ピコーン!と技を閃く無双の旅!〜クラス転移したけど、システム的に俺だけハブられてます〜

あけちともあき

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第二部:彷徨編

70・俺、海賊王国を終焉させる

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「見せてやろう! これが俺の本当の姿だ! 海賊王となり、帝国と王国への流通を止めていたが……それも全ては我が主、メイオー様復活のため!」

 シン・コイーワが吠えると、その姿が大きく変化していった。
 帝国に潜んでいた邪神の神官、シーマを連想させるような外見だ。

 血の色のローブを纏い、鬼のような意匠の仮面をつけている。
 背中からは何本かの腕が突き出していて、そこに剣をや槍、槌にチャクラムなどを握り締めていた。

『俺はメイオー様三神官が一人、コイーワ・ディザスター!! 真の英雄とはてめえのことだ、多摩川奥野! ここでてめえを倒しておけば、メイオー様に抗うものはいなくなる!』

「あんにゃろう、人間じゃなかったのか!」

「ぬわーっ! シン・コイーワ殿がモンスターだっただと!?」

 オルカとジェーダイの反応の違いが面白い。

「行くぞジェーダイ! あんたの力を頼りにしてるぜ!」

「やめろー!? 我をなし崩し的に味方にするなーっ!」

『やはり裏切っていたかジェーダイ!! 古代遺跡から復活させてやった恩を忘れるとは! 古代人はつくづく度し難い! ならばてめえから死ね!!』

 シン・コイーワが全身に装備した武器を一斉に、ジェーダイ目掛けて投げつけてきた。

「問答無用というわけか! ええい、ちくせう!!」

 やけくそになったジェーダイが、ビームサーベルを展開する。
 ブォンッブォンブォンッと音がして、とてもかっこいい。

「後で話は聞かせてもらうからな! 今はこの場を切り抜ける! ふんぬらばーっ!!」

 ジェーダイは吠えると、飛来してくる武器の数々を、片っ端から反射し始める。
 剣を跳ね返し、斧を跳ね返し、槍を跳ね返し、チャクラムを跳ね返し……!

「飛び道具は我には通じぬ!」

『古代人風情が!! ならばこれでどうだ! 炎の呪法……火の鳥!!』

 シン・コイーワの全身が真っ赤に染まり、そこからめちゃめちゃな熱量が吐き出されてきた!
 熱っ!?

「やばい、やばいよこれ!」

 アミラがすっかり素になって、慌ててウォーターバリアを張っている。
 ラムハも闇の障壁を準備中だ。
 どうやらすげえ規模の魔法が来るらしい。

「ダブル玄武陣!」

 俺は陣形を宣言する。
 防御型陣形が二つ生まれ、陣形効果で俺たちの防御力が上がった。
 だが、陣形は五人までなのでジェーダイが外にいるんだよな。

「ジェーダイ、なんとか頑張ってくれ……! あと四人増やせばもう一個陣形組めるから!」

「あと四人!? もう、我が仲間になったことが既成事実になってる……。そもそもお主は誰だ」

 そう言えばまだ名前を教えてなかった気がする。

「アミラ、ジェーダイにもバリアを!」

「うん! ウォーターバリア!」

 スキンヘッドの剣士の体に、水の膜がまとわりついた。

「むっ! ひとまず礼を言っておこう……!! そして、心配は無用だ」

 シン・コイーワの全身を包み込んだ炎が更に膨れ上がり、とうとう大爆発を起こす。
 無数の火の玉が放たれ、それが全て鳥の形になって俺たちへと襲いかかった。
 なるほど、正しく火の鳥か!

「正統ライトニングセイバー流ジェーダイ! 我が剣に、あらゆる種類の飛び道具は通用せぬと知れ! ぬおおおおおお──────!!」

 ジェーダイが吠えた。
 手にしたビームサーベルが、縦横無尽に周囲を薙ぐ。
 飛びかかってきた火の鳥が、それによって次々にシン・コイーワ目掛けて反射されていくのだ。

 これ、反射するってのがすげえ強いな……!
 あと、技を使っているというかジェーダイ固有のスキルっぽい。
 そしてジェーダイは言葉の通り、俺たちに直撃しそうだった全ての火の鳥を反射してみせた。

 強い!

「海賊王国最強の剣士も伊達じゃねえな! やるじゃねえか!」

 オルカの言葉に、ジェーダイは振り向いて唇の端を吊り上げた。

「ちなみに今ので我のMPはゼロだ」

 そしてばたーんとぶっ倒れる。
 MP使うスキルだったかー!

 だが、道を切り開いてくれたのはありがたいぞ!

『馬鹿な!! 俺の火の鳥を防ぎきっただと……!?』

 シン・コイーワから焦りが感じられる。
 武器や呪法を反射されて、それなりにダメージを食らっているようだ。
 だが、こいつらみたいな強いモンスターは、単発の攻撃だとそこまで大きなダメージを与えられないんだよな。

『ならば次は……』

「俺たちのターンだ!」

「オクノ、先に仕掛けるぞ。陣形を変えろ」

「よし! イクサとフタマタのチームは、青龍陣! 突っ込めー!」

「わおーん!!」

「行くぞ!」

 ここで俺、思い出す。
 イクサに技が生えたんだった。

「イクサ! その技の読みは、つきかげのたち、だ!」

「助かる!! 月影の太刀!!」

 駆け寄りざま、イクサが技を放つ。
 流れるような動きで、剣がシン・コイーワへと突き刺さる。

『ぬうおーっ! なんという太刀筋! 見えぬ!』

 回避不能の一撃。
 それがイクサの月影の太刀か!
 あいつの火力でそれをやるのは、ルリアとはやばさの次元が違う。 

『ぐわあーっ!!』

 シン・コイーワの無数の腕が、何本か切り飛ばされる。
 単身でも強大なモンスターにダメージを与えられる辺り、イクサは別格なのだ。

「わおーん!」

 ここでフタマタが、連携開始の合図だ。

「わんわーん!!(麻痺の牙)」

「いっくよー!! 無双三段!!」

「続くね! 三角蹴り!!」

「ミヅチ!」

「月影の太刀!!」

 攻撃に特化した青龍陣の力が、五連携を強化する!

『ドラゴンファング・わんわん無双角蹴りミヅの太刀』

 わんわんは全文採用されるのかー。
 この一撃が、シン・コイーワを空へと打ち上げる。

『ぐうわああああーっ!! こ、このままではーっ!!』

「そう、お前は終わりだぞ!! 朱雀陣で追撃! 連携行くぞーっ!!」

 朱雀人は、一人を囮にして他四名の攻撃力をあげるスタイル!
 囮は無論、俺!

「先にやるぜ!!」

 オルカが飛び上がり、サーベルを抜く。

「稲妻突きぃっ!!」

 超高速での突きがシン・コイーワへと突き刺さる!

「闇の魔槍!」

「アクアバイパー!」

「空を飛んだなら、バードハンティング!!」

 連続での攻撃が、シン・コイーワを上空高く突き上げていく。

『ぐおああああ────!! てめえら、てめえらああああっ!!』

 そしてそこに、最後に俺が追いつくぞ……!

「フランケンシュタイナーッ!!」

 シン・コイーワの頭に足を掛け、回転しながら大地に叩きつけ……地面が遠いなあ!
 上空に突き上げすぎたか!?
 あ、すぐ上が天井じゃん!!

「おらあっ!!」

 ってことで、逆フランケンシュタイナー!
 シン・コイーワの頭を岩天井のマットに叩きつけるのだ!
 その一撃で、遺跡を覆っていた天井そのものに一斉に亀裂が入り、そして外に向かって爆散した。

『ウッ、ウッ、ウグワーッ!! メイオー様ぁーっ!!』

『フェニックスドライブ・稲妻闇アクアハントシュタイナー』

 俺の足のホールドを離れたシン・コイーワが、どこまでも飛んでいく。
 そして、空の高いところで大爆発が起きた。
 よーしよしよし!!

 メイオーの神官二人目を撃破!
 ついでに海賊王国も全滅だ!

 そしてとうとう、遺跡が本格的に壊れ始めた。
 どうやらこの遺跡、群島の地下に存在していたようで……。

「水が流れ込んできます! 海の水です! わたしは泳げません!」

 カリナが悲鳴を上げた。

「よし、撤収ー!! 船まで全力で戻るぞー!!」

 俺たちは猛烈な勢いでの撤退を始めたのだった。
 無論、ジェーダイの回収は忘れてないぞ。

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