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スローライフが攻めてきたぞーっ編
第32話 逢魔卿とお食事会
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海上にぷかぁっと浮かんだら、浜辺にずらりとリセンボンたちが並んでいるではないか。
なんだなんだ。
追っ手がここまでやって来たのか。
「これは潜水艇で別の魔人候の領地まで行かねばならんかも知れんなあ」
「ええー。地面の上に出たいよう」
『地面を踏んだが最後、今度は魂が地上とお別れになりそうですな。オーマイゴッド』
「今逢魔卿とオーマイかけたでしょ。それよりもこっちにも英語があったというの驚きなんだが」
『お気付きになりましたかな……。ああ、英語というのは知りませんが多分我の発言が、タマル様が理解できる形に翻訳されてるんですぞ』
「そんな事が起きていたのか」
「のんきねー」
そんな話をしながら、浜辺に近づく俺たちである。
一応警戒はしているが。
『タマルさーん!』
見覚えのあるリセンボン四人が手を振っている。
「あっ、お前ら無事だったのか!! じゃあ早速料理を振る舞わないとな。レパートリーがすごく増えて、めちゃくちゃに美味いんだぞ」
俺の言葉に、リセンボンたちがざわめきだした。
『美味い……!?』
『じゃあ本当に至上の料理を……!?』
『この地獄の大地で美味しいものを……!?』
こいつらみんな、あのリセンボンたちから俺の料理の話を聞いて詰めかけたのか!
本当に食の荒野なんだな、ヘルズテーブル。
『羅刹侯爵の下でも、基本は味のついていない茹でただけの肉を塩を振って食べるだけでしたからな』
「わお」
ということで、リセンボンたちが友好的っぽいので上陸なのだ。
すると、彼らの向こうからふわふわと飛んでくる丸いものがあった。
「あっ、逢魔卿だよ!」
『お、逢魔卿まで!』
ポタルとラムザーが驚愕している。
あの丸いのが逢魔卿?
よく見ると、まん丸に膨らんだフグではないか。
ああ、いや。
フグの上に腰掛けている者がいる。
オレンジ色のローブを纏った……女だ。
『そなたが……美味いものをこしらえるというのは本当か?』
凛とした声が響き渡った。
「本当だ。死ぬほど美味い」
『し、死ぬほど……!?』
ごくりと逢魔卿が唾を飲んだのが分かった。
彼女は咳払いすると、言葉を続ける。
『わらわにその美味いものを献上してみよ。ことと次第によっては、浮遊石を盗みにわらわの城へ踏み入ったこと、不問にしてやろう』
「話し合いのチャンスってわけか。なんだ、ヘルズテーブルは平和的解決ができるんじゃないか」
『これはタマル様しか不可能な解決方法ですがな』
確かにな。
地獄のような世界の住人たちの心を解きほぐす料理など、俺しかできまい。
フフフ。
だが、これDIYで作ってるだけで料理方法とかさっぱり分からんのよね。
まあいいか。
「じゃあ全員の分の料理を作るからそっち並んで。あ、ラムザーとポタルは水中で食材どっさり獲ってきてくれ!」
『了解ですぞ』
「お任せー!」
二人が潜水艇で神殿まで潜っていく。
その間に、俺はまず、逢魔卿のための料理をこしらえるのである。
ここはもう、やるしかないか。
うなぎの蒲焼!!
ウナギの肉を取り出し、召喚したシステムキッチンでトンカントンカン作業する。
すると、なんともたまらないウナギとタレの香りが漂うではないか。
『な、なんという香りか! そなたは何を作ったというのだ……!!』
逢魔卿がわなわなと震えた。
「自分の目と舌で確かめることだな……!!」
どん!
うな重となった蒲焼きを彼女の目の前に置く。
箸は使えないだろうから、フォークを添えるぞ。
彼女はフォークを握りしめ、それをウナギへと差し込んだ。
ほっくりと蒸され、焼かれたウナギはフォークの先端を受け入れ、やすやすと裂ける。
『や、柔らかい!!』
逢魔卿が驚愕すると、リセンボンたちも『オー』『すごい』とどよめいた。
焼かれた魚がふんわり柔らかい時点で革命なのだな。
そして、米と一緒にウナギを口に運んだ逢魔卿。
もぐもぐ噛み締めながら、がくがく震えている。
大丈夫?
ようやく飲み込み、なんか涙目になりながら叫んだ。
『美味い……美味すぎる……!! わらわはそなたを許そう……。なんなら褒美をもうちょっとやるからもっと食事を作って欲しい』
「よしきた!」
これで逢魔卿との同盟を締結である。
あれ?
ヌキチータ的には魔人候と同盟を結んでもいいんだっけ?
今度聞いておこう。
無心にうな重を食う逢魔卿の横で、リセンボンたちもよだれをこらえきれず、俺の料理を待っている。
はっはっは、美味いもの作ってやるからな。
そこに並んでいろ。
ラムザーとポタルが大量にシーフードを獲ってきたので、これを調理するのである。
無心に料理を作った。
あちこちから、『うびゃあああうまひいい』『うーまーいーぞー!』『なんという……なんとうものを食べさせてくれたんだー』『うおおおん』などの声が聞こえてくるではないか。
食後、リセンボンたちがみんな俺を尊敬する目で見つめてきた。
美味しいものを作れることは凄いことなのだ。
ここぞとばかりに飛び出したラムザーが、俺を指し示して言葉を紡ぐ。
『こちらにおわすお方は魔人候、スローライフの王タマル様でありますぞ! その権能の偉大なることは、ただいま味わった料理でよく分かったはず!!』
逢魔卿までもがうんうんと頷いた。
『よく分かった。ヘルズテーブルに降り立ってより、食事はどれもひどいものばかり。心がささくれていくのを宝物庫を満たすことで補おうとしていたのだが……。美味い食事だった。礼を言おう』
俺と逢魔卿はしっかりと握手を交わしたのだった。
「ところで」
『なんだ?』
「俺が食べる分もう作っていい?」
うな重の香りで俺のお腹はもう限界だ!
『ウグワーッ! 料理を100回作りました! 500ptゲットです!』
『ウグワーッ! 魔人候と同盟を締結しました! 1000ptゲットです!』
▶UGWポイント
1600pt
同盟者
逢魔卿
なんだなんだ。
追っ手がここまでやって来たのか。
「これは潜水艇で別の魔人候の領地まで行かねばならんかも知れんなあ」
「ええー。地面の上に出たいよう」
『地面を踏んだが最後、今度は魂が地上とお別れになりそうですな。オーマイゴッド』
「今逢魔卿とオーマイかけたでしょ。それよりもこっちにも英語があったというの驚きなんだが」
『お気付きになりましたかな……。ああ、英語というのは知りませんが多分我の発言が、タマル様が理解できる形に翻訳されてるんですぞ』
「そんな事が起きていたのか」
「のんきねー」
そんな話をしながら、浜辺に近づく俺たちである。
一応警戒はしているが。
『タマルさーん!』
見覚えのあるリセンボン四人が手を振っている。
「あっ、お前ら無事だったのか!! じゃあ早速料理を振る舞わないとな。レパートリーがすごく増えて、めちゃくちゃに美味いんだぞ」
俺の言葉に、リセンボンたちがざわめきだした。
『美味い……!?』
『じゃあ本当に至上の料理を……!?』
『この地獄の大地で美味しいものを……!?』
こいつらみんな、あのリセンボンたちから俺の料理の話を聞いて詰めかけたのか!
本当に食の荒野なんだな、ヘルズテーブル。
『羅刹侯爵の下でも、基本は味のついていない茹でただけの肉を塩を振って食べるだけでしたからな』
「わお」
ということで、リセンボンたちが友好的っぽいので上陸なのだ。
すると、彼らの向こうからふわふわと飛んでくる丸いものがあった。
「あっ、逢魔卿だよ!」
『お、逢魔卿まで!』
ポタルとラムザーが驚愕している。
あの丸いのが逢魔卿?
よく見ると、まん丸に膨らんだフグではないか。
ああ、いや。
フグの上に腰掛けている者がいる。
オレンジ色のローブを纏った……女だ。
『そなたが……美味いものをこしらえるというのは本当か?』
凛とした声が響き渡った。
「本当だ。死ぬほど美味い」
『し、死ぬほど……!?』
ごくりと逢魔卿が唾を飲んだのが分かった。
彼女は咳払いすると、言葉を続ける。
『わらわにその美味いものを献上してみよ。ことと次第によっては、浮遊石を盗みにわらわの城へ踏み入ったこと、不問にしてやろう』
「話し合いのチャンスってわけか。なんだ、ヘルズテーブルは平和的解決ができるんじゃないか」
『これはタマル様しか不可能な解決方法ですがな』
確かにな。
地獄のような世界の住人たちの心を解きほぐす料理など、俺しかできまい。
フフフ。
だが、これDIYで作ってるだけで料理方法とかさっぱり分からんのよね。
まあいいか。
「じゃあ全員の分の料理を作るからそっち並んで。あ、ラムザーとポタルは水中で食材どっさり獲ってきてくれ!」
『了解ですぞ』
「お任せー!」
二人が潜水艇で神殿まで潜っていく。
その間に、俺はまず、逢魔卿のための料理をこしらえるのである。
ここはもう、やるしかないか。
うなぎの蒲焼!!
ウナギの肉を取り出し、召喚したシステムキッチンでトンカントンカン作業する。
すると、なんともたまらないウナギとタレの香りが漂うではないか。
『な、なんという香りか! そなたは何を作ったというのだ……!!』
逢魔卿がわなわなと震えた。
「自分の目と舌で確かめることだな……!!」
どん!
うな重となった蒲焼きを彼女の目の前に置く。
箸は使えないだろうから、フォークを添えるぞ。
彼女はフォークを握りしめ、それをウナギへと差し込んだ。
ほっくりと蒸され、焼かれたウナギはフォークの先端を受け入れ、やすやすと裂ける。
『や、柔らかい!!』
逢魔卿が驚愕すると、リセンボンたちも『オー』『すごい』とどよめいた。
焼かれた魚がふんわり柔らかい時点で革命なのだな。
そして、米と一緒にウナギを口に運んだ逢魔卿。
もぐもぐ噛み締めながら、がくがく震えている。
大丈夫?
ようやく飲み込み、なんか涙目になりながら叫んだ。
『美味い……美味すぎる……!! わらわはそなたを許そう……。なんなら褒美をもうちょっとやるからもっと食事を作って欲しい』
「よしきた!」
これで逢魔卿との同盟を締結である。
あれ?
ヌキチータ的には魔人候と同盟を結んでもいいんだっけ?
今度聞いておこう。
無心にうな重を食う逢魔卿の横で、リセンボンたちもよだれをこらえきれず、俺の料理を待っている。
はっはっは、美味いもの作ってやるからな。
そこに並んでいろ。
ラムザーとポタルが大量にシーフードを獲ってきたので、これを調理するのである。
無心に料理を作った。
あちこちから、『うびゃあああうまひいい』『うーまーいーぞー!』『なんという……なんとうものを食べさせてくれたんだー』『うおおおん』などの声が聞こえてくるではないか。
食後、リセンボンたちがみんな俺を尊敬する目で見つめてきた。
美味しいものを作れることは凄いことなのだ。
ここぞとばかりに飛び出したラムザーが、俺を指し示して言葉を紡ぐ。
『こちらにおわすお方は魔人候、スローライフの王タマル様でありますぞ! その権能の偉大なることは、ただいま味わった料理でよく分かったはず!!』
逢魔卿までもがうんうんと頷いた。
『よく分かった。ヘルズテーブルに降り立ってより、食事はどれもひどいものばかり。心がささくれていくのを宝物庫を満たすことで補おうとしていたのだが……。美味い食事だった。礼を言おう』
俺と逢魔卿はしっかりと握手を交わしたのだった。
「ところで」
『なんだ?』
「俺が食べる分もう作っていい?」
うな重の香りで俺のお腹はもう限界だ!
『ウグワーッ! 料理を100回作りました! 500ptゲットです!』
『ウグワーッ! 魔人候と同盟を締結しました! 1000ptゲットです!』
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逢魔卿
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