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第五部:伝説編
エピローグ・俺、伝説になる
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夕方になると、酒場も喧騒に満ちてくる。
どやどやと、若者達の一団が入ってきて店の一角を占領した。
彼らは料理を注文したり、談笑したりしつつ……。
ふと、彼らのリーダー格らしき、槍を持った若者が壁際に座す吟遊詩人に気付いた。
「やあ、吟遊詩人さん」
「どうも。一曲どうです?」
「お願いします。オススメのがあれば」
「では、定番の英雄オクノと仲間達の叙事詩を……」
すると若者は顔をしかめた。
「おや、お気に召しませんか」
「そうじゃないけど……。親父の話は周りの奴らがめちゃくちゃ聞かせてくれたからなあ。本人は笑うだけでなんにも言わないんだけど」
「ほう、あなたはもしや、英雄オクノの?」
「黙っといて。それがバレると、俺のことをそういう目でしかみんな見なくなるんだから……!」
「アズマ、何をしているんだ? もう食事が来ているぞ」
「分かってるよベイカ。ああ、もう、その叙事詩でいいや。流しといてくれる?」
硬貨を受け取ると、吟遊詩人は「まいどあり」と呟いた。
若者を呼んだのは、腰に立派な剣を穿いた長身の美少女。
身のこなしから、育ちがよいのであろうことがよく分かる。
「いざ語らん、かの英雄の物語を。
英雄は混乱を切り裂き、戦乱を収め、キョーダリアスへと降り立った。
その名はオクノ。
万の民を守り、千の戦を鎮め、百の味方とともに邪神を打ち倒す新しき英傑……」
「始まった始まった」
「アズマ、お前まだあの叙事詩嫌いなの?」
「偉大なる父を持ったことの何が悪いのだ。私の父はアズマのお父様に世話になったのだ。だからこうして、辺境伯令嬢でありながら君のとなりにいるというのに」
「あー、うるせえうるせえうるせえ! 耳タコなの!! もうね、いっつも聞いてるの!! うちのおふくろ達がめっちゃくちゃ聞かせてくるし、兄弟達はみんなこれが大好きだし!! それにな。英雄の長男に向けられる期待は重いんだぞ……!!」
「そうそう。アズくんは大変だったねえ」
「うるせえぞおばさん!!」
「あー、ひっどぅーい! 同い年の女の子をオバサン呼ばわりしたらいけないんだぞーっ」
若者達は五人。
槍を持った体格のいい若者、アズマ。
剣を携えた上品な少女、ベイカ。
呪法を行使するらしい、アズマにおばさんと呼ばれていた少女。
斧を腰に下げたリザードマン。
明らかにロボットっぽいの。
「我が師、ダミアンは言った。世の中なるようにしかならんと。適当に生きようぜアズマ」
「なんてロボっぽくないアバウトなことを言うんだ……」
「わっはっは! 両親にドラマがあるだけいいじゃねえか! 俺の親なんぞ、船で仕事してたら世界を救う旅に同行することになってただけだぞ! あ、英雄オクノがな、邪神をぶっ倒して戻ってきたのはちょっとだけ記憶にある。俺はまだちっちゃかったけどなー」
「お前は一番年上だもんなあ」
「製造年月日で言えば、僕が一番年上だが? 古代文明だからな」
「みんなー! お料理冷めちゃうよー!」
「そうだった!」
「食うべ」
「いただくとしよう……時にアズマ」
「んお? なんだ?」
「次の冒険の話だが、六欲天が新しい大陸への道を開いてくれることになったんだろ? イー・ズグラックの本体を倒した褒美として」
「ああ、そうそう。足がなー。船が必要になるんだよなあ」
「人魚の手でも借りちゃう? ロマお姉さまにお願いするとか」
「ロマ母さんかあ……。あの人だけずーっと若いんだよなあ……。俺はなにげに苦手なのだ……」
「人魚はロボを管理しているからな。人魚の保有する技術力は世界一だぞ?」
「船の管理なら任せとけ! リザードマン一族に代々伝わる技がだな……」
賑やかに盛り上がりながら、料理を平らげていく若者達。
だがそんな酒場へ、駆け込んでくる者があった。
「た、大変だーっ!! 空から、空から何かが!!」
「お?」
料理の残りを口に押し込んで、若者達が外へ飛び出す。
吟遊詩人はそれを、微笑みながら見つめていた。
「かくして伝説は次なる世代に受け継がれ……物語は続いていく。
いざ語らん。
新たなる英雄の物語を。
世界を開き、未知なる大地へと命をつなげる、新しき英雄の名は……」
外では早速、空から降りてきた者との戦いが始まっている。
「こいつが世界の外から来るって敵か! おら、みんな早速連携行くぜ!!」
「もちろん! いくよお! フタマタちゃん直伝、火の鳥!!」
「ミッタク師匠直伝、撃魔斬!」
「ヤレヤレ、師匠の名前を言わないといけない縛りかな? なら僕はオリジナルだ! 喰らえ、目からビームッ!!」
「一文字斬り!!」
「行くぜえ!! 完成版ッ無双三段ッ!!」
『火の魔ビーム一文字三段』
「うひゃー! また変な名前出たー!」
「まだまだ降ってくるぞ! よーし、めいめい、各個撃破! 無理だった連携な!」
「いつもの出たとこ勝負だな。陣形は?」
「インペリアルクロスで行くか!」
賑やかに、そして明るく、若者達は道を切り開く。
槍が、剣が、斧が、機械が、呪法が炸裂する。
そして、アズマの頭上に明るく輝くものが現れた。
「来たあっ!」
ピコーンっ!
電球の輝きが、世界を明々と照らし出す。
それこそ、英雄オクノが切り開いた未来を、さらに先へ先へと繋げていくための道標なのだ。
ピコーン!と技を閃く無双の旅!
~おわり~
どやどやと、若者達の一団が入ってきて店の一角を占領した。
彼らは料理を注文したり、談笑したりしつつ……。
ふと、彼らのリーダー格らしき、槍を持った若者が壁際に座す吟遊詩人に気付いた。
「やあ、吟遊詩人さん」
「どうも。一曲どうです?」
「お願いします。オススメのがあれば」
「では、定番の英雄オクノと仲間達の叙事詩を……」
すると若者は顔をしかめた。
「おや、お気に召しませんか」
「そうじゃないけど……。親父の話は周りの奴らがめちゃくちゃ聞かせてくれたからなあ。本人は笑うだけでなんにも言わないんだけど」
「ほう、あなたはもしや、英雄オクノの?」
「黙っといて。それがバレると、俺のことをそういう目でしかみんな見なくなるんだから……!」
「アズマ、何をしているんだ? もう食事が来ているぞ」
「分かってるよベイカ。ああ、もう、その叙事詩でいいや。流しといてくれる?」
硬貨を受け取ると、吟遊詩人は「まいどあり」と呟いた。
若者を呼んだのは、腰に立派な剣を穿いた長身の美少女。
身のこなしから、育ちがよいのであろうことがよく分かる。
「いざ語らん、かの英雄の物語を。
英雄は混乱を切り裂き、戦乱を収め、キョーダリアスへと降り立った。
その名はオクノ。
万の民を守り、千の戦を鎮め、百の味方とともに邪神を打ち倒す新しき英傑……」
「始まった始まった」
「アズマ、お前まだあの叙事詩嫌いなの?」
「偉大なる父を持ったことの何が悪いのだ。私の父はアズマのお父様に世話になったのだ。だからこうして、辺境伯令嬢でありながら君のとなりにいるというのに」
「あー、うるせえうるせえうるせえ! 耳タコなの!! もうね、いっつも聞いてるの!! うちのおふくろ達がめっちゃくちゃ聞かせてくるし、兄弟達はみんなこれが大好きだし!! それにな。英雄の長男に向けられる期待は重いんだぞ……!!」
「そうそう。アズくんは大変だったねえ」
「うるせえぞおばさん!!」
「あー、ひっどぅーい! 同い年の女の子をオバサン呼ばわりしたらいけないんだぞーっ」
若者達は五人。
槍を持った体格のいい若者、アズマ。
剣を携えた上品な少女、ベイカ。
呪法を行使するらしい、アズマにおばさんと呼ばれていた少女。
斧を腰に下げたリザードマン。
明らかにロボットっぽいの。
「我が師、ダミアンは言った。世の中なるようにしかならんと。適当に生きようぜアズマ」
「なんてロボっぽくないアバウトなことを言うんだ……」
「わっはっは! 両親にドラマがあるだけいいじゃねえか! 俺の親なんぞ、船で仕事してたら世界を救う旅に同行することになってただけだぞ! あ、英雄オクノがな、邪神をぶっ倒して戻ってきたのはちょっとだけ記憶にある。俺はまだちっちゃかったけどなー」
「お前は一番年上だもんなあ」
「製造年月日で言えば、僕が一番年上だが? 古代文明だからな」
「みんなー! お料理冷めちゃうよー!」
「そうだった!」
「食うべ」
「いただくとしよう……時にアズマ」
「んお? なんだ?」
「次の冒険の話だが、六欲天が新しい大陸への道を開いてくれることになったんだろ? イー・ズグラックの本体を倒した褒美として」
「ああ、そうそう。足がなー。船が必要になるんだよなあ」
「人魚の手でも借りちゃう? ロマお姉さまにお願いするとか」
「ロマ母さんかあ……。あの人だけずーっと若いんだよなあ……。俺はなにげに苦手なのだ……」
「人魚はロボを管理しているからな。人魚の保有する技術力は世界一だぞ?」
「船の管理なら任せとけ! リザードマン一族に代々伝わる技がだな……」
賑やかに盛り上がりながら、料理を平らげていく若者達。
だがそんな酒場へ、駆け込んでくる者があった。
「た、大変だーっ!! 空から、空から何かが!!」
「お?」
料理の残りを口に押し込んで、若者達が外へ飛び出す。
吟遊詩人はそれを、微笑みながら見つめていた。
「かくして伝説は次なる世代に受け継がれ……物語は続いていく。
いざ語らん。
新たなる英雄の物語を。
世界を開き、未知なる大地へと命をつなげる、新しき英雄の名は……」
外では早速、空から降りてきた者との戦いが始まっている。
「こいつが世界の外から来るって敵か! おら、みんな早速連携行くぜ!!」
「もちろん! いくよお! フタマタちゃん直伝、火の鳥!!」
「ミッタク師匠直伝、撃魔斬!」
「ヤレヤレ、師匠の名前を言わないといけない縛りかな? なら僕はオリジナルだ! 喰らえ、目からビームッ!!」
「一文字斬り!!」
「行くぜえ!! 完成版ッ無双三段ッ!!」
『火の魔ビーム一文字三段』
「うひゃー! また変な名前出たー!」
「まだまだ降ってくるぞ! よーし、めいめい、各個撃破! 無理だった連携な!」
「いつもの出たとこ勝負だな。陣形は?」
「インペリアルクロスで行くか!」
賑やかに、そして明るく、若者達は道を切り開く。
槍が、剣が、斧が、機械が、呪法が炸裂する。
そして、アズマの頭上に明るく輝くものが現れた。
「来たあっ!」
ピコーンっ!
電球の輝きが、世界を明々と照らし出す。
それこそ、英雄オクノが切り開いた未来を、さらに先へ先へと繋げていくための道標なのだ。
ピコーン!と技を閃く無双の旅!
~おわり~
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※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
連載お疲れ様でした!
最後までめっちゃ楽しく読ませて頂きました!
常にwktkが止まらないw
オクノの子達のストーリーも読んでみたいな、とちょっと希望してみたりw
素敵な話をありがとうございました( ´ ▽ ` )
ありがとうございました!
読んでスッキリできるお話を書こうと思っておりました。
お楽しみいただけたのなら幸い!
続きがちょっと欲しいなーくらいが、終わるちょうどいい塩梅なのかなと思っておりますw
完走おめでとうございます。
自分もピコーン!としてたあの頃を懐かしみつつ楽しく拝読させて頂きました。
ありがとうございます!
特定のゲームを遊んでた方は懐かしくなるような、そんなお話を目差しましたw
おもしろかったーー( ^∀^)
ありがとうございましたー!