼ無くなっていたのが良かった。
お陰でガキのくせに老成しすぎてるとか言われたもんだ。
「ギフト使いは別格だよ。君、ゴールド級と考えてもその中でトップクラスの実力者だからな。貴族にならなければ、王国は君を名誉プラチナ級にしたことだろう」
「ひえー」
そんな陰謀が裏で渦巻いていたのか!
プラチナ級なんかになったら、なんの旨味も無いのに自由に冒険ができなくなるではないか。
貴族になったらなったで、やはり自由はなくなったのだが……農地経営が手に入った。
これからは自らの力でグルメを供給していくことができるのだ。
時代は組み合わせだよ。
「ナザルが笑顔になった。思考が別の方向に行ったな?」
「はっ、思考を誘導されていた」
「あぶあー」
「おや、カルがお腹いっぱいになったかい。君は巷の赤ん坊と比べると随分喋るなあ」
「案外私たちの言葉を理解しているのかも知れないぞ」
「あり得る。僕のような異世界転生者だったりして」
「それにしたって、君は赤ん坊から意識があったわけじゃないだろう?」
「ああ。村の崩落事故に巻き込まれた時、ショックで思い出した感じだ」
「ということは、カルはただ賢いだけかも知れない……。二人のギフト使いの血を受け継いだ上に、私のおっぱいをお腹いっぱい飲んで育っているからね」
「うむむ、ギフト使いになる可能性が非常に高い……!!」
二人でわいわい言っていると、ちょっとうるさいだろうに平気でぷうぷうと寝始めるカルなのだった。
大物だ。
赤ちゃんベッドに寝かせる。
最近では一日五回で済むようになった。
「一回の量が多いからね。私もせっせと食べまくってエネルギーを補充しているぞ、お陰でどれだけ食べても全然太らないんだ」
「食べた分のエネルギーの半分は、カルに流れ込んでいるんだな……!」
どうりでもりもりと大きくなっていくはずだ。
さて、すっかりカルの話題で盛り上がっていると、昼になった。
昼はコボルドの宅配便に頼み、サンドイッチを持ってきてもらった。
ちなみにサンドイッチ代の二倍の運搬料が掛かるぞ。
だが、外出しなくていいので便利なのだ。
貴族は割とみんな使ってる。
庶民の料理が馬鹿にできないくらい美味しくなってきたからな。
僕の狙い通りだ。
というところで、サンドイッチを二人で食べていたらコゲタが帰宅してきた。
あっ、耳がペショッとなっている!!
「コゲタおかえり!」
「ただいま~。だめだった~」
へなへなコゲタだ。
やはりな、と分かり顔で頷くリップル。
「気を落とすなコゲタ。今回で自分の問題点が分かっただろ?」
「うん、おしえてくれたー」
「そこを直すんだ。どういうところだった?」
「あのねー、コゲタ、やさしすぎるからだめだーっていわれた! わるいやつがよのなかは、いっぱいいるから! だからちゃんとやっつけないとって! ぼうとまほうと、わなはずしと、かぎあけど……これはぜんぶ、すぐカッパーきゅうなみだって」
「うんうん、実力だけは一流だからな。あとは精神的なものだろう。じゃあ仲間たちも……?」
「だめだったー!」
「ダメだったかあ」
リップルの言う通り、有望な新人は一度、試験でダメ出しして落とし、その問題点を改善させてから昇格させるものらしい。
カッパー級試験、よくできている。
ここでちゃんとやる気と、素直さがあって努力できる人間を掬い上げているのだなあ……。
僕は全く気づかなかった。
「そりゃあね……ナザル、君は一握りの天才の側だからね……。自覚しなさいよ」
「はい」
世の中は本来、そんなに甘くないということを理解する僕なのだった。
あっという間だ。
冒険者の時間感覚というのはかなり速いのだ!
「いってきまーす!」
「行ってらっしゃい!」
「頑張ってねコゲタ」
「ばうわー」
僕とリップルとカルに見送られ、勇ましく旅立つコゲタなのだった。
まあ昼過ぎには帰ってくるんだけど。
ドキドキしながら待つ。
午前のお茶も味が分からない。
「落ち着いたらどうだいナザル」
「カルにおっぱい飲ませながら、泰然自若としている人がいる」
「私達がやきもきしても仕方ないのだ。受かる時は受かる、落ちる時は落ちる」
「確かにそうだが……。どう思う?」
「コゲタのことかい? そうだなあ……今回は落ちるだろうね」
「なんとリアリストな意見」
「カッパー級は命が掛かっている。だから、試験側も本気でやるのさ。ちょっと見どころがあるアイアン級は次々に声がかけられる。そして試験に挑み、少しでも甘い考え方なら容赦なく落とされる。そういうものだよ」
「なるほどー。それは厳しい。僕は一発で突破したからな」
リップルの助手をやって、成人したところでソロでアイアン級を受けた。
僕は油使いの技一本で合格し、その3ヶ月後にカッパー級試験を受けて油使いの技一本で合格した。
あまりにも実用的過ぎる、悪用するなよ、と散々釘を差されたものだ。
およそ七年くらいをリップルの助手として過ごしたので、その辺りの野心がほぼ無くなっていたのが良かった。
お陰でガキのくせに老成しすぎてるとか言われたもんだ。
「ギフト使いは別格だよ。君、ゴールド級と考えてもその中でトップクラスの実力者だからな。貴族にならなければ、王国は君を名誉プラチナ級にしたことだろう」
「ひえー」
そんな陰謀が裏で渦巻いていたのか!
プラチナ級なんかになったら、なんの旨味も無いのに自由に冒険ができなくなるではないか。
貴族になったらなったで、やはり自由はなくなったのだが……農地経営が手に入った。
これからは自らの力でグルメを供給していくことができるのだ。
時代は組み合わせだよ。
「ナザルが笑顔になった。思考が別の方向に行ったな?」
「はっ、思考を誘導されていた」
「あぶあー」
「おや、カルがお腹いっぱいになったかい。君は巷の赤ん坊と比べると随分喋るなあ」
「案外私たちの言葉を理解しているのかも知れないぞ」
「あり得る。僕のような異世界転生者だったりして」
「それにしたって、君は赤ん坊から意識があったわけじゃないだろう?」
「ああ。村の崩落事故に巻き込まれた時、ショックで思い出した感じだ」
「ということは、カルはただ賢いだけかも知れない……。二人のギフト使いの血を受け継いだ上に、私のおっぱいをお腹いっぱい飲んで育っているからね」
「うむむ、ギフト使いになる可能性が非常に高い……!!」
二人でわいわい言っていると、ちょっとうるさいだろうに平気でぷうぷうと寝始めるカルなのだった。
大物だ。
赤ちゃんベッドに寝かせる。
最近では一日五回で済むようになった。
「一回の量が多いからね。私もせっせと食べまくってエネルギーを補充しているぞ、お陰でどれだけ食べても全然太らないんだ」
「食べた分のエネルギーの半分は、カルに流れ込んでいるんだな……!」
どうりでもりもりと大きくなっていくはずだ。
さて、すっかりカルの話題で盛り上がっていると、昼になった。
昼はコボルドの宅配便に頼み、サンドイッチを持ってきてもらった。
ちなみにサンドイッチ代の二倍の運搬料が掛かるぞ。
だが、外出しなくていいので便利なのだ。
貴族は割とみんな使ってる。
庶民の料理が馬鹿にできないくらい美味しくなってきたからな。
僕の狙い通りだ。
というところで、サンドイッチを二人で食べていたらコゲタが帰宅してきた。
あっ、耳がペショッとなっている!!
「コゲタおかえり!」
「ただいま~。だめだった~」
へなへなコゲタだ。
やはりな、と分かり顔で頷くリップル。
「気を落とすなコゲタ。今回で自分の問題点が分かっただろ?」
「うん、おしえてくれたー」
「そこを直すんだ。どういうところだった?」
「あのねー、コゲタ、やさしすぎるからだめだーっていわれた! わるいやつがよのなかは、いっぱいいるから! だからちゃんとやっつけないとって! ぼうとまほうと、わなはずしと、かぎあけど……これはぜんぶ、すぐカッパーきゅうなみだって」
「うんうん、実力だけは一流だからな。あとは精神的なものだろう。じゃあ仲間たちも……?」
「だめだったー!」
「ダメだったかあ」
リップルの言う通り、有望な新人は一度、試験でダメ出しして落とし、その問題点を改善させてから昇格させるものらしい。
カッパー級試験、よくできている。
ここでちゃんとやる気と、素直さがあって努力できる人間を掬い上げているのだなあ……。
僕は全く気づかなかった。
「そりゃあね……ナザル、君は一握りの天才の側だからね……。自覚しなさいよ」
「はい」
世の中は本来、そんなに甘くないということを理解する僕なのだった。
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