ピコーン!と技を閃く無双の旅!〜クラス転移したけど、システム的に俺だけハブられてます〜

あけちともあき

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第一部:始動編

22・俺、アリの巣を探る

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 アリだー!
 そう、アリの巣なのだ。
 フロンティアの地下に広がっていたのは、そう呼ぶしか無いような代物だった。

 違うのは、モンスターが徘徊していること。
 みんな巣の出口を目指して上ってきている。

 ちなみに思ったより数が多くない。

「なんでかしら」

「どうしてかしらねえ」

 俺とラムハで首を傾げた。
 全く思い当たるところがない。
 考えられる事と言うと……。

「フロンティアの周りの木とかは全部なくなってたし、モンスター以外の動物もいなかったよな」

「そう言えばそうね。これってつまり……」

「二人ともー……!」

 ささやき声で怒る、器用なアミラである。

「この状況で、よく雑談できるわねえー……! 気づかれたらおしまいなんだからー……!」

 今の俺たちは、モンスターの死骸の影に隠れ、アリの巣の様子を伺っているところなんである。
 勢いよく飛び込んだものの、地下が迷宮みたいになっていることに気づき、こりゃあいかんと作戦会議にしたのだ。
 ちなみにこの死骸は、さっき倒した大木のモンスターのものを使っている。

「まあまあ落ち着けアミラ。俺たち、ここまでめちゃくちゃに生き急いできたじゃないか」

 俺は優しく微笑みかけた。
 なんか、実に久しぶりに腰を落ち着けてのんびりしている気がする。
 敵地のど真ん中なのに。

「それにさ、思ったよりもモンスター少ないじゃん? なんか理由あるのかなーって」

「オクノくんってもの考えてるんだねえ」

 ルリアが大変シツレイなことを言った。
 優しい俺は、彼女の脇腹をこちょこちょして制裁を加えておく。
 声を上げられない状況なので、口を押さえてのたうち回るルリア。

「モンスターは核から生み出されるのでしょう? なら、もしかして、核がモンスターを産めなくなったのではないでしょうか」

「おっ! カリナ鋭い。つまり、なんで産めなくなったの」

 これに答えたのは、意外な奴だった。
 大人しく干し肉を食べていたイクサだ。

「エサだ。開拓地の人間を食い尽くし、周囲の動物を食い尽くし、木々も緑も食い尽くした。もうフロンティアで食えるものは残ってないんだろう」

「イクサにしては冷静な意見だ……。どうしてお前、そこまで考えることができるんだ……? 俺の知るイクサは思考しないで反射神経だけで生きているような男なのに」

「なにっ!! 俺とて時々考えることはある」

「時々なんだ」

 ルリア、そこは突っ込んじゃいけない。

「それに、ここでオクノとともにいるのは、あながち間違いではないぞ。エサがなくなり、モンスターを生み出すことができなくなった核はどうすると思う」

 イクサの頭良さそうな問い掛けに、俺たちは首を傾げた。
 多分、俺たちはみんなちょっとおバカなのである。

「俺も分からん」

「分かんないのかよ!」

 思わず突っ込んでしまった。
 大きい声が出たので、通過中のモンスターがハッとしてこっちを見る。
 俺たちはみんな、静かになって敵をやり過ごすことに……。

「真空斬!」

 モンスターの首が飛んだ!!
 我慢できない子がいたーっ!!

 途端に戦闘が始まってしまった。
 後続のモンスターがぞくぞく来る。
 もう、ここは破れかぶれだ!

「奥まで突っ込むぞー!」

「おー!」

 女子たちとイクサが応じる。
 ラムハは、「これでいいのかしら……。良くないわよね。でもなんか、もう流れに乗っちゃってるし……ええい!」

 ラムハも考えるのをやめた。

 ここから奥に進むため、俺たちは一つの作戦を立てた。
 常に二人くらいが連携して、モンスターを瞬殺しながら進むのである。

 いい作戦だ!

「ドロップキック!」

「足払い!」

『ドロップ払い』

「ウグワーッ!」

 巨人っぽいモンスターが胸をぶち抜かれて死に、ついでに足を払われて転んだ。
 ……最後の足払い、いらなくね?

「てへっ、技の選択ミスしちゃった」

「ルリアーっ!」

「きゃーっ! くすぐらないで、だめーっ! あはは、あはははははは!! あたし、くすぐりに弱いのーっ!!」

 そんな横で、アミラとカリナが、イクサとラムハが連携しながら道を切り開く。
 カリナもイクサもラムハも、範囲攻撃を持っているので実に効率がいい。
 いいなあ。
 俺もジャイアントスイング以外の範囲攻撃ほしいなあ。

 俺がくすぐってるこいつも風車という範囲攻撃を持っていたはずだが……?

「オクノ! いつまでもルリアといちゃいちゃしない! 行くわよ!」

「おっ、そうだな!」

 ラムハに発破をかけられたので、俺も頑張るとしよう!
 ここのモンスターは、強さはそこそこ。
 閃く感じは無い。

 これって多分、モンスターの材料になるエサがなくなってるせいかな?
 フロンティアへの街道にいたモンスターの方が強いような。

 だが、俺はともかく、仲間たちは戦うほどに強くなる。
 みんなそれなりにレベルアップしてきているようだ。

 そして結構な距離を進んだかなと思った辺りで、唐突にアリの巣の冒険は終わりを告げた。
 行き止まりというわけでもなく、そこでアリの巣が崩れてたというわけでもない。

 目の前に、モンスターの核がいきなり出てきたのだ。

「こいつだな、間違いない」

 イクサが断言した。
 モンスターたちの波を乗り越えたところで、巣を上がってきたこいつに出会ったのだ。
 フロンティアで会ったモンスターの中でも、かなりでかいし、何よりも存在感がある。

 そして、

「アリだ。女王アリだ」

 でっかい腹を引きずって歩いてくる、通路ギリギリの大きさのアリ。
 そいつは俺たちを見ると、ギリギリと大顎を軋ませた。

『妾の可愛い子供たちを殺しおってーっ!! 許さんっ!!』

「喋った!!」

 モンスターが喋るとは。
 六欲天も喋ってたし、上位のモンスターは会話ができるのかな?
 だが、ここで考えてる時間なんて無かった。

 俺たちの中で一人、激しい怒りに身を震わせている者がいたからだ。

「お前が……! お前が、カールとフロンティアのみんなを……! お前が、お前が来たから、私は何もかもなくして……!!」

 アミラが怒ってる。
 超怒ってる。

『人間風情が! お前たちもエサにしてくれる!!』

「お前だけは絶対に許さないっ!!」

 いつもの余裕がある様子なんか微塵も無くなって、アミラが叫んだ。
 ちょっと泣いてるので、冷静ではなさそうである。
 年相応の顔なのかも知れない。

「アミラ!」

 俺は彼女の両肩を正面から叩いた。

「!! ……オクノくん……。私、私、あいつを……!!」

「任せておくのだー!!」

「……うんっ!!」

 俺はこういう時は、ガンガン安請け合いするぞ!
 さあ、勝負だ女王アリ!



─────
 戦う前に、みんなの能力を確認しておこう。

名前:多摩川 奥野

技P  :409/409
術P  :215/215
HP:442

アイテムボックス →

☆体術
・ジャイアントスイング・ドロップキック・フライングメイヤー
・バックスピンキック・ドラゴンスクリュー・シャイニングウィザード
・フライングクロスチョップ・サンダーファイヤーパワーボム・エアプレーンスピン
・ブロッキング・ラリアット・ブレーンバスター
・エルボードロップ
☆槍
・足払い・二段突き・風車
☆鞭
・スラッシュバイパー・二連打ち・グランドバイパー
☆弓
・影縫い・サイドワインダー・アローレイン
・連ね射ち
☆斧
・大木斬
☆杖
・スペルエンハンス・パワーエンハンス・アンチマジック
★幻の呪法
◯幻炎術◯幻獣術◯雷幻術
◯幻影魅了術


名前:ラムハ
レベル:20/■8■
職業:記憶を失った女/黒曜の女■

力   :17/■2■■6
身の守り:19/■■■9■
素早さ :42/■7■■■
賢さ  :79/■■1■■
運の良さ: 3/1■■

HP153/6■■■6■
MP210/■■666■

闇の呪法9レベル
☆杖
・スペルエンハンス・パワーエンハンス・アンチマジック
★闇の呪法
◯闇の炎◯闇の障壁◯闇の衝撃
◯闇の支配◯闇の呪縛


名前:ルリア
レベル:11
職業:村娘

力   :14
身の守り:12
素早さ :16
賢さ  :10
運の良さ:223

HP66
MP 9

槍4レベル
☆体術
・バックスピンキック
☆槍
・足払い・二段突き・風車


名前:アミラ
レベル:12
職業:未亡人

力   :11
身の守り:10
素早さ :22
賢さ  :36
運の良さ:16

HP75
MP70

鞭3レベル
水の呪法4レベル
☆鞭
・スラッシュバイパー・二連打ち・グランドバイパー
★水の呪法
◯癒やしの水◯毒消しの水◯力の水


名前:カリナ
レベル:17
職業:遊牧民の娘

力   :26
身の守り:36
素早さ :69
賢さ  :22
運の良さ:17

HP158
MP33

弓7レベル
短剣3レベル
☆弓
・影縫い・サイドワインダー・アローレイン
・連ね射ち


名前:イクサ
レベル:66
職業:魔剣士

力   :157
身の守り:100
素早さ :260
賢さ  :  2
運の良さ:129

HP550
MP98

剣51レベル
体術46レベル

才能:剣技
☆剣
・飛翔斬・真空斬・裂空斬
・円月斬・十六夜・望月
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