131 / 337
44・磯釣りに行こう
第131話 釣りのお誘いにカエルとトカゲの人が来た
しおりを挟む
「ナザルさん、釣りに行きましょう」
「誘いに来ましたぞ」
「うわあ、なかなか強烈な顔ぶれだね」
扉を開けたら、リザードマン司祭のサルシュと、カエル人な船乗りのダイフク氏が並んでいた。
一人でもなかなかインパクトが強いのに、そんな二人が並んでいるとは!!
「おや、ナザルさん、どうしたんですか朝から賑やかに……うわーっ」
飼い主氏も部屋から顔を出し、サルシュとダイフク氏を見て驚いた。
扉を開けたらこの二人が並んでたら驚くよね。
しかも、なんと釣り竿を四本も背負っている。
サルシュの腰回りには籠が幾つも。
これは、二人とも揺るがぬ覚悟で釣りにいくつもりだ……!!
「どこに釣りに行くんだい?」
「王城の裏手にある岸壁ですな。あそこがいい感じで釣りができる磯になっていましてな」
「ははあ、確かに水が入り組んでいて、面白い魚がたくさん釣れそうな気はする」
王城は板のような巨大な岩に遮られていて、海側からはその姿を望むこともできないし、侵入はもちろん不可能なのだ。
なので安心して、城の裏手にある磯で遊べるというわけだ。
「よし、行こう行こう」
「フシュシュ、楽しみです」
「行きましょう行きましょう。おや、あなたも行きますかな」
「ふむ……内陸の出身ゆえ、釣りはあまり経験がないのですが……やってみましょう」
飼い主氏も一緒に来ることになった。
そうなると、コゲタとアララも一緒になるわけで……。
あっという間に、六人という大人数での磯釣り行脚となったわけである。
人間は僕と飼い主氏。
コボルド二人に、リザードマンとカエルの人。
街中ならたいへん目立つだろう。
だが、磯辺ならどうか。
物好きな釣人しかいないので、目立たないのだ!
「お弁当は現地調達しよう」
「楽しみですなあ!」
「火種は持ってきましたよ」
「おべんとう!」
「おさかな!」
「アララ、急に走っては危ない」
もう賑やか賑やか。
あまりにも賑やかなので、魚が逃げることを危惧した釣人たちがちょっと離れていったくらいだ。
すまんね……!
子供連れは賑やかなので!
「時に皆さんは酒を飲みながら釣りなどされますか?」
「ワタクシめはイケる口ですが、流石に酔って海に落ちると死にますね」
「わしは粘膜が乾くので、たっぷりの水がないとアルコールは……」
「なるほど……。じゃあ料理に使いますか」
「いいですね! ワタクシめ、味と香りにはうるさいですよ!」
「わしは喉越しが……」
おっと、おじさん組も賑やかだぞ!!
磯釣りはおじさんたちの遊び場みたいなものでもあるからね。
ここら辺りにしよう、と適当なところに座す我ら。
全員が磯釣りの素人なので、何がいいか悪いかなんかさっぱり分からない。
まあ何か釣れるだろ! くらいのノリだ。
僕はサルシュと並んで座り、間にコゲタを設置した。
こうして挟んでおけば、コゲタが落っこちることもあるまい。
「ナザルさんはアレですか。生殖年齢を終えられているのですか?」
「いきなりぶっこんできたな!?」
「冒険者ギルドでの様子を拝見していますと、受付のエリイさんや偉大なるベテランのリップルさん、そしてギルドマスター婦人のドロテアさんから好意的に見られている様子ですが、一人で遊びに行ったり、長時間遺跡に籠もって土いじりをしたり、明らかにお互い気がないキャロティさんたちと冒険に出たりしていますから」
「あー、なるほど」
傍から見ると、ちょっとハーレム的状況に見えるのかも知れないな。
だが、僕はそういうものにかまける気はないのだ。
前世でアラ還くらいまで生きてて、この世界で二十年ちょっと生きてるんだ。
僕の精神年齢は八十歳だぞ。
もう恋愛はいい。いらない……。
どうやらエリィがリップルに、どうやれば僕を落とせるかを聞いたりしてるらしいのだが。
無駄な努力はやめたまえ!
肉体が子どものうちは、神秘的なお姉さんであったリップルにドキドキしたものだが、二十歳を超えた辺りから本来の精神年齢の枯れた感じになってきたのだ。
まあ、もともと生前そんなに色恋に縁はなかった。
なので未練も全く無い!
むしろ今この瞬間を大事にしたいものだ。
「僕はそういうのよりも、美食を生み出したりこうやって釣りをする事を愛している」
「おお、まるで数百年を生きたリザードマンの長老がごとき精神です」
「さようですか」
そんな会話をする中、コゲタは釣り竿を垂らして、ごくごく浅いところで動かしているのだ。
ちょっとずつ、釣りのコツを覚え始めている。
賢いなあ。
「あっ、ご主人~! トカゲのひと~! なんかつれる!」
「おっ!」
「ふむふむ!」
僕とサルシュで興味津々に、コゲタの釣り竿を見つめた、
ごくごく浅いところにいたから、この間みたいな大きな魚が釣れることはないだろうが……。
「んんー!」
コゲタが踏ん張る!
何か、重い魚なんだろうか?
「よしサルシュ、手伝おう」
「いいでしょう。シュシューッ!」
僕らでコゲタを支えた。
「ちゃー!」
完全な踏ん張りを得たコゲタが、裂帛の気合とともに釣り上げたのは……!
「イソギンチャクかあ!」
「イソギンチャクですねえ」
「おもしろーい!」
これは食べられないな。
だが、コゲタは大喜びだ。
しばらく、イソギンチャクをつついて遊んで、また水の中に返してあげるのだった。
「誘いに来ましたぞ」
「うわあ、なかなか強烈な顔ぶれだね」
扉を開けたら、リザードマン司祭のサルシュと、カエル人な船乗りのダイフク氏が並んでいた。
一人でもなかなかインパクトが強いのに、そんな二人が並んでいるとは!!
「おや、ナザルさん、どうしたんですか朝から賑やかに……うわーっ」
飼い主氏も部屋から顔を出し、サルシュとダイフク氏を見て驚いた。
扉を開けたらこの二人が並んでたら驚くよね。
しかも、なんと釣り竿を四本も背負っている。
サルシュの腰回りには籠が幾つも。
これは、二人とも揺るがぬ覚悟で釣りにいくつもりだ……!!
「どこに釣りに行くんだい?」
「王城の裏手にある岸壁ですな。あそこがいい感じで釣りができる磯になっていましてな」
「ははあ、確かに水が入り組んでいて、面白い魚がたくさん釣れそうな気はする」
王城は板のような巨大な岩に遮られていて、海側からはその姿を望むこともできないし、侵入はもちろん不可能なのだ。
なので安心して、城の裏手にある磯で遊べるというわけだ。
「よし、行こう行こう」
「フシュシュ、楽しみです」
「行きましょう行きましょう。おや、あなたも行きますかな」
「ふむ……内陸の出身ゆえ、釣りはあまり経験がないのですが……やってみましょう」
飼い主氏も一緒に来ることになった。
そうなると、コゲタとアララも一緒になるわけで……。
あっという間に、六人という大人数での磯釣り行脚となったわけである。
人間は僕と飼い主氏。
コボルド二人に、リザードマンとカエルの人。
街中ならたいへん目立つだろう。
だが、磯辺ならどうか。
物好きな釣人しかいないので、目立たないのだ!
「お弁当は現地調達しよう」
「楽しみですなあ!」
「火種は持ってきましたよ」
「おべんとう!」
「おさかな!」
「アララ、急に走っては危ない」
もう賑やか賑やか。
あまりにも賑やかなので、魚が逃げることを危惧した釣人たちがちょっと離れていったくらいだ。
すまんね……!
子供連れは賑やかなので!
「時に皆さんは酒を飲みながら釣りなどされますか?」
「ワタクシめはイケる口ですが、流石に酔って海に落ちると死にますね」
「わしは粘膜が乾くので、たっぷりの水がないとアルコールは……」
「なるほど……。じゃあ料理に使いますか」
「いいですね! ワタクシめ、味と香りにはうるさいですよ!」
「わしは喉越しが……」
おっと、おじさん組も賑やかだぞ!!
磯釣りはおじさんたちの遊び場みたいなものでもあるからね。
ここら辺りにしよう、と適当なところに座す我ら。
全員が磯釣りの素人なので、何がいいか悪いかなんかさっぱり分からない。
まあ何か釣れるだろ! くらいのノリだ。
僕はサルシュと並んで座り、間にコゲタを設置した。
こうして挟んでおけば、コゲタが落っこちることもあるまい。
「ナザルさんはアレですか。生殖年齢を終えられているのですか?」
「いきなりぶっこんできたな!?」
「冒険者ギルドでの様子を拝見していますと、受付のエリイさんや偉大なるベテランのリップルさん、そしてギルドマスター婦人のドロテアさんから好意的に見られている様子ですが、一人で遊びに行ったり、長時間遺跡に籠もって土いじりをしたり、明らかにお互い気がないキャロティさんたちと冒険に出たりしていますから」
「あー、なるほど」
傍から見ると、ちょっとハーレム的状況に見えるのかも知れないな。
だが、僕はそういうものにかまける気はないのだ。
前世でアラ還くらいまで生きてて、この世界で二十年ちょっと生きてるんだ。
僕の精神年齢は八十歳だぞ。
もう恋愛はいい。いらない……。
どうやらエリィがリップルに、どうやれば僕を落とせるかを聞いたりしてるらしいのだが。
無駄な努力はやめたまえ!
肉体が子どものうちは、神秘的なお姉さんであったリップルにドキドキしたものだが、二十歳を超えた辺りから本来の精神年齢の枯れた感じになってきたのだ。
まあ、もともと生前そんなに色恋に縁はなかった。
なので未練も全く無い!
むしろ今この瞬間を大事にしたいものだ。
「僕はそういうのよりも、美食を生み出したりこうやって釣りをする事を愛している」
「おお、まるで数百年を生きたリザードマンの長老がごとき精神です」
「さようですか」
そんな会話をする中、コゲタは釣り竿を垂らして、ごくごく浅いところで動かしているのだ。
ちょっとずつ、釣りのコツを覚え始めている。
賢いなあ。
「あっ、ご主人~! トカゲのひと~! なんかつれる!」
「おっ!」
「ふむふむ!」
僕とサルシュで興味津々に、コゲタの釣り竿を見つめた、
ごくごく浅いところにいたから、この間みたいな大きな魚が釣れることはないだろうが……。
「んんー!」
コゲタが踏ん張る!
何か、重い魚なんだろうか?
「よしサルシュ、手伝おう」
「いいでしょう。シュシューッ!」
僕らでコゲタを支えた。
「ちゃー!」
完全な踏ん張りを得たコゲタが、裂帛の気合とともに釣り上げたのは……!
「イソギンチャクかあ!」
「イソギンチャクですねえ」
「おもしろーい!」
これは食べられないな。
だが、コゲタは大喜びだ。
しばらく、イソギンチャクをつついて遊んで、また水の中に返してあげるのだった。
22
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界ダンジョンの地下第7階層には行列のできるラーメン屋がある
セントクリストファー・マリア
ファンタジー
日本の東京に店を構える老舗のラーメン屋「聖龍軒」と、ファルスカ王国の巨大ダンジョン「ダルゴニア」の地下第7階層は、一枚の扉で繋がっていた。


どうも、賢者の後継者です~チートな魔導書×5で自由気ままな異世界生活~
ヒツキノドカ
ファンタジー
「異世界に転生してくれぇえええええええええ!」
事故で命を落としたアラサー社畜の俺は、真っ白な空間で謎の老人に土下座されていた。何でも老人は異世界の賢者で、自分の後継者になれそうな人間を死後千年も待ち続けていたらしい。
賢者の使命を代理で果たせばその後の人生は自由にしていいと言われ、人生に未練があった俺は、賢者の望み通り転生することに。
読めば賢者の力をそのまま使える魔導書を五冊もらい、俺は異世界へと降り立った。そしてすぐに気付く。この魔導書、一冊だけでも読めば人外クラスの強さを得られてしまう代物だったのだ。
賢者の友人だというもふもふフェニックスを案内役に、五冊のチート魔導書を携えて俺は異世界生活を始める。
ーーーーーー
ーーー
※基本的に毎日正午ごろに一話更新の予定ですが、気まぐれで更新量が増えることがあります。その際はタイトルでお知らせします……忘れてなければ。
※2023.9.30追記:HOTランキングに掲載されました! 読んでくださった皆様、ありがとうございます!
※2023.10.8追記:皆様のおかげでHOTランキング一位になりました! ご愛読感謝!

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる