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第五部:伝説編
170・俺、先代英雄と話す
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『俺の時代にはなあ……。古代文明の世紀末っていうの? なんかそういう感じで、めちゃくちゃ治安が悪かったんだよ』
「ほうほう」
英雄神コールを囲んで宴会みたいなことをしている俺達である。
メインディッシュはクラーケンな六欲天を使ったイカ焼き。
美味い。
『メイオーが暗黒魔塔バブイルを建造してな? 世界の人間の半分がそこに閉じ込められて、ばかでかい塔の中でディストピアライフをしてたんだ。で、そこに俺が召喚されたんだが、異世界召喚のチートが無くてなあ……。普通の大学生に何を求めてるんだか。スマホもなくなってるし、連絡は取れないし、めちゃくちゃ困った』
「スマホ? もしかしてコール、俺らと生きていた時代が近い?」
『おう、俺は2016年の大学生だった。お前らはその数年後くらい?』
「うむー」
ここで、タカフミがメガネをきらーんと光らせた。
「ああ、知ってるよ! 大学生失踪事件があったじゃないか。近くの大学で、大学二年生の古里学が、突然研究室で消失したという事件。大勢の目の前で消えたので騒ぎになったけど、男子生徒だったのでまあ2日でその話は消えたよね」
せちがらいなあ。
まあ、男子は話題にならないからねえ。
『ああ、それそれ! 俺が古里だよ! なーんだ、君ら、同じ市の高校生? そうだったのかー。なんであそこばっかりから召喚されるんだろうなあ』
「召喚したの、わし、わし」
シーマが自分を指差している。
『そうなの? 俺はね、なんかメイオーに対するレジスタンスってのに召喚されてさ。最初は拳銃とナイフだけでモンスターと戦うのよ。死ぬかと思ったわ。だけど知ってる? ステータスって店で買えるんだよ。俺にしか見えないし、俺にしか買えないけど』
「一体何を言ってるんだ君は」
俺が冷静に突っ込んだ。
仲間達も頷く。
店でステータスが売ってるとか。
『いやね、俺だけレベル制じゃなかったわけよ』
「俺と同じかあ」
『オクノはあれだろ? 閃いた技の数だけ強くなるだろ? 俺は店で売ってるステータスを使用する度に強くなるんだ。だから、ガンガン次の街、次の街って旅をして、ステータスを上げて装備を更新して突き進んだ。仲間になあ。超エロい格好のエスパー娘とモンスターとドラム缶ロボがいてなあ。そうそう、これみたいなの』
コールがダミアンGを指差した。
すると、ダミアンがブルブル震えているではないか。
『エッ!? ナ、ナンデココニこーるガイルンデスカ!? アナタモウ死ンダハズジャナイデスカー! アナタノ遺産デだーくだいやもんどヲ作ッタノニー!』
『あれ!? もしかして張本人!? うわー、懐かしいなあ! ともにメイオーと戦ったじゃないか三等兵!』
「ダミアンが元コールの仲間だと……!? そして三等兵とは」
『ロボット三等兵』
「古っ」
『ソ、ソノ名前デ呼バレルノダケハ嫌ダッタノデス……!! ナンカ超弱ソウジャナイデスカー!』
色々繋がっていた。
ちなみに、ダミアンの記憶はメイオーの攻撃によって大半が失われているらしい。
だから、コールが出現するまで、ダミアンGは曖昧な思考のまま稼働していたのだ。
「フロント、知ってた?」
「むっ」
振り向いたら、こいつ、日向にあーんしてもらってやがった。
慌ててサッと手を下ろす日向と、口を開けたままのフロント。
「何の話だ?」
「別にいちゃついてもいいぞ! ええとね、フロントはダミアンGが、英雄コールの仲間だったって知ってた?」
「いや、知らなかったな。そいつは俺が追い続けたダークダイヤモンドの首領だ。それがかつて神を倒した英雄の遺産を元にして作られた組織だったとはな……。因果は回るものだ……!」
なかなかかっこよく言っているが、要は全然知らなかったという話である。
そうかあ。
全ては目の前にいる、世界観が違う男、英雄コールから始まったのだな。
『うまいうまい』
コールはむっしゃむしゃとイカを食っている。
『他の2つ目の世界なあ。まともな食事が無いんだよ。合成食ばかりの毎日で気が滅入るかと思ったぜ……』
『でもコールは神様だから食事しなくていいのではないのですか?』
『そりゃお前、食事しなきゃ心の栄養が補給できないだろう。俺が食ってうんこすると、凄い肥料が生まれるんだぞ? いいこと尽くしなんだ』
「ちなみに団長」
ここでジェーダイが発言した。
「我とかフロントは、英雄コールの遠い子孫であると言われているのである。そのコールにまさか本当に会えるとは……感無量である……」
「へえー。じゃあ親戚みたいなものか」
『俺、あちこちで子供を作ったからね!』
「世界中ハーレムにしてたんじゃないかこいつ……?」
英雄コールはダメなやつなのでは疑惑が浮かび上がってきた。
『だからこそ、俺はこの世界を救うというモチベーションがある。だが、英雄オクノ。あの邪神はさらに強くなってるんだ。今の俺でも恐らく歯が立たない。もともと歯が立たないのをメタにメタって倒したんだが』
「ははあ。それで、俺達に手を貸すために英雄神コールがやって来たと」
『そういう事だぜ! ともにメイオーを倒そう!』
「よし、そういうことなら俺もコールを受け入れる。あと俺の嫁達には手を出すなよ。神と言えど全力で戦うぞ」
『ハハハ』
「ハハハじゃねえー!」
「オクノ。やはりコールは強いのか? 俺の剣が通じるかどうか試してみたい」
ここで、戦闘民族イクサがやる気になった。
隣では、「神様に戦いを仕掛けるのですか!? イクサヴァータ様、どうぞご武運を……」とか止めるのかと思いきやめちゃくちゃ発破かけてるアリシアもいる。
『ほう、俺とやりあうつもりかい? だが……一介の剣士程度では歯が立たないと知ることだね。どれ、宴の余興に立ち会ってあげよう』
「ああ、感謝する」
ということで!
英雄コールvsイクサの余興な勝負が始まったのである!
「地擦り残月!!」
『参った!!』
あっ、終わった!!
拳銃を抜いてガンガン撃つコールだったが、あっという間に戦に間合いを詰められて、剣でポカポカ殴られて参った発言をした。
イクサは殺す勢いで攻撃してたと思うが、コールは大したダメージではないようだな。
そしてコールの攻撃はイクサに当たらなかった。
『いやー、無理。この人、人間やめてるでしょ。無理だわー。俺のステータス上限255なんだよね』
ファミコン時代かな?
『一対一じゃなかったら勝てるけどなあ』
コールの言葉に、うちの戦団はドッと沸いた。
ジョークだと取られたのかもしれないが、タカフミは真面目な顔で頷いている。
「オクノ氏、この英雄の真価は間違いなく、人間を超えた奴と戦った時に発揮されるな。このアホのようなタフネスと、あらゆる状況に対応する武器の数々。人外専用だぞ、英雄神コール」
「なるほどー。的がでかいか、相手が人間離れするほど戦えるようになるんだな」
イクサ相手に、手も足も出なかったように見えた。
だが、その気になれば、コールはこの船ごとパンツァファウストで粉砕することもできるのだ。
つまりは、そういうスタイルの戦士だってことだ。
「んじゃあ、改めて英雄神コール。よろしく。あんたが来たということは、そろそろ最終決戦なんだろ?」
『こちらこそよろしく、新たなる時代の英雄よ。まあそうなるだろうね。ハームラがバッチリタイミングを合わせて俺を呼んでくれたから』
「頼りにしてるぜ」
『頼られるとしよう!』
俺とコールで、わっはっは、と笑う。
これを見て、ラムハが呆れてつぶやくのだ。
「なんだかオクノが二人に増えたみたい」
「ほうほう」
英雄神コールを囲んで宴会みたいなことをしている俺達である。
メインディッシュはクラーケンな六欲天を使ったイカ焼き。
美味い。
『メイオーが暗黒魔塔バブイルを建造してな? 世界の人間の半分がそこに閉じ込められて、ばかでかい塔の中でディストピアライフをしてたんだ。で、そこに俺が召喚されたんだが、異世界召喚のチートが無くてなあ……。普通の大学生に何を求めてるんだか。スマホもなくなってるし、連絡は取れないし、めちゃくちゃ困った』
「スマホ? もしかしてコール、俺らと生きていた時代が近い?」
『おう、俺は2016年の大学生だった。お前らはその数年後くらい?』
「うむー」
ここで、タカフミがメガネをきらーんと光らせた。
「ああ、知ってるよ! 大学生失踪事件があったじゃないか。近くの大学で、大学二年生の古里学が、突然研究室で消失したという事件。大勢の目の前で消えたので騒ぎになったけど、男子生徒だったのでまあ2日でその話は消えたよね」
せちがらいなあ。
まあ、男子は話題にならないからねえ。
『ああ、それそれ! 俺が古里だよ! なーんだ、君ら、同じ市の高校生? そうだったのかー。なんであそこばっかりから召喚されるんだろうなあ』
「召喚したの、わし、わし」
シーマが自分を指差している。
『そうなの? 俺はね、なんかメイオーに対するレジスタンスってのに召喚されてさ。最初は拳銃とナイフだけでモンスターと戦うのよ。死ぬかと思ったわ。だけど知ってる? ステータスって店で買えるんだよ。俺にしか見えないし、俺にしか買えないけど』
「一体何を言ってるんだ君は」
俺が冷静に突っ込んだ。
仲間達も頷く。
店でステータスが売ってるとか。
『いやね、俺だけレベル制じゃなかったわけよ』
「俺と同じかあ」
『オクノはあれだろ? 閃いた技の数だけ強くなるだろ? 俺は店で売ってるステータスを使用する度に強くなるんだ。だから、ガンガン次の街、次の街って旅をして、ステータスを上げて装備を更新して突き進んだ。仲間になあ。超エロい格好のエスパー娘とモンスターとドラム缶ロボがいてなあ。そうそう、これみたいなの』
コールがダミアンGを指差した。
すると、ダミアンがブルブル震えているではないか。
『エッ!? ナ、ナンデココニこーるガイルンデスカ!? アナタモウ死ンダハズジャナイデスカー! アナタノ遺産デだーくだいやもんどヲ作ッタノニー!』
『あれ!? もしかして張本人!? うわー、懐かしいなあ! ともにメイオーと戦ったじゃないか三等兵!』
「ダミアンが元コールの仲間だと……!? そして三等兵とは」
『ロボット三等兵』
「古っ」
『ソ、ソノ名前デ呼バレルノダケハ嫌ダッタノデス……!! ナンカ超弱ソウジャナイデスカー!』
色々繋がっていた。
ちなみに、ダミアンの記憶はメイオーの攻撃によって大半が失われているらしい。
だから、コールが出現するまで、ダミアンGは曖昧な思考のまま稼働していたのだ。
「フロント、知ってた?」
「むっ」
振り向いたら、こいつ、日向にあーんしてもらってやがった。
慌ててサッと手を下ろす日向と、口を開けたままのフロント。
「何の話だ?」
「別にいちゃついてもいいぞ! ええとね、フロントはダミアンGが、英雄コールの仲間だったって知ってた?」
「いや、知らなかったな。そいつは俺が追い続けたダークダイヤモンドの首領だ。それがかつて神を倒した英雄の遺産を元にして作られた組織だったとはな……。因果は回るものだ……!」
なかなかかっこよく言っているが、要は全然知らなかったという話である。
そうかあ。
全ては目の前にいる、世界観が違う男、英雄コールから始まったのだな。
『うまいうまい』
コールはむっしゃむしゃとイカを食っている。
『他の2つ目の世界なあ。まともな食事が無いんだよ。合成食ばかりの毎日で気が滅入るかと思ったぜ……』
『でもコールは神様だから食事しなくていいのではないのですか?』
『そりゃお前、食事しなきゃ心の栄養が補給できないだろう。俺が食ってうんこすると、凄い肥料が生まれるんだぞ? いいこと尽くしなんだ』
「ちなみに団長」
ここでジェーダイが発言した。
「我とかフロントは、英雄コールの遠い子孫であると言われているのである。そのコールにまさか本当に会えるとは……感無量である……」
「へえー。じゃあ親戚みたいなものか」
『俺、あちこちで子供を作ったからね!』
「世界中ハーレムにしてたんじゃないかこいつ……?」
英雄コールはダメなやつなのでは疑惑が浮かび上がってきた。
『だからこそ、俺はこの世界を救うというモチベーションがある。だが、英雄オクノ。あの邪神はさらに強くなってるんだ。今の俺でも恐らく歯が立たない。もともと歯が立たないのをメタにメタって倒したんだが』
「ははあ。それで、俺達に手を貸すために英雄神コールがやって来たと」
『そういう事だぜ! ともにメイオーを倒そう!』
「よし、そういうことなら俺もコールを受け入れる。あと俺の嫁達には手を出すなよ。神と言えど全力で戦うぞ」
『ハハハ』
「ハハハじゃねえー!」
「オクノ。やはりコールは強いのか? 俺の剣が通じるかどうか試してみたい」
ここで、戦闘民族イクサがやる気になった。
隣では、「神様に戦いを仕掛けるのですか!? イクサヴァータ様、どうぞご武運を……」とか止めるのかと思いきやめちゃくちゃ発破かけてるアリシアもいる。
『ほう、俺とやりあうつもりかい? だが……一介の剣士程度では歯が立たないと知ることだね。どれ、宴の余興に立ち会ってあげよう』
「ああ、感謝する」
ということで!
英雄コールvsイクサの余興な勝負が始まったのである!
「地擦り残月!!」
『参った!!』
あっ、終わった!!
拳銃を抜いてガンガン撃つコールだったが、あっという間に戦に間合いを詰められて、剣でポカポカ殴られて参った発言をした。
イクサは殺す勢いで攻撃してたと思うが、コールは大したダメージではないようだな。
そしてコールの攻撃はイクサに当たらなかった。
『いやー、無理。この人、人間やめてるでしょ。無理だわー。俺のステータス上限255なんだよね』
ファミコン時代かな?
『一対一じゃなかったら勝てるけどなあ』
コールの言葉に、うちの戦団はドッと沸いた。
ジョークだと取られたのかもしれないが、タカフミは真面目な顔で頷いている。
「オクノ氏、この英雄の真価は間違いなく、人間を超えた奴と戦った時に発揮されるな。このアホのようなタフネスと、あらゆる状況に対応する武器の数々。人外専用だぞ、英雄神コール」
「なるほどー。的がでかいか、相手が人間離れするほど戦えるようになるんだな」
イクサ相手に、手も足も出なかったように見えた。
だが、その気になれば、コールはこの船ごとパンツァファウストで粉砕することもできるのだ。
つまりは、そういうスタイルの戦士だってことだ。
「んじゃあ、改めて英雄神コール。よろしく。あんたが来たということは、そろそろ最終決戦なんだろ?」
『こちらこそよろしく、新たなる時代の英雄よ。まあそうなるだろうね。ハームラがバッチリタイミングを合わせて俺を呼んでくれたから』
「頼りにしてるぜ」
『頼られるとしよう!』
俺とコールで、わっはっは、と笑う。
これを見て、ラムハが呆れてつぶやくのだ。
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