ピコーン!と技を閃く無双の旅!〜クラス転移したけど、システム的に俺だけハブられてます〜

あけちともあき

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第五部:伝説編

177・閃け! 閃き合戦

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『喰らいやがれーっ!! 残り使用回数一回パーンチ!!』

 メリケンサックみたいなものを握りしめたコールが、シン・コイーワを思いっきり殴り飛ばす。
 すると、明らかに物理的におかしいだろってくらいの衝撃が打ち込まれたようだ。

『ウグワーッ!?』

 シン・コイーワが上空へとかち上げられる。
 頭上を見上げ、フロントが日向に合図を送った。

「行くぞ、マキ!」

「うん、フロントくん!」

「エスプレイドッ……!!」

 二人が声を合わせて叫ぶ。
 エスプレイダーに手を引かれ、空に上る日向だ。

「ラブラブ……!!」

 力を込めてラブラブって言うのな!

「ゼフィローーーーーーッスッ!!」

 エスプレイダーと日向が両手を繋ぎあい、回転しながらシン・コイーワへと突撃する!
 それは強烈な風をまとって、まるで一本の巨大な槍のようになった。

『なん……だと……!?』

 呻いたシン・コイーワの胴体に風穴が空いた。

 穴の向こうで、停止する二人。

『そ、そんな馬鹿な!! ウグワーッ!!』

 シン・コイーワが爆発した。
 ついに、敵はメイオーただ一人!

 だが……ここからが本番なんだよなー。

「メイオー! こいつを喰らえ!」

「ミヅチ!」

「我も攻撃するのである!」

 あっ、ジェーダイ、防御役が攻撃に回るのはフラグ……!

『がははははは! いいぞいいぞ、かかってこい!! 全てを受け止め……! 返してやろう! メイオー・ミキサーッ!!』

 オルカ、グルムル、ジェーダイの連携攻撃に、真っ向から突撃するメイオー。
 回転するメイオーが、三人をぶっ飛ばす。
 洒落にならない破壊力だ。並の連携じゃあ正面突破される。

 混沌の裁定者が、やたら防御力が高くてダメージを通せなかったり反射されたりするのに対し、メイオーは攻撃すると、それを上回る攻撃で捻り潰してくるのだ。
 ストロングスタイル過ぎて強い。

 俺との戦いの片手間で仲間達をぶっ飛ばしてくるので、まだまだ俺はこいつに及んで無いのだ。
 どこまで強いのだ?

「アミラ! ラムハ! みんなの回復を頼む! あと、タフネスに自信が無いやつは手を出すな! メイオーは手加減しないぞ!!」

『戦いで手加減をしたら失礼ってもんだからなあ! オレは! 常に! 全力!!』

 メイオーは俺達目掛けて、手刀を振り上げた。

『メイオー・レッド・レイン!』

 言うなればチョップ。 
 だが、一撃で衝撃波が巻き起こった。
 巻き込まれたらずたずたになるような強烈なやつだ!

「ワイドカバー!!」

 俺は慌ててこいつを受け止める。 
 うわあ、とんでもない破壊力だぞこれは!

『守ってばかりではオレに届かんぞ!! 守りの技はオレには通用しないからな!』

「全くだ」

 衝撃波を受け止めきったところで、俺は前進する。
 活路は前にしかない。

 メイオーとゼロ距離で殴り合うのが、勝つための最善手なのだ。
 俺がぶっ倒されるのが早いか、閃くのが早いか……!

「大木断!」

『かゆいかゆい!』

 俺が放った斧技を、肩口で受け止めるメイオー。
 筋肉に斧が刺さらないぞ!

「なんの! もう一発……」

 ピコーン!!
『薪割りダイナミック』

 来たっ!
 振り上げられた俺の斧が、高速でメイオー目掛けて連打される。
 薪を素早く割る要領で、斧による無呼吸連打みたいなのが邪神に叩き込まれた。

『ぬおおおおっ!?』

 これにはメイオーも驚き、技の威力も相まって少しだけ後ろに下がる。

『だが、この程度ではまだまだ! メイオークローッ!!』

 メイオーの指先が鈎状に曲げられ、俺に叩き込まれた。

「うお!? ブロッキングの上からダメージをねじ込んでくる!! ならば今度は槍で!!」

 ピコーン!!
『流星衝』

 槍が輝きながら、メイオーの腹に叩き込まれる。

『ぬおう!』

 一瞬、メイオーの巨体が浮いた。

『オクノ……! オレと同じタイプならオレの圧勝と思ってたが、お前はあらゆる武器を使いこなすタイプか! がははははは!! 面白い! 使えるものをなんでも使って、俺に抗ってみせろ!』

「おう! 最高速度でお前に追いつくぞ……! ビッグブーツ!」

 メイオーの腹を蹴る。
 すると、俺のほうが後方にぶっ飛ばされた。
 だが、これは計算の内!

 弓を装備して、メイオーに照準を合わせる。

「閃け!」

 ピコーン!
『イヅナ』

 放たれた矢が、まるで獣のようなオーラを纏う。
 これは、幻獣術と組み合わさった呪法技か!

『うおおおおっ!?』

 これを受けて、さしものメイオーも後退した。
 段々、俺の攻撃が通用するようになってきているな。
 俺と奴の差が縮まって来ている。

『おお、嬉しいぞオクノ! お前は必ずオレに追いついてくると思っていた! 長い間感じることのなかったこの感覚……。オレもまた、閃く……!』

「なにいっ!!」

 予想通りではあっても、この戦いにおいて一番危険な状況だ。

 あのメイオーが、閃いてさらに強くなる。
 分かってはいても、衝撃がある。

 俺の目には見えた。
 メイオーの頭上に出現した、巨大な電球を。
 それが、

 ピコーン!!
 と音を立てて灯る。

『メイオーの断頭台』

『がははははは!!』

 メイオーの姿が一瞬で消えた。
 そして、俺の前に現れる。

 速い!
 ブロックングしようとした俺を、それ以上の速度で捕捉され、空へとかち上げられる。
 跳躍したメイオーの膝が俺の喉に当てられ、そのまま大地に向けて急速落下……!

 やばい、こいつはやばいぞ!!

「オクノーっ!!」

「オクノくん!」

「オクノさーん!!」

 ラムハの、アミラの、カリナの絶叫が聞こえる。
 ミッタクとイクサは、全力でこっちに走ってきている。俺を助けようというのだ。
 だが、これは間に合わない……!!

 やべえ、やっぱり俺の子供とか妹とかは死亡フラグだったのか……!?

「こ、こなくそー!!」

 俺は全力で、メイオーに抗った。

 すると、耳元で声がする。

『あなたはそういうフラグを立てても、へし折れるような仲間達をたくさん作ってきたでしょう。ようやく間に合いましたよ、彼が』

 ハームラの囁きだった。

 彼女は、地上で俺を見上げ、微笑んでいた。
 そしてハームラの横に空間の穴のようなものが開き、誰かが飛び出してくる。
 場所は俺の真下……!

「ようやく間に合ったぞ。余もまた、お前の友。いやと言っても力を貸させてもらう!! 流星剣!!」

 聞き覚えのある声とともに、俺の周囲に無数の光線が放たれた。
 それは、俺ごとメイオーに叩きつけられていく。

 慌ててブロッキングする俺。

『ぬおおおおおっ!? オレの技を破るだとぉぉぉぉっ!?』

 メイオーの足が俺の喉から離れた!

 俺は奴を蹴り飛ばし、背中から落下した。
 ふう、危うく死ぬところだったぜ。

「久しいな、オクノ」

 俺に手を差し伸べたのは、金髪碧眼の美丈夫だった。
 俺はそいつの手を取る。

「遅かったじゃないか、ファイナル皇帝」

「なに。主役は遅れて来るものだ」

 その隣に、口笛なんか吹きながらコールが並ぶ。

『お? 役者は揃った感じ? オクノもメイオーと拮抗したようだし、そろそろかね』

「ひとまず無事で良かった」

 イクサが到着し、ミッタクが俺の背中をひっぱたく。

「お前死ぬところじゃん!! 気をつけろよなー!! うちがお前に勝つ前に死ぬなよ!」

「ああ、悪い悪い」

 最後に、仮面のヒーローがここに加わった。

「では、決め時だな? この六人でやるのか」

 エスプレイダーだ。

 体勢を立て直すメイオーの前で、立ち向かうのはオクタマ戦団と、俺の友達、合計六人。


 新帝国が産み出した、最強の皇帝ファイナル。
 かつてメイオーを倒した、英雄神コール。
 剣の天才にして、俺の親友たるイクサ。
 六欲天の教え子、女子チーム最強ミッタク。
 古代文明から来たヒーロー、エスプレイダー。

 そして、俺だ。
 なんか、新たな時代の英雄だって言われてるこの俺、オクノ・タマガワ。

「よし、ここで六欲天も使っちゃおう」

 俺はそう呟きながら、身構えた。

 仲間達もまた、戦闘態勢に入る。

 対するはメイオー。

 両腕を広げ、俺達に掴みかからんとする体勢で、実に嬉しそうに笑う。

『ああ……オレが今まで戦ってきた中で、間違いなく最強の相手がお前らだ。オレは嬉しい……!! 嬉しくてたまらない……! さあ、やってみせろ。この俺を倒して見せろよ!!』

 最終決戦、ついに最終段階!
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