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スローライフよ永遠に!編
第124話 熱血砂漠料理人
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「料理人のベルとな」
『あんた早く鳴らしなさいよ! ほら早く!』
「キャロルがめちゃくちゃ詰めてくる」
「キャロル離れなさいよー。まだシェアの話は認めてないんだからねー!」
『そんなどうでもいいことよりも料理人ってことは料理してくれるんでしょ早く呼んであたしに美味しいもの食べさせてよ早く早く!!』
「うおーっ分かった分かった! 暑い砂漠で全力でしがみついてくるんじゃなーい」
こうして、トンカントンカンと料理人のベルを作ることになった。
ヘルズテーブル各地の土を使って、ベルは生まれるのだなあ。
それは土鈴であった。
怪しいドジョウヒゲのおっさんが、でかいフライパンを背負ってポーズを決める模様が刻まれている。
なんだこれ、なんだこれ。
「鳴らすぞ」
『鳴らしてー!!』
『キャロルは色気よりも食い気ですな』
『ポタルさんのポジションはまだまだスタブルですねー』
安定って意味らしい。
ポタルがジャーマンスープレックスの要領でキャロルを引っ剥がし『ウグワーッ』俺はフリーになった。
よーし、土鈴を鳴らすぞ。
振ってみると、カランコロン、と音がした。
そして飛び出してくるドジョウヒゲの男!
『アイヤー! お待たせしたよー!! ワターシがシェフよー!』
「あっ、凄く濃いのが出てきた!! しかもベルから呼び出されたのに喋るタイプ……フランクリンの同類か!」
『オウ! そうかもしれませーん! メイビー、ユーはゴッドチルドレンですか?』
『ワターシはちょっと違うねー。かつてこの地の全てを食材として調理しようとして降り立ち、現地の創造神と兄弟神によって滅ぼされた異界の邪神ねー』
「邪神だったかー。もうこの世界、邪神しかいねえな」
ちなみにシェフの姿は、ニューッと長いシェフの帽子をかぶり、巨大なフライパンを背負い、調理服のあちこちに料理の七つ道具みたいなのが装備されているぞ。
どこからどう見ても怪しいシェフだ。
『滅びてしまい、ワターシは世界を漂う残留思念だったねー。だけど今、アナータがワターシに形を与えてくれたよー! 力は全盛期の一割もないけど、料理するだけならモウマンタイね!』
「中華がご専門で?」
『フレンチねー』
「その見た目と言葉遣いは」
『邪神流のスタイルよー』
邪神、奥深いな。
『また濃い仲間が増えましたな。これ、タマル様が形を与えたから、居着くでしょうなー』
「居着いちゃうか。じゃあシェフ、料理を作ってくれ」
『アイアイ、おまかせあれー! アチョーッ!!』
俺が取り出した食材を前に、シェフがフライパンと包丁を取り出す。
それ、中華包丁では!?
いや、俺の目の前で包丁が変形する!
なんか展開して長い包丁になった!
『アチョチョチョチョ、チョアーッ!!』
何もないところから火が出現する!
熱されるフライパン!
踊る米!
跳ねる油!
「あつつつ!!」
『なんか本格的に料理作ってる感じじゃない!? あたしの忘れていた太古の記憶が蘇ってくるわ! ブラボー!』
キャロルがハイテンションで立ち上がる。
植物なのでジャーマンスープレックスされても、ダメージは少ないようだ。
「キャロルの興味が完全にシェフに行っちゃった。だけど凄いねあの人。タマルより料理上手いんじゃない?」
「あれは本職だからな。多分、料理を極めるために邪神まで上り詰めた系のやつだぞ」
俺が差し出したのは魚と米と野菜代わりになる甘くない果物。
それがあっという間に、魚のムニエルと果物のテリーヌ、そしてガッツリガーリックライスになって出てきた。
これにはタマル一味も大歓声である。
ついでに攻めてこようとしていたらしい、キナッコーの手下たちもこれを見て驚愕している。
『な、なんて美味そうな香りなんだ』
『砂漠で料理だと……!? キナッコー様に従う限り、俺たちは乾燥した保存食しか食べられないというのに』
哀れな実情を吐露している。
俺は菩薩のほほ笑みを浮かべた。
「お前らも食え」
『い、いいのか!?』
『敵に塩を送るなど、後ろから刺されても仕方ないんだぞ!』
「その時は俺がお前たちをゲットして売る。だが、空腹にあえぐお前たちを放置することは俺にはできん!! これもまたスローライフの精神よ」
『将の器……!』
キナッコーの手下たちがガクガク震えた。
『あれはタマル様と接触したためにスローライフ面に取り込まれましたな』
『タマルさんとトークすると、こっち側にスイングしちゃいますからねー。ポイント・オブ・ノーリターンをオーバーしましたねー』
なんと人聞きの悪い。
手下たちはふらふらした足取りで柵を越えた。
キナッコーに従うままでは柵を越えることなどできなかったのだが、今はできる。
つまり、魔王の束縛が絶たれたということであろう。
「これで腹いっぱい、上手い飯を食えるな」
俺がニッコリ微笑むと、手下たちが目をうるませて頷いた。
『うっま』
「もう食ってるヤツがいるぞ! キャロル! 一人だけ先に猛烈な勢いで食うな! じゃあ、皆さん、いただきます! ということで食べてよし!」
『アイヤー! 千客万来ねー! ワターシが復活した甲斐があたよー!』
シェフは飛び跳ねながら喜ぶのであった。
『ウグワーッ! 敵であった者たちと食卓を囲みました! 800ptゲット!』
▶UGWポイント
8300pt
『あんた早く鳴らしなさいよ! ほら早く!』
「キャロルがめちゃくちゃ詰めてくる」
「キャロル離れなさいよー。まだシェアの話は認めてないんだからねー!」
『そんなどうでもいいことよりも料理人ってことは料理してくれるんでしょ早く呼んであたしに美味しいもの食べさせてよ早く早く!!』
「うおーっ分かった分かった! 暑い砂漠で全力でしがみついてくるんじゃなーい」
こうして、トンカントンカンと料理人のベルを作ることになった。
ヘルズテーブル各地の土を使って、ベルは生まれるのだなあ。
それは土鈴であった。
怪しいドジョウヒゲのおっさんが、でかいフライパンを背負ってポーズを決める模様が刻まれている。
なんだこれ、なんだこれ。
「鳴らすぞ」
『鳴らしてー!!』
『キャロルは色気よりも食い気ですな』
『ポタルさんのポジションはまだまだスタブルですねー』
安定って意味らしい。
ポタルがジャーマンスープレックスの要領でキャロルを引っ剥がし『ウグワーッ』俺はフリーになった。
よーし、土鈴を鳴らすぞ。
振ってみると、カランコロン、と音がした。
そして飛び出してくるドジョウヒゲの男!
『アイヤー! お待たせしたよー!! ワターシがシェフよー!』
「あっ、凄く濃いのが出てきた!! しかもベルから呼び出されたのに喋るタイプ……フランクリンの同類か!」
『オウ! そうかもしれませーん! メイビー、ユーはゴッドチルドレンですか?』
『ワターシはちょっと違うねー。かつてこの地の全てを食材として調理しようとして降り立ち、現地の創造神と兄弟神によって滅ぼされた異界の邪神ねー』
「邪神だったかー。もうこの世界、邪神しかいねえな」
ちなみにシェフの姿は、ニューッと長いシェフの帽子をかぶり、巨大なフライパンを背負い、調理服のあちこちに料理の七つ道具みたいなのが装備されているぞ。
どこからどう見ても怪しいシェフだ。
『滅びてしまい、ワターシは世界を漂う残留思念だったねー。だけど今、アナータがワターシに形を与えてくれたよー! 力は全盛期の一割もないけど、料理するだけならモウマンタイね!』
「中華がご専門で?」
『フレンチねー』
「その見た目と言葉遣いは」
『邪神流のスタイルよー』
邪神、奥深いな。
『また濃い仲間が増えましたな。これ、タマル様が形を与えたから、居着くでしょうなー』
「居着いちゃうか。じゃあシェフ、料理を作ってくれ」
『アイアイ、おまかせあれー! アチョーッ!!』
俺が取り出した食材を前に、シェフがフライパンと包丁を取り出す。
それ、中華包丁では!?
いや、俺の目の前で包丁が変形する!
なんか展開して長い包丁になった!
『アチョチョチョチョ、チョアーッ!!』
何もないところから火が出現する!
熱されるフライパン!
踊る米!
跳ねる油!
「あつつつ!!」
『なんか本格的に料理作ってる感じじゃない!? あたしの忘れていた太古の記憶が蘇ってくるわ! ブラボー!』
キャロルがハイテンションで立ち上がる。
植物なのでジャーマンスープレックスされても、ダメージは少ないようだ。
「キャロルの興味が完全にシェフに行っちゃった。だけど凄いねあの人。タマルより料理上手いんじゃない?」
「あれは本職だからな。多分、料理を極めるために邪神まで上り詰めた系のやつだぞ」
俺が差し出したのは魚と米と野菜代わりになる甘くない果物。
それがあっという間に、魚のムニエルと果物のテリーヌ、そしてガッツリガーリックライスになって出てきた。
これにはタマル一味も大歓声である。
ついでに攻めてこようとしていたらしい、キナッコーの手下たちもこれを見て驚愕している。
『な、なんて美味そうな香りなんだ』
『砂漠で料理だと……!? キナッコー様に従う限り、俺たちは乾燥した保存食しか食べられないというのに』
哀れな実情を吐露している。
俺は菩薩のほほ笑みを浮かべた。
「お前らも食え」
『い、いいのか!?』
『敵に塩を送るなど、後ろから刺されても仕方ないんだぞ!』
「その時は俺がお前たちをゲットして売る。だが、空腹にあえぐお前たちを放置することは俺にはできん!! これもまたスローライフの精神よ」
『将の器……!』
キナッコーの手下たちがガクガク震えた。
『あれはタマル様と接触したためにスローライフ面に取り込まれましたな』
『タマルさんとトークすると、こっち側にスイングしちゃいますからねー。ポイント・オブ・ノーリターンをオーバーしましたねー』
なんと人聞きの悪い。
手下たちはふらふらした足取りで柵を越えた。
キナッコーに従うままでは柵を越えることなどできなかったのだが、今はできる。
つまり、魔王の束縛が絶たれたということであろう。
「これで腹いっぱい、上手い飯を食えるな」
俺がニッコリ微笑むと、手下たちが目をうるませて頷いた。
『うっま』
「もう食ってるヤツがいるぞ! キャロル! 一人だけ先に猛烈な勢いで食うな! じゃあ、皆さん、いただきます! ということで食べてよし!」
『アイヤー! 千客万来ねー! ワターシが復活した甲斐があたよー!』
シェフは飛び跳ねながら喜ぶのであった。
『ウグワーッ! 敵であった者たちと食卓を囲みました! 800ptゲット!』
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