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スローライフが攻めてきたぞーっ編
第19話 ヘルズテーブルの真実!
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『アイタタタ、まさかオブジェクトにサンドイッチされるとは思ってなかったんだなもし。これは普通に神にもダメージが入るんだなもし』
ヌキチータが腰をさすりながら、俺たちと鍋を囲んでいる。
食材は、神様が持ってきた肉と野菜である。
獣の脂と地下水と煮込んだ野菜で、いい味が出ている。
「極上のシチューである!」
『ブラボー!』
「すてきー!!」
『話を聞いてほしいんだなもし』
おっと、頭の中が食べる方に行っていた。
ラムザーとポタルが猛烈な勢いでシチューを食っているのを横目に、俺はやっぱりシチューを猛烈な勢いで食いながら、
「ひょれれ、なんろはなひら?」
『もう食べながら聞いていていいんだなもし。こんな豪胆な転生者初めてなんだなもし』
ヌキチータが話した内容は、それなりに長かった。
後でラムザーとポタルに聞かれたので、彼らにも分かりやすいように三行にまとめるとこうである。
・迷宮核はヘルズテーブルの創造神が隠した、兄弟神を地に落とすための嫌がらせアイテムである。
・ヘルズテーブル各地の迷宮にそれは眠っており、それぞれ守護者がいる。
・迷宮核を集めて兄弟神を地に落とし、ボコボコにして滅ぼすとヌキチータがヘルズテーブルの地上げをコンプリートできる。
『ということなんだもし』
「自分が侵略者だということを隠す気すらないな! 潔い……」
『だけどタマルさん、こんな世界を守りたいとおもうのかなもし? 人が虐げられて、魔人たちが猛威をふるい、怪物が暴れまわって血と戦乱に満ちた世界。僕が地上げして新世界を作る礎にしちゃっても全く問題ないんじゃないかなもし?』
「言われてみると全くもってその通りだなあ。論理に一部の隙もない」
『一見するとタマル様が言いくるめられているようですが、ヌキチータ神の言うことに一切嘘が無いのが問題ですな』
「地獄みたいな世界なら別にどうやっても違う地獄になるだけだもんねー」
そうだそうだ、ということで、ヌキチータに協力する方向性はこのままで行くことになった。
何より、俺たちはスローライフをするため、世界をそれっぽい感じに作り変えねばならないのだ。
「これからも協力頼むぞヌキチータ!」
『はいはーい、分かったんだなもし。また用事があったら呼ぶから、その時はお願いを聞いてほしいんだなもし。ああ、そうそう。タマルさんにプレゼントがあるんだなもし』
「ほう、プレゼント……?」
『ずっと間に合わせのDIY作業台を使ってるんだなもし? これは僕が開発したDIY作業台のレシピなんだなもし』
『新しいレシピを手に入れた!』
▶DIYレシピ
※DIY作業台
素材:木材+鉱石
「あっ、これはすごく嬉しい。ちょっとそのへんから鉱石を掘り出すわ」
俺は骨の斧を振りかぶり、食後の運動である。
その辺りの壁面をガッツンガッツン叩くと、鉱石がバンバン飛び出してくる。
『ありえない速度で鉱石が掘り出されていきますな……。これもタマル様の力なのですな。平和的な力なのですが、悪用すると絶対に恐ろしいことになりそうですなあ』
「タマルばっかりずるーい! 私もやりたーい!」
「わっはっは、これは俺の能力なのだ! ポタルにはできないだろうなあ……」
得意になっていたところ、岩壁を叩いた骨の斧が、ポンッ!と音を立てて消滅してしまった。
「あっ、壊れてしまった」
『一定以上の使用回数を経過すると壊れるんだなもし。また作って欲しいんだなもし。じゃあ僕は忙しいので行くんだなもし。ああ、迷宮から外に出るには、迷宮核を掲げるといいんだなもし』
「おう、お疲れ!」
ヌキチータと別れたのである。
DIY作業台を作るには、あとは木材が必要である。
俺たちも迷宮を出ようということになった。
空に迷宮核を掲げる。
すると、馬車は光に包まれ……気がつくとそこは大蟻地獄の迷宮の外側だった。
「あーっ、外だあー!」
ポタルが大きく伸びをする。
そして、羽ばたきながら飛び上がった。
「空を飛べるって気持ちいいー! 空は相変わらずの薄曇りみたいな感じだけど」
「ヘルズテーブル、天候的には割とクソだよな」
『まあ地獄のような土地ですからな。創造神が死んでその肉体を使っているので、創造神の呪いみたいなのが天候の悪さや険しい地形を生み出しているのではないかと羅刹侯爵は考えておりましたな』
「羅刹侯爵頭良さそうだなあ」
流血男爵みたいにはスポンと捕獲できないかも知れない。
あっちの領地は後回しにしよう。
それよりも、今はDIY作業台である。
まずは間に合せのDIY作業台たる、プレートメイルの腹を使って斧を作る。
鉱石の斧だ。
持ち手も鉱石だから、超重い。
だが俺は重さとか関係ないステータスらしく、普通に振り回せた。
「よし、木を斬るぞ!! スローライフらしくなってきたなあ!」
テンション上がってくるぜー。
ガンガン木を殴ると、木材がボンボン飛び出してくる。
不思議だ。
そして数回殴ると木が倒れて消滅する。
切り株だけが残っている。
質量保存の法則は無いらしい。
「私もやりたいなー。今度、ヌキチータにお願いしてみよ!」
ポタルは俺ができることが、羨ましくて仕方ないようだ。
そうだな、手は多いほうがいい。
俺からもヌキチータに頼んでみようではないか。
ちなみにラムザーは、全く手伝う気もないようで、勝手に五右衛門風呂に入ってくつろいでいるのであった。
▶DIYレシピ
DIY作業台
獲得アイテム
大蟻地獄の迷宮の核
ヌキチータが腰をさすりながら、俺たちと鍋を囲んでいる。
食材は、神様が持ってきた肉と野菜である。
獣の脂と地下水と煮込んだ野菜で、いい味が出ている。
「極上のシチューである!」
『ブラボー!』
「すてきー!!」
『話を聞いてほしいんだなもし』
おっと、頭の中が食べる方に行っていた。
ラムザーとポタルが猛烈な勢いでシチューを食っているのを横目に、俺はやっぱりシチューを猛烈な勢いで食いながら、
「ひょれれ、なんろはなひら?」
『もう食べながら聞いていていいんだなもし。こんな豪胆な転生者初めてなんだなもし』
ヌキチータが話した内容は、それなりに長かった。
後でラムザーとポタルに聞かれたので、彼らにも分かりやすいように三行にまとめるとこうである。
・迷宮核はヘルズテーブルの創造神が隠した、兄弟神を地に落とすための嫌がらせアイテムである。
・ヘルズテーブル各地の迷宮にそれは眠っており、それぞれ守護者がいる。
・迷宮核を集めて兄弟神を地に落とし、ボコボコにして滅ぼすとヌキチータがヘルズテーブルの地上げをコンプリートできる。
『ということなんだもし』
「自分が侵略者だということを隠す気すらないな! 潔い……」
『だけどタマルさん、こんな世界を守りたいとおもうのかなもし? 人が虐げられて、魔人たちが猛威をふるい、怪物が暴れまわって血と戦乱に満ちた世界。僕が地上げして新世界を作る礎にしちゃっても全く問題ないんじゃないかなもし?』
「言われてみると全くもってその通りだなあ。論理に一部の隙もない」
『一見するとタマル様が言いくるめられているようですが、ヌキチータ神の言うことに一切嘘が無いのが問題ですな』
「地獄みたいな世界なら別にどうやっても違う地獄になるだけだもんねー」
そうだそうだ、ということで、ヌキチータに協力する方向性はこのままで行くことになった。
何より、俺たちはスローライフをするため、世界をそれっぽい感じに作り変えねばならないのだ。
「これからも協力頼むぞヌキチータ!」
『はいはーい、分かったんだなもし。また用事があったら呼ぶから、その時はお願いを聞いてほしいんだなもし。ああ、そうそう。タマルさんにプレゼントがあるんだなもし』
「ほう、プレゼント……?」
『ずっと間に合わせのDIY作業台を使ってるんだなもし? これは僕が開発したDIY作業台のレシピなんだなもし』
『新しいレシピを手に入れた!』
▶DIYレシピ
※DIY作業台
素材:木材+鉱石
「あっ、これはすごく嬉しい。ちょっとそのへんから鉱石を掘り出すわ」
俺は骨の斧を振りかぶり、食後の運動である。
その辺りの壁面をガッツンガッツン叩くと、鉱石がバンバン飛び出してくる。
『ありえない速度で鉱石が掘り出されていきますな……。これもタマル様の力なのですな。平和的な力なのですが、悪用すると絶対に恐ろしいことになりそうですなあ』
「タマルばっかりずるーい! 私もやりたーい!」
「わっはっは、これは俺の能力なのだ! ポタルにはできないだろうなあ……」
得意になっていたところ、岩壁を叩いた骨の斧が、ポンッ!と音を立てて消滅してしまった。
「あっ、壊れてしまった」
『一定以上の使用回数を経過すると壊れるんだなもし。また作って欲しいんだなもし。じゃあ僕は忙しいので行くんだなもし。ああ、迷宮から外に出るには、迷宮核を掲げるといいんだなもし』
「おう、お疲れ!」
ヌキチータと別れたのである。
DIY作業台を作るには、あとは木材が必要である。
俺たちも迷宮を出ようということになった。
空に迷宮核を掲げる。
すると、馬車は光に包まれ……気がつくとそこは大蟻地獄の迷宮の外側だった。
「あーっ、外だあー!」
ポタルが大きく伸びをする。
そして、羽ばたきながら飛び上がった。
「空を飛べるって気持ちいいー! 空は相変わらずの薄曇りみたいな感じだけど」
「ヘルズテーブル、天候的には割とクソだよな」
『まあ地獄のような土地ですからな。創造神が死んでその肉体を使っているので、創造神の呪いみたいなのが天候の悪さや険しい地形を生み出しているのではないかと羅刹侯爵は考えておりましたな』
「羅刹侯爵頭良さそうだなあ」
流血男爵みたいにはスポンと捕獲できないかも知れない。
あっちの領地は後回しにしよう。
それよりも、今はDIY作業台である。
まずは間に合せのDIY作業台たる、プレートメイルの腹を使って斧を作る。
鉱石の斧だ。
持ち手も鉱石だから、超重い。
だが俺は重さとか関係ないステータスらしく、普通に振り回せた。
「よし、木を斬るぞ!! スローライフらしくなってきたなあ!」
テンション上がってくるぜー。
ガンガン木を殴ると、木材がボンボン飛び出してくる。
不思議だ。
そして数回殴ると木が倒れて消滅する。
切り株だけが残っている。
質量保存の法則は無いらしい。
「私もやりたいなー。今度、ヌキチータにお願いしてみよ!」
ポタルは俺ができることが、羨ましくて仕方ないようだ。
そうだな、手は多いほうがいい。
俺からもヌキチータに頼んでみようではないか。
ちなみにラムザーは、全く手伝う気もないようで、勝手に五右衛門風呂に入ってくつろいでいるのであった。
▶DIYレシピ
DIY作業台
獲得アイテム
大蟻地獄の迷宮の核
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