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第四部:送還編
118・俺、バイキングの里に突入する
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捕らえたミッタクだが、ラムハの闇の支配で頭の中身をいじったぞ。
ということで、情報をするすると吐き出してもらったので、バイキングの里がどこにあるのかが判明したのだ。
『チョット遠イヨウデスネ。しょーとかっとシマショウ!』
ダミアンからの提案だ。
船でショートカット。
それはつまり……。
『飛ビマス!!』
「きたー!!」
盛り上がる俺。
「飛ぶって何が!?」
ルリアが驚いた。
「それはな、あれだ。船が飛ぶ」
「船が!?」
「どういうことですか? 飛ぶ? 船が? またまた」
カリナが信じてくれない。
「つまりな、飛ぶんだ。空を飛ぶんだ。船がな」
「オクノくん、船が飛ぶわけないでしょ」
アミラまで。
「じゃあ……私は信じる方に張るわね」
「ラムハさん!!」
じーんと来る俺。
「だって、女神に取り込まれた私を助けてくれたんだもの。あんなの、絶対に無理なことよ? 神様だってできなかったのよ。だったら、今度もオクノが言うことは、どんなにありえなくたって起きるかもって思っておいて損は無いじゃない?」
「うっ」
女子三名、ラムハの前で絶句する。
ラムハの圧倒的正妻力よ。
しかも説得力抜群だ。
ということで……。
「はい、それじゃあ体力に自信がない人は体が大きい人に掴まってー。近くのリザードマンでもいいよー」
俺が大声で告げる。
団のメンバーがわいわいと動き出した。
手近なものに掴まり、体を固定する。
『皆サン、ヨロシイデスカー!』
「また何か企んでいるのでは無いだろうな!」
おっ、ヒーローが一人だけ空気を読まず、メインマストの前に立つダミアン向けて指を突きつけているぞ。
『アノー、おくのサン』
「ほいほい。ヒーロー、悪いことは言わんから何かに掴まっとけ」
「なにぃっ、だが、相変わらずあのロボットは信用ができないのだ!」
「いいからいいから。お前なら一人でも大丈夫だろ。吹っ飛ばされないように踏ん張っとけ」
「何を言っているんだ、お前……」
『びーむせいる展開!! にゅー・ほりでー号、発進!!』
ダミアンの全身から、目に見えるほど濃厚な呪力が発生する。
それがメインマストに吸収されると、帆が無いはずのそこから、光り輝くものが大きく広がる。
ビームセイルだ。
光の帆は、船よりも大きく広がり、風をはらみ始める。
「オルカ! 頼む!」
「おうよ! コールウィンド!」
呪法で強化された風が吹き始めた。
普通の追い風よりもずっと強い。
ビームセイルがそれを受け止め……。
ふわりと船が空へ舞い上がった。
これ、船の重量とか考えても普通は飛びはずが無いんだが、それが飛ぶってことはビームセイルがなんか、空を飛ぶためのパワーを有しているのかも知れない。
「う、う、浮いたー!!」
「ひいええええ、空、空ですよこれーっ!」
俺の首にしがみついている、ルリアとカリナがさらに腕に力を込めてきた。
そして俺の腕の中には、ラムハとアミラがいるのだが、二人とも俺の腕を力いっぱい握りしめている。
「ま、まさか飛ぶなんて……。オクノくん、離しちゃだめよ。お姉さん落ちたら絶対死ぬから」
「離さないって」
「ほら、私の言った通りだったでしょう? オクノ、私からも手を離さないでね。さすがに高いところは怖いので……!」
得意げながら、普通に怖がっているラムハ。
これに対して日向は割と平気な顔で、樽にしがみついたまま外の風景を見て歓声を上げている。
「たかーい!」
あいつはジェットコースターとかフリーフォールとか大丈夫系の女子だろう。
フタマタは落ち着かないようで、甲板をうろうろしている。
ジェーダイにオルカは大したもので、どんどん離れていく海面を見て、二人で喜んでいた。
おっさん達、高いところが大好きみたいだなあ。
ミッタクは洗脳が解けたようで、空飛ぶ船に、「うわああああぎゃああああありえねええええ死ぬうううう」
とか泣き叫びながら、帆柱に抱きついていた。
そしてヒーロー。
本当に船が飛んだので、ちょっと驚いたらしい。
そしてすぐさま、舳先まで走った。
そこから下を見て、左右を見て、腕組みをして考え込んでいる。
あっ、あいつ、舳先でなんかかっこいいポーズしたぞ!!
これを後ろからじっと見ているイクサである。
「ふむ、ああいうことをするものなのか」
変な納得の仕方をした。
そしてイクサもフロントの横までやって来ると、身構えた。
かっこいいポーズをした男二人を舳先に乗せて、船はぐんぐんと進んでいく。
空を切り、海を越え、半島をまたいでさらに先へ。
そしていよいよ見えてくる。
バイキングの里だ。
周囲は真っ白に染まっていた。
雪だ。
雪が降り積もっているのだ。
そう言えば涼しくなってきたな。
下の方で、米粒ほどの大きさの人々が船を指差して叫んでいる。
『ソロソロえねるぎー切レデス! マタおくのサンノあいてむぼっくすニ入ッテ呪力ヲちゃーじシナイト……!』
ダミアンGお前、それ俺の呪力か!!
多才なやつだなあ、本当に。
かくしてバイキングの里に、新生ホリデー号が突っ込むのである。
「あ、あれはなんだーっ!?」
「船が空を!?」
「馬鹿な、そんなことあるはずがない!!」
「舳先で何かポーズを決めている男達がいるぞ! なんだあれ!」
「なんだあれ!」
「なんだあれ……?」
船はギリギリのところで、港部分に着水した。
派手な水しぶきが上がる。
「ほい、到着。じゃあ、ちょっと切り込んでくる」
俺はラムハとアミラを離し、ルリアとカリナをその辺に置いた。
「突っ込むぞー! ついてくる人ー!」
「俺が行こう」
「よく分からんが俺も行くぞ!」
「おっ、俺も俺も」
「我も我も」
ということで、俺、イクサ、フロント、オルカ、ジェーダイが突っ込むことになった。
元気に船を飛び降りて、バイキングの里まで走っていくぞ。
「わんわん!」
「おお、フタマタ! どうしたんだ……って、これはミッタクか! 悪い悪い、忘れてた! 届けてくれてありがとうな!」
「わふー」
ここまで案内してもらっていた、バイキング娘のミッタクを忘れていた。
空飛ぶ船のショックで、すっかり放心状態になっている。
彼女をひょいっと担いで、里に挨拶なのだ。
「やあやあ、我こそはオクタマ戦団の団長、オクノだ。ここはバイキングの里でよろしい?」
「な、なにもんだてめえ! ……あっ、そいつは姉御!! 姉御をどうしやがったてめえ!」
「ちょっと洗脳して里の場所を聞き出したのだ。既に洗脳は解けているし、怪我は癒やしたのだ」
「なにぃっ……。いきなり色々まくしたてるのやめろてめえ」
バイキングのおっさんが困った顔をした。
「そんな少人数で、俺達の里に来るとはいい度胸だが……だが……」
明らかに、このおっさん以外のバイキングの腰が引けている。
空からやって来た、ダブル衝角と光るセイルの異形な船。
そこから降りてきた、自分たちの戦闘隊長みたいなのを担いだ男達。
度重なる衝撃で、みんな放心状態なのだ。
「安心しろ。俺達は戦いに来たわけじゃない」
俺はにこやかに微笑むと、担いでいたミッタクを持ち直した。
お姫様抱っこだ。
「……ふぁっ!? お、おいてめえ、うちをなんて持ち方しやがる!? こんな運ばれ方初めてだぞ!」
「あ、姉御がお姫様抱っこだ……!」
「嘘だろ!? モーフルだって素手で殴り殺す姉御をお姫様抱っこ!?」
「とんでもねえ豪傑が現れたもんだぜ……!!」
ざわめくバイキング達。
「馬鹿野郎!! いくら、うちだってモーフルを素手では殴り殺せねえわ! 斧の柄で殴り殺したんだよ! 訂正しろー!」
もがーっと暴れるミッタク。
大変生きがよろしい。
すると、バイキング達の中から一人の男が歩み出た。
真っ白な髪をして、額からは一本の折れた角を生やしている。
これ、飾りじゃなくて本当に生えてる角なのか。
「ふーむ。事情はよく分からぬが、お前らがとんでもない実力者らしいことは分かった。詳しい話を聞こうじゃないか」
男は落ち着いた風である。
「お、親父……!」
ミッタクのパパらしい。
「うむ。ミッタクよ。女でありながらバイキングの頂点に立ったお前をいなすほどの男……。婿に相応しかろう」
「お、親父……!?」
「あれえ?」
話が変な方向に流れ始めたのだった。
ということで、情報をするすると吐き出してもらったので、バイキングの里がどこにあるのかが判明したのだ。
『チョット遠イヨウデスネ。しょーとかっとシマショウ!』
ダミアンからの提案だ。
船でショートカット。
それはつまり……。
『飛ビマス!!』
「きたー!!」
盛り上がる俺。
「飛ぶって何が!?」
ルリアが驚いた。
「それはな、あれだ。船が飛ぶ」
「船が!?」
「どういうことですか? 飛ぶ? 船が? またまた」
カリナが信じてくれない。
「つまりな、飛ぶんだ。空を飛ぶんだ。船がな」
「オクノくん、船が飛ぶわけないでしょ」
アミラまで。
「じゃあ……私は信じる方に張るわね」
「ラムハさん!!」
じーんと来る俺。
「だって、女神に取り込まれた私を助けてくれたんだもの。あんなの、絶対に無理なことよ? 神様だってできなかったのよ。だったら、今度もオクノが言うことは、どんなにありえなくたって起きるかもって思っておいて損は無いじゃない?」
「うっ」
女子三名、ラムハの前で絶句する。
ラムハの圧倒的正妻力よ。
しかも説得力抜群だ。
ということで……。
「はい、それじゃあ体力に自信がない人は体が大きい人に掴まってー。近くのリザードマンでもいいよー」
俺が大声で告げる。
団のメンバーがわいわいと動き出した。
手近なものに掴まり、体を固定する。
『皆サン、ヨロシイデスカー!』
「また何か企んでいるのでは無いだろうな!」
おっ、ヒーローが一人だけ空気を読まず、メインマストの前に立つダミアン向けて指を突きつけているぞ。
『アノー、おくのサン』
「ほいほい。ヒーロー、悪いことは言わんから何かに掴まっとけ」
「なにぃっ、だが、相変わらずあのロボットは信用ができないのだ!」
「いいからいいから。お前なら一人でも大丈夫だろ。吹っ飛ばされないように踏ん張っとけ」
「何を言っているんだ、お前……」
『びーむせいる展開!! にゅー・ほりでー号、発進!!』
ダミアンの全身から、目に見えるほど濃厚な呪力が発生する。
それがメインマストに吸収されると、帆が無いはずのそこから、光り輝くものが大きく広がる。
ビームセイルだ。
光の帆は、船よりも大きく広がり、風をはらみ始める。
「オルカ! 頼む!」
「おうよ! コールウィンド!」
呪法で強化された風が吹き始めた。
普通の追い風よりもずっと強い。
ビームセイルがそれを受け止め……。
ふわりと船が空へ舞い上がった。
これ、船の重量とか考えても普通は飛びはずが無いんだが、それが飛ぶってことはビームセイルがなんか、空を飛ぶためのパワーを有しているのかも知れない。
「う、う、浮いたー!!」
「ひいええええ、空、空ですよこれーっ!」
俺の首にしがみついている、ルリアとカリナがさらに腕に力を込めてきた。
そして俺の腕の中には、ラムハとアミラがいるのだが、二人とも俺の腕を力いっぱい握りしめている。
「ま、まさか飛ぶなんて……。オクノくん、離しちゃだめよ。お姉さん落ちたら絶対死ぬから」
「離さないって」
「ほら、私の言った通りだったでしょう? オクノ、私からも手を離さないでね。さすがに高いところは怖いので……!」
得意げながら、普通に怖がっているラムハ。
これに対して日向は割と平気な顔で、樽にしがみついたまま外の風景を見て歓声を上げている。
「たかーい!」
あいつはジェットコースターとかフリーフォールとか大丈夫系の女子だろう。
フタマタは落ち着かないようで、甲板をうろうろしている。
ジェーダイにオルカは大したもので、どんどん離れていく海面を見て、二人で喜んでいた。
おっさん達、高いところが大好きみたいだなあ。
ミッタクは洗脳が解けたようで、空飛ぶ船に、「うわああああぎゃああああありえねええええ死ぬうううう」
とか泣き叫びながら、帆柱に抱きついていた。
そしてヒーロー。
本当に船が飛んだので、ちょっと驚いたらしい。
そしてすぐさま、舳先まで走った。
そこから下を見て、左右を見て、腕組みをして考え込んでいる。
あっ、あいつ、舳先でなんかかっこいいポーズしたぞ!!
これを後ろからじっと見ているイクサである。
「ふむ、ああいうことをするものなのか」
変な納得の仕方をした。
そしてイクサもフロントの横までやって来ると、身構えた。
かっこいいポーズをした男二人を舳先に乗せて、船はぐんぐんと進んでいく。
空を切り、海を越え、半島をまたいでさらに先へ。
そしていよいよ見えてくる。
バイキングの里だ。
周囲は真っ白に染まっていた。
雪だ。
雪が降り積もっているのだ。
そう言えば涼しくなってきたな。
下の方で、米粒ほどの大きさの人々が船を指差して叫んでいる。
『ソロソロえねるぎー切レデス! マタおくのサンノあいてむぼっくすニ入ッテ呪力ヲちゃーじシナイト……!』
ダミアンGお前、それ俺の呪力か!!
多才なやつだなあ、本当に。
かくしてバイキングの里に、新生ホリデー号が突っ込むのである。
「あ、あれはなんだーっ!?」
「船が空を!?」
「馬鹿な、そんなことあるはずがない!!」
「舳先で何かポーズを決めている男達がいるぞ! なんだあれ!」
「なんだあれ!」
「なんだあれ……?」
船はギリギリのところで、港部分に着水した。
派手な水しぶきが上がる。
「ほい、到着。じゃあ、ちょっと切り込んでくる」
俺はラムハとアミラを離し、ルリアとカリナをその辺に置いた。
「突っ込むぞー! ついてくる人ー!」
「俺が行こう」
「よく分からんが俺も行くぞ!」
「おっ、俺も俺も」
「我も我も」
ということで、俺、イクサ、フロント、オルカ、ジェーダイが突っ込むことになった。
元気に船を飛び降りて、バイキングの里まで走っていくぞ。
「わんわん!」
「おお、フタマタ! どうしたんだ……って、これはミッタクか! 悪い悪い、忘れてた! 届けてくれてありがとうな!」
「わふー」
ここまで案内してもらっていた、バイキング娘のミッタクを忘れていた。
空飛ぶ船のショックで、すっかり放心状態になっている。
彼女をひょいっと担いで、里に挨拶なのだ。
「やあやあ、我こそはオクタマ戦団の団長、オクノだ。ここはバイキングの里でよろしい?」
「な、なにもんだてめえ! ……あっ、そいつは姉御!! 姉御をどうしやがったてめえ!」
「ちょっと洗脳して里の場所を聞き出したのだ。既に洗脳は解けているし、怪我は癒やしたのだ」
「なにぃっ……。いきなり色々まくしたてるのやめろてめえ」
バイキングのおっさんが困った顔をした。
「そんな少人数で、俺達の里に来るとはいい度胸だが……だが……」
明らかに、このおっさん以外のバイキングの腰が引けている。
空からやって来た、ダブル衝角と光るセイルの異形な船。
そこから降りてきた、自分たちの戦闘隊長みたいなのを担いだ男達。
度重なる衝撃で、みんな放心状態なのだ。
「安心しろ。俺達は戦いに来たわけじゃない」
俺はにこやかに微笑むと、担いでいたミッタクを持ち直した。
お姫様抱っこだ。
「……ふぁっ!? お、おいてめえ、うちをなんて持ち方しやがる!? こんな運ばれ方初めてだぞ!」
「あ、姉御がお姫様抱っこだ……!」
「嘘だろ!? モーフルだって素手で殴り殺す姉御をお姫様抱っこ!?」
「とんでもねえ豪傑が現れたもんだぜ……!!」
ざわめくバイキング達。
「馬鹿野郎!! いくら、うちだってモーフルを素手では殴り殺せねえわ! 斧の柄で殴り殺したんだよ! 訂正しろー!」
もがーっと暴れるミッタク。
大変生きがよろしい。
すると、バイキング達の中から一人の男が歩み出た。
真っ白な髪をして、額からは一本の折れた角を生やしている。
これ、飾りじゃなくて本当に生えてる角なのか。
「ふーむ。事情はよく分からぬが、お前らがとんでもない実力者らしいことは分かった。詳しい話を聞こうじゃないか」
男は落ち着いた風である。
「お、親父……!」
ミッタクのパパらしい。
「うむ。ミッタクよ。女でありながらバイキングの頂点に立ったお前をいなすほどの男……。婿に相応しかろう」
「お、親父……!?」
「あれえ?」
話が変な方向に流れ始めたのだった。
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