召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

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フィフスエレ帝国跡編

第150話 平和と王の器と逃げ場なし

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 バルクとルリファレラがやって来た。
 フィフスエレに残る、一番地位が高い者はフィフス・シーだったので、彼が二人と交渉する。

『フィフスエレは終わりだ。魔法を失い、魔獣のコントロールもできなくなった。文明も技術も失われた。君たちに国を明け渡そう。だが、民の安全を保証して欲しい』

 バルクが腕組みして鼻を鳴らす。

「力があれば安全でいられるだろう。だが、力がないなら奪われるだけだ」

 非情な意見に聞こえる。
 だが、これはルリファレラが補足した。

「つまりね、今いる魔獣と一緒に暮らしながら、自衛の力を身につけてってこの人は言ってるの。自治区は用意してあげるわ」

『ありがたい』

 交渉成立である。
 バーバリアンとしては、肥沃で広大な森が手に入った。

 魔獣の殆どは駆逐され、豊かな自然、獣、木々と果実がある。
 エルフたちにとっても、新たな故郷となりうる。

 ついに、彼らは凍らぬ大地を手に入れたわけだ。
 なので、フィフスエレ元住人たちについては寛大な処置をしたのだな。
 魔法を持っていない以上、もう反抗もできないわけだし。

 そして、ここでバーバリアンの持つ文化が発揮された。

 生き残っていた独身男性たちが、フィフスエレ生き残りの女子たちにアタックを開始したのである!
 民族が統合されて、文化も融和する……!!

 なお、フィフスエレ生き残りの男子たちは脳を破壊されてしまったが、強く生きて欲しい。

「セブンセンスに行って信仰に目覚めれば神聖魔法が使えるかも知れないぞ。新しい道を開拓するのも手だ」

 俺は彼らに囁いた。
 眼の前で脳を破壊されていく者を見るのは忍びない。

 ということで、結構な数のフィフスエレ独身男性軍団が旅立っていった。

 全ては丸く収まった……!!

「ありがとうありがとう」

 独身だったバーバリアンたちが、次々にやって来て俺に握手を求めてくる。

「なに、あの黒竜とやり合って生き残ったんだ。これくらいの役得があってしかるべきだろう! 良い家庭を築けよ……」

 俺は彼らに声を掛けて回った。

「ルミイ、彼、カリスマが増してないかい?」

「あれなら一国を率いていけると思うなあ」

 双子が俺について、良からぬ事を言っているぞ!
 お前らが王になれ。俺はそんな面倒なのやらないからな!!

「マナビさんが王様ということは、わたしはお妃ですねー! むふー、いいじゃないですか、いいじゃないですか」

「おいルミイやめてくれえ」

 ルミイがやる気になり始めたから、ルリファレラが目を輝かせているではないか。
 あれは絶対、俺たちを後押ししてくるんだぞ!

「いやいやマナビさん、よく考えてみて下さい!!」

「何をかね、ルミイくん」

「あれだけわたしたち、夜に長時間頑張ってますし」

「うむ。俺の頑張りについてこれるルミイは凄いんだなって最近思ってる」

「あれは絶対できるでしょう」

「言われてみればできない理由がない」

「だったら産んで育てるために安定した立場にいたほうがいいんですよ! ほら、王様になるしかない」

「おかしい、理屈がおかしい」

 だが、俺にはルミイのおかしい理屈に反論する言葉が出てこないのである!
 くっそー、ルミイがこんなに強かったの初めてだあ。

「そ、そうだ! カオルン! カオルンもあれだ。戦えなくなって暇になるぞ! 俺が王様になったら、カオルンは第二夫人だからおいそれと戦場に出られなくなる……」

 我、必勝の策を得たり──!!
 というつもりで口にした理屈だったが、カオルンはきょとんとしているではないか。

「カオルンは別に、もう戦わなくてもいいのだ。だって、焦らなくてよくなったのだ! それにカオルンがいていい理由はマナビが用意してくれたのだ」

 ニッコリ微笑まれてしまった。

「カオルンは、奥さんになって子どもを産んで、ずーっと一緒にいてもいいのだ」

 ウグワーッ!!
 なんにも言えねえ!
 ちなみにアカネルはどっちでもいいそうである。そんなことより、今は体力づくりに励まねば、だそうだ。

 うちの奥さんたちの中で、一番今を生きているかも知れないな。
 後の二人はもう、未来予想図を広げ始めている。
 2対1だ。勝てねえ。

 俺は何か、王様就任を先延ばしにする理由をひねり出そうと唸りを上げる。

「うーん、うーん」

「マナビが凄い顔してるじゃないかい。こんな苦悩してるの初めて見るよ」

「マスター、人生の選択から逃げるために必死になるあたりがとてもらしいと思いますね」

「まだ遊びたい……」

「マスターがろくでもないことを言っています」

「らしいと言えばらしいねえ」

 アカネルとナルカに完全に見透かされている。
 なお、双子の王子は俺をバックアップする気満々である。

「マナビ王が就任したら、僕らは右将軍と左将軍だね」

「バーバリアンも軍隊として構成をしていかないといけないね」

 くっそー、こいつらまで未来予想図を!!
 俺への包囲網が猛烈な勢いで完成しつつある。
 俺に逃げ場なし!!

 そこへ、思わぬところから助けの手が差し伸べられた。

「あのう……もしかして何か、面倒くさそうな仕事をお探しになっている?」

「君はピコル!!」

 フィフスエレは元魔法使い、マンティコアの相棒であるメガネっ娘ピコルである。

「はい、ピコルですよー。あのですね、異世界召喚者の出現が止まってないそうなんです。魔力が失われたのに、召喚が続いているということで」

「そうなの? 世界から、普通の魔法に使われる魔力は消えたのではないか」

「消えてます。ですけど、止まってないんです。多分、この召喚術を生み出したフォーホース帝国に秘密があると思うんですけど……見てきてくれませんか」

「見てこよう」

 二つ返事で決定した。
 次なる目的地は、フォーホース帝国だ。

 もしかすると、元の世界との繋がりなども分かるかもしれない。
 絶対帰らないが。

「マナビさんが決めたなら、仕方ないですねー」

「うん、カオルンももちろんついていくのだ!」

「当機能、マスターの馬の後ろに乗せてもらって体幹を鍛えたいんですが」

「新しい国に行くのかい!? ドミニク司祭からもあんたについていくように言われてるし」

 最後はナルカ。
 ついてくる気満々だ。

 彼女は白い歯を見せて言う。

「なんだか、あんたといると全然退屈しないねえ!」


(フィフスエレ帝国跡編 おわり)
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