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これからの私の将来編
第503話 年末にまた世界は救われた伝説
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都内某所の公団アパート。
大阪に広島が攻めてきたぞーっ!というロゴの入ったシャツを着た男が、座卓の上のPCをカチカチいじっていた。
「おっ、新年イカルガのバラエティはこの時間からか。楽しみだ……。だけど今年度ではづきっちとはお別れなんだよなあ」
彼はデスクトップ画面の壁紙にしている、はづきっちセンシティブ写真盛り合わせに向かって手を合わせる。
「三年間、お世話になりました!!」
立ち上がり、棚の上のディスプレイケースに手を合わせる。
その中にはたくさんのきら星はづきフィギュアとプラモデル。
「ずっとドブ色だった俺の人生がキラキラ輝き始めたのは、はづきっちのお陰です! そして素晴らしいセンシティブをありがとう!」
最後に、日差しを避けて飾られている写真に手を合わせた。
それは国際展示場で、見慣れたジャージ姿のきら星はづきと、彼が一緒に映っている一枚だ。
にこやかに微笑むきら星はづきがハートマークの片方みたいなのを作っていて、彼もまた写真の中でハートマークの片方を作っている。
「これ、その後でビクトリアっぽい人に突っ込まれてたんだよな……。はづきっちがサムズ・アップしてハート不成立!ってするお約束なのに、成立しちゃってるじゃん、みたいな。うわー、俺、いつ見ても表情がキモい! 絶対本物だって分かってたから、顔がガチガチで必死に笑顔作ったんだよな。それはそうと、やはりはづきっちは女神だ」
拝むのも忘れて、一年ちょっと前の思い出を懐かしく思う彼。
そうこうしていると、隣の部屋から母が呼ぶ声がした。
夕食であろう。
「分かった、今行く!」
彼は返事をしてから、いつも利用しているSNSを見た。
そこに、妙なトレンドがある。
#はづきっちまた世界を救う
おいおい、いつの話だよ。
トレンドをチェックしてみて、半笑いだった彼は真顔になった。
「ついさっきじゃん!! さっきの配信、マジもんのマジだったのかよ!?」
はづきっちが宇宙で、光る的みたいなのを次々撃ち落とす配信。
途中で豪華ゲストのメカはづきもやって来て、ベルっちまでいてトリプルはづきの豪華共演だ。
年末にふさわしい素晴らしい配信だった。
だが、あれがまさか地球に迫りくる新たな脅威を撃破した配信だったとは……。
「分からねえ……! 俺には、何が現実で何がフィクションなのかさっぱり分からねえ……。そうだ、はづきっちだけを信じていればいい。いや、だがはづきっちは今年度で引退……。お、俺は何を信じれば……!!」
その時である。
彼のツブヤキックスDM欄に、新着コメントあり、の印がついた。
「母さんちょっとだけ待っててくれ! すぐ行くから!」
声を掛けた後、彼はコメントを開く。
そこには……。
全世界センシティブ同盟と名付けられたチャット欄があった。
彼の声掛けによって集まった、全世界のセンシティブを愛する紳士たちが集う場である。
あまりに数が増えたので、その主戦場はザットコード……ザッコになっている。
そこでタイミングを合わせ、みんなでGOZONJI(ご存知)をやるなどしてはづきっちを支援してきた。
彼は全世界センシティブ同盟のリーダーだった。
とは言っても、日々、何がセンシティブだった、どれが素晴らしいセンシティブだった、これが俺のオススメセンシティブだ、などと語り合うだけの場である。
緊急事態のみ、みんなではづきっちを同時視聴応援する。
そういうゆるい集まりだった。
まさか彼は、この集まりが何度も地球の危機を救う手助けをしていたのだとは気づかない。
『ヘイ、ボス! 春先にうちの方で欠員が出るからさ、来いよ! アバターいじれなくても、ボスならアバター被ってアクションとかやれるだろ!』
仲間の一人から、そんな言葉があった。
確か、イギリスでアバター開発を行っている研究者のはずだ。
彼はきら星はづきアメリカ遠征において、飛行機に乗ったはづきっちが空のダンジョンを撃破した時、邂逅した人物だ。
確か、当時は米軍のオペレーターだったらしいが、今は引退してイギリスのアバター企業で働いている。
言葉の壁を超えて二年の付き合いになる。
日本にいるボスは本当に羨ましいよ、と言っていた彼が、イギリスを救うためにきら星はづきが来たときの喜びようは今でも覚えている。
俺は二度、きら星はづきに救われた! 女神だ! と叫んでいた。
『詳しくは個別DMでな』
「オーケー。なんだなんだ……? えっ!? チケット代とアパート用意するからこっちで働けってこと……!? い、いきなり外国はなあ。しかも倉庫整理のバイトからイギリスのアバター作成企業とか……。あ、いや、でもはづきっちも引退するし、いいのか」
彼はそう結論付けると、返答を書き込んだ。
「よし、行こう! ドン!……と。ありがたいなあ。はづきっちと出会ってから、どんどん俺の人生が先に進んでるよ」
彼は立ち上がると、春からの新たな就職先の話をすべく、隣室に続く襖を開けるのだった。
※
きら星はづき、また世界を救う!!
このニュースは瞬く間に世界を駆け巡った。
地球に飛来した新たな敵、オーバーロードとは何者か。
だがきら星はづきが数分で、完全に壊滅させてしまったので今更考察する必要があるのか。
様々な議論が世界で飛び交うのだった。
世界各所にある、ダンジョン研究所などは……。
「今年も正月返上だなあ……! でも、はづきっちが残してくれる最後のビッグデータだ。こいつを活かさなきゃもったいないぜ」
なんて感じで燃えていた。
新たな敵は宇宙から来る……かも知れない。
これから配信者は、宇宙に飛び出す能力が要求される……かも知れないのだ。
ダンジョン配信新時代はすぐそこまで来ているのだった。
大阪に広島が攻めてきたぞーっ!というロゴの入ったシャツを着た男が、座卓の上のPCをカチカチいじっていた。
「おっ、新年イカルガのバラエティはこの時間からか。楽しみだ……。だけど今年度ではづきっちとはお別れなんだよなあ」
彼はデスクトップ画面の壁紙にしている、はづきっちセンシティブ写真盛り合わせに向かって手を合わせる。
「三年間、お世話になりました!!」
立ち上がり、棚の上のディスプレイケースに手を合わせる。
その中にはたくさんのきら星はづきフィギュアとプラモデル。
「ずっとドブ色だった俺の人生がキラキラ輝き始めたのは、はづきっちのお陰です! そして素晴らしいセンシティブをありがとう!」
最後に、日差しを避けて飾られている写真に手を合わせた。
それは国際展示場で、見慣れたジャージ姿のきら星はづきと、彼が一緒に映っている一枚だ。
にこやかに微笑むきら星はづきがハートマークの片方みたいなのを作っていて、彼もまた写真の中でハートマークの片方を作っている。
「これ、その後でビクトリアっぽい人に突っ込まれてたんだよな……。はづきっちがサムズ・アップしてハート不成立!ってするお約束なのに、成立しちゃってるじゃん、みたいな。うわー、俺、いつ見ても表情がキモい! 絶対本物だって分かってたから、顔がガチガチで必死に笑顔作ったんだよな。それはそうと、やはりはづきっちは女神だ」
拝むのも忘れて、一年ちょっと前の思い出を懐かしく思う彼。
そうこうしていると、隣の部屋から母が呼ぶ声がした。
夕食であろう。
「分かった、今行く!」
彼は返事をしてから、いつも利用しているSNSを見た。
そこに、妙なトレンドがある。
#はづきっちまた世界を救う
おいおい、いつの話だよ。
トレンドをチェックしてみて、半笑いだった彼は真顔になった。
「ついさっきじゃん!! さっきの配信、マジもんのマジだったのかよ!?」
はづきっちが宇宙で、光る的みたいなのを次々撃ち落とす配信。
途中で豪華ゲストのメカはづきもやって来て、ベルっちまでいてトリプルはづきの豪華共演だ。
年末にふさわしい素晴らしい配信だった。
だが、あれがまさか地球に迫りくる新たな脅威を撃破した配信だったとは……。
「分からねえ……! 俺には、何が現実で何がフィクションなのかさっぱり分からねえ……。そうだ、はづきっちだけを信じていればいい。いや、だがはづきっちは今年度で引退……。お、俺は何を信じれば……!!」
その時である。
彼のツブヤキックスDM欄に、新着コメントあり、の印がついた。
「母さんちょっとだけ待っててくれ! すぐ行くから!」
声を掛けた後、彼はコメントを開く。
そこには……。
全世界センシティブ同盟と名付けられたチャット欄があった。
彼の声掛けによって集まった、全世界のセンシティブを愛する紳士たちが集う場である。
あまりに数が増えたので、その主戦場はザットコード……ザッコになっている。
そこでタイミングを合わせ、みんなでGOZONJI(ご存知)をやるなどしてはづきっちを支援してきた。
彼は全世界センシティブ同盟のリーダーだった。
とは言っても、日々、何がセンシティブだった、どれが素晴らしいセンシティブだった、これが俺のオススメセンシティブだ、などと語り合うだけの場である。
緊急事態のみ、みんなではづきっちを同時視聴応援する。
そういうゆるい集まりだった。
まさか彼は、この集まりが何度も地球の危機を救う手助けをしていたのだとは気づかない。
『ヘイ、ボス! 春先にうちの方で欠員が出るからさ、来いよ! アバターいじれなくても、ボスならアバター被ってアクションとかやれるだろ!』
仲間の一人から、そんな言葉があった。
確か、イギリスでアバター開発を行っている研究者のはずだ。
彼はきら星はづきアメリカ遠征において、飛行機に乗ったはづきっちが空のダンジョンを撃破した時、邂逅した人物だ。
確か、当時は米軍のオペレーターだったらしいが、今は引退してイギリスのアバター企業で働いている。
言葉の壁を超えて二年の付き合いになる。
日本にいるボスは本当に羨ましいよ、と言っていた彼が、イギリスを救うためにきら星はづきが来たときの喜びようは今でも覚えている。
俺は二度、きら星はづきに救われた! 女神だ! と叫んでいた。
『詳しくは個別DMでな』
「オーケー。なんだなんだ……? えっ!? チケット代とアパート用意するからこっちで働けってこと……!? い、いきなり外国はなあ。しかも倉庫整理のバイトからイギリスのアバター作成企業とか……。あ、いや、でもはづきっちも引退するし、いいのか」
彼はそう結論付けると、返答を書き込んだ。
「よし、行こう! ドン!……と。ありがたいなあ。はづきっちと出会ってから、どんどん俺の人生が先に進んでるよ」
彼は立ち上がると、春からの新たな就職先の話をすべく、隣室に続く襖を開けるのだった。
※
きら星はづき、また世界を救う!!
このニュースは瞬く間に世界を駆け巡った。
地球に飛来した新たな敵、オーバーロードとは何者か。
だがきら星はづきが数分で、完全に壊滅させてしまったので今更考察する必要があるのか。
様々な議論が世界で飛び交うのだった。
世界各所にある、ダンジョン研究所などは……。
「今年も正月返上だなあ……! でも、はづきっちが残してくれる最後のビッグデータだ。こいつを活かさなきゃもったいないぜ」
なんて感じで燃えていた。
新たな敵は宇宙から来る……かも知れない。
これから配信者は、宇宙に飛び出す能力が要求される……かも知れないのだ。
ダンジョン配信新時代はすぐそこまで来ているのだった。
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