召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

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セブンセンス法国編

第112話 邪神挙動不審・四人目確定・ガガン

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『時にオクタゴン様、変質した戦神の信者たちは元に戻るのですか?』

『あっ、安心していいぞ。俺様が領域から外せばだんだん元の姿に戻るので。安心安全な能力だよ』

「あっ、オクタゴンがどこからか聞こえてくるルサルカと会話している。こんなに挙動不審なオクタゴンは初めてだぞ。優しい声出してる」

『やめろ兄弟』

 オクタゴンが顔真っ赤にしてマジ殴りをして来たので、俺はサッと避けた。
 ナルカがじーっとこの光景を見ている。

「あのさ。もしかして、ルサルカ神がこちらに来ているのかい?」

『俺様と同じ、端末としてのルサルカだな。はじめまして……』

『はじめまして。強力な外なる神が協力してくれるなんて本当に嬉しいです。人間はもっと死を重んじ、尊ぶべきなんです。私の巫女であるナルカも存分に活用して下さい』

「よ、よ、よろしくお願いします!!」

 敬愛する神から直々に、活用して下さい呼ばわりされたナルカ。
 慌ててオクタゴンに頭を下げた。

『うんうん、彼女には大活躍してもらう。俺様もフォローするから期待してていいよ! あとね、うちの兄弟……マナビが凄いから。マーベラスな活躍を期待してくれ。速攻で国を正常な状態にして、みんながルサルカの声を聞けるようにするからな!』

『ほ、本当ですか!? 嬉しい!』

 神々がイチャイチャしているぞ!!

「というか、ルサルカ神もちょっとぎこちない感じですね。他人とは思えません」

「司る領域が海と死だからな。なんか闇の神的なのって陰キャっぽいのが多いだろ。好みのタイプがいなかったから、ずっとフリーだったのかも知れん」

「ふっ、不敬すぎやしないかい!? もっと小さい声で!」

 ナルカにペチッと叩かれた。
 すまんすまん。

 そういうことで、神殿を設けた俺たち。
 新たに生まれたアビサルワンズを守りとして残し、次なる領域へ移動するのだった。

 途中で出会う戦神の信者をなぎ倒していくのだが……。

『俺様、この中を歩くと少々くたびれるな。神々の抵抗が強い。俺様の代わりに戦えるのをここに置いておく』

「ほう、そんなことが」

『お前も知ってるだろ。あいつだあいつ。本来、あいつの嫁探しという意味もあっただろう。そら、領域をつなげて……出てこい!』

「ウグワー!」

 空間に穴が開き、ガガンの巨体が転がり出てきた。

『頼む』

「お、おう!」

 頼まれたようだ。

「これは頼もしいな。よし、一時的にお前をパーティ登録する。チュートリアルできるようにしとこう」

「はい。登録しておきます」

 アカネルが一瞬でやってくれました。

「どういうことだ?」

 ガガンが不思議そうな顔をした。
 お前は論より証拠ってタイプだよな。

「よし、じゃあ実践してみよう。ちょど向こうから戦神の信者の新手だ。戦神というだけあって、好戦的な奴らばかりだな」

「おう! やるか!」

「やる前にこうだ。チュートリアル!」

 世界はチュートリアル空間に入り込んだ。

「うおわーっ!? な、なんだここはー!!」

「うわーっ!! ま、またかいここはー!!」

 ガガン以外にもナルカがうろたえている。

 二度目なのだがいきなりだったので、めちゃくちゃ焦って、わたわたしている。
 登場した時にあった強者感がすっかりないな。
 のっぽの可愛いお姉ちゃんだ。

「アカネル、やはりナルカは」

「完全に自動で登録されていますね。アカシックレコードによると……うう、マスターとの相性がいい四人目ですって。凄く相性がいいみたいです」

「嫌そうな顔をするなあ」

「これで打ち止めだとマスターは言いましたけど、ライバルが増えるのはやっぱり……」

 アカネル、できるなら独占したいタイプか。

「おいおいマナビ! こいつはどうしたらいいんだ! どうなってるんだ?」

「おう、ガガン。これはな、あらかじめ戦いで何が起きるかを知っておける能力だ。俺はこれを使ってお前に勝った」

「なんだと!? そいつは……いや、これがお前の能力なら、実力で勝ったとも言えるのか。魔法みたいなもんだもんな」

 理解が早い。
 さて、チュートリアルが始まる。

 ガガンは最初、放たれてくる衝撃の魔法を防御して近づき、殴り飛ばすという戦法を取っていた。

「ガガン、それがチュートリアルなしでいきなり戦った時の状況だ。ダメージ受けてるだろ」

「おう。魔法は防御しても軽減しきれないからな。それだから、たちが悪いんだ」

「だからだ。魔法の性質を知ればいい。これ、直線的にぶっ放されるんだよ。だからこうすると避けられる……あ。ガガンはでかいからダメか」

 ガガンなりにやりやすい戦法を考える。

「ガガン、闘気を使って拳を硬化させるやつさ、どんな感じ?」

「どんなって、こうだ」

 ぐおおおおっと気合を入れるガガン。
 前腕が鋼の色になり、次に赤熱する。

 これを見て、ナルカが「おおおおっ、闘気をそこまで使いこなすなんて!」と驚いた。

「こうなったオレの拳は、鋼より硬いぜ!!」

 俺、ガガンの戦法について思いつく。

「なるほど! じゃあ、こういうのでどうだ。腕を合掌の形に組み合わせて、三角形にして突き進む……」

「おお? やってみるか」

 やってみた。
 すると、ガガンに放たれる衝撃の魔法が、全て拳にぶつかり……いや、衝角となったガガンの突進に切り裂かれ、散り散りになる。

「うおおお! 進みやすいぞ! なんだこれは!」

「直線的な魔法に対しては、威力を発揮する前にガガンの特性を活かして潰す。そういうやり方が可能ってことだな」

 これはいい。
 もう、この一手だけで並の戦神信者は倒せる。

 俺はチュートリアルを終了する。

「ガガン、任せた!」

「おう!! うおおお!!」

 合掌した両腕を突き出し、人間衝角となったガガンが突き進む。
 放たれる衝撃魔法は全て、正面から破砕だ。
 焦る戦神信者を、掠めるだけで吹き飛ばすガガン。

 勝負は一瞬でついた。

「すげえ……ノーダメージだぜ……」

 己の成したことに、ガガンが驚いている。

「おう。効率的かつ、効果的な戦い方を探し身につける。これがチュートリアルだ」

 戦闘能力が高い仲間にチュートリアル効果を与えるの、カオルン以外で初めてだったが……。
 これ、思ったよりも強力だな。
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