123 / 181
第四部:送還編
123・俺、復活した神官シーマと遭遇する
しおりを挟む
ミッタクに案内された、凍れる城への道程はまあまあ平穏だった。
今さら、氷を纏った狼のモンスターの群れが出ても大した問題ではない。
「わん、わおーん!」
「おおっ、フタマタ、ファイアレインなどという呪法をマスターしていたのか……。氷の狼を一掃とは」
「わんわん!」
フタマタも強くなっているなあ。
ちなみにモンスターであるフタマタだが、他のモンスターを倒してその呪力を吸収することで成長するシステムのようだ。
ロボットのダミアンGが装備をランクアップさせるほど強くなるのと同様、独特だな。
『私ノ噂ヲシマシタカナ?』
「うわっ、赤い毛むくじゃら!! と思ったら毛皮を纏ったダミアンGじゃないか。噂してないよ。俺の脳内を読むなよ」
なんか毛皮を着てから口調がちょっと違うし、頭にプロペラは装備されてるし、ダミアンGの毛皮装備は実はバージョンアップだったりするのだろうか。
『ソウデシタカ! マア、イツデモ私ノ噂ヲシテイイノデスゾ!』
なんだその語尾は。
「不思議と、奴の纏う悪の気配が薄れた気がするな……!」
ヒーローはヒーローで、ダミアンGを見ておかしなことを言っているし。
こいつ、バイキングの里で子ども達に囲まれ、こっそり変身を見せたりかっこいいポーズを教え込んだりしていたのだ。
俺は見ていたぞ。
イクサはその甘いマスクから(ごく初期は)女子受けがいいが、フロントは大体常に子供受けがいい。
本人も子ども大好きっぽい。
「ギャップだよね……」
日向が先行していくフロントを見て、なんか嬉しそうに言う。
「なんだ日向、フロントが好きなの?」
「多摩川くんデリカシーってものが無さすぎじゃない?」
「よく言われる気がする」
というか、日向とフロントは基本的に仲がいい。
俺はそういうのに敏感だから、絶対こいつらできてると思ってるぞ。
「おい明良川」
「ひえっ、何よ。またあたしに無茶な仕事させる気?」
「させてないだろう。せいぜいリザードマンと一緒にマストのてっぺんで見張りをさせただけだ」
「あんな高いところから落ちたら普通死ぬでしょ!!」
俺達はもうHP制になってるから死なないけどな。
「それはそうと、日向とフロントの事をどう思うかね……」
「マキと、あのなんか昭和って感じの男と? ああ、あの二人は両思いね。間違いないわ」
「やはり」
「表向きは出さないようにしてるけど、伊達にあたし、五人くらい彼氏を作ってきてないから」
「お前、もしや経験豊富……?」
「ふっ、小学生の頃から彼氏が途切れたことないから!」
「まあ待て。だが小学校高学年から付き合ったとすると、一人あたり一年くらいしか続いてないのでは?」
「うっ」
明良川が凄い顔をした。
「と、とにかく多摩川は他人の色恋に興味あるんでしょ。いいわよ。あたしが内偵してあげるわ。だから夕飯のグレードちょっと上げて」
「良かろう……」
契約は成立した。
これから明良川の夕飯は、ちょっと盛りが多くなる。
ちなみに勝手に先行したフロントは、襟首をミッタクに掴まえられ、叱られている。
「危険な罠にはあえて踏み入って正面突破するべきでは」
「周りが迷惑かかるんだよ! お前やうちみたいな頑丈な奴ばっかじゃないんだから!」
「なに、俺が守護らねばならぬ……」
「こいつ話が通じねえ! おい、お前! こいつの保護者だろ? ちゃんと見てろ!」
「はいはーい」
日向がスキップしながらフロントを迎えに行った。
フロントも、日向の前だと大人しくなるな。
ということで、大体問題は無かった。
道中、ルリアとカリナがミッタクとお喋りしながら歩いたりしている。
あの三人は精神年齢が近い……というかほぼ一緒らしく、あっという間に仲が良くなった。
今度三人で模擬戦しようぜ、という話になっているから、平均的な女子の会話ではないが。
こうして何日かの雪中行軍が終わり、ついに目的地が見えてきた。
それは、巨大な氷の海だ。
「ようこそ。ここが世界の果て。世界全ての最も北にある場所だ」
「つまり、ここがキョーダリアス世界の北極ってわけか」
なるほど、寒い。
俺達みんな、モーフルの毛皮でもこもこに着込んでいるからそうでもない。
あとは呪法をほどよく使い、風を和らげたり火をおこしたりしている。
何の備えもなければ、ここまでは辿り着けないだろう。
ミッタクは氷の海の向こうを指差した。
そこからは、巨大な三角錐の何かが突き出している。
「あれが凍れる城?」
「そうだ。だが、あれの近くは見えねえ壁に阻まれててどうしようもない。だから、みんな見てるだけなんだよ。すげえお宝が眠っていると言われているんだけど」
「それは楽しみですね!」
同行してきているイーサワのテンションが上った。
頭の中では、金勘定を始めていることであろう。
「なんだよ。あそこに入れる自信があるのか? いや、その顔はあるんだろうな」
ミッタクが勝手に合点している。
だがその通りだ。
いつもの結界が張られているということだろう。
「よーし、じゃあ日向、明良川、行くぞ」
「うん」
「は? なんであたし? なんで? ただの船員が先頭に?」
「なんだ、さっきの夕飯グレードアップじゃ足りないのか、このいやしんぼめ。よーしよし、帰ったらデザートに果物を一つつけてやる」
「行くぅ。果物のためなら行くぅ」
すっかりうちの船の暮らしに慣れてしまった明良川である。
俺達三人と、何故かついてきたイクサとで結界に向かう。
仲間達はちょっと離れて、俺達に続く。
やがて、結界に触れられる場所まで来た。
「よっしゃ、やるぞ。構え!」
ここで明良川を一時的にパーティに入れておく。
名前:明良川ゆずり
レベル:58
職業:双属性の呪法使い
力 :47
身の守り:135
素早さ :120
賢さ :160
運の良さ:150
HP455
MP634
炎の呪法40レベル
水の呪法40レベル
魔人変身
★炎の呪法
◯ヘルファイア◯ファイアボール◯ファイアブランド
◯ファイアゲイザー◯ファイアストーム
★水の呪法
◯ミスト◯ウォーターガン◯シンク
◯コールレイン◯ゲイザー
★炎、水複合
◯ハイドロバスター
人格が伴ってないが強い。
危険なタイプだな!
魔人変身とか残ってるし!
元七勇者だしな。
「では、俺に合わせて一斉攻撃。よろしい?」
「うん」
「ほーい」
「よかろう」
「……」
明良川が、じーっとイクサを見た。
「ねえ、この人、こっちの世界の人でしょ。結界って聞いた話だと、あたし達異世界から来た人間じゃないと把握できないんじゃないの?」
「その通りだ。だが、イクサはなんとなく当たりをつけて認識できないものにも攻撃できる」
「そんなデタラメな……!!」
ということで攻撃開始なのだ。
「シャイニングウィザード!!」
「千手観音!」
「ファイアブランド!」
「月影の太刀!」
『シャイニング千手ブランドの太刀』
ブランドの太刀かあー。
意味が重複してますなあ。
「なっ、なにこれ!?」
明良川が混乱している。
脳内に響くへっぽこな技名、慣れないと戸惑うよな。
そして結界は砕け散った。
凍れる城の姿が、急にはっきりする。
それは、真っ青なクリスタルのようなものでできた、巨大な城だった。
あれが混沌裁定者に関係したおぞましい遺跡だと知らなければ、メルヘンチックな建物に見えることだろう。
「ようやく来たか、オクノよ」
突然横合いから声がかかった。
イクサが反応する。
「飛翔斬!」
「イビルウォール!」
邪の呪法っぽい力で作られた、赤オレンジで禍々しい光の壁がイクサの斬撃を食い止める。
そこに立っていたのは……。
「あれ? 誰だっけ?」
明らかに日本人っぽい見た目の女がいたけど、名前は忘れた。
髪が長くて、明良川と同じくらい性格が悪そうな顔で。
「多摩川くん、アオイだよ! 西府アオイ!」
「あ? お? おーおーおー! そんなやつクラスにいたな。ほぼ没交流だから全く馴染みがないけど」
「なんじゃ、お主の仲間ではないのか? ま、召喚された場所でお主を殺そうとした一人じゃからのう。親しくする言われなぞあるまいな」
なんか、アオイは古風な言葉遣いをして、うけけけ、と笑った。
「このパターン。もしやおたく、メイオーの神官のシーマ? この間、五花を逃した」
「おう! 察しが良くて助かるのじゃ! いかにも、わしはシーマ。かつてお主らに殺された、メイオー様の神官の一人」
うちの団の全員が戦闘態勢に入った。
瞬殺モードである。
「……の残り滓じゃ。正直、今のイクサの攻撃を受け止めるだけで精一杯じゃ。今のわしは弱いぞ。一瞬で死ぬぞ」
「なんと正直な。イクサ、これ本当っぽい?」
「敵意は感じないな。だから俺が気づけなかった。呪力はラムハが担当だろう」
「ラムハさん、どうですかね」
「本当にこれ、シーマなの? 私より弱ってるかも」
なるほどなるほど。
どうやら、シーマ本体は倒され、この西府アオイの中に分身を逃げ込ませた状態のようだ。
そしてこいつ、どうやら俺達と交渉がしたいと見える。
「詳しい話はしてやろう。じゃが、ここはわしと手を組め。凍れる城を破壊すれば、カオスディーラーめの手出しができる場所は、一箇所しか無くなろう」
アオイ……シーマはそう言って、すごく悪そうな笑みを浮かべた。
そういえば、メイオーは混沌の裁定者と敵対してるんだった。
ならばこいつも敵対しているってことか?
「話を聞こうじゃない」
俺の決定に、仲間達から異が唱えられる。
だが、こういう敵が一時的に味方になるシチュエーション、男の子は好きなものなのだ。
今さら、氷を纏った狼のモンスターの群れが出ても大した問題ではない。
「わん、わおーん!」
「おおっ、フタマタ、ファイアレインなどという呪法をマスターしていたのか……。氷の狼を一掃とは」
「わんわん!」
フタマタも強くなっているなあ。
ちなみにモンスターであるフタマタだが、他のモンスターを倒してその呪力を吸収することで成長するシステムのようだ。
ロボットのダミアンGが装備をランクアップさせるほど強くなるのと同様、独特だな。
『私ノ噂ヲシマシタカナ?』
「うわっ、赤い毛むくじゃら!! と思ったら毛皮を纏ったダミアンGじゃないか。噂してないよ。俺の脳内を読むなよ」
なんか毛皮を着てから口調がちょっと違うし、頭にプロペラは装備されてるし、ダミアンGの毛皮装備は実はバージョンアップだったりするのだろうか。
『ソウデシタカ! マア、イツデモ私ノ噂ヲシテイイノデスゾ!』
なんだその語尾は。
「不思議と、奴の纏う悪の気配が薄れた気がするな……!」
ヒーローはヒーローで、ダミアンGを見ておかしなことを言っているし。
こいつ、バイキングの里で子ども達に囲まれ、こっそり変身を見せたりかっこいいポーズを教え込んだりしていたのだ。
俺は見ていたぞ。
イクサはその甘いマスクから(ごく初期は)女子受けがいいが、フロントは大体常に子供受けがいい。
本人も子ども大好きっぽい。
「ギャップだよね……」
日向が先行していくフロントを見て、なんか嬉しそうに言う。
「なんだ日向、フロントが好きなの?」
「多摩川くんデリカシーってものが無さすぎじゃない?」
「よく言われる気がする」
というか、日向とフロントは基本的に仲がいい。
俺はそういうのに敏感だから、絶対こいつらできてると思ってるぞ。
「おい明良川」
「ひえっ、何よ。またあたしに無茶な仕事させる気?」
「させてないだろう。せいぜいリザードマンと一緒にマストのてっぺんで見張りをさせただけだ」
「あんな高いところから落ちたら普通死ぬでしょ!!」
俺達はもうHP制になってるから死なないけどな。
「それはそうと、日向とフロントの事をどう思うかね……」
「マキと、あのなんか昭和って感じの男と? ああ、あの二人は両思いね。間違いないわ」
「やはり」
「表向きは出さないようにしてるけど、伊達にあたし、五人くらい彼氏を作ってきてないから」
「お前、もしや経験豊富……?」
「ふっ、小学生の頃から彼氏が途切れたことないから!」
「まあ待て。だが小学校高学年から付き合ったとすると、一人あたり一年くらいしか続いてないのでは?」
「うっ」
明良川が凄い顔をした。
「と、とにかく多摩川は他人の色恋に興味あるんでしょ。いいわよ。あたしが内偵してあげるわ。だから夕飯のグレードちょっと上げて」
「良かろう……」
契約は成立した。
これから明良川の夕飯は、ちょっと盛りが多くなる。
ちなみに勝手に先行したフロントは、襟首をミッタクに掴まえられ、叱られている。
「危険な罠にはあえて踏み入って正面突破するべきでは」
「周りが迷惑かかるんだよ! お前やうちみたいな頑丈な奴ばっかじゃないんだから!」
「なに、俺が守護らねばならぬ……」
「こいつ話が通じねえ! おい、お前! こいつの保護者だろ? ちゃんと見てろ!」
「はいはーい」
日向がスキップしながらフロントを迎えに行った。
フロントも、日向の前だと大人しくなるな。
ということで、大体問題は無かった。
道中、ルリアとカリナがミッタクとお喋りしながら歩いたりしている。
あの三人は精神年齢が近い……というかほぼ一緒らしく、あっという間に仲が良くなった。
今度三人で模擬戦しようぜ、という話になっているから、平均的な女子の会話ではないが。
こうして何日かの雪中行軍が終わり、ついに目的地が見えてきた。
それは、巨大な氷の海だ。
「ようこそ。ここが世界の果て。世界全ての最も北にある場所だ」
「つまり、ここがキョーダリアス世界の北極ってわけか」
なるほど、寒い。
俺達みんな、モーフルの毛皮でもこもこに着込んでいるからそうでもない。
あとは呪法をほどよく使い、風を和らげたり火をおこしたりしている。
何の備えもなければ、ここまでは辿り着けないだろう。
ミッタクは氷の海の向こうを指差した。
そこからは、巨大な三角錐の何かが突き出している。
「あれが凍れる城?」
「そうだ。だが、あれの近くは見えねえ壁に阻まれててどうしようもない。だから、みんな見てるだけなんだよ。すげえお宝が眠っていると言われているんだけど」
「それは楽しみですね!」
同行してきているイーサワのテンションが上った。
頭の中では、金勘定を始めていることであろう。
「なんだよ。あそこに入れる自信があるのか? いや、その顔はあるんだろうな」
ミッタクが勝手に合点している。
だがその通りだ。
いつもの結界が張られているということだろう。
「よーし、じゃあ日向、明良川、行くぞ」
「うん」
「は? なんであたし? なんで? ただの船員が先頭に?」
「なんだ、さっきの夕飯グレードアップじゃ足りないのか、このいやしんぼめ。よーしよし、帰ったらデザートに果物を一つつけてやる」
「行くぅ。果物のためなら行くぅ」
すっかりうちの船の暮らしに慣れてしまった明良川である。
俺達三人と、何故かついてきたイクサとで結界に向かう。
仲間達はちょっと離れて、俺達に続く。
やがて、結界に触れられる場所まで来た。
「よっしゃ、やるぞ。構え!」
ここで明良川を一時的にパーティに入れておく。
名前:明良川ゆずり
レベル:58
職業:双属性の呪法使い
力 :47
身の守り:135
素早さ :120
賢さ :160
運の良さ:150
HP455
MP634
炎の呪法40レベル
水の呪法40レベル
魔人変身
★炎の呪法
◯ヘルファイア◯ファイアボール◯ファイアブランド
◯ファイアゲイザー◯ファイアストーム
★水の呪法
◯ミスト◯ウォーターガン◯シンク
◯コールレイン◯ゲイザー
★炎、水複合
◯ハイドロバスター
人格が伴ってないが強い。
危険なタイプだな!
魔人変身とか残ってるし!
元七勇者だしな。
「では、俺に合わせて一斉攻撃。よろしい?」
「うん」
「ほーい」
「よかろう」
「……」
明良川が、じーっとイクサを見た。
「ねえ、この人、こっちの世界の人でしょ。結界って聞いた話だと、あたし達異世界から来た人間じゃないと把握できないんじゃないの?」
「その通りだ。だが、イクサはなんとなく当たりをつけて認識できないものにも攻撃できる」
「そんなデタラメな……!!」
ということで攻撃開始なのだ。
「シャイニングウィザード!!」
「千手観音!」
「ファイアブランド!」
「月影の太刀!」
『シャイニング千手ブランドの太刀』
ブランドの太刀かあー。
意味が重複してますなあ。
「なっ、なにこれ!?」
明良川が混乱している。
脳内に響くへっぽこな技名、慣れないと戸惑うよな。
そして結界は砕け散った。
凍れる城の姿が、急にはっきりする。
それは、真っ青なクリスタルのようなものでできた、巨大な城だった。
あれが混沌裁定者に関係したおぞましい遺跡だと知らなければ、メルヘンチックな建物に見えることだろう。
「ようやく来たか、オクノよ」
突然横合いから声がかかった。
イクサが反応する。
「飛翔斬!」
「イビルウォール!」
邪の呪法っぽい力で作られた、赤オレンジで禍々しい光の壁がイクサの斬撃を食い止める。
そこに立っていたのは……。
「あれ? 誰だっけ?」
明らかに日本人っぽい見た目の女がいたけど、名前は忘れた。
髪が長くて、明良川と同じくらい性格が悪そうな顔で。
「多摩川くん、アオイだよ! 西府アオイ!」
「あ? お? おーおーおー! そんなやつクラスにいたな。ほぼ没交流だから全く馴染みがないけど」
「なんじゃ、お主の仲間ではないのか? ま、召喚された場所でお主を殺そうとした一人じゃからのう。親しくする言われなぞあるまいな」
なんか、アオイは古風な言葉遣いをして、うけけけ、と笑った。
「このパターン。もしやおたく、メイオーの神官のシーマ? この間、五花を逃した」
「おう! 察しが良くて助かるのじゃ! いかにも、わしはシーマ。かつてお主らに殺された、メイオー様の神官の一人」
うちの団の全員が戦闘態勢に入った。
瞬殺モードである。
「……の残り滓じゃ。正直、今のイクサの攻撃を受け止めるだけで精一杯じゃ。今のわしは弱いぞ。一瞬で死ぬぞ」
「なんと正直な。イクサ、これ本当っぽい?」
「敵意は感じないな。だから俺が気づけなかった。呪力はラムハが担当だろう」
「ラムハさん、どうですかね」
「本当にこれ、シーマなの? 私より弱ってるかも」
なるほどなるほど。
どうやら、シーマ本体は倒され、この西府アオイの中に分身を逃げ込ませた状態のようだ。
そしてこいつ、どうやら俺達と交渉がしたいと見える。
「詳しい話はしてやろう。じゃが、ここはわしと手を組め。凍れる城を破壊すれば、カオスディーラーめの手出しができる場所は、一箇所しか無くなろう」
アオイ……シーマはそう言って、すごく悪そうな笑みを浮かべた。
そういえば、メイオーは混沌の裁定者と敵対してるんだった。
ならばこいつも敵対しているってことか?
「話を聞こうじゃない」
俺の決定に、仲間達から異が唱えられる。
だが、こういう敵が一時的に味方になるシチュエーション、男の子は好きなものなのだ。
10
お気に入りに追加
1,154
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜
長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。
コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。
ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。
実際の所、そこは異世界だった。
勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。
奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。
特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。
実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。
主人公 高校2年 高遠 奏 呼び名 カナデっち。奏。
クラスメイトのギャル 水木 紗耶香 呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。
主人公の幼馴染 片桐 浩太 呼び名 コウタ コータ君
(なろうでも別名義で公開)
タイトル微妙に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる