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あけちともあき

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これからの私の将来編

第516話 卒業旅行は楽し! 伝説

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 小田原に到着したので、みんなでワーッとバスから飛び出した。
 地図アプリを見つつ、小田原城を目指す。

 見えてきました!
 旅行が難しかった今までは、近くの人達しか訪れなかったお城。
 だけど、皆さんの努力でずーっときれいなまま保たれております。

 奥には昔動物園があったらしい。
 ダンジョン時代になって人が訪れられなくなって、維持の難しくなった動物園は次々なくなった。
 ここもその一つ。
 最後まで頑張ってたみたいだけど。

「ダンジョン時代許せんなー。動物は被害者じゃないですかー」

「でもそのダンジョン時代、はづきちゃんが粉砕したでしょ」

 委員長に言われて、そういえばそうでした、と我に返る。
 お陰で私達はこうやって、卒業旅行に来られているわけで。

 小田原城の天守閣から街を一望にする。
 うーん、いい眺め……!

 東京のビルより全然低いはずなのに、こっちのほうが開放感が凄い。

 右手には海も見えるしね。
 海といえば……。

 小田原の名物、かまぼこ!!
 お土産に、そして外で食べる用に買って、みんなと一緒に海を眺めつつかじるのだ。
 うーん、格別ですなあ、チーズ入りかまぼこ……。

「かまぼこ通りなるものがあるらしいよ」

「なんですって」

 クラスメイトから耳寄りな情報を得た私は、そこへ向かうことにした。
 小田原、見どころがたくさんですねえ。

 足湯に向かったグループもいれば、もみじちゃんたちは漁港見学に行ってるし。
 私達のチームは生き急いでいるので、小田原城址公園から御幸の浜へ向かい、そこからかまぼこ通りへ行くのだ!

 誰よりもたくさん観光地を巡っている自信があるぞ。

 しかしなんというか、こうしてつらつら観光していると……。
 配信のコメントが無いのが不思議な気分になってくる。

 いつでも誰かのツッコミとか反応があったもんねえ。
 これからの日常は、そういうものなしで過ごしていくわけだ。

 静かな人生~。

 ある程度小田原を堪能した後、私達は小田原駅に集合した。
 ここから箱根に向かいます!

「うわっ、駅に吊り下げられた提灯でっかい!!」

「大きいー」

「人が入れるー」

 わあわあ言いつつ、箱根登山鉄道に乗り込んでですね。
 ガタンゴトンと運ばれていきます。

 こういうものが残ってるのは地元の人達の頑張りの賜物だ。

 で、今は日本中にたくさんの観光客が戻ってきていて、維持されていた観光地がやっとその真価を発揮しつつある。

 電車の窓から、地元の小学生が見えた。
 あのランドセル、派手だなあ、ピンクだし……と思ったら、ブタさんマークの私のコラボ商品だった!

「そりゃあ、先輩は世界を救ったスーパーヒロインだもの。子供たちの憧れになるのは当然だよねー」

「そうそう。師匠を知らない人なんかいないよ。いたとしたら地球人のもぐりでしょ」

「まさかみんな、きら星はづきが旅行に来てるだなんて夢にも思わないでしょうねえ」

 イノシカチョウの三人が合流してきて、そんな話で盛り上がった。
 そうなると、同じ電車内のクラスメイトたちがおしゃべりをやめ、私達の会話に耳をそばだてたりしているのだった。

 あっという間に、あちこちから湯気が立ち上る箱根です!
 箱根湯本駅に降り立った時点で、そろそろ夕方。

 早くお宿に向かわねば!!

 わいわいきゃあきゃあやりつつ、私達は本日宿泊する温泉宿に到着するのだった。
 ホテル形式なんだけど、当然のようにお風呂は温泉!!

 卒業旅行なので、引率の先生もいない私達は、「夕食前にひとっ風呂浴びるべきではないか」と結論付けたのだった。

 ホテルは実質、私達の貸し切り。
 何故かついてきているタマコさんが、「そこはもう手を回しましたから」と得意げに語る!

「しょ、職権乱用では?」

「きら星はづきが宿泊するっていうのに、融通を利かせない宿なんか存在しませんから」

「そ、そこまで~」

「そこまでのことをあなたはやってるんです!! これでも全然足りないくらい!」

 猛烈に持ち上げられてしまった!
 今や普通の女子高生……いや、普通の女子に戻った気分でいる私としては、何たる大げさな、という気分である。

 まあまあ、でも、仮に私が偉人だとしても温泉の気持ちよさは変わらない。

 まずは旅の疲れを癒やしましょうということで、大浴場に繰り出した。
 うーん、昔の私なら部屋にある部屋湯で満足していたし、大人数がいる大浴場なんかもっての他だった気がする。

 だが!
 今は多くのリスナーに見られることに慣れているのだ!

「たのもー!」

 ばーんと登場すると、イカルガマンションのそれを超える広いお風呂が出迎えてくれる。

「はづきちゃんが来た!」

「やっぱり生身でも大きい……」

「ひえー、やっぱりセンシティブだった!!」

 クラスメイトにセンシティブ勢が潜んでいたとは!!
 湯に浸かった私の胸元を見て、クラスメイトがおおおお、とかどよめいたりした。
 何が珍しいのか……!?

「そりゃあ、立派なものが浮いてるから」

「はぎゅうちゃんだって立派じゃない」

「あたしは筋肉でかさ増ししてるから浮くほどではない……」

「そういうものでしたか……」

 そんな会話をしつつ。
 温泉の効能か、私の体は実にリラックス。
 凄い開放感で寝てしまいそうになるのだった。

「これ絶対、新しい効能が温泉に追加されるやつよね」

「先輩が入ったらそうなるかもー」

 目が覚めるような話を後ろでするのはやめていただきたい!?
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