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スローライフよ永遠に!編

第123話 ようこそヘルズテーブルへ!売り払ってやろう

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『てめえがキナッコー様の言っていた地元の邪神かあ! 壊せねえ柵に砂漠を食い荒らしていく花畑! とんでもねえものを生み出しやがって!』

 トカゲの魔人侯が怒鳴りながら、俺に向かってバールのようなものを振り回してくる。
 だが、こんなこともあろうかと対衝ブロック塀を頭に載せていたのでノーダメージなのだ。
 ボイーンと魔人侯が吹っ飛んだ。

『な、なんじゃーっ!?』

「キナッコーには改めて挨拶しないといけないな。俺が丹精込めて開拓し、スローライフできるように整えた世界を、横からかっさらおうとやって来たんだ。丁重に迎えて挨拶をな……」

『タマル様キレてますな』

「キレてないですよ」

 だが、魔人侯が踏み荒らしたり、その配下が引っこ抜いた花が転がっているので、温厚な俺もちょっとトサカに来てはいる。
 一本一本丹精を込めて植えて、じょうろで水をやり、砂漠に深く根付かせた草花だぞ。
 なんということをしてくれるのだ。

『オラアアアアッ!』

『死ねや地元の邪神~~~~~っ!!』

 目を血走らせて襲いかかってくる、魔人侯の手下。
 やはり砂色のローブを纏ったトカゲのような連中で、全身のあちこちに入れ墨をしている。
 で、手に握りしめているのは釘付きバットとかだな。

『オー、テリブルでーす。クロスコンバットしないでロングディスタンスでコンタクトしまーす』

 こういうのは慣れているので、フランクリンが物干し竿で一方的に小突いた。

『ウグワーッ!』

『我もやりますぞ。それそれ』

『ウグワーッ!』

 物干し竿は破壊不能アイテムなので、一方的に小突けるのだ。
 魔人侯の配下たちが転がったところに俺が駆け寄り、ピョインピョインとゲットしていく。
 転んだが最後、俺のアイテムボックスに納めるので、二度目は無いのだ。

 スローライフにはこういう確実性が求められる。

『お、俺の眷属がああああっ!! なんじゃてめええええ!? 眷属たちをどこに消しやがったああ!』

「俺のアイテムボックスだ!」

 アイテムボックスを展開して見せてあげた。
 これは誰でも閲覧できるように掲示することが可能で、仲間たちのアイテムも俺はちょくちょく見せてもらっている。
 ポタルは可愛いものが詰まっているし、キャロルは食べ物が詰まっている。

『そ……その絵が俺の眷属か!? ふ、ふ、ふざけるな!』

「御託は終わりだ。さあ俺のポイントになるがいい。魔人侯は博物館に預けられないし図鑑も埋まらないからテンション上がらないんだよな」

『何を言ってやがる、てめえ……!? なんだ、なんなんだよ、てめえ……! キナッコー様は頭のおかしいやつがいるとしか言ってなかったぞ……。こりゃあ、神々がいなくなった星を征服するだけの簡単な仕事じゃなかったのかよ……!』

 言いたいことが色々あるらしいので、その間に眷属たちをゲットしておく。
 ラムザーとフラクリンのチームプレイで、一体ずつ眷属がこけるので、これをゲットするのだ。

 前線にいる俺は武器でガンガン叩かれるが、対衝ブロック塀を纏っているので攻撃は通用しない。
 ぶどうの房みたいにぶら下げてるから、かなり動きづらいけどな。

 転ばせてゲット、転ばせてゲット……。
 眷属はとうとう一体もいなくなった。

『話が違う……! こんな……こんなの、戦いですらねえ……!』

「お前さん、今頃気付いたのか。これはな。俺視点で行われるスローライフなんだ」

『おっ、タマル様が悪そうな事を囁きながら、無情に魔人侯をゲットしましたぞ』

『逃げなくなったターゲットはイージーにゲットできてグッドですねー。ワオワオ! タマルさん! アテンショントゥザスカーイ!』

「おっと、空も大変なんだったな! おおお、飛空艇がエイの怪物と正面からぶつかり合ってる! あの無茶苦茶で攻撃的な操舵は誰だ」

『あたしよー!!』

「キャロルかあー」

 飛空艇からはポップコーンがバンバン飛んでいるが、まあこんなものは巨大なエイには効かないわな。

「ポタルー! 縄梯子おろしてー。もしくは低いところまで降りてきてー」

「はーい!」

 少しして、縄梯子がするすると降りてきた。
 だが、エイとぶつかりあい続けているから、揺れる揺れる。

『オーノー! ミーはキャタピラですからここでリタイアでーす! アンダーグラウンドでエブリワンのバトルをチアしてまーす!』

「キャタピラ外せばいいじゃん」

『オーノー』

 めっちゃ嫌がってる。
 だが、俺は人の嫌がることを率先してやるタイプなのだ。

「ラムザー、キャタピラ外してフランクリン持っていくぞ」

『合点承知ですぞ! はっはっは、フランクリン、我ら三人は一蓮托生ですぞ~』

『のぉぉぉぉ~』

 ということで、揺れる縄梯子を無理やり登りきって飛空艇にやって来たぞ。

「タマル、よくあんな揺れてるのに登ってきたねえ」

「環境が悪いのにはすっかり慣れてしまったからなあ」

 タモ網を取り出し、舳先に走る俺である。
 その瞬間、キャロルがエイ目掛けて突っ込んだ。

 あっ、このタイミングでやるやつがあるか。
 飛空艇は真っ向からエイと衝突し、お互いにつんのめる体勢になった。
 当然、前方に走っていた俺はぶっ飛ばされる。

「うおー」

 宙を舞いながらくるくる回転し、しかし俺は獲物を冷静に捉えている。
 エイはあれだけでかければ、どうやっても網が当たるだろ。

「おらっ」

 ピョインッ!
 予想通り、エイを一発ゲットである。
 このでかいエイは魔人侯かと思っていたのだが……。

「ほうほう、宇宙エイのブスタング……? これ、博物館に預けられるやつじゃん!」

 テンションが上ってまいりました。

『ピピー』

 アイテムボックスを見て悦に入っていたが、よく考えたら俺は地面に落ちていくところなのであった。
 着地できそうな場所であったエイをゲットしてしまったからな。

 だが、俺の下にポルポルが回り込み、ボイーンと跳ね飛ばした。

「うっ」

 ふっ飛ばされ、ヤシの木に衝突する俺。
 ヤシの木がしなり、また俺をぶっ飛ばし、オアシスの泉にボチャンと落ちた。

 無事着地……いや、着水成功である。

『いやあ、タマル様は本当に悪運が強いですなあ』

「うんうん、しぶといしね! 頼れるよねー」

『オールシチュエーションで、アクティブにビクトリーをゲットしにいく人でーす!』

『あー、こりゃダメだわ。操舵が効かない。なんか壊れたわね』

 最後にキャロルが洒落にならんことを言ったな?
 俺目掛けて、飛空艇もまた落下してくるのであった。

「飛空艇はあれだな。あまりぶつけ過ぎたらだめだな」

 俺は新たな教訓を得つつ、着水した飛空艇の勢いで、また空にふっ飛ばされていくのだった。

『新しいレシピが生まれた!』

▶DIYレシピ
 ※料理人のベル
 素材:砂漠の砂+沸き立つ赤水+マグマの欠片+ヘルズテーブルの土

 UGWポイント
 7500pt(魔人侯、眷属を売却したため。飛空艇の修理代金を差し引き)
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