ピコーン!と技を閃く無双の旅!〜クラス転移したけど、システム的に俺だけハブられてます〜

あけちともあき

文字の大きさ
上 下
174 / 181
第五部:伝説編

174・地底渓谷と大神殿

しおりを挟む
 出航した、ホリデー号サブマリン。
 甲板を覆うのは、卵状にカーブしたカバーパーツ。
 これが透けてて、海の中が見えるんだ。

 真っ青な世界!
 泳ぎ回るお魚……いや、ホリデー号にびっくりして逃げ惑う魚たち。

 まあ絶景である。

「潜ったのはいいのですが、どこに行けばいいのですか?」

 グルムルからもっともな質問が来た。

「ちょっと待っててくれ! 僕がタクティカル・アイで調べる」

 タカフミがグルムルの隣に立ち、目を閉じる。
 そして何かぶつぶつ言い始めた。

 あいつはものの見方を、自分の肉体から離れてマップを見下ろすみたいな状態に変えられる。
 ホリデー号から遠く離れて、周辺を見回しているんだろう。

「あった! このまま真っ直ぐ、陸伝いに行けば大きな横穴がある!」

「了解です!」

 グルムルが舵輪を回した。

 ゆっくりと弧を描きながら、ホリデー号が進む。
 その先に、確かに船がまるごと通り抜けられる巨大な穴が空いていた。

 ホリデー号が入ろうとすると、そこに張られていたらしい結界が抵抗を始める。

「イーサワ、これは何とかなるの?」

 ホリデー号サブマリン建造をずっと見ていたイーサワだ。
 この船の構造に詳しいのではないか。

「ええ。これはですね……、あ、ちょっと離れて……」

「ええー」

 ムチムチした人魚さん、まだいたのか!!
 当たり前みたいな顔してイーサワにくっついてたのだ。

「船の先端に、結界を破る装置がついていたはずです。起動には、このメインマストから呪力を送り込むわけです。このように」

「マストにハッチがついてた!」

 ぱかっと、マストの一部が開く。
 そこに、金属の板が現れた。
 なるほど、ここに手を触れるわけだな。

「よーし、じゃあ俺がやるか」

「私もやる」

 俺とイーサワの間に、ラムハが入ってきた。

「お姉さんも! だってオクノくんが呪力を使っちゃったら後に差し支えるでしょ」

「ううーっ! わたしは呪法が使えないので!」

 アミラの言葉に、カリナが悔しそうだ。
 だが、ここでイーサワがいい事を言った。

「呪力とは、誰もが少しずつ持っているものです。みんなで呪力を使っていきましょう」

「その手があったか!」

 ということで。
 オクタマ戦団全員集合なのである。

 まずはイクサとアリシア。

「少しだけ指先が冷たくなる感じがするな」

「不思議です。でも、イクサヴァータ様と一緒だとなんだか特別なことをしているみたいで、わたくしは好きです!」

 ラブラブしている。

 次に、オルカとグルムル。

「ほう、吸われるのはちょっとだけなんだな」

「我々もあまり呪力を使いすぎるわけにはいきませんからね」

 そしてジェーダイ、イーサワ。

「ふむ。これは古代文明の頃の技術であるな? だが、ここまで平和的に呪力を集める装置は知らないのである」

「古代文明が崩壊した事を反省して、生き残った方々が改良を加えた技術なのかも知れませんね」

 フロントと日向は、手のひらを重ねて当ててきた。

「よし、俺の呪力を吸え……! そしてあの結界を破るのだ!」

「フロントくん、吸わせすぎたらだめだよー!」

 シュウスケとマナミ、なんかいちゃいちゃしながら触れた。

「なんか実感が無いけどさあ。俺らが呼ばれた時に聞いてた、邪神メイオーとの最終決戦なんだよな」

「うんうん。でもでも、あたしはシュウスケと一緒になれてよかったなーこの世界」

 ロマとシーマがやってくる。

「どれどれー? ひゃー、なんかくすぐったいねえ、呪力を吸われるっての!」

「思ったよりも大したことないのじゃな? だが、オクタマ戦団はこの人数じゃからのう」

 明良川とタカフミの番だ。

「あたしは戦いませんからー」

「ハハッ、ワロス。明良川そう言って絶対出てくるだろ。僕は様々な作品からそういうのを学んでて詳しいんだ」

「あたしはマンガのキャラじゃねえー!」

 そして俺……と思ったら、わーっと女子達が詰めかけてきた。

「戦えない分はこれで!! うりゃー!!」

 これはルリア。

「わふーん」

 フタマタは両前足を板にくっつけた。

「どれどれ? あー、まあまあ冷たいね。でも、うちが知ってる北の氷の冷たさはこんなもんじゃ……」

 ミッタクが何かぶつぶつ言ってる。

「えいっ! わたしでも、呪力の助けになれば!」

 カリナが元気よくタッチする。

「オクノくん、最後の戦いいくわよ!」

 アミラがこっちを振り返りながら板にタッチ。

「オクノ!」

 ラムハはそれだけ言って、板に触れながらじっと俺を見た。

「おう」

 俺も彼女の手の上に、自分の手を重ねる。
 かくして、結界破り装置が発動する。

 ホントは俺が外に出て、結界を殴って破ればいいんだが……。
 つまりは、俺を消耗させないようにしたいというのがイーサワの狙いなのだろう。

「……あれ? ダミアンGは?」

『ピピー。ワタシハホラ、呪力ヲモラウ方専門ナノデ!』

 こいつう。
 ダミアンを小突いていたら、ホリデー号が結界に突撃していた。
 一瞬だけ拮抗し、船全体に揺れが走る。

 だが、次の瞬間には、水中に響き渡る破裂音とともに結界が砕け散っていた。

 突き進むホリデー号。
 結界の中へと流れ込む海の水に乗って、どこまでもどこまでも。

「明らかに周囲が暗いのに、割と見えるもんだな」

「余った呪力を明かりに回してるんです」

 ほら、とイーサワが船の前方を指差す。
 なるほど、サーチライト的な明かりが。

 そして、ぐんぐん進んだホリデー号は、ついに穴の最奥までたどり着いた。
 結構な速さだったな。

「浮上します」

 グルムルが報告してくる。
 そこは竪穴になっており、これをホリデー号が浮上していく。
 頭上には光が見える。

 外か?
 と思ったら、浮かびきってみたら、そこは地下だった。

 アホほど広大な地下空間。
 空がきらきらと光っている。

 ……あの空、もしかして砂漠か?
 砂漠を陽の光が透過している?
 どういう構造なんだ。

 船のカプセルが開いていく。
 この地下空間の空気は普通に呼吸できるんだな。

 わいわいと、船から降りていく俺達。
 ここが最終決戦場なのだ。

「遠くにでかい神殿があるなあ。あれがイシーマ大神殿?」

「そうじゃ。あれはあれで、仕掛けに満ちた面白いところなのじゃが……まあ、もう使うこともあるまいよ」

 シン・コイーワやキー・ジョージは、古代遺跡の力を使って俺達に挑んできた。
 だが、メイオーは基本的に体一つでしか戦わないので、遺跡の力に頼ることがないのだ。

「で、どうやってメイオーを呼べばいい」

「おぬしはもうメイオー様と繋がっておる。オクノが、準備が終わったと言えばメイオー様がいらっしゃるじゃろう」

 シーマ、ちょっと不安げだな。
 自分の創造主と戦うわけなので気持ちは分かる。

 だが、こいつが最後まで俺達の側についていたということは、親離れするつもりがあるということなのだろう。
 土壇場で裏切ったり……はないな、うん。
 裏切っても裏切り者ごと粉砕するのがメイオーだろうし。

「よーし、じゃあ、メイオーを呼びまーす」

 仲間達に宣言すると、めいめい適当な感じの返事が戻ってきた。

 俺は神殿の方向を見て、息を吸い込んだ。

「準備は終わったぞ! やろうぜ、メイオー!」

 すると。
 俺の呼びかけに応えて、目の前の空間にいきなり亀裂が入った。

 そこから手が伸びてきて、空間を砕きながらその全身を現す。

『早かったな』

 メイオーがやって来た。
 本当に呼んだら来たな!

 これを知らなくて、どこかで適当にメイオーを呼ばなくて本当に良かった。
 その場所が更地になっちゃうもんなー。

 メイオーの姿は以前とは変化している。
 体は一回り大きくなり、全身に黒い炎のような模様が浮かんでいる。

『いやあ、世界中で戦いが起こっているお陰で、オレはすこぶる調子がいい。お前も絶好調のようじゃないか。なあ』

「まあな。割と俺はいつでも好調だ」

『結構!』

 メイオーが歯を見せて笑う。

『では、世界を賭けた最後の勝負を始めようじゃないか、オクノ!』

 さあ、ラストバトル、スタートだ!
しおりを挟む
感想 92

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

処理中です...