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79・上陸! 南の島!
第240話 生米と対面すること
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この世界でも、俵みたいなのを作って米を詰め込んでいるのだ。
考えてみれば当然か。
稲は山程ある。
これを使ってスケアクロウが作られ、同時に俵も作られる。
大量の俵が積み上がる、ここは米倉。
僕らの宿でもある。
幾つもこういうのがあって、地上で寝泊まりする者はここに宿泊することになるわけだ。
「いやあ……なんともいい雰囲気だなあ」
窓もない倉だが、あちこちに隙間が空いており、そこから月明かりが入ってくるのだ。
二つの月があるから、タイミングが合うと大変明るい。
「ここでもやっぱり私達は同じ宿なのかい」
「空いてる倉自体がそこまで無いみたいだからねえ。外ではスケアクロウが突っ立ったまま寝てる」
「異種族は分からんねえ」
「リップルだってハーフエルフだろう」
「それを言うならナザルだって、私が見るところ普通の人間じゃないだろう?」
そりゃそうだ。
ギフト持ちの時点で普通の人間ではないのだし。
不毛な話をするのはやめて、今日は寝ることにした。
米は収穫したばかりだと言うので、まだ食べるには至らない。
積み上がる稲を眺めながら、パンとスープと焼き魚を食べた。
楽しみすぎる……!!
ワクワクする僕の横で、すでにコゲタはぷうぷうと寝息を立てていた。
よく寝る子はよく育つのだ!
リップルもぐうぐう眠り始めたので、僕も寝ることとする。
うーん、藁で編まれた敷物がいい香り。
暖かいから掛け布団も必要ない。
風が吹き、田んぼを通り過ぎていった。
稲が揺れる音が聞こえてくる。
カズテスの島、ここはいいところだなあ。
僕が夢見てきたものが存在する場所だ。
明日は米を食いたいな。
どうやって食べようか。
米さえあれば、あらゆるものがおかずになる。
まずは白米を……いや、せっかくだから玄米で食べてみるのもいい……。
そんな事を考えるうちに、僕は夢の中に落ちていくのだった。
白米の飯を食う夢を見た。
味は、ちょっとよく分からなかった。
食べなくなって長いもんな。
それに、この体は米の味を知らない。
なんとなく寂しい感じがした。
思い出すためにも、米を食べないとなあ……。
つらつら考えていたら顔をペタペタされる感触で目が覚める。
コゲタが僕の顔を肉球でペタペタしていた。
「おはよう」
「ご主人おはよー! ご主人、なんかむにゃむにゃいってた!」
「そっかー。それで心配してペタペタ触ってたんだな。大丈夫だよ。ちょっと切ない夢を見ただけだ。だが、その夢も今解消される。米がすぐそこにあるんだからな」
振り返ると、米俵があった。
中にはぎっしりと米が詰まっている。
……おや?
俵ということは、すでにある程度米が精米されているということではないか。
朝飯がてら、スケアクロウのモリブ氏に聞いてみた。
「すでに玄米では無くなっているのでは?」
「はい、仰るとおりです。まあ、我々は食事をする必要がないので、米をどうすればいいのかよく分かっていないのですが。とりあえずコボルドたちが食べられる程度に精米し、ああして俵に詰めています」
「なるほど……。まだ食べるわけにはいかない?」
「あと一日待ってください。収穫が終わりますから。その後、俵の数を集計して今季の収穫を終わりとします。米の配分はその後考えることとなります。この島には我々の他、たくさんのコボルドが住んでいますから」
「へえ! たくさんのコボルドが!!」
ここからぐるりと島を巡ると熱帯雨林があり、そこに南国風のコボルドたちが。
中央にある円錐山を登っていくと気温が一気に下がり、そこには長毛種のコボルドが。
マキシフと同じ種族だね。
彼らはみんな、米を食べているんだそうだ。
で、米はスケアクロウたちが生産していると。
一秒でも早く米を見たい!
食べたい!
ということで、その日は僕も精米の手伝いをすることにした。
スケアクロウたちがせっせと俵を編んでいる。
慣れた手つきだなー。
で、僕は筒に入れた米を棒で突いて精米である。
うーん、素朴な作業。
「もみすりなども終わっていますから、仕上げといったところですね。我々は米を育て、収穫することが生活の全てなので、これもスケアクロウ全員で行っていきます」
「なるほどー。本当に気が遠くなるような作業だもんなあ」
機械も何も無いこの島では、コツコツ手作業でやっていくしかあるまい。
それにこの島には金属もない。
稲を刈り取るのは全て石を磨いて作った石器だ。
何もかも、素朴な仕事で出来上がった島だ。
僕もスケアクロウたちの仲間になったつもりで、ひたすら米を突いた。
おお、だんだん白米っぽくなってきた……!
「大変お上手です。その状態でももう食べられるでしょう」
「玄米を半分くらい磨いた感じかな……。食べてみたいが、よろしい?」
「少しでしたら」
「うおおおおお!! やったーっ!!」
許可が出た!
僕が突いたちょっとの分だけだが、サラッとおかゆみたいにして食べてみようではないか。
テンションが上がってまいりました。
ついについに、僕の念願が果たされる時が来たのだ!!
考えてみれば当然か。
稲は山程ある。
これを使ってスケアクロウが作られ、同時に俵も作られる。
大量の俵が積み上がる、ここは米倉。
僕らの宿でもある。
幾つもこういうのがあって、地上で寝泊まりする者はここに宿泊することになるわけだ。
「いやあ……なんともいい雰囲気だなあ」
窓もない倉だが、あちこちに隙間が空いており、そこから月明かりが入ってくるのだ。
二つの月があるから、タイミングが合うと大変明るい。
「ここでもやっぱり私達は同じ宿なのかい」
「空いてる倉自体がそこまで無いみたいだからねえ。外ではスケアクロウが突っ立ったまま寝てる」
「異種族は分からんねえ」
「リップルだってハーフエルフだろう」
「それを言うならナザルだって、私が見るところ普通の人間じゃないだろう?」
そりゃそうだ。
ギフト持ちの時点で普通の人間ではないのだし。
不毛な話をするのはやめて、今日は寝ることにした。
米は収穫したばかりだと言うので、まだ食べるには至らない。
積み上がる稲を眺めながら、パンとスープと焼き魚を食べた。
楽しみすぎる……!!
ワクワクする僕の横で、すでにコゲタはぷうぷうと寝息を立てていた。
よく寝る子はよく育つのだ!
リップルもぐうぐう眠り始めたので、僕も寝ることとする。
うーん、藁で編まれた敷物がいい香り。
暖かいから掛け布団も必要ない。
風が吹き、田んぼを通り過ぎていった。
稲が揺れる音が聞こえてくる。
カズテスの島、ここはいいところだなあ。
僕が夢見てきたものが存在する場所だ。
明日は米を食いたいな。
どうやって食べようか。
米さえあれば、あらゆるものがおかずになる。
まずは白米を……いや、せっかくだから玄米で食べてみるのもいい……。
そんな事を考えるうちに、僕は夢の中に落ちていくのだった。
白米の飯を食う夢を見た。
味は、ちょっとよく分からなかった。
食べなくなって長いもんな。
それに、この体は米の味を知らない。
なんとなく寂しい感じがした。
思い出すためにも、米を食べないとなあ……。
つらつら考えていたら顔をペタペタされる感触で目が覚める。
コゲタが僕の顔を肉球でペタペタしていた。
「おはよう」
「ご主人おはよー! ご主人、なんかむにゃむにゃいってた!」
「そっかー。それで心配してペタペタ触ってたんだな。大丈夫だよ。ちょっと切ない夢を見ただけだ。だが、その夢も今解消される。米がすぐそこにあるんだからな」
振り返ると、米俵があった。
中にはぎっしりと米が詰まっている。
……おや?
俵ということは、すでにある程度米が精米されているということではないか。
朝飯がてら、スケアクロウのモリブ氏に聞いてみた。
「すでに玄米では無くなっているのでは?」
「はい、仰るとおりです。まあ、我々は食事をする必要がないので、米をどうすればいいのかよく分かっていないのですが。とりあえずコボルドたちが食べられる程度に精米し、ああして俵に詰めています」
「なるほど……。まだ食べるわけにはいかない?」
「あと一日待ってください。収穫が終わりますから。その後、俵の数を集計して今季の収穫を終わりとします。米の配分はその後考えることとなります。この島には我々の他、たくさんのコボルドが住んでいますから」
「へえ! たくさんのコボルドが!!」
ここからぐるりと島を巡ると熱帯雨林があり、そこに南国風のコボルドたちが。
中央にある円錐山を登っていくと気温が一気に下がり、そこには長毛種のコボルドが。
マキシフと同じ種族だね。
彼らはみんな、米を食べているんだそうだ。
で、米はスケアクロウたちが生産していると。
一秒でも早く米を見たい!
食べたい!
ということで、その日は僕も精米の手伝いをすることにした。
スケアクロウたちがせっせと俵を編んでいる。
慣れた手つきだなー。
で、僕は筒に入れた米を棒で突いて精米である。
うーん、素朴な作業。
「もみすりなども終わっていますから、仕上げといったところですね。我々は米を育て、収穫することが生活の全てなので、これもスケアクロウ全員で行っていきます」
「なるほどー。本当に気が遠くなるような作業だもんなあ」
機械も何も無いこの島では、コツコツ手作業でやっていくしかあるまい。
それにこの島には金属もない。
稲を刈り取るのは全て石を磨いて作った石器だ。
何もかも、素朴な仕事で出来上がった島だ。
僕もスケアクロウたちの仲間になったつもりで、ひたすら米を突いた。
おお、だんだん白米っぽくなってきた……!
「大変お上手です。その状態でももう食べられるでしょう」
「玄米を半分くらい磨いた感じかな……。食べてみたいが、よろしい?」
「少しでしたら」
「うおおおおお!! やったーっ!!」
許可が出た!
僕が突いたちょっとの分だけだが、サラッとおかゆみたいにして食べてみようではないか。
テンションが上がってまいりました。
ついについに、僕の念願が果たされる時が来たのだ!!
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