ピコーン!と技を閃く無双の旅!〜クラス転移したけど、システム的に俺だけハブられてます〜

あけちともあき

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第三部:覚醒編

92・俺、密林を越えていく

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 途中で襲ってくる落とし子の数とか、そりゃあもう半端なものじゃなかった。
 ヒエロ・ヒューガめ、本当に全ての落とし子を密林の北に集めてしまったらしい。
 落とし子が渋滞を成してるんじゃないか、これ?

 密林が狩り尽くされてしまう。
 ということで、落とし子除去作業に入る俺達なのだった。

「ダミアン、ちょっと急遽パワーアップさせるな」

『ナンデス? アッ、コレハーッ』

 密林に来るまでの間、ロボット達を倒したことで回収した古代文明の武器を次々ダミアンに取り付けていく。

 のびーるステッキみたいなやつ。
 ゴム弾を発射する大口径の銃。
 足がバネでびよーんとなるやつ。

 ……我ながら面白がって、ろくでもないものばかり拾ったな。

『パワーアップシマシタ!』

 ほんとかぁ?

ダミアン

攻撃力:165
防御力:105
HP:230
EN:85

機能:
フィールドジャンパー
マジックアーム

装備:
マシンアーム
ビームサーベル(量)
スタンガン(物理)


 おーおー、強くなってる強くなってる!
 古代文明の武装なら、そこからエネルギーや新機能を得てパワーアップするみたいだな。

 ただし、見たところ武器スロットは四つ。
 機能スロットも四つ。
 合計八つの中で最強の装備をさせる必要があるようだ。

 ダミアンカスタム。
 これは燃えてくるな。

「ダミアン、お前は強くなったので、今日からダミアンGを名乗るがいい」

『名前マデ、パワーアップシマシタ!!』

 ガッツポーズを取るダミアン。

「ダミアンよかったわね」

「ダミアン頼もしいわ」

「やるじゃーん」

「なかなかですよ」

 女子達に褒められて、ダミアンが次々にポージングを決める。
 このロボは調子に乗るんだな。

「戦闘力が見たい。行くぞダミアン」

 そしてイクサは常に実戦主義なのだった。

『合点承知、ピピー』

「お前はどこでそういう言葉を覚えてくるの」

 でも、ダミアンGが心配だからついていっちゃう俺だぞ。
 組み替えながらどんどん強くなるなんて、こんな楽しいおもちゃ……じゃない、仲間は大事にしなくちゃな。

 さあ、落とし子ハントだ!

『キシャー!!』

『シャー!』

「おらあーっ! クロスカウンター逆水平チョップ! 仰け反ったところを後ろに回って抱えてドラゴンスープレックス!!」

『ウグワーッ』

 今こいつウグワーッて言った?

「行くぞダミアン、呼吸を合わせろ!」

『私ハ息シテマセンガ了解デス! スタンガン!』

 でかいゴム弾が猛烈な勢いで射出され、突進してきた落とし子の鼻面に炸裂する。
 そこへ、イクサが肉薄し……。

「月影の太刀!」

「追撃します! 連ね撃ち!」

 カリナが加わっての三連携だ。

『スタン月影撃ち』

『ギャーッ』

 落とし子が消滅していった。
 六欲天の夢というだけあって、倒すと消えてしまうな。
 俺が投げたやつも消えてしまった。

 落とし子は動きが速く、闇や影に紛れて攻撃を仕掛けてくる。
 となれば、俺達は死角を作るわけにはいかない。

 ここで、俺が考えた完璧な布陣が火を吹いた。

「ダミアンG! 後ろ向きで移動だ。できるな?」

『オ安イ御用デス!』

「ルリアは俺の背中に。カリナは俺の右肩に乗って! で左右を警戒!」

「わーい、オクノくんに抱きつける大義名分!」

「ばっちり任せてください!」

「イクサは前から来るのを全部蹴散らして」

「良かろう」

「ラムハとアミラで、戦闘が始まった方向に援護して」

「ええ、分かったわ。それにしてもとんでもない作戦ねえ」

「お姉さん、直接戦うのは苦手だけど援護は得意よー。力の水! 力の水!」

 アミラが早速、仲間に力を上げる水の呪法を使用し始めた。

『力ガ漲リマス! ヌオオオー!』

 ダミアンGがガッツポーズしている。
 ロボットにこれが通用する原理はなんなんだろうな!
 やっぱり中に人が入ってるんじゃないか?

 とは言っても、全方位攻撃だとやはり決定力に欠ける。
 特にダミアンでは、落とし子を足止めはできても倒すまでには至らない。
 自然とラムハの出番が増えることになる。

「闇の魔槍!」

『ギャエーッ』

 落とし子が一匹消滅した。
 今まで、連携に組み込んで使ってばかりいたけど、この巨大な槍の形をした闇の呪法強いね。

「よし、俺も支援に一匹出しておこう。幻影戦士術!」

 すると、俺の横にひょこっと透き通った俺が出てきた。

「俺よ。近寄るやつを全部投げ技でぶっ飛ばしなさい」

「分かったぞ俺よ」

 幻の俺が戦場を走り回る。
 近づく落とし子を、エアプレーンスピンで投げ、ドラゴンスクリューで転ばし、ジャイアントスイングで振り回す。

「戦場が一気にカオスになったわね。だけど、お蔭で落とし子はこっちばかりを襲っていられなくなったみたい」

 ラムハの言う通り、大暴れする俺の幻に、落とし子たちが若干引いている。
 さて、あいつを囮にしながら密林を突破だ!

 ちなみに前からくる落とし子は、一匹残らずイクサによって粉砕されていた。
 頼りになる男である。

 こんなノリで突き進んでいると、急に横合いの落とし子が何かにふっ飛ばされた。
 なんだなんだと思えば、フタマタではないか。

 ここで、俺達はフタマタと合流。
 彼から船の様子なんかを聞くことになったのだった。
 90話参照である。

 そしてフタマタと別れてから、あいつのやって来た方向がそのまま密林の出口であることに気付く。

「それじゃあ、脱出ー!」

「おー!」

 仲間たちとともに、密林を強行突破だ。
 生い茂る木々の間に、フタマタが空けた穴がある。
 そこを抜けたら、一気に周囲の空気が変わった。

 湿気が減り、過ごしやすい空気になったのだ。

「密林そのものが、ヒエロ・ヒューガの世界だったのかも知れないわね」

「ああ、なるほどなあ。……あ、そう言えばあいつから、信頼の証みたいなのをもらうの忘れてた。あの野郎、さっさと逃げてしまったからなあ」

 六欲天ヒエロ・ヒューガ。
 怠惰で逃げ腰で、自分からは手を下さないタイプか。
 多分、メイオーが復活したら出てくるんじゃないかな。

 さて、密林から出た先にあるのは、赤と緑色にまだらに覆われた山々だった。

「これは、高地を行く必要があるというやつか」

『ピピー。高山デハ空気ガ薄クナリマス。気ヲツケテクダサイ。体力ノ消耗ガハゲシクナリマス』

「たまにロボットみたいなこと言うんだよなこいつ」

『ロボデスカラ』

 そうだった。
 しかし、空気が薄くなるか。
 今までとは違った感じの冒険になりそうだ。

「ええと、一応聞くけど、山がだめな人いる?」

 仲間達は、特に大丈夫そうである。
 その中でも、カリナが生き生きとして手を上げた。

「こういう自然環境なら、わたしの出番です! 平原ばかりいたように思われがちですけど、遊牧民は季節によって高地に移動することもあるんです。夏とかはそうですね。だからまかせてください!」

「おお、カリナが頼もしい! じゃあ先導をお願いしようかな」

「お願いされました!」

 鼻息も荒く、やる気を見せるカリナ。
 俺達は高山地帯という、新たな舞台へ踏み込んでいくのである。
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感想 92

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