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打ち上げ! 私のロケット編
第381話 冬休みラストのサイン会伝説
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サイン会をすることになっております!
全国から厳正な抽選で選ばれた300人の人がイカルガエンタロビーに並び、私にサインされるというイベント。
「そう言えばなんでこんなことしてるの?」
「リスナーの顔を直接見ておくためでもあるし、お前に関する話題を途切れさせないためだ。人は飽きる生き物だからな。いつまでも同じことをやっていては、飽きてしまって肝心の決戦で同接が集まらないことにもなりかねない」
なるほどー。
兄は色々考えているみたいだ。
それで、イカルガ公式できら星はづきサイン会参加希望者を募ったわけだ。
掛かるのは旅費だけ。
色紙でも体でも、公序良俗に反しない範囲ではどこにでもサインする!
フフフフフ……。
この日のためにサインを練習していたのだ。
冬休み最終日だけど、最後の最後でこの大きめイベントはなかなかじゃないだろうか。
どんな人が来るか楽しみー。
もうね、人前でコンサートやってから、私は怖いものが無くなったよ。
陽キャくらいしか怖くない。
「じゃあ一人目通しますねー。どうぞー」
「きゃーっ! はづきっち本物!! カワイー!! ね、ね、一緒に写ってもらっていいっすか? ピンスタにアップしていい? いえーい」
「あひー」
て、天敵きたぁ~。
私の引きつった笑顔と曲がったピースサインがピンスタにアップされてしまった。
な、なんて恐ろしい相手を最初に連れてくるんだ……。
兄がニコニコしている。
「油断大敵だぞ。慢心は最初に戒めておかねばな!」
「そりゃあそうだけどぉ」
いくらなんでも不意打ち過ぎるぅ。
陽キャの女性が差し出したのはスマホで、その背中に私のサインを書いた。
彼女はキャーッと歓声を上げて飛び跳ねると、私の両手を取ってブンブン振った。
「もうずーっと応援してます! 毎朝仕事いくのたるいんですけど、はづきっちのアーカイブ見て気合い入れて、そんで仕事行くの! あたしの元気の源! 応援してまっす!!」
「あっ、はい、どうもありがとう!」
陽キャだけど、私の大ファンでもあるんだな!
ありがとうありがとう。
しばらく握手してブンブン振って、それでお別れになった。
濃い時間だったけど一分くらい。
次の人が通された。
あっ、ケンタウロス!!
「山梨から夜通し走ってきました!! 俺等の種族の宿敵だったスレイプニルをぶっ飛ばしたところ、痺れたっす……! あっ、サインは俺のこのスカーフに……」
次はバードマン!
「空まで征服した上に、ドラゴンと友誼を結んだんですよね? すっげえー。サイン、アンクレットにもらっても?」
エルフの人たちだ!
「うわーっ、本物のはづきちゃんだ!」
「戦士長がお世話になってます!」
「私達ー、配信者を応援する会社を立ち上げてー」
「みんなで応援してますから!」
色紙に次々サインすることになった。
みんなカナンさんの教え子らしい!
世界は狭い~。
こんな感じで、休みとお昼休憩を挟みつつ、午前九時から午後五時までやったよ!
いやあ、大変な仕事でした。
でも、私を応援してくれている人たちの顔が見えた気がする。
「お疲れ様です。はづきさんを応援する人たちから、幅広い層が選ばれるようにこっちでかなり厳正にチェックしたんですよ」
ルンテさんがお砂糖たっぷりの紅茶を持ってきてくれる。
美味しいー。
「それで、今回はベルっちさんNGでやったんですけど、それってやっぱり魔族に忌避感を持ってる亜人が多いからですね。いくらはづきさんとは言え、大罪の魔王ですし」
「なるほどー」
「それでどうでした? あ、このインタビューはカメラ回ってます。あとで編集して公式チャンネルにアップしますね」
「あひー! きら星はづきにプライベートなし!」
まあ別にいいんですが。
300人くらい、色々な人たちを相手にしてどうだったか、か……。
「馴染み深い陰の者から、私の苦手な陽キャまでタイプは色々いたし。あとはいろんな種族の人がいたよね。みんな日本に馴染んで、自分たちの生活をしてるんだなーって思った」
「はい。政府からは就業支援が常に行われてるんですけど、現地の方々も私達亜人を快く受け入れてくれてて。人間同士の人種の違いによる軋轢っていうのがあるんでしたっけ? 私達の場合、種族からして違うから文化も生態も違ってて。あまりにも違うから逆に気を使いやすいみたいな」
「あー、あるかも!」
バードマンやケンタウロスやマーメイドの人なんか、移動手段とか普段の暮らしのスタイルからして人間と違うもんね!
エルフは精霊を使って色々やるし、独自の社会形態を作ってるし。
ハーフリングとドワーフの人達が一番社会に馴染んでるかも?
配達系はちっちゃくてむちゃくちゃ機敏でタフなハーフリングが向いてるっぽいし、ドワーフの人達はパワフルで熱に強くてタフなんで現場でバリバリ活躍してる。
確か国は、異種族の人達にこの国に馴染んでもらいつつ、配信者を応援してもらおうって考えてたよね。
じゃあ、その作戦は今成功してるってことだ。
だって300人のサイン相手のうち、100人が異種族だったもん。
みんなスマホとかPCを持ってて、私の配信を追っかけてくれているのだ。
ありがたいなあー。
ルンテさんと話をしながらそんなことを考えた。
「今、日本全国に500万人超の異種族がいますけど、実はこの全員が配信者さんたちを応援してるんですよ」
「ひえーっ!? 全員が!?」
びっくりな事実!
「私たち、ファールディアから来た者達にとって、魔王を倒すことは種族としての悲願です。そして今、魔王との戦いの最前線にいるこの国は、日常を守りながら戦い続ける希望そのものなんです。希望の先端に立つ人こそが……」
そこまで言って、ルンテさんがニコニコした。
カメラが私をじーっと映している。
私、ちょっと反応に困って、お茶をガブガブ飲んだ。
スタッフの人達がどっと笑う。
『はづき! なんか気の利いたこと言いなさい!』
見かねたベルっちが飛び出してきて、私に突っ込みをいれるのだった。
「あひー! わ、私のくせになんて無茶を言うんだー!」
全国から厳正な抽選で選ばれた300人の人がイカルガエンタロビーに並び、私にサインされるというイベント。
「そう言えばなんでこんなことしてるの?」
「リスナーの顔を直接見ておくためでもあるし、お前に関する話題を途切れさせないためだ。人は飽きる生き物だからな。いつまでも同じことをやっていては、飽きてしまって肝心の決戦で同接が集まらないことにもなりかねない」
なるほどー。
兄は色々考えているみたいだ。
それで、イカルガ公式できら星はづきサイン会参加希望者を募ったわけだ。
掛かるのは旅費だけ。
色紙でも体でも、公序良俗に反しない範囲ではどこにでもサインする!
フフフフフ……。
この日のためにサインを練習していたのだ。
冬休み最終日だけど、最後の最後でこの大きめイベントはなかなかじゃないだろうか。
どんな人が来るか楽しみー。
もうね、人前でコンサートやってから、私は怖いものが無くなったよ。
陽キャくらいしか怖くない。
「じゃあ一人目通しますねー。どうぞー」
「きゃーっ! はづきっち本物!! カワイー!! ね、ね、一緒に写ってもらっていいっすか? ピンスタにアップしていい? いえーい」
「あひー」
て、天敵きたぁ~。
私の引きつった笑顔と曲がったピースサインがピンスタにアップされてしまった。
な、なんて恐ろしい相手を最初に連れてくるんだ……。
兄がニコニコしている。
「油断大敵だぞ。慢心は最初に戒めておかねばな!」
「そりゃあそうだけどぉ」
いくらなんでも不意打ち過ぎるぅ。
陽キャの女性が差し出したのはスマホで、その背中に私のサインを書いた。
彼女はキャーッと歓声を上げて飛び跳ねると、私の両手を取ってブンブン振った。
「もうずーっと応援してます! 毎朝仕事いくのたるいんですけど、はづきっちのアーカイブ見て気合い入れて、そんで仕事行くの! あたしの元気の源! 応援してまっす!!」
「あっ、はい、どうもありがとう!」
陽キャだけど、私の大ファンでもあるんだな!
ありがとうありがとう。
しばらく握手してブンブン振って、それでお別れになった。
濃い時間だったけど一分くらい。
次の人が通された。
あっ、ケンタウロス!!
「山梨から夜通し走ってきました!! 俺等の種族の宿敵だったスレイプニルをぶっ飛ばしたところ、痺れたっす……! あっ、サインは俺のこのスカーフに……」
次はバードマン!
「空まで征服した上に、ドラゴンと友誼を結んだんですよね? すっげえー。サイン、アンクレットにもらっても?」
エルフの人たちだ!
「うわーっ、本物のはづきちゃんだ!」
「戦士長がお世話になってます!」
「私達ー、配信者を応援する会社を立ち上げてー」
「みんなで応援してますから!」
色紙に次々サインすることになった。
みんなカナンさんの教え子らしい!
世界は狭い~。
こんな感じで、休みとお昼休憩を挟みつつ、午前九時から午後五時までやったよ!
いやあ、大変な仕事でした。
でも、私を応援してくれている人たちの顔が見えた気がする。
「お疲れ様です。はづきさんを応援する人たちから、幅広い層が選ばれるようにこっちでかなり厳正にチェックしたんですよ」
ルンテさんがお砂糖たっぷりの紅茶を持ってきてくれる。
美味しいー。
「それで、今回はベルっちさんNGでやったんですけど、それってやっぱり魔族に忌避感を持ってる亜人が多いからですね。いくらはづきさんとは言え、大罪の魔王ですし」
「なるほどー」
「それでどうでした? あ、このインタビューはカメラ回ってます。あとで編集して公式チャンネルにアップしますね」
「あひー! きら星はづきにプライベートなし!」
まあ別にいいんですが。
300人くらい、色々な人たちを相手にしてどうだったか、か……。
「馴染み深い陰の者から、私の苦手な陽キャまでタイプは色々いたし。あとはいろんな種族の人がいたよね。みんな日本に馴染んで、自分たちの生活をしてるんだなーって思った」
「はい。政府からは就業支援が常に行われてるんですけど、現地の方々も私達亜人を快く受け入れてくれてて。人間同士の人種の違いによる軋轢っていうのがあるんでしたっけ? 私達の場合、種族からして違うから文化も生態も違ってて。あまりにも違うから逆に気を使いやすいみたいな」
「あー、あるかも!」
バードマンやケンタウロスやマーメイドの人なんか、移動手段とか普段の暮らしのスタイルからして人間と違うもんね!
エルフは精霊を使って色々やるし、独自の社会形態を作ってるし。
ハーフリングとドワーフの人達が一番社会に馴染んでるかも?
配達系はちっちゃくてむちゃくちゃ機敏でタフなハーフリングが向いてるっぽいし、ドワーフの人達はパワフルで熱に強くてタフなんで現場でバリバリ活躍してる。
確か国は、異種族の人達にこの国に馴染んでもらいつつ、配信者を応援してもらおうって考えてたよね。
じゃあ、その作戦は今成功してるってことだ。
だって300人のサイン相手のうち、100人が異種族だったもん。
みんなスマホとかPCを持ってて、私の配信を追っかけてくれているのだ。
ありがたいなあー。
ルンテさんと話をしながらそんなことを考えた。
「今、日本全国に500万人超の異種族がいますけど、実はこの全員が配信者さんたちを応援してるんですよ」
「ひえーっ!? 全員が!?」
びっくりな事実!
「私たち、ファールディアから来た者達にとって、魔王を倒すことは種族としての悲願です。そして今、魔王との戦いの最前線にいるこの国は、日常を守りながら戦い続ける希望そのものなんです。希望の先端に立つ人こそが……」
そこまで言って、ルンテさんがニコニコした。
カメラが私をじーっと映している。
私、ちょっと反応に困って、お茶をガブガブ飲んだ。
スタッフの人達がどっと笑う。
『はづき! なんか気の利いたこと言いなさい!』
見かねたベルっちが飛び出してきて、私に突っ込みをいれるのだった。
「あひー! わ、私のくせになんて無茶を言うんだー!」
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