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47・おお、大きな豆よ
第137話 豆腐……実食! えっ、甘いソースで!?
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ついに……ついに豆腐が完成した。
色味はちょっと黄色いですね……?
ヒュージビーンズの特徴かな?
豆乳の香りがすると思ったが、それもちょっと青臭い気がする。
地球の大豆は品種改良されていたんだなあ。
「はい、これビーンズケーキのシロップ」
おばさんが、小瓶の中に詰められた琥珀色のどろっとしたやつをだしてきた。
「あ、はいありがとうございます……………………シロップ!?」
豆腐に甘いものを掛けて食べるの!?
この世界の住人は甘い豆を食べないんじゃなかったのか!!
「ビーンズケーキは淡白な味わいだからね。甘くして食べるのもいいのさ。あたしはこっちが好きだねえ」
「ああなるほど、ナザル、これはなかなか珍味だよ」
シロップたっぷり掛けてパクパク食べているリップル。
な、なんだってー!!
僕の知っている豆腐と違う!
ちなみに、ビーンズケーキになるほど加工した豆は、豆という概念から抜けるらしい。
なので甘くして食べる……。
黄色みがかった白いキューブは、おかずというよりスイーツのそれなのだとか。
ほんとうー?
「あっ、ナザルが悲しそうな顔をしながらビーンズケーキを食べているよ」
「おやまあ、もしかして甘いの駄目だったのかい? 珍しい人だねえ。じゃあうちの宿六が酒の肴にする時に使ってる、塩とハーブのソースの方がいいのかい?」
「それがいいです!!」
全然豆腐の味わからないんだもん!!
駄目だよシロップ!
はちみつで作った貴重なものらしいけど、豆腐に掛けちゃ駄目だよ……!!
ということで、豆腐お代わり。
塩とハーブの酸味があるソースを掛けてもらった。
ちょっととろみがつけてあるね。
一口いただくと、これがもう美味い。
醤油じゃないのが残念だが、ハーブソースは豆腐に足りない酸味を足してくれて、豆の美味さを殺さない。
あー、味わい深い。記憶の中の豆腐よりちょっとだけ青臭いけど。
これは確かに、酒が欲しくなる味だなあ……。
「今度はナザルがニコニコしている。ああ、でもシロップだとおやつで、ソースだとおかずだねこれは。バゲットに載せても美味しそうだ」
分かってくれるかリップル!
こうして豆腐のレシピを手に入れた僕。
外で日向ぼっこをしていたサルシュに声を掛け、彼にも豆腐を食べさせた。
「そのままの淡白な状態が好みです。これは食べやすくてとてもいいですね。しかも栄養のある味がします」
リザードマンにも大ウケだ。
いいぞいいぞ。
そして夜はフォーゼフで宴を開いてもらい、僕らはそこに参加して大いに飲み食いした。
なんとここで、豆腐の他におから料理が出たのだ。
味付けしたおからを焼いた野菜の上に載せて食べる。
「ヒュージビーンズのカラすらも無駄にせず使う……。感動です。太陽の恵みが生み出した作物を余さず使う生活の知恵……。ワタクシめ、本当にフォーゼフに来てよかった……」
なんかサルシュがジーンと感動しているのだった。
「彼面白いね。リザードマンっていうのは感情が分かりづらいと思ってたけど、表情が変わらないだけで彼ってかなり激情家だ」
「ああ。僕も意外だった。いや、強い言葉吐き散らかしながら本気で魔神を正面からボコボコにするのは普通に激情家を超えた何かだ」
「昨夜はお恥ずかしいところをお目にかけました」
ちょっと恥ずかしがりながら、サルシュはパクパク豆腐を食べるのだった。
その日は翌日に響かない程度に酒を飲み、現地の人々に大いに感謝され、そして夜が明けた。
朝イチで帰ることにする。
ヒュージビーンズを運ぶという荷馬車に相乗りさせてもらうことになり、帰りは楽々な旅路となった。
それでも、片道二日とか三日弱とか掛かるんだが。
この遠さはネックだよなあ。
だが、都市と都市の距離を近づけることはいいことばかりではない。
アーランに若者を吸い上げてしまう可能性があるからね。
そうなると、フォーゼフの農業が持続可能にならない。
ここは不便なままで維持しておこう……。
僕は、僕に都合がいいところだけ文明化するぞ。
即ち美食だ。
「なあ冒険者さん」
僕らを運んでくれている、フォーゼフの農夫が振り返る。
二頭の荷馬は彼が指図しなくても、のんびりひたすらアーランへの道を歩いてくれるようだ。
「なんです?」
「フォーゼフを助けてくれたことはありがてえよ。だけどよ、報酬が大した事ない金で、その他にヒュージビーンズの料理の仕方なんかで本当に良かったのかい? そんなもん、大した金にならないだろうに」
「金じゃないんですよ。人生の豊かさに繋がるんです」
「豊かさ……?」
「ビーンズケーキをですね、僕はアーランに広めたい。これは豆を使った全く新しい料理だ。フォーゼフには昔からあったとしても、アーランはこれを知らない。だからこそ広めたいんです」
「ほうほう……! 俺たちのビーンズケーキがそんな大したものだったのかい!?」
「もちろんですよ……。淡白であることは、どのような料理にも合わせられることを意味します。つまり! ビーンズケーキは完成品ではなく、手間ひまかけて作る素材……! ここからさらに、ビーンズケーキは飛躍しますよ! あっ、あとはアーランで、僕はこいつを豆腐と呼びます」
「トーフ? それはまあ、好きにすればいいんじゃないか?」
「ああ、好きにさせてもらう。でさ、一つ聞きたいんだが……。フォーゼフには、ヒュージビーンズを発酵させて作る調味料があるんだろ?」
「……あんた、どこでその話を?」
「ああ、部外秘か……。だけど、この世界で醤油が作られてるのが分かっただけで十分ですよ」
モチベーションが上がってくるなあ!
色味はちょっと黄色いですね……?
ヒュージビーンズの特徴かな?
豆乳の香りがすると思ったが、それもちょっと青臭い気がする。
地球の大豆は品種改良されていたんだなあ。
「はい、これビーンズケーキのシロップ」
おばさんが、小瓶の中に詰められた琥珀色のどろっとしたやつをだしてきた。
「あ、はいありがとうございます……………………シロップ!?」
豆腐に甘いものを掛けて食べるの!?
この世界の住人は甘い豆を食べないんじゃなかったのか!!
「ビーンズケーキは淡白な味わいだからね。甘くして食べるのもいいのさ。あたしはこっちが好きだねえ」
「ああなるほど、ナザル、これはなかなか珍味だよ」
シロップたっぷり掛けてパクパク食べているリップル。
な、なんだってー!!
僕の知っている豆腐と違う!
ちなみに、ビーンズケーキになるほど加工した豆は、豆という概念から抜けるらしい。
なので甘くして食べる……。
黄色みがかった白いキューブは、おかずというよりスイーツのそれなのだとか。
ほんとうー?
「あっ、ナザルが悲しそうな顔をしながらビーンズケーキを食べているよ」
「おやまあ、もしかして甘いの駄目だったのかい? 珍しい人だねえ。じゃあうちの宿六が酒の肴にする時に使ってる、塩とハーブのソースの方がいいのかい?」
「それがいいです!!」
全然豆腐の味わからないんだもん!!
駄目だよシロップ!
はちみつで作った貴重なものらしいけど、豆腐に掛けちゃ駄目だよ……!!
ということで、豆腐お代わり。
塩とハーブの酸味があるソースを掛けてもらった。
ちょっととろみがつけてあるね。
一口いただくと、これがもう美味い。
醤油じゃないのが残念だが、ハーブソースは豆腐に足りない酸味を足してくれて、豆の美味さを殺さない。
あー、味わい深い。記憶の中の豆腐よりちょっとだけ青臭いけど。
これは確かに、酒が欲しくなる味だなあ……。
「今度はナザルがニコニコしている。ああ、でもシロップだとおやつで、ソースだとおかずだねこれは。バゲットに載せても美味しそうだ」
分かってくれるかリップル!
こうして豆腐のレシピを手に入れた僕。
外で日向ぼっこをしていたサルシュに声を掛け、彼にも豆腐を食べさせた。
「そのままの淡白な状態が好みです。これは食べやすくてとてもいいですね。しかも栄養のある味がします」
リザードマンにも大ウケだ。
いいぞいいぞ。
そして夜はフォーゼフで宴を開いてもらい、僕らはそこに参加して大いに飲み食いした。
なんとここで、豆腐の他におから料理が出たのだ。
味付けしたおからを焼いた野菜の上に載せて食べる。
「ヒュージビーンズのカラすらも無駄にせず使う……。感動です。太陽の恵みが生み出した作物を余さず使う生活の知恵……。ワタクシめ、本当にフォーゼフに来てよかった……」
なんかサルシュがジーンと感動しているのだった。
「彼面白いね。リザードマンっていうのは感情が分かりづらいと思ってたけど、表情が変わらないだけで彼ってかなり激情家だ」
「ああ。僕も意外だった。いや、強い言葉吐き散らかしながら本気で魔神を正面からボコボコにするのは普通に激情家を超えた何かだ」
「昨夜はお恥ずかしいところをお目にかけました」
ちょっと恥ずかしがりながら、サルシュはパクパク豆腐を食べるのだった。
その日は翌日に響かない程度に酒を飲み、現地の人々に大いに感謝され、そして夜が明けた。
朝イチで帰ることにする。
ヒュージビーンズを運ぶという荷馬車に相乗りさせてもらうことになり、帰りは楽々な旅路となった。
それでも、片道二日とか三日弱とか掛かるんだが。
この遠さはネックだよなあ。
だが、都市と都市の距離を近づけることはいいことばかりではない。
アーランに若者を吸い上げてしまう可能性があるからね。
そうなると、フォーゼフの農業が持続可能にならない。
ここは不便なままで維持しておこう……。
僕は、僕に都合がいいところだけ文明化するぞ。
即ち美食だ。
「なあ冒険者さん」
僕らを運んでくれている、フォーゼフの農夫が振り返る。
二頭の荷馬は彼が指図しなくても、のんびりひたすらアーランへの道を歩いてくれるようだ。
「なんです?」
「フォーゼフを助けてくれたことはありがてえよ。だけどよ、報酬が大した事ない金で、その他にヒュージビーンズの料理の仕方なんかで本当に良かったのかい? そんなもん、大した金にならないだろうに」
「金じゃないんですよ。人生の豊かさに繋がるんです」
「豊かさ……?」
「ビーンズケーキをですね、僕はアーランに広めたい。これは豆を使った全く新しい料理だ。フォーゼフには昔からあったとしても、アーランはこれを知らない。だからこそ広めたいんです」
「ほうほう……! 俺たちのビーンズケーキがそんな大したものだったのかい!?」
「もちろんですよ……。淡白であることは、どのような料理にも合わせられることを意味します。つまり! ビーンズケーキは完成品ではなく、手間ひまかけて作る素材……! ここからさらに、ビーンズケーキは飛躍しますよ! あっ、あとはアーランで、僕はこいつを豆腐と呼びます」
「トーフ? それはまあ、好きにすればいいんじゃないか?」
「ああ、好きにさせてもらう。でさ、一つ聞きたいんだが……。フォーゼフには、ヒュージビーンズを発酵させて作る調味料があるんだろ?」
「……あんた、どこでその話を?」
「ああ、部外秘か……。だけど、この世界で醤油が作られてるのが分かっただけで十分ですよ」
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