召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

文字の大きさ
上 下
169 / 196
終末の王編

第169話 邪神登場からの結成会議

しおりを挟む
『イヨー兄弟』

「いよう、兄弟」

 オクタゴンが空間からにじみ出るように姿を現した。
 お互いに手を上げて挨拶をする。

 オクタゴン、仮の姿である人間態だが、なんだかツヤツヤしている気がする。
 心が満たされているのだな。

「その後ルサルカとはどうだ」

『ラブラブだぞ……。あと千年は清い関係のまま行く』

「すげえなあ。その自制心はどこから来るんだ」

『いいか? 一線を超えたら、例え神であろうともう超える前には戻れないんだ。不退転の決意をせねばそのさきには進めない。俺様はここに注目し、なるべく長い間を初々しいラブラブのまま過ごすと決めたのだ。幸い、神である俺様たちは時間感覚が果てしなく長い……』

「含蓄のある事を言うやつだなあ」

 久々の再会を喜び合う。
 ルサルカは今日は留守番らしい。
 彼岸の地にて、新居を造成しているとか。

「彼女が家作るのか」

『水死者たちの魂を慰める宮殿を作っている。その一角に俺様とルサルカの愛の巣があってな。なんと4LDKだ』

 オクタゴンが語る4LDK、アメリカンサイズだからくっそ広いんだけど。
 富豪の家かよ。
 というか神々が4LDKに住むな。

『いいかね? 彼がオクタゴンか』

『おっ、なんだなんだ。喋るテレビか?』

 ここで、ユーリンとオクタゴンが出会った。

「オクタゴンか! ここでやるか!」

 身構えるコンボの達人。

「ダーリン、ここでデートしようよ! 色々美味しいもの食べられるらしいじゃん? ほら、それでお腹いっぱいになったらあたしがダーリンの心も満たしてあげる!」

「ひい、たすけてえ」

 コンボの達人が顔を出すと、エリイも現れるから賑やかになるなあ。

『ちょっと待ってくれ。情報量が多すぎて俺様何も理解できないぞ』

「一度に情報をぶつけすぎたな」

 ということで、アメリカンダイナーみたいなところで食事をしながら今後の方針について話し合うことにする。
 実質、これが世界の命運を決める会議なのだ。

 テーブルの上には、大量のピザとフライドポテトと揚げたタコスとチキンナゲットが乗っている。
 そして各人の前に、ミニバケツサイズのコーラ。

 世界を救うための会議と、晩餐会。
 ずいぶんジャンクだな。

 ここに、住宅造成中だったルサルカも駆けつけた。
 思ったより楽しそうな会議になるということで、オクタゴンが呼んだらしい。
 愛だなあ。

 儚げな金髪の超絶美少女は空間から滲み出すように現れ、オクタゴンの隣にピッタリくっついて座った。
 そして美味しそうに、チキンナゲットをマスタードソースで食べ始めるのである。

「ルサルカ様があんなにキラキラして……。なんか、あたいは涙出てきちゃうねえ」

 ナルカが拝んでいる。

 さて、俺とルミイとカオルンとアカネルとナルカ、オクタゴンとルサルカ、コンボの達人とエリイ、ユーリン。
 このメンツの中で、まずは音頭を取る者が必要だ。

 ここは俺がやらねばなるまい。
 他はコミュニケーションに難があるか、コミュ力一番高そうなエリイもギャルだしな。

「じゃあ諸君!! ここに世界を救うため集まったドリームチームの、結成式を行う! 各々、コーラの入ったプラスチックコップを手にとって。はい、それでは皆さん、今後の戦いの必勝を願って! かんぱーい!!」

「「「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」」」」

 まず、ルミイが猛然とタコスを食べ始めた。
 野菜が入っているからヘルシーなので、どれだけ食べてもいいと言っている。
 だがカロリーは確実に摂取してるから、後で夜の運動をしよう、グヘヘ。

「アカネル、食べながらでいいんでヘルプ機能で表示して」

「はい。当機能は常識的な食事で大丈夫ですので、並行して行動可能です」

 ヘルプ機能がテーブルの上に表示される。
 360度方向に見える、円形のディスプレイだな。

「こちらが魔導王です。共有します。現在、北方から降りてきた蛮族の大軍と一人で戦っています」

「ゴーレムあんなにたくさん作ってたのに?」

「楽しんでいるみたいですね。音声を拾います」

『集団が徐々に絶望に染まる様は堪らないなあ。愉悦愉悦。彼らが戦いをやめないように、彼らの妻子を転送してこちらで人質にしておいた甲斐があったよ。少しずつ人質が殺される様子を見せてもっと絶望させてやろう』

「うわーっ」

 会場の俺たちドン引き。
 こりゃあひでえーっ。
 魔導王、ゲロ以下の品性の持ち主だぜーっ。

 これは飯が不味くなるということで、魔導王の中継はやめた。

「これは分かりあえないな。殲滅決定」

『ああ。殺そう』

「理想的な敵キャラムーブじゃないか」

 俺、オクタゴン、コンボの達人の意見が一致する。
 魔導王、本当に自分の楽しみのために世界を陥れ、仕上げとしてぶっ壊そうとしていると判明。

 分かりやすい絶対悪でした。
 本当にありがとうございました。

『だが、私はここにいる者たちが力を合わせれば魔導王にも勝てると信じている』

 ユーリンが真面目な事を言った。
 彼は食べたり飲んだりできないので、安置された鏡からずっとこちらを覗いているばかりだ。

 これを聞いて、女子たちがうんうん頷く。
 俺たちを信じているのである。
 これは胸熱。

 ちなみに俺たちは。

「そりゃあ勝つだろう」

『数の暴力で押しつぶせるな』

「俺が一人で倒してしまっても構わんのだろう?」

 全員が、タイマンですら勝つ気満々なのであった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸
ファンタジー
【あらすじ】  ジュナリュシア・キーブレスは、キーブレス王国の第十七王子として生を受けた。  キーブレス王国は、スキル至上主義を掲げており、高ランクのスキルを持つ者が権力を持ち、低ランクの者はゴミのように虐げられる国だった。そして、ジュナの一族であるキーブレス王家は、魔法などのスキルを他人に授与することができる特殊能力者の一族で、ジュナも同様の能力が発現することが期待された。  しかし、スキル鑑定式の日、ジュナが鑑定士に言い渡された能力は《スキル無し》。これと同じ日に第五王女ピアーチェスに言い渡された能力は《Eランクのギフトキー》。  つまり、スキル至上主義のキーブレス王国では、死刑宣告にも等しい鑑定結果であった。他の王子たちは、Cランク以上のギフトキーを所持していることもあり、ジュナとピアーチェスはひどい差別を受けることになる。  お互いに近い境遇ということもあり、身を寄せ合うようになる2人。すぐに仲良くなった2人だったが、ある日、別の兄弟から命を狙われる事件が起き、窮地に立たされたジュナは、隠された能力《他人からスキルを奪う能力》が覚醒する。  この事件をきっかけに、ジュナは考えを改めた。この国で自分と姉が生きていくには、クズな王族たちからスキルを奪って裏から国を支配するしかない、と。  これは、スキル至上主義の王国で、自分たちが生き延びるために闇組織を結成し、裏から王国を支配していく物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも掲載しています。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

外れスキル【転送】が最強だった件

名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。 意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。 失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。 そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

処理中です...