おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき

文字の大きさ
141 / 147
スローライフの夜明け編

第141話 タマル村、宇宙へ

しおりを挟む
 おらが村の邪神たちがみんなでやって来るというので、軌道エレベーターでも使うのかと思っていたら。
 なんと、タマル村の商店がある一角が、まるごと浮かび上がって来るではないか。

 そうだ、この連中、そもそも宇宙からやって来たんだった。
 タマル村がまるごと宇宙に出たような状況である。

『ああーんタマル様会いたかったですー!』

 タマル村が宇宙ステーションにドッキングした瞬間、通路からファンが飛び出してきた。
 俺はとっさに反応できず、奇襲を食らってしまう。

「うわー」

『ずっと宇宙から降りてこられないのですもの! 夜空を見上げるのは好きですけど、星になってしまった相手を待ち続ける趣味はありませんから!』

『情熱的ですなあ』

『オー! タマルさんプレイボーイですねー!』

「誰にも一切粉をかけたりしてないからな!?」

 なんか分からんが、率先してみんなの前に立って道を切り開いていったらモテただけである!
 生前はあんなにモテなかったのにな!

 そして今までだったら、すぐに駆けつけてファンを引っ剥がしていたポタルが、今日はおとなしい。
 ファンに押し倒されて顔にちゅっちゅっとされている俺だが、周囲に目線を向けてみた。

 ちょっと離れたところから、何か勝ち誇った顔をしてポタルが立っているのが分かる。

『ポタル、珍しいわね。あれは放置してていいわけ?』

「考えてみたんだけど、私ってばタマルのハートはもうキャッチしてるので、この地位は不動なんだよね! だから勝者の余裕なの!」

『そんなこと言ってるとああいう積極的なのに取られちゃうわよ』

「そんなことないよー! ……ないよね? ないよねー?」

「うーん」

 俺は誘惑に弱い気もするので、大丈夫だよとは言えないな……!
 するとポタルはすぐに血相を変えて駆けつけてきた。

「離れてー! 離れなさいよー! はーなーれーてー!!」

『ええい、またあなたなの!? いいじゃない! 私はずーっと村にいるんだからこういう時くらいタマル様を貸しなさいよー!』

 女の戦いだ!
 俺はその隙間からヌルリと抜け出した。

『今、うなぎのような動きをしてましたな』

「二人を刺激しないよう、触れないように移動したのだ。よし、タマル村の邪神たちよ。宇宙ステーションを案内しよう。とは言っても、外のオブジェと農業プラントしか無いけど」

『全然構わないんだなもしー。これは村の慰安旅行みたいなものなんだなもし』

 ヌキチータが物珍しそうに、ステーションをぺたぺた触って回っている。
 パソコンとか持ってきてないな。
 あいつ、ここにいる間は一切仕事をしないつもりだ!
 
 いつも定時で帰っているハイドラもいて、今回は隣にムキムキの半魚人を連れていた。

「ハイドラ、こちらさんは?」

『夫のダゴンです。今回、ヌキチータさんのご厚意で夫も一緒に旅行にいらっしゃいということになりまして』

「ははあ。どうもどうも、タマルです。ハイドラさんにはいつもお世話になっております。優秀な奥様で」

『あなたが大いなる盟友を救ったという異邦の神か。妻も大変神格に優れた存在だと褒めていた。わしはダゴン。よろしく頼む』

 ダゴン氏と握手する。
 しっとりしていた。

 こうして、ステーションを案内して回るのだ。

「うわあ、あちこちでバイト邪神が雑魚寝してますー!」
「してますー!」

 魔人商店の双子姉妹が物珍しそうに、スラム然とした光景を眺めている。

「面白い? ほんとにこれ見てて面白い?」

「面白い環境ですー! わたしたち、いつも商店にいるから見るもの聞くものなんでも珍しいですー!」
「ですー!」

 双子は、近くで寝転がっている邪神に駆け寄るとインタビューを開始した。
 実は好奇心旺盛な神々なのかもしれない。

 ちなみにバイト邪神たちは、異星からカードゲームなどを持ち込んでおり、仲間や人間たちと遊んでいたりする。
 暇つぶしの手段がそこまで多くない宇宙では、カードゲームをひたすらやることになるらしく、ローカルルールが次々と生まれて、居住区画の端と端では全く違うゲームになっているのだとか。

 次は農業プラントに案内した。
 10本接続されているチューブの一つを歩いて行く。
 チューブにある窓からは、外に屹立するガイコツのオブジェとか、力こぶのオブジェ、そして三連装キャノン砲やタワーなどが見えている。

 彩式洋品店の二人はこれを見て、『なんちゅう美的センスやろ。見るものの正気を奪うね』『新しい発想が浮かんできた』などと言うのだ。

 そして農業プラント。

『まだまだ、大半が構造物のままですね。植物が足りないと見えます。どうです? こちらにトウテツを呼びましょうか』

「館長の申し出は嬉しいなあ。あと、可能なら宇宙で育つ植物とかもある? エーテルで育つようなの」

『ありますよ。どこにでも栄養がある状態なので、繁殖力がそこまで高くはないですから大量に購入する必要があるでしょうが』

「構わない構わない。あそこにキャロルが、よく分からん構造体を広げていっているんだ。そこを緑で覆って見栄えよくしておきたい」

『それは面白いですね。いつか、全く新しい自生種が生まれてきそうで私としてもワクワクします』

 館長はその場で、トウテツに連絡を取ってくれたようである。 
 宇宙植物商人のトウテツは、明日にでもやって来るということだった。
 迅速!

「それでヌキチータ、タマル村はしばらくこっちにあるの?」

『そうなんだなもし。スペピの連中を撃退するために、僕たちも総力を結集するんだなもしー! 馬車も持ってきたんだなもし。飛空艇が宇宙でも活動できるようにパワーアップしてるんだなもし』

「便利!」

『吹きさらしだから宇宙服必須だけどねもし』

「不便!」

 こうして、徐々に準備が整っていくのである。
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...