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三年目私の、新たなスタート編
第415話 ダンジョン戦線異常なし?伝説
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昨日デートのあと、カンナちゃんは体調を崩したそうで一週間お休みになってしまった。
し、心配だー!
連れ回しすぎたかな?
いやいや、カンナちゃんほどの体力がある人がそれは考えづらい。
変な風邪とかをもらってしまったのではあるまいか。
うーむ。
そうしたら、昨日あの駅にいたらしき人が多数、病気で休んでいるというニュースが出た。
一体なんだろうねえ。
ピンピンしている私はなんなのだ。
いや、ダンジョン配信を始めてこのかた、二年以上一度も病気なんかしてないんだけど。
そんな時、兄から招集が掛かった。
何か、今後のイカルガに関する重要な発表を行うから全員集まるようにということだった。
集まったら近くのレストランの食事券もくれるらしい。
「あの人こういうの好きだねえ」
『ほんとだよねー』
「おっ、はづきたちも行くの? じゃあ一緒に行こう」
カナンさんがちょうどお向かいの部屋から出てきたので、合流して出発したのだ。
ビクトリアは学校らしいから、逆側の駅から直接来るって。
ちょうど講義も終わったところだったらしい。
「なんだか、世界のマナが乱れているな」
カナンさんがそんな事を言った。
「マナと言いますと」
「魔力のことだ。私がいつも魔法を使うだろう? あれには己の中にあるオドと外界を巡るマナを消費している。そのマナに揺らぎがある。ごく小さいものだが、都心に近づくに連れて大きくなっている。まるで、存在するだけでマナを揺らす何者かがそこにいたかのように」
「ははあ」
私が全然理解してない顔をしたので、カナンさんはちょっと笑った。
「気にしなくていい。あくまで私の勘なんだから。あなたが本気を出した時は、マナが同じような感じになるし」
「ほえー、そうだったんですねえ」
マナというものを感知できない私には良く分からない!
だけど、カナンさん曰く、「魔法を使える異種族からすると、あなたは特別なのだぞ」なんだそうで。
なお、電車の中ではづきの名を出すわけにいかないので、あなたと呼ばれてます。
うひょひょ、くすぐったい響き。
そんな事をしてたら、会社のある駅に到着です。
ここ、山手線沿線だから一回乗り換えはしてるんだよね。
人混みに紛れて押し出されて、トコトコとしばらく歩くと到着。
ちょうどイノシカチョウも来てたんで、合流!
「社長、なんだろうねー」
「またろくでもないことを考えてるのかもよ?」
「あの人、腕は確かだけど変人だものね」
イノシカチョウの三人も、一年ちょっと付き合って兄の人格がよく分かってきたな。
企業人をやってる時は常識人のガワを被ってるけど、あれは有り余るスペックの余剰でやってる擬態なんで。
本来の兄は、非常に高いスペックを自分の趣味に全振りしている変な人なのだ。
今は趣味が企業経営なだけだと思うなあ。
そういう話をこの間、受付さん(義姉)にしたら。
「はづきちゃん分かってないな~。あの人の最大のこだわりはすぐ近くにいるよ~」
とかニヤニヤしながら言われたのだった。
なんだなんだ!?
私が知らない兄のこだわりとは一体!!
とにかく、それが全ての中心で、そこにくっつく形で配信者業に戻ってきたのとか、さらに鋭さを増したガン=カタとか、各方面に手を伸ばしてビジネスを広げていくのとかがあるんだと。
多才な人なのだ。
あれは一種の天才じゃないかなあ。
で、そんな兄と戦闘力で互角である八咫烏さんなので、二人は長くコンビを組めていたそうだ。
余談ですが、本気の八咫烏さんはスレイヤーVさんと互角なんだそうで。
超強い。
話が戻ります。
すでにその兄が眼の前にいるんですが。
「皆に集まってもらったのは他でもない。はづきの大々的なイベントも終わったことで、まずはイカルガエンターテイメントの大きな区切りを迎えたと言えよう」
ほうほう。
何か言っているようで何も言っていない。
ここにはイカルガ配信者全員が集まっておりますね。
時刻はそろそろ夕方。
なるほど、学校がある人は学校を終えて集まれる時間だ。
「イカルガは総勢11名。実力者をこれだけ揃えた事務所は他にはあるまい。今後も期待している。そして、これから……イカルガエンターテイメント・フェーズ2を開始する!!」
「「な、なんだってー!!」」
トリットさんとカモちゃんが声を揃えた。
なんと付き合いのいい二人だろう!
兄が嬉しそうな顔になる。
「具体的には、世界展開を行う。まずは英語圏で、イカルガENを結成する。その進捗によって、アジア圏でも活動を開始する予定だ」
「ははあ、事業拡大ですか」
「そうだ。巷では、ダンジョンによる災禍は次々に大物が討ち取られたことで収束が近づいている、という説もある。だが、俺はそうは思わん。例えこの災禍に黒幕がいたとしても、そいつを倒したこの世界からダンジョンが消えることはあるまい」
な、なんですってー。
まあ私も生まれた時からダンジョンがある世界で暮らしてるんで、ダンジョンが無くなるぞーって言われても全然現実感がないんですが。
「ということで、我がイカルガエンターテイメントは手を広げ、世界を獲りに行く。そうすれば、留学しながらでもお前もちょこちょこ顔を出せるだろう」
「あ、なるほどー」
私がぽんと手を打ったら、受付さんが「やっぱりねー」と笑ったのだった。
な、何がやっぱりなんだー!
し、心配だー!
連れ回しすぎたかな?
いやいや、カンナちゃんほどの体力がある人がそれは考えづらい。
変な風邪とかをもらってしまったのではあるまいか。
うーむ。
そうしたら、昨日あの駅にいたらしき人が多数、病気で休んでいるというニュースが出た。
一体なんだろうねえ。
ピンピンしている私はなんなのだ。
いや、ダンジョン配信を始めてこのかた、二年以上一度も病気なんかしてないんだけど。
そんな時、兄から招集が掛かった。
何か、今後のイカルガに関する重要な発表を行うから全員集まるようにということだった。
集まったら近くのレストランの食事券もくれるらしい。
「あの人こういうの好きだねえ」
『ほんとだよねー』
「おっ、はづきたちも行くの? じゃあ一緒に行こう」
カナンさんがちょうどお向かいの部屋から出てきたので、合流して出発したのだ。
ビクトリアは学校らしいから、逆側の駅から直接来るって。
ちょうど講義も終わったところだったらしい。
「なんだか、世界のマナが乱れているな」
カナンさんがそんな事を言った。
「マナと言いますと」
「魔力のことだ。私がいつも魔法を使うだろう? あれには己の中にあるオドと外界を巡るマナを消費している。そのマナに揺らぎがある。ごく小さいものだが、都心に近づくに連れて大きくなっている。まるで、存在するだけでマナを揺らす何者かがそこにいたかのように」
「ははあ」
私が全然理解してない顔をしたので、カナンさんはちょっと笑った。
「気にしなくていい。あくまで私の勘なんだから。あなたが本気を出した時は、マナが同じような感じになるし」
「ほえー、そうだったんですねえ」
マナというものを感知できない私には良く分からない!
だけど、カナンさん曰く、「魔法を使える異種族からすると、あなたは特別なのだぞ」なんだそうで。
なお、電車の中ではづきの名を出すわけにいかないので、あなたと呼ばれてます。
うひょひょ、くすぐったい響き。
そんな事をしてたら、会社のある駅に到着です。
ここ、山手線沿線だから一回乗り換えはしてるんだよね。
人混みに紛れて押し出されて、トコトコとしばらく歩くと到着。
ちょうどイノシカチョウも来てたんで、合流!
「社長、なんだろうねー」
「またろくでもないことを考えてるのかもよ?」
「あの人、腕は確かだけど変人だものね」
イノシカチョウの三人も、一年ちょっと付き合って兄の人格がよく分かってきたな。
企業人をやってる時は常識人のガワを被ってるけど、あれは有り余るスペックの余剰でやってる擬態なんで。
本来の兄は、非常に高いスペックを自分の趣味に全振りしている変な人なのだ。
今は趣味が企業経営なだけだと思うなあ。
そういう話をこの間、受付さん(義姉)にしたら。
「はづきちゃん分かってないな~。あの人の最大のこだわりはすぐ近くにいるよ~」
とかニヤニヤしながら言われたのだった。
なんだなんだ!?
私が知らない兄のこだわりとは一体!!
とにかく、それが全ての中心で、そこにくっつく形で配信者業に戻ってきたのとか、さらに鋭さを増したガン=カタとか、各方面に手を伸ばしてビジネスを広げていくのとかがあるんだと。
多才な人なのだ。
あれは一種の天才じゃないかなあ。
で、そんな兄と戦闘力で互角である八咫烏さんなので、二人は長くコンビを組めていたそうだ。
余談ですが、本気の八咫烏さんはスレイヤーVさんと互角なんだそうで。
超強い。
話が戻ります。
すでにその兄が眼の前にいるんですが。
「皆に集まってもらったのは他でもない。はづきの大々的なイベントも終わったことで、まずはイカルガエンターテイメントの大きな区切りを迎えたと言えよう」
ほうほう。
何か言っているようで何も言っていない。
ここにはイカルガ配信者全員が集まっておりますね。
時刻はそろそろ夕方。
なるほど、学校がある人は学校を終えて集まれる時間だ。
「イカルガは総勢11名。実力者をこれだけ揃えた事務所は他にはあるまい。今後も期待している。そして、これから……イカルガエンターテイメント・フェーズ2を開始する!!」
「「な、なんだってー!!」」
トリットさんとカモちゃんが声を揃えた。
なんと付き合いのいい二人だろう!
兄が嬉しそうな顔になる。
「具体的には、世界展開を行う。まずは英語圏で、イカルガENを結成する。その進捗によって、アジア圏でも活動を開始する予定だ」
「ははあ、事業拡大ですか」
「そうだ。巷では、ダンジョンによる災禍は次々に大物が討ち取られたことで収束が近づいている、という説もある。だが、俺はそうは思わん。例えこの災禍に黒幕がいたとしても、そいつを倒したこの世界からダンジョンが消えることはあるまい」
な、なんですってー。
まあ私も生まれた時からダンジョンがある世界で暮らしてるんで、ダンジョンが無くなるぞーって言われても全然現実感がないんですが。
「ということで、我がイカルガエンターテイメントは手を広げ、世界を獲りに行く。そうすれば、留学しながらでもお前もちょこちょこ顔を出せるだろう」
「あ、なるほどー」
私がぽんと手を打ったら、受付さんが「やっぱりねー」と笑ったのだった。
な、何がやっぱりなんだー!
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