360 / 517
年末私の大感謝祭編
第360話 感謝祭クライマックス……外では何か起こってたみたいですね伝説
しおりを挟む
出番まで少しのんびりしようかなって思ったら、日本中でダンジョンハザードとか!
こうなったらいきなりプログラム変更ですよ!!
ということで、私は勝手にアナウンスして、みんなにこうやってってお願いして。
もう緊張する間も無くステージに飛び出していって、ベルっちと二人で歌って踊ったのだった。
必死ですよ必死。
練習した成果を発揮はできた……と思う!
歌い終わったら、会場中の人がワーッと喜んでいた。
良かった良かった。
サビの辺りで、泣いてる人とかいたし。
横のコメントは『どんどんダンジョンハザードが押し戻されてく!』『アニメかよ!? 現実だよアニメじゃない!』とか流れてるし。
うんうん、盛り上がってくれて何よりです。
めちゃくちゃ動いて歌ってカロリーを使って、もう汗だくなのだ。
私はベルっちと二人でみんなに手を振りながら、舞台袖に引っ込んだ。
兄がニッコニコで出迎えてくれる。
「よくやった。今までの研鑽が生きた、実にいいステージだったぞ。俺の夢がかなった」
「夢え? 私がステージで歌って踊るのが?」
「アイドルをプロデュースしてみたかったんだ」
「なんだってー」
こ、この人はー。
あまりにマイペースな話をしているので、これを見かねた他のスタッフさんが寄ってきた。
「はい、はづきちゃんタオルとスポーツドリンク。お疲れ様です!」
「あ、どうもー」
『どうもどうも。お腹へった気がする』
「ねー」
ベルっちと二人、わけのわからないことを言ってる兄はスルーして控室に向かった。
今、ステージではイノシカチョウの三人が順番にソロをやって、それから三人の歌をやるターンだ。
盛り上がってる盛り上がってる。
そしてなんかステージ裏でもスタッフの皆さんが盛り上がっていた。
なんだなんだ。
「見て見てはづきさん! これ、これ!」
ルンテさんが駆け寄ってきて、スマホを見せてくる。
なんだなんだ。
なんか、さっき私が歌った歌が流れてくるんですけど。
「これ、今最速で上がったうぉっちチャンネルさんの切り抜き動画なんだですけど。さっき、日本全国で一斉にダンジョンハザードが消滅したって」
「『あひー!?』」
物凄いニュースに、私とベルっちが椅子から飛び上がって驚いた。
どういうことですかー!?
「いきなりのダンジョンからの大攻勢で大変な状況だったのが、はづきさんが歌いだしたら一気に形勢が逆転して……」
「おおー、よかったよかった」
『うんうん、プログラム変更した甲斐があったね』
動画の中では、溢れ出したモンスターたちは私の歌が流れると一気に動きが鈍くなって、辺りをキョロキョロし始める。
で、押されてた配信者さんがブワーッと光り出したりして、すごいパワーを纏ってモンスターをやっつけ始めたのだ。
ダンジョンハザードは、大本になってるダンジョンの最深部をクリアしたら消滅する。
みんな物凄い速さで、ダンジョンRTA(リアルタイムアタック)してるなあ。
各地のダンジョン最奥にいる、ダンジョンボスが次々にやられるシーン。
うぉっちチャンネルさんの切り抜きが上手い!
後で完全版が出ると思うけど、最速版でも盛り上がりは体験できた。
「こんなお祭りみたいな事になってたのか……」
『乗り遅れてしまった……』
「乗り遅れるも何も、はづきさんがこの流れの源流でしょ!」
ルンテさんの突っ込みを浴びてしまった!
そうかあ……?
そうなのだろうか……?
うーむ。
これ、いい感じに私の歌をBGMにしてるだけでは……?
「社長がまだ未発表の曲の使用許可とか出すと思います? コンサートが始まって、はづきさんが歌い出した途端、全部のAフォンをジャックしてこの歌が流れ出したんですよ」
「『な、なんだってー!?』」
再び驚愕する私とベルっち。
『いかに魔王でも私はそこまでやらない』
「ベルっち平和的な魔王だもんね」
『お腹に食べ物が入っている限り人類の味方をするね』
そんな話をしてたら、スタッフさんたちがベルっちの横に食べ物を積み上げてくれた。
優しい人たちだ。
分けてもらおうっと。
二人でニコニコしながら、チョコバーとかをもぐもぐ食べる。
甘いものが疲れた体に染み渡る~。
「それで、地の大魔将が出現して、一斉攻撃だったみたいなんですけど……。大魔将が慌ててまた地の底に引っ込んでいったそうです」
「ありゃりゃ。なんで逃げたんだろう」
「はづきさんの歌でパワーアップした配信者たちを見て、これはまずいと思ったんじゃないかな……。ファールディアでもこんなこと無かったし。っていうかこれ、もう、神話に語られている戦女神のバトルソングと、それに強化されて魔の軍勢を打ち破る聖なる戦士たちの聖戦の光景そのものだし」
何その話、知らない。
くわしく!
ルンテさんから、ファールディアの神話を聞いてしまったぞ。
ほうほう、一般人の中から普通の女の子が選ばれて、彼女がなんか幾多の試練を経て戦の女神として迎え入れられ、ついに光と闇の最終決戦で戦女神のバトルソングでみんな超強くなったと。
ははあー。
『なんかはづきみたいね』
「私が女神? ハハハ、幾らなんでも盛り過ぎでしょ」
なんか周りのスタッフさんが、ハハハとか笑ってるけど目が真剣だ。
なんだなんだ。
「結局ファールディアの人間は、文化とか技術が発展したんだけど信仰を忘れて、世界から神は去ったと言われてるんです。私たち異種族はもともと人間から分かれた、あるいは人間の秘術で生み出されたとされてるんだけど、神は信じて無くてもその加護っぽいのを常に纏ってるの。例えば精霊とかがそうだし」
「なんか深い話になってきたぞ」
ルンテさんの世界は、神様から見放された人間が魔王の侵略に全然抗えなくて滅びたんだと。
こわいこわい……。
そんな話をしていたら、また出番のようです。
アンコールだと……!?
「きら星はづきの出番だ! 既に版権元から許可を取ってある。歌ってこい、虎になれ」
「えっ、あれをステージで!?」
今回のイベントのサービス凄くない?
私の消費カロリーも凄くない?
『仕方ない。いきますかー』
「いくかあー」
二人でよっこらしょと立ち上がった。
カロリー補給は十分。
もう一発歌ってクライマックス終わらせますか。
こうなったらいきなりプログラム変更ですよ!!
ということで、私は勝手にアナウンスして、みんなにこうやってってお願いして。
もう緊張する間も無くステージに飛び出していって、ベルっちと二人で歌って踊ったのだった。
必死ですよ必死。
練習した成果を発揮はできた……と思う!
歌い終わったら、会場中の人がワーッと喜んでいた。
良かった良かった。
サビの辺りで、泣いてる人とかいたし。
横のコメントは『どんどんダンジョンハザードが押し戻されてく!』『アニメかよ!? 現実だよアニメじゃない!』とか流れてるし。
うんうん、盛り上がってくれて何よりです。
めちゃくちゃ動いて歌ってカロリーを使って、もう汗だくなのだ。
私はベルっちと二人でみんなに手を振りながら、舞台袖に引っ込んだ。
兄がニッコニコで出迎えてくれる。
「よくやった。今までの研鑽が生きた、実にいいステージだったぞ。俺の夢がかなった」
「夢え? 私がステージで歌って踊るのが?」
「アイドルをプロデュースしてみたかったんだ」
「なんだってー」
こ、この人はー。
あまりにマイペースな話をしているので、これを見かねた他のスタッフさんが寄ってきた。
「はい、はづきちゃんタオルとスポーツドリンク。お疲れ様です!」
「あ、どうもー」
『どうもどうも。お腹へった気がする』
「ねー」
ベルっちと二人、わけのわからないことを言ってる兄はスルーして控室に向かった。
今、ステージではイノシカチョウの三人が順番にソロをやって、それから三人の歌をやるターンだ。
盛り上がってる盛り上がってる。
そしてなんかステージ裏でもスタッフの皆さんが盛り上がっていた。
なんだなんだ。
「見て見てはづきさん! これ、これ!」
ルンテさんが駆け寄ってきて、スマホを見せてくる。
なんだなんだ。
なんか、さっき私が歌った歌が流れてくるんですけど。
「これ、今最速で上がったうぉっちチャンネルさんの切り抜き動画なんだですけど。さっき、日本全国で一斉にダンジョンハザードが消滅したって」
「『あひー!?』」
物凄いニュースに、私とベルっちが椅子から飛び上がって驚いた。
どういうことですかー!?
「いきなりのダンジョンからの大攻勢で大変な状況だったのが、はづきさんが歌いだしたら一気に形勢が逆転して……」
「おおー、よかったよかった」
『うんうん、プログラム変更した甲斐があったね』
動画の中では、溢れ出したモンスターたちは私の歌が流れると一気に動きが鈍くなって、辺りをキョロキョロし始める。
で、押されてた配信者さんがブワーッと光り出したりして、すごいパワーを纏ってモンスターをやっつけ始めたのだ。
ダンジョンハザードは、大本になってるダンジョンの最深部をクリアしたら消滅する。
みんな物凄い速さで、ダンジョンRTA(リアルタイムアタック)してるなあ。
各地のダンジョン最奥にいる、ダンジョンボスが次々にやられるシーン。
うぉっちチャンネルさんの切り抜きが上手い!
後で完全版が出ると思うけど、最速版でも盛り上がりは体験できた。
「こんなお祭りみたいな事になってたのか……」
『乗り遅れてしまった……』
「乗り遅れるも何も、はづきさんがこの流れの源流でしょ!」
ルンテさんの突っ込みを浴びてしまった!
そうかあ……?
そうなのだろうか……?
うーむ。
これ、いい感じに私の歌をBGMにしてるだけでは……?
「社長がまだ未発表の曲の使用許可とか出すと思います? コンサートが始まって、はづきさんが歌い出した途端、全部のAフォンをジャックしてこの歌が流れ出したんですよ」
「『な、なんだってー!?』」
再び驚愕する私とベルっち。
『いかに魔王でも私はそこまでやらない』
「ベルっち平和的な魔王だもんね」
『お腹に食べ物が入っている限り人類の味方をするね』
そんな話をしてたら、スタッフさんたちがベルっちの横に食べ物を積み上げてくれた。
優しい人たちだ。
分けてもらおうっと。
二人でニコニコしながら、チョコバーとかをもぐもぐ食べる。
甘いものが疲れた体に染み渡る~。
「それで、地の大魔将が出現して、一斉攻撃だったみたいなんですけど……。大魔将が慌ててまた地の底に引っ込んでいったそうです」
「ありゃりゃ。なんで逃げたんだろう」
「はづきさんの歌でパワーアップした配信者たちを見て、これはまずいと思ったんじゃないかな……。ファールディアでもこんなこと無かったし。っていうかこれ、もう、神話に語られている戦女神のバトルソングと、それに強化されて魔の軍勢を打ち破る聖なる戦士たちの聖戦の光景そのものだし」
何その話、知らない。
くわしく!
ルンテさんから、ファールディアの神話を聞いてしまったぞ。
ほうほう、一般人の中から普通の女の子が選ばれて、彼女がなんか幾多の試練を経て戦の女神として迎え入れられ、ついに光と闇の最終決戦で戦女神のバトルソングでみんな超強くなったと。
ははあー。
『なんかはづきみたいね』
「私が女神? ハハハ、幾らなんでも盛り過ぎでしょ」
なんか周りのスタッフさんが、ハハハとか笑ってるけど目が真剣だ。
なんだなんだ。
「結局ファールディアの人間は、文化とか技術が発展したんだけど信仰を忘れて、世界から神は去ったと言われてるんです。私たち異種族はもともと人間から分かれた、あるいは人間の秘術で生み出されたとされてるんだけど、神は信じて無くてもその加護っぽいのを常に纏ってるの。例えば精霊とかがそうだし」
「なんか深い話になってきたぞ」
ルンテさんの世界は、神様から見放された人間が魔王の侵略に全然抗えなくて滅びたんだと。
こわいこわい……。
そんな話をしていたら、また出番のようです。
アンコールだと……!?
「きら星はづきの出番だ! 既に版権元から許可を取ってある。歌ってこい、虎になれ」
「えっ、あれをステージで!?」
今回のイベントのサービス凄くない?
私の消費カロリーも凄くない?
『仕方ない。いきますかー』
「いくかあー」
二人でよっこらしょと立ち上がった。
カロリー補給は十分。
もう一発歌ってクライマックス終わらせますか。
78
お気に入りに追加
245
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
強制的にダンジョンに閉じ込められ配信を始めた俺、吸血鬼に進化するがエロい衝動を抑えきれない
ぐうのすけ
ファンタジー
朝起きると美人予言者が俺を訪ねて来る。
「どうも、予言者です。あなたがダンジョンで配信をしないと日本人の半分近くが死にます。さあ、行きましょう」
そして俺は黒服マッチョに両脇を抱えられて黒塗りの車に乗せられ、日本に1つしかないダンジョンに移動する。
『ダンジョン配信の義務さえ果たせばハーレムをお約束します』
『ダンジョン配信の義務さえ果たせば一生お金の心配はいりません』
「いや、それより自由をください!!」
俺は進化して力を手に入れるが、その力にはトラップがあった。
「吸血鬼、だと!バンパイア=エロだと相場は決まっている!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる