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これからの私の将来編
第508話 バレンタイン来ましたね伝説
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三年目にして初めて気付いたのだけど、私はバレンタインデーの企画というものを一切やっていなかった!!
それっぽい話をしたはしたけど、いつものダンジョン配信ばかりやっていた気がする。
気軽にダンジョン攻略が難しくなった(儚く崩れちゃうからね)今ならば、バレンタイン企画をやってもいいのではないか?
「ということでですね、もみじちゃんをお迎えして一緒にバレンタインのチョコを作ろうと思うんですね。もちろんカンナちゃんにあげます」
※『こんきらー!』『こんきら!』『今日もぬるりと』『時間になったらいきなり始まって、いきなりこっちが分かってる前提で話が進むのよw』『はづきっちだから許される所業w』
「こんきらー!」
※『遅いw』『今なのw』
どうしろというのだー。
さて、チョコなんですが、まあ湯煎して好きな素材を入れて、型に入れるだけですからね。
「ここにカカオマスを用意してあるんですが」
「アッー! ほ、本格的~!!」
もみじちゃんが本気だ!!
「誰か送りたい人が? カカオマスからチョコを作るなんて……」
「パン屋の娘たるもの、半端は許されないので! あ、これ、既に粒子を粉砕して20ミクロンまで細かくしてますから、なめらかな舌触りが約束されてますー」
「もみじちゃんが知らない知識を当たり前のように口にしてきたぞ……」
※『あれ? 思ったよりも本格的だな』『もみじちゃんの配信でもあるんだぞ』『下手な料理系配信者よりも本格的だからな……』
「今日はですねー、シンプルなチョコを作っていきます! もう型に流し込んで冷やすだけでいいので」
「あれ? バレンタインチョコを作るのと手順が一緒だな……?」
※もんじゃ『あまりに高度な手作りチョコは、よくあるバレンタイン手作りチョコと似た最終工程になってしまうということか』『過程がぜんぜん違うのにw』
ということで、私はドライフルーツを粉砕したやつをワーッと入れてみましたよ!
もみじちゃんはお砂糖とミルクたっぷりの甘いやつらしい。
これを冷やしてですね。
普段なら時間が掛かるんですが、ここにユーシャちゃんの使い魔ドローンであるアフームたんを借りてきています。
「よろしくお願いしますアフームたん」
『任せて! 冷やすよー! あちょー!!』
「私みたいな声を!」
※『アフームたん、はづきっちフォロワーだったか』『はづきっちのフォロワーは世界中にたくさんいるもんな』『あのスタイルを模倣することが困難極まりないから再現できてないだけだよなw』
アフームたんの冷凍光線により、チョコは無事に冷却された。
どうやらこの自立型ドローン使い魔、チョコを冷やす適温を知っているらしく。
『もみじちゃんと相談して、チョコそのものは適温で冷やしながらその本質に冷凍光線を送り込むことで、チョコ内の脂肪分を騙すやり方を開発したんだ!』
「何言ってるか分かんないけど革命を起こしたことだけは分かりました」
※『バレンタイン配信でお菓子革命起こってて草』『なんで概念的な話になってるんだw』『完成したっぽい?』
「そうです完成です! じゃーん!! ゴボウ型チョコ!! この突き出してるブツブツは全部ドライフルーツです」
※『チョコバーにしか見えない』『ぐわああああ集合体恐怖症私』さといも『超ほしー!!』『今公式垢なのに欲望を呟いたやついたぞw』『さといももようみとるw』『ゴボウ型はどうなの』『棒なのかゴボウなのか……誰が見極められるんだろう』
「カンナちゃんならやれる。私は分かる」
※『お、おう』『あんたほどの人がそう言うなら……』
リスナーたるお前らも分かってくれたみたいです。
さてさて、もみじちゃんはどうかな……?
「うちはこのケルベロス型チョコですね。デフォルメされててかわいいー」
「す、す、凄い造形」
※『すげえええ』『ちゃんと頭が三つあるチョコw』『上下から型を合わせてそこにチョコを流し込んだのかw』『綺麗に抜けたなあ……』
「三つの頭がうちらのイノシカチョウを表しててですね。えー、このチョコを数量限定でイカルガアンテナショップで販売しますので……」
商品紹介が始まった!
沸き立つコメント欄!
一瞬でパンクするアンテナショップのサイト!
なんということでしょう。
そんな混乱の中、もみじちゃんは最初に完成したケルベロスチョコを私に差し出した。
「はい、先輩。ハッピーバレンタイン」
「私にこれを?」
「もちろん! 一番お世話になってるひとですしー」
ニコニコするもみじちゃんなのだった。
あったけー。
持つべきものは優しい後輩(同い年で同級生だけど)。
「じゃあ、私もお返し。あちょ!」
ゴボウチョコを気合とともにへし折った。
「はい、もみじちゃん!」
「えっ!? いいんですか!? それはカンナちゃんにあげるものじゃ……」
「いいのいいの! また作ればいいし! もちろん、湯煎で溶かす普通のやり方で……」
私自身はカカオマスから作る根性は無いからね!
もみじちゃんがニコニコしながらゴボウチョコを食べているのを見て、私はほっこりするのだった。
もちろん、リスナー諸氏もほっこりですよ。
※『いい配信だった~』『人を笑顔にするだけの配信』『こういうのでいいんだよこういうので』
まあ、配信者生活三年目にして初のバレンタイン配信ですから。
なお、私はその足でカンナちゃんの家まで突撃し、きちんとアポを取った上でチョコを手渡ししたのだった。
折った残り半分のほうね。
湯煎で作る普通のは後日また手渡す!!
「うーん! はづきちゃんの重い愛を感じる~。チョコもずっしり重い!」
カンナちゃんはご満悦の様子なのだった。
それっぽい話をしたはしたけど、いつものダンジョン配信ばかりやっていた気がする。
気軽にダンジョン攻略が難しくなった(儚く崩れちゃうからね)今ならば、バレンタイン企画をやってもいいのではないか?
「ということでですね、もみじちゃんをお迎えして一緒にバレンタインのチョコを作ろうと思うんですね。もちろんカンナちゃんにあげます」
※『こんきらー!』『こんきら!』『今日もぬるりと』『時間になったらいきなり始まって、いきなりこっちが分かってる前提で話が進むのよw』『はづきっちだから許される所業w』
「こんきらー!」
※『遅いw』『今なのw』
どうしろというのだー。
さて、チョコなんですが、まあ湯煎して好きな素材を入れて、型に入れるだけですからね。
「ここにカカオマスを用意してあるんですが」
「アッー! ほ、本格的~!!」
もみじちゃんが本気だ!!
「誰か送りたい人が? カカオマスからチョコを作るなんて……」
「パン屋の娘たるもの、半端は許されないので! あ、これ、既に粒子を粉砕して20ミクロンまで細かくしてますから、なめらかな舌触りが約束されてますー」
「もみじちゃんが知らない知識を当たり前のように口にしてきたぞ……」
※『あれ? 思ったよりも本格的だな』『もみじちゃんの配信でもあるんだぞ』『下手な料理系配信者よりも本格的だからな……』
「今日はですねー、シンプルなチョコを作っていきます! もう型に流し込んで冷やすだけでいいので」
「あれ? バレンタインチョコを作るのと手順が一緒だな……?」
※もんじゃ『あまりに高度な手作りチョコは、よくあるバレンタイン手作りチョコと似た最終工程になってしまうということか』『過程がぜんぜん違うのにw』
ということで、私はドライフルーツを粉砕したやつをワーッと入れてみましたよ!
もみじちゃんはお砂糖とミルクたっぷりの甘いやつらしい。
これを冷やしてですね。
普段なら時間が掛かるんですが、ここにユーシャちゃんの使い魔ドローンであるアフームたんを借りてきています。
「よろしくお願いしますアフームたん」
『任せて! 冷やすよー! あちょー!!』
「私みたいな声を!」
※『アフームたん、はづきっちフォロワーだったか』『はづきっちのフォロワーは世界中にたくさんいるもんな』『あのスタイルを模倣することが困難極まりないから再現できてないだけだよなw』
アフームたんの冷凍光線により、チョコは無事に冷却された。
どうやらこの自立型ドローン使い魔、チョコを冷やす適温を知っているらしく。
『もみじちゃんと相談して、チョコそのものは適温で冷やしながらその本質に冷凍光線を送り込むことで、チョコ内の脂肪分を騙すやり方を開発したんだ!』
「何言ってるか分かんないけど革命を起こしたことだけは分かりました」
※『バレンタイン配信でお菓子革命起こってて草』『なんで概念的な話になってるんだw』『完成したっぽい?』
「そうです完成です! じゃーん!! ゴボウ型チョコ!! この突き出してるブツブツは全部ドライフルーツです」
※『チョコバーにしか見えない』『ぐわああああ集合体恐怖症私』さといも『超ほしー!!』『今公式垢なのに欲望を呟いたやついたぞw』『さといももようみとるw』『ゴボウ型はどうなの』『棒なのかゴボウなのか……誰が見極められるんだろう』
「カンナちゃんならやれる。私は分かる」
※『お、おう』『あんたほどの人がそう言うなら……』
リスナーたるお前らも分かってくれたみたいです。
さてさて、もみじちゃんはどうかな……?
「うちはこのケルベロス型チョコですね。デフォルメされててかわいいー」
「す、す、凄い造形」
※『すげえええ』『ちゃんと頭が三つあるチョコw』『上下から型を合わせてそこにチョコを流し込んだのかw』『綺麗に抜けたなあ……』
「三つの頭がうちらのイノシカチョウを表しててですね。えー、このチョコを数量限定でイカルガアンテナショップで販売しますので……」
商品紹介が始まった!
沸き立つコメント欄!
一瞬でパンクするアンテナショップのサイト!
なんということでしょう。
そんな混乱の中、もみじちゃんは最初に完成したケルベロスチョコを私に差し出した。
「はい、先輩。ハッピーバレンタイン」
「私にこれを?」
「もちろん! 一番お世話になってるひとですしー」
ニコニコするもみじちゃんなのだった。
あったけー。
持つべきものは優しい後輩(同い年で同級生だけど)。
「じゃあ、私もお返し。あちょ!」
ゴボウチョコを気合とともにへし折った。
「はい、もみじちゃん!」
「えっ!? いいんですか!? それはカンナちゃんにあげるものじゃ……」
「いいのいいの! また作ればいいし! もちろん、湯煎で溶かす普通のやり方で……」
私自身はカカオマスから作る根性は無いからね!
もみじちゃんがニコニコしながらゴボウチョコを食べているのを見て、私はほっこりするのだった。
もちろん、リスナー諸氏もほっこりですよ。
※『いい配信だった~』『人を笑顔にするだけの配信』『こういうのでいいんだよこういうので』
まあ、配信者生活三年目にして初のバレンタイン配信ですから。
なお、私はその足でカンナちゃんの家まで突撃し、きちんとアポを取った上でチョコを手渡ししたのだった。
折った残り半分のほうね。
湯煎で作る普通のは後日また手渡す!!
「うーん! はづきちゃんの重い愛を感じる~。チョコもずっしり重い!」
カンナちゃんはご満悦の様子なのだった。
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