ピコーン!と技を閃く無双の旅!〜クラス転移したけど、システム的に俺だけハブられてます〜

あけちともあき

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第三部:覚醒編

107・幕間・凸凹コンビ、そして俺

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「うおおっ! ゲイルブロウ! ゲイルブロウ! ゲイルブロウ!」

『なんのぉーっ!!』

『横合イカラびーむさーべるデス! 死ネエー!』

『ギャーッ!! いてえーっ!! 卑怯だぞてめえー!!』

『フッフッフ、私ニ無防備ナ脇腹ヲミセタ、アナタノ失態デス! ソラソラー! 私ハ弱イ相手ニハトコトン強イデスヨー!!』

『なんてやつだ! まるで悪党の手本みたいなロボだな!? くそうっ!』

 ゲートウェイが慌ててエスプレイダーから離れた。
 だが、相手は風の力を身に纏うヒーロー、青の閃撃エスプレイダー。

「呪法、テールウィンド! 逃しはせんぞ悪党!!」

『待て!? お前、二人がかりなんて卑怯だと思わないのか!!』

「結果的に悪が倒されれば正義!」

『似たものじゃねえかお前ら!!』

 悪の七勇者ゲートウェイの寝言になど耳を貸さず、追い風に乗って飛び上がるエスプレイダー。
 これは、空中からの錐揉みキック。
 名付けて……。

「レイダーインパクトッ!!」

『ぬうおおおおっ!!』

 強靭なクズリの肉体であろうと、古代文明のダンプカーを一撃でスクラップにするレイダーインパクトを受け切れはしない。
 跳ね飛ばされ、デュエル空間の障壁に叩きつけられたゲートウェイ。

『俺はいい勝負なんてのは好きじゃねえんだ! 俺が好きなのは、一方的な蹂躙! 一方的な勝利なんだよぉ!!』

 すぐさま体勢を立て直し、吠えるゲートウェイ。
 凄まじい耐久力のあらわれか、まだダメージはそう深くはないようだ。

『えすぷれいだー! 一気ニ攻メテ倒スゾ!』

「今はお前に同意しよう! 行くぞ!」

 ヒーローとドラム缶型ロボ、二人が猛烈な勢いでゲートウェイに迫る。
 これを見て、七勇者は跳ね上がった。

『やってられるかこんな勝負!! やめだやめ!! 五花! 俺は降りるからな!!』

 叫びながら、ゲートウェイはデュエル時空へとその爪を立てた。
 突き立った爪により、障壁にヒビが入る。

『さよならだヒーロー!! だが、俺は恨み深いぞ! てめえが油断した隙に殺してやる! てめえの大事にしている人間も皆殺しだ! てめえにこれから、安心できる時なんて訪れねえぞ! わっはっは!!』

 ついに砕け散るデュエル時空。
 ゲートウェイはクズリの肉体を、空中に踊らせた。
 そして彼は、足元で不敵にモノアイを瞬かせるダミアンGに気付いた。

 ダミアンGしかいない。

『は? なんだと?』

『風ノ守護ヲウケタひーろートイウノヲ分カッテナイデスネ。ハー、コレダカラひーろーヲ履修シテナイ人ハ。ソンナンジャ大首領ヤッテケナイデスヨ』

 ドラム缶ロボが肩をすくめて、首をふるようにモノアイを左右に揺らした。
 イラッとするゲートウェイ。

『てめえっ、何を言ってやがる! いや、俺をバカにしてる事はわかる! この野郎、てめえだけはスクラップにしてやろうか……』

 その時である。
 ゲートウェイはようやく気付いた。

 高らかに跳躍した彼の肉体は、天空の大盆で一番高いところにある。
 彼よりも高い位置には何者もいないはずなのだ。

 だが、ゲートウェイは今、何かの影にいた。

『なん……だと……!? まさか!』

「エスプレイドォォォォォッゼフィロスッ!!」

 風を纏い、青き翼を広げ、ヒーローが空を舞う。
 そして風の呪法、ダウンドラフトを受けて加速したエスプレイダーが、ゲートウェイへと襲いかかった。
 それはエスプレイダー自身を弾丸と化す、ヒーロー最大最強の必殺技。

 クズリとなったゲートウェイの、強靭な毛皮はこれを受け止め……られない。
 切り裂かれ、えぐられ、そしてその肉体を風の弾丸がぶち抜いた。

『そ、そんな馬鹿な! 俺が、この俺がこんなところで……! こんなポッと出のやつに……! ウグワーッ!!』

 着地したエスプレイダー。
 立ち上がる彼の背後で、ゲートウェイが大爆発を起こした。
 それと同時に、デュエル時空が完全に解除される。

 今正に、三つ目のデュエル時空が消滅したのだった。






「正確には俺が二つ目のデュエル時空破りだ! ツァーッ!」

 俺は熊川の股間を抜けながらスライディングキックし、時空そのものを蹴りで割ったよ!
 割れた!

『な、なにぃーっ!?』

「結界を割れるんだから時空を割れない道理はないだろう……」

 立ち上がる俺。
 後ろから襲いかかる熊川。

『でたらめな男め!! だが背中ががら空きだ!』

「後ろから来たやつはこうだ! フライングメイヤー!」

 俺は熊川の懐までバックステップすると、その首を抱えて前に投げ捨てた。
 これが正式なフライングメイヤーである。
 俺、この間までアームホイップをフライングメイヤーだと思っていてだな。

『グワーッ!!』

 地面に叩きつけられた熊川が呻いた。

 さて、俺がいきなりデュエル時空破りを決行した理由についてだが。
 熊川が、俺に向かって言ったのだ。

『こうしてお前達を隔離して、無防備になったお前の仲間を五花が洗脳するんだ。クラスの軟弱者どもが脱落したからな。ここで手勢を増やしておかねば』

 そんな事を言われて、真面目に時間稼ぎに付き合うアホがどこにいると言うのだ。
 いきなりデュエル時空破りに突撃するに決まっておろう。

 そして破った。
 人間、やればできる。

 クマ型の巨大モンスターとなった熊川は、唸り声を上げて立ち上がり、爪を振り回す。
 腕の脇から、斧の刃が突き出していて、躱してもこれが襲いかかってくるようだ。
 なかなか強力な敵だ。

 だが……。

「手四つで組み合ってしまえば意味はなかろう!!」

 俺は熊川の両腕を受け止めると、手と手を合わせ合う力比べの状況に持ち込んだ。

『な、なにぃーっ!? 俺の爪と斧をこんなやり方で攻略する!? だが、熊の腕力と力比べとは片腹痛い!』

 それは分かっているぞ。
 だが、俺はあえてこの戦法を選択した。
 理由は一つだ。

「うーむ。見事にみんな洗脳されかかっていた! 五花め、相変わらずクソを煮詰めたクソのような男だな」

 俺はぷりぷりと怒りながら周囲を観察した。
 観察しながら、力比べで押されて、俺はブリッジのような体勢に押し込まれていく。

 熊川、大口をたたくだけあって、パワーも攻撃力もかなり高いな!
 ちなみに五花は、洗脳途中でイクサが出てきたので、完全には洗脳スキルを決められなかったな。

 イクサは話を聞かないと言うか、難しい話をされてもよく分かってないから洗脳が効かないのだ。

 一行にまとめて話さないといけないぞ。

『終わりだ、多摩川ァ!!』

「なんだとぉ!! お前、ブリッジが一番強固な耐える姿勢だということを知らんのかーっ!!」

 俺は首ブリッジの体勢になりながら熊川の圧力を受け止めた。

『な、なにぃーっ!? この体勢からびくともしなくなった!!』

 熊川にのしかかられながら力比べをするような体勢になった俺。
 だが、俺と奴のパワーにそこまで差があるかな?
 いや、ない。

 俺は鍛えているからな。
 ぐぐっと、俺の首が持ち上がった。
 熊川が力で押し戻される。

『なんだと!? てめえ、俺を押し戻している!? 馬鹿な! グリズリーの体格を持つ俺をか!!』

「俺だって熊殺しの空手家くらいの体格なのだ。不可能ではない!」

『反論になってねえ! ぬおおーっ!! お、押し返されるーっ!!』

 全身の筋肉を使い、ブリッジからスタンディングへ、体勢を押し返すのだ!
 
『させるかよ!! うおおおお! 七勇者、混沌パワー全開!! 俺が他の雑魚どもとは違うってところを見せてやるぜええええ!!』

 熊川がさらに一回り大きく膨れ上がった。
 奴から掛けられる圧力も増す。
 なるほど、これは正面から受け止めるのは難しかろう。

 パワーだけなら、巨人に匹敵する。
 だがしかし、相手のパワーを利用するのもまたプロレスなのだ……!

「ふんっ! クロスカウンター・パワースラム!!」

 俺は熊川が力を入れたところをすかし、つんのめった奴の肩と股間を抱えて持ち上げた。
 そのまま背後に投げ捨てる。

『グワーッ!?』

 熊川は自分が掛けたパワーを自ら喰らい、のたうち回った。

「パワーではお前が上だろう。だが、俺にはテクニックと経験があるのだ……!」

『プロレスで俺と渡り合うだとぉ……!? てめえ、プロレスなんざ八百長だろうが!! そんなもんで俺が……』

「なにぃ」
 
 俺、キレた!
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