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第四部:送還編

123・俺、復活した神官シーマと遭遇する

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 ミッタクに案内された、凍れる城への道程はまあまあ平穏だった。
 今さら、氷を纏った狼のモンスターの群れが出ても大した問題ではない。

「わん、わおーん!」

「おおっ、フタマタ、ファイアレインなどという呪法をマスターしていたのか……。氷の狼を一掃とは」

「わんわん!」

 フタマタも強くなっているなあ。
 ちなみにモンスターであるフタマタだが、他のモンスターを倒してその呪力を吸収することで成長するシステムのようだ。
 ロボットのダミアンGが装備をランクアップさせるほど強くなるのと同様、独特だな。

『私ノ噂ヲシマシタカナ?』

「うわっ、赤い毛むくじゃら!! と思ったら毛皮を纏ったダミアンGじゃないか。噂してないよ。俺の脳内を読むなよ」

 なんか毛皮を着てから口調がちょっと違うし、頭にプロペラは装備されてるし、ダミアンGの毛皮装備は実はバージョンアップだったりするのだろうか。

『ソウデシタカ! マア、イツデモ私ノ噂ヲシテイイノデスゾ!』

 なんだその語尾は。

「不思議と、奴の纏う悪の気配が薄れた気がするな……!」

 ヒーローはヒーローで、ダミアンGを見ておかしなことを言っているし。
 こいつ、バイキングの里で子ども達に囲まれ、こっそり変身を見せたりかっこいいポーズを教え込んだりしていたのだ。
 俺は見ていたぞ。

 イクサはその甘いマスクから(ごく初期は)女子受けがいいが、フロントは大体常に子供受けがいい。
 本人も子ども大好きっぽい。

「ギャップだよね……」

 日向が先行していくフロントを見て、なんか嬉しそうに言う。

「なんだ日向、フロントが好きなの?」

「多摩川くんデリカシーってものが無さすぎじゃない?」

「よく言われる気がする」

 というか、日向とフロントは基本的に仲がいい。
 俺はそういうのに敏感だから、絶対こいつらできてると思ってるぞ。

「おい明良川」

「ひえっ、何よ。またあたしに無茶な仕事させる気?」

「させてないだろう。せいぜいリザードマンと一緒にマストのてっぺんで見張りをさせただけだ」

「あんな高いところから落ちたら普通死ぬでしょ!!」

 俺達はもうHP制になってるから死なないけどな。

「それはそうと、日向とフロントの事をどう思うかね……」

「マキと、あのなんか昭和って感じの男と? ああ、あの二人は両思いね。間違いないわ」

「やはり」

「表向きは出さないようにしてるけど、伊達にあたし、五人くらい彼氏を作ってきてないから」

「お前、もしや経験豊富……?」

「ふっ、小学生の頃から彼氏が途切れたことないから!」

「まあ待て。だが小学校高学年から付き合ったとすると、一人あたり一年くらいしか続いてないのでは?」

「うっ」

 明良川が凄い顔をした。

「と、とにかく多摩川は他人の色恋に興味あるんでしょ。いいわよ。あたしが内偵してあげるわ。だから夕飯のグレードちょっと上げて」

「良かろう……」

 契約は成立した。
 これから明良川の夕飯は、ちょっと盛りが多くなる。

 ちなみに勝手に先行したフロントは、襟首をミッタクに掴まえられ、叱られている。

「危険な罠にはあえて踏み入って正面突破するべきでは」

「周りが迷惑かかるんだよ! お前やうちみたいな頑丈な奴ばっかじゃないんだから!」

「なに、俺が守護まもらねばならぬ……」

「こいつ話が通じねえ! おい、お前! こいつの保護者だろ? ちゃんと見てろ!」

「はいはーい」

 日向がスキップしながらフロントを迎えに行った。
 フロントも、日向の前だと大人しくなるな。

 ということで、大体問題は無かった。

 道中、ルリアとカリナがミッタクとお喋りしながら歩いたりしている。
 あの三人は精神年齢が近い……というかほぼ一緒らしく、あっという間に仲が良くなった。
 今度三人で模擬戦しようぜ、という話になっているから、平均的な女子の会話ではないが。

 こうして何日かの雪中行軍が終わり、ついに目的地が見えてきた。




 それは、巨大な氷の海だ。

「ようこそ。ここが世界の果て。世界全ての最も北にある場所だ」

「つまり、ここがキョーダリアス世界の北極ってわけか」

 なるほど、寒い。
 俺達みんな、モーフルの毛皮でもこもこに着込んでいるからそうでもない。
 あとは呪法をほどよく使い、風を和らげたり火をおこしたりしている。

 何の備えもなければ、ここまでは辿り着けないだろう。

 ミッタクは氷の海の向こうを指差した。
 そこからは、巨大な三角錐の何かが突き出している。

「あれが凍れる城?」

「そうだ。だが、あれの近くは見えねえ壁に阻まれててどうしようもない。だから、みんな見てるだけなんだよ。すげえお宝が眠っていると言われているんだけど」

「それは楽しみですね!」

 同行してきているイーサワのテンションが上った。
 頭の中では、金勘定を始めていることであろう。

「なんだよ。あそこに入れる自信があるのか? いや、その顔はあるんだろうな」

 ミッタクが勝手に合点している。
 だがその通りだ。
 いつもの結界が張られているということだろう。

「よーし、じゃあ日向、明良川、行くぞ」

「うん」

「は? なんであたし? なんで? ただの船員が先頭に?」

「なんだ、さっきの夕飯グレードアップじゃ足りないのか、このいやしんぼめ。よーしよし、帰ったらデザートに果物を一つつけてやる」

「行くぅ。果物のためなら行くぅ」

 すっかりうちの船の暮らしに慣れてしまった明良川である。
 俺達三人と、何故かついてきたイクサとで結界に向かう。

 仲間達はちょっと離れて、俺達に続く。

 やがて、結界に触れられる場所まで来た。

「よっしゃ、やるぞ。構え!」

 ここで明良川を一時的にパーティに入れておく。


名前:明良川ゆずり
レベル:58
職業:双属性の呪法使い

力   :47
身の守り:135
素早さ :120
賢さ  :160
運の良さ:150

HP455
MP634

炎の呪法40レベル
水の呪法40レベル
魔人変身

★炎の呪法
◯ヘルファイア◯ファイアボール◯ファイアブランド
◯ファイアゲイザー◯ファイアストーム
★水の呪法
◯ミスト◯ウォーターガン◯シンク
◯コールレイン◯ゲイザー
★炎、水複合
◯ハイドロバスター


 人格が伴ってないが強い。
 危険なタイプだな!
 魔人変身とか残ってるし!
 元七勇者だしな。

「では、俺に合わせて一斉攻撃。よろしい?」

「うん」

「ほーい」

「よかろう」

「……」

 明良川が、じーっとイクサを見た。

「ねえ、この人、こっちの世界の人でしょ。結界って聞いた話だと、あたし達異世界から来た人間じゃないと把握できないんじゃないの?」

「その通りだ。だが、イクサはなんとなく当たりをつけて認識できないものにも攻撃できる」

「そんなデタラメな……!!」

 ということで攻撃開始なのだ。

「シャイニングウィザード!!」

「千手観音!」

「ファイアブランド!」

「月影の太刀!」

『シャイニング千手ブランドの太刀』

 ブランドの太刀かあー。
 意味が重複してますなあ。

「なっ、なにこれ!?」

 明良川が混乱している。 
 脳内に響くへっぽこな技名、慣れないと戸惑うよな。

 そして結界は砕け散った。

 凍れる城の姿が、急にはっきりする。

 それは、真っ青なクリスタルのようなものでできた、巨大な城だった。
 あれが混沌裁定者に関係したおぞましい遺跡だと知らなければ、メルヘンチックな建物に見えることだろう。

「ようやく来たか、オクノよ」

 突然横合いから声がかかった。
 イクサが反応する。

「飛翔斬!」

「イビルウォール!」

 邪の呪法っぽい力で作られた、赤オレンジで禍々しい光の壁がイクサの斬撃を食い止める。
 そこに立っていたのは……。

「あれ? 誰だっけ?」

 明らかに日本人っぽい見た目の女がいたけど、名前は忘れた。
 髪が長くて、明良川と同じくらい性格が悪そうな顔で。

「多摩川くん、アオイだよ! 西府アオイ!」

「あ? お? おーおーおー! そんなやつクラスにいたな。ほぼ没交流だから全く馴染みがないけど」

「なんじゃ、お主の仲間ではないのか? ま、召喚された場所でお主を殺そうとした一人じゃからのう。親しくする言われなぞあるまいな」

 なんか、アオイは古風な言葉遣いをして、うけけけ、と笑った。

「このパターン。もしやおたく、メイオーの神官のシーマ? この間、五花を逃した」

「おう! 察しが良くて助かるのじゃ! いかにも、わしはシーマ。かつてお主らに殺された、メイオー様の神官の一人」

 うちの団の全員が戦闘態勢に入った。
 瞬殺モードである。

「……の残り滓じゃ。正直、今のイクサの攻撃を受け止めるだけで精一杯じゃ。今のわしは弱いぞ。一瞬で死ぬぞ」

「なんと正直な。イクサ、これ本当っぽい?」

「敵意は感じないな。だから俺が気づけなかった。呪力はラムハが担当だろう」

「ラムハさん、どうですかね」

「本当にこれ、シーマなの? 私より弱ってるかも」

 なるほどなるほど。
 どうやら、シーマ本体は倒され、この西府アオイの中に分身を逃げ込ませた状態のようだ。
 そしてこいつ、どうやら俺達と交渉がしたいと見える。

「詳しい話はしてやろう。じゃが、ここはわしと手を組め。凍れる城を破壊すれば、カオスディーラーめの手出しができる場所は、一箇所しか無くなろう」

 アオイ……シーマはそう言って、すごく悪そうな笑みを浮かべた。
 そういえば、メイオーは混沌の裁定者と敵対してるんだった。
 ならばこいつも敵対しているってことか?

「話を聞こうじゃない」

 俺の決定に、仲間達から異が唱えられる。
 だが、こういう敵が一時的に味方になるシチュエーション、男の子は好きなものなのだ。
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