俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

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73・カレーコを求めて

第217話 今回のメンバーは彼らだ

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 さて、軍資金を頂戴し、砂漠の王国へ旅立つことになった僕。
 コゲタを迎えに行き、「あったかいところにいくぞー」と告げた。

「あったかいとこ!」

「今のコゲタは冬毛だからちょっと暑いかもなあ」

「あついのやーねー」

「そうだなー」

 ちょっと毛を切って行こうと言う話になった。
 寒いところではなんなので、冬が途切れるところまで移動してだな。

「はいはーい。私~。コボルドちゃんの毛を切るの得意なんですよ~」

「ということで、ルリアさんに来てもらった。当然ツインも一緒だ」

「こんにちはー!」

 コゲタが元気よく挨拶した。
 ツインもルリアもニコニコしながら、「はい、こんにちは」「こんにちは~。挨拶できて偉い子ですねえ~」

 うんうん、初対面の印象はとてもいい。
 コゲタは誰にでも明るく挨拶できる子だからね。

「いやあ、カレーコ探索までご一緒してもらって本当にありがとう」

「いいんだよ。シズマが君との旅の話を本当に楽しそうにしてくるんだ。羨ましくなっちゃうじゃないか」

「ええ~。私達、いつもは神殿で奉仕していますし、機会がないと外に出ないものですから~。でも、久しぶりだから旅にでもいいですよ~って……」

「ははあ、なるほどー」

 シズマめ、めちゃめちゃ自慢していたな。
 で、彼女であるアーシェがここにいないのは、きっとシズマに埋め合わせをやらせているんだろう。

 アーランをちょっと離れると、すぐに暖かくなる。
 春くらいの気候だ。

 ここでコゲタの毛を切ることにした。

「あらー、もふもふしてて素敵ね~。じゃあ涼しくなっちゃいましょうねえ~」

「おねがいします!」

 チョキチョキ音がして、コゲタの毛がトリミングされていく。
 その間、僕とツインでこれからの旅程の話をするのだ。

「砂漠の王国までは、基本はこっちのルートの一本道だ。十日くらい移動すれば到着する。……ほんとこの大陸はちっちゃいなあ……」

「なるほどなるほど……。では迷う事はなさそうだね。実はルリアはちょっと方向音痴で……」

「聞こえてますよぉ~!」

 怒った!
 本人気にしてらっしゃるらしい。
 あまり言わんとこう。

「ちなみに砂漠の王国にも、ゴールド級冒険者の資格を持つ者が三名、プラチナ級が一名いる」

「いるんだ」

「ゴールド級が大陸全土で二十人、プラチナ級の正式な冒険者は十名いるからね。ちょっと大きな国ならいるものさ。知っているかい? そのうち、プラチナ級の実力者は七名までがアーランにいるんだ」

「いたんだ」

「いたんだよ。下町のギルドマスターだろう? リップルさんだろう? 至高神の最高司祭だろう? 慈愛神の最高司祭だろう? 盗賊ギルドのマスターだろう? フォーエイブル男爵のパリスン男爵……」

「パリスン男爵、冒険者の資格あったの!? しかもプラチナ!?」

「若い頃に参加されてプラチナ級になられたそうだ。名実ともに、現役なら王国最強の人物だと思うよ」

「本当に強かったんだなあ……! 何かっていうと僕の弱点を探る人だった」

「昔もそういう逸話が多い方だよ。変わっておられないんだなあ……」

 今はゴールド級冒険者で言うと、アーランに十名がいるんだそうで。
 そういう意味でもアーランはノーザンス大陸最強の国家ではある。

 とか話をしていたら、コゲタのトリミングが終わったようです。

「終わったわよ~。美人さんになったわ~」

「ごしゅじーん!」

 コゲタがパタパタ走ってきた。
 おお、もふもふがスッキリして、大変触り心地が良さそうになっている!

 ぴょーんとジャンプしてきたので、僕はばしっと体でキャッチした。
 おほー、撫で心地が素晴らしい。

「毛並みが最高になりましたねえ。ルリアさんの腕は本当に素晴らしい」

「ありがとうございます~。コゲタちゃんはとってもお行儀よく待っててくれました~」

 うんうん、パタパタ尻尾を降って、僕の胸元でぐりぐりするコゲタ。
 夏毛っぽい長さはやっぱり似合うなあ。
 冬毛も捨てがたいが、やはりコゲタは夏……!!

 しばらくコゲタの毛並みを堪能して、撫でまくった後。
 出発することになったのだった。

 さてさて、ノーザンス大陸の形状は、中央に山がやたらとある場所があり、山を切り裂くように谷がある。
 で、谷に山から川が流れ込み、海へと続くのだが……。

 この谷が大陸を二つに分けているのだ。

 片方は、都市国家群ファイブスターズの存在する地域。
 最近旅をしたのでよく知っているが、言うて街道周りをちょろちょろしただけだ。
 さらに奥地には秘境だってあることだろう。

 で、もう片方がこれから向かう砂漠の王国。
 途中途中にはステップ地帯があったり、遊牧民が住んでいたりするみたいなんだけど。
 今回は、そこは目的地ではないのでスルー。
 馬乳酒とかあるんだろうなあ。
 飲んでみたいなー。

 我慢、我慢なのだ。

「なお、その遊牧民がたまに賊になって襲ってくる……」

 ツインの言葉に何か覚えがあるぞ……。
 前回の砂漠の王国行きも、賊に襲われた気がするな……。

 あれ、遊牧民だったのか。
 それに、砂漠に行くまでにモンスターパラダイスが広がっている。
 思い出してきたぞ……。
 この旅路はそこまで平和ではないのだ……!

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