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第一部:始動編
5・俺、一皮むけられない
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人さらい組織を壊滅させることを次の目標にした俺たち。
まずは、人さらいたちの情報を集めなきゃなんだが……。
ここで、俺の新たな能力が判明した。
あれは先日のこと。
ラムハや他の女子たちの目を盗み、積極的なルリアと影で正しい男女交際をしようとした俺であった。
さあ、いざ行くぞ、大人の階段登り、俺は今から一皮むけるぞぉーっという瞬間。
「あれっ!?」
ルリアが変な声を上げた。
「えっ!? どうしたの!?」
俺もめちゃめちゃ焦る。
互いに初心者だから大変焦る。
「ちょ、ちょっと待ってオクノくん! あのね、なんかね、あたしのステータスに新しいスキルが増えた気がする」
「はい?」
俺はこの時点では何もしてない。
ただ、鼻息を荒くしながらルリアの手をぎゅーっと握っただけだ。
だが、スキルが増えたというのは見過ごせない。
どれどれ?
名前:ルリア
レベル:1
職業:村娘
力 : 4
身の守り: 3
素早さ : 6
賢さ : 7
運の良さ:41
HP20
MP 5
槍1レベル
・バックスピンキック
あっ!!
お、俺の技が、ルリアに伝わってる!
これってもしかして……。
俺は、パーティの仲間に技を継承できるってことなのか……?
この気付きを話すと、ルリアが目を輝かせた。
「すっごーい! それってすごいことだよ、オクノくん! スキルはね、めっちゃめちゃ頑張らないと増えないし、上がらないの! でもオクノくんはそれを人に付けてあげちゃえるんでしょ? これはものすごーいことだよー!」
みんなに教えてあげなくちゃ、といそいそ服を着て飛び出していくルリア。
うわー!
待ってくれルリアー!!
その後、駆けつけたラムハにお尻を叩かれた俺である。
「オクノ、そのへんはあとあと人間関係が面倒になるのでだめよ!! ちゃんと腰を落ち着ける気になったらにしなさい!」
「ええーっ、お、俺の若いパトスはどこに行けばいいのだあ」
だが、女子たちの間で淑女協定が結ばれてしまった。
ルリアだけが大変不満そうであったが、ラムハがとても怖い目で彼女に言い聞かせたので、最後はロボットみたいになって、
「ハイ、ラムハサンノ、イウトオリ、デス」
とか言ってたのであいつももうダメだろう。
ここは、可愛い女子たちと一緒に旅をできるだけで満足しておくしかないのか……!
「ということで、オクノ。私にいい考えがあるんだけど」
ラムハが何やら、俺に話を持ちかけてくる。
いい考え……?
「なんだよ」
「オクノは、武器を使ったら技を閃けると思っていいのかしら」
「多分な。戦闘中とか、緊張状態じゃないと閃け無いっぽい」
「なら、戦闘の時に、私たちが持っている武器で戦ってもらっていい? それで技を閃いたら、私たちに継承してもらう」
な、なんて事を考えるのだ、この女は。
それって、うちのパーティがパワーアップできる手段ではないか。
「なるほど、俺が技を閃けば閃くほど、みんなが強くなるんだな」
「そういうこと。お願いしていい?」
ラムハが勝手に物事を決めず、俺に聞いてくるのは意外だった。
そういうところはちゃんとしてるのかも知れないな。
「よしっ、それで行こう!」
~ルリア編~
「ショートスピアって案外重いな」
「でしょー。困っちゃうよねー。あたし、羽より重いもの持てない」
「ハハハ、それじゃあ何も持てないよなー」
ルリアと談笑しながら、槍の技の閃きをやってみることにする。
敵は、この世界に来て初めて遭遇したモンスター、ゴブリンだ。
なんか、一匹でちょろちょろしてたので戦闘を仕掛けることにする。
「行くぞぉ!」
槍でつん、と突付くと、ゴブリンが「ゴブーッ!!」と激怒した。
俺を殺す勢いで、ぼろぼろの短剣を振り回して掛かってくる。
うわあー、こええー!!
だが、後ろでルリアが、ドキドキワクワクしながら見守っているのだ。
男はそんな女子の視線の前では見栄を張ってしまうものである。
「い、い、い、一歩も引かねえぞこらあー! おりゃ、おりゃー!」
俺も槍を振り回して、ゴブリンをポコポコ叩く。
向こうのダガーも、すぐにこちらに届きそうだ。
不潔なダガーっぽので、大変危ない!
これはもしや、俺の危機なのでは?
ピコーン!
来たーっ!!
『足払い』
地味っ!
ショートスピアを回転させて、ゴブリンの足元を払う。
すると、奴がころんと転げてしまった。
そこに構え直した槍を突きこむ。
うおー、刺さった!
痛そう!
暴れるので、ざくざく刺す。
……死んだ。
うーむ。むむむむむ。
こんな微妙な技でいいのか……?
「ほらー、オクノくん、技を継承して! 技ー!」
期待に目をキラキラさせて俺を待つルリア。
仕方ない。
「ルリア、手を出せ、手」
「はいっ」
「じゃあ、今から継承するぞ……。うわ、手汗すごい」
「オクノくんも手汗すごいじゃん。うひひ、にぎにぎしちゃうぞ」
「や、やめろ! 俺の煩悩を刺激するんじゃない!! ラムハにまた説教されるだろ!!」
……と言うやり取りがあって、なんとか技はルリアに継承されたのだった。
ちなみに、技を継承しても俺の技は残っている。
俺が閃いて、それを女子たちに継承するというのは、実に効率がいい成長方法なのだな。
「えーっ!? 足払いって、何これー! 敵の足止めするだけの技なの!?」
ルリアは不満そうだったが、ラムハとカリナは満足そうだ。
「いいじゃない。足止めだって立派な役割よ。それに、どうやらこれ、確率で技が決まるかどうかが判定されるみたいね。運がいいルリアなら、どんな相手だって足払いできるかも知れないわ」
「ええ。ラムハさんの言う通り適材適所です。ルリアさんはよわよわなので、攻撃できる技を覚えてもダメージが通らないのです」
カリナがかなりシビアな話をしてくるな……!
ルリアがしおしおになってしまったではないか。
とりあえず、これで一人目。
次は……。
「うふふ、私ね。よろしくね、オクノくん」
アミラが俺の耳に、ふーっと息を吹きかけたので、俺は大変な状況になってしまったのである。
鎮まれーっ、鎮まれ我が分身よーっ!!
まずは、人さらいたちの情報を集めなきゃなんだが……。
ここで、俺の新たな能力が判明した。
あれは先日のこと。
ラムハや他の女子たちの目を盗み、積極的なルリアと影で正しい男女交際をしようとした俺であった。
さあ、いざ行くぞ、大人の階段登り、俺は今から一皮むけるぞぉーっという瞬間。
「あれっ!?」
ルリアが変な声を上げた。
「えっ!? どうしたの!?」
俺もめちゃめちゃ焦る。
互いに初心者だから大変焦る。
「ちょ、ちょっと待ってオクノくん! あのね、なんかね、あたしのステータスに新しいスキルが増えた気がする」
「はい?」
俺はこの時点では何もしてない。
ただ、鼻息を荒くしながらルリアの手をぎゅーっと握っただけだ。
だが、スキルが増えたというのは見過ごせない。
どれどれ?
名前:ルリア
レベル:1
職業:村娘
力 : 4
身の守り: 3
素早さ : 6
賢さ : 7
運の良さ:41
HP20
MP 5
槍1レベル
・バックスピンキック
あっ!!
お、俺の技が、ルリアに伝わってる!
これってもしかして……。
俺は、パーティの仲間に技を継承できるってことなのか……?
この気付きを話すと、ルリアが目を輝かせた。
「すっごーい! それってすごいことだよ、オクノくん! スキルはね、めっちゃめちゃ頑張らないと増えないし、上がらないの! でもオクノくんはそれを人に付けてあげちゃえるんでしょ? これはものすごーいことだよー!」
みんなに教えてあげなくちゃ、といそいそ服を着て飛び出していくルリア。
うわー!
待ってくれルリアー!!
その後、駆けつけたラムハにお尻を叩かれた俺である。
「オクノ、そのへんはあとあと人間関係が面倒になるのでだめよ!! ちゃんと腰を落ち着ける気になったらにしなさい!」
「ええーっ、お、俺の若いパトスはどこに行けばいいのだあ」
だが、女子たちの間で淑女協定が結ばれてしまった。
ルリアだけが大変不満そうであったが、ラムハがとても怖い目で彼女に言い聞かせたので、最後はロボットみたいになって、
「ハイ、ラムハサンノ、イウトオリ、デス」
とか言ってたのであいつももうダメだろう。
ここは、可愛い女子たちと一緒に旅をできるだけで満足しておくしかないのか……!
「ということで、オクノ。私にいい考えがあるんだけど」
ラムハが何やら、俺に話を持ちかけてくる。
いい考え……?
「なんだよ」
「オクノは、武器を使ったら技を閃けると思っていいのかしら」
「多分な。戦闘中とか、緊張状態じゃないと閃け無いっぽい」
「なら、戦闘の時に、私たちが持っている武器で戦ってもらっていい? それで技を閃いたら、私たちに継承してもらう」
な、なんて事を考えるのだ、この女は。
それって、うちのパーティがパワーアップできる手段ではないか。
「なるほど、俺が技を閃けば閃くほど、みんなが強くなるんだな」
「そういうこと。お願いしていい?」
ラムハが勝手に物事を決めず、俺に聞いてくるのは意外だった。
そういうところはちゃんとしてるのかも知れないな。
「よしっ、それで行こう!」
~ルリア編~
「ショートスピアって案外重いな」
「でしょー。困っちゃうよねー。あたし、羽より重いもの持てない」
「ハハハ、それじゃあ何も持てないよなー」
ルリアと談笑しながら、槍の技の閃きをやってみることにする。
敵は、この世界に来て初めて遭遇したモンスター、ゴブリンだ。
なんか、一匹でちょろちょろしてたので戦闘を仕掛けることにする。
「行くぞぉ!」
槍でつん、と突付くと、ゴブリンが「ゴブーッ!!」と激怒した。
俺を殺す勢いで、ぼろぼろの短剣を振り回して掛かってくる。
うわあー、こええー!!
だが、後ろでルリアが、ドキドキワクワクしながら見守っているのだ。
男はそんな女子の視線の前では見栄を張ってしまうものである。
「い、い、い、一歩も引かねえぞこらあー! おりゃ、おりゃー!」
俺も槍を振り回して、ゴブリンをポコポコ叩く。
向こうのダガーも、すぐにこちらに届きそうだ。
不潔なダガーっぽので、大変危ない!
これはもしや、俺の危機なのでは?
ピコーン!
来たーっ!!
『足払い』
地味っ!
ショートスピアを回転させて、ゴブリンの足元を払う。
すると、奴がころんと転げてしまった。
そこに構え直した槍を突きこむ。
うおー、刺さった!
痛そう!
暴れるので、ざくざく刺す。
……死んだ。
うーむ。むむむむむ。
こんな微妙な技でいいのか……?
「ほらー、オクノくん、技を継承して! 技ー!」
期待に目をキラキラさせて俺を待つルリア。
仕方ない。
「ルリア、手を出せ、手」
「はいっ」
「じゃあ、今から継承するぞ……。うわ、手汗すごい」
「オクノくんも手汗すごいじゃん。うひひ、にぎにぎしちゃうぞ」
「や、やめろ! 俺の煩悩を刺激するんじゃない!! ラムハにまた説教されるだろ!!」
……と言うやり取りがあって、なんとか技はルリアに継承されたのだった。
ちなみに、技を継承しても俺の技は残っている。
俺が閃いて、それを女子たちに継承するというのは、実に効率がいい成長方法なのだな。
「えーっ!? 足払いって、何これー! 敵の足止めするだけの技なの!?」
ルリアは不満そうだったが、ラムハとカリナは満足そうだ。
「いいじゃない。足止めだって立派な役割よ。それに、どうやらこれ、確率で技が決まるかどうかが判定されるみたいね。運がいいルリアなら、どんな相手だって足払いできるかも知れないわ」
「ええ。ラムハさんの言う通り適材適所です。ルリアさんはよわよわなので、攻撃できる技を覚えてもダメージが通らないのです」
カリナがかなりシビアな話をしてくるな……!
ルリアがしおしおになってしまったではないか。
とりあえず、これで一人目。
次は……。
「うふふ、私ね。よろしくね、オクノくん」
アミラが俺の耳に、ふーっと息を吹きかけたので、俺は大変な状況になってしまったのである。
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