ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき

文字の大きさ
上 下
344 / 517
年末私の大感謝祭編

第344話 発売はいつに!?商品化会議伝説

しおりを挟む
 ということで。
 株式会社バンダースナッチさんに来ました!

「はづきっちだ!」「二人に分かれてみて!」「本当に分身できるの!?」

 社員さんたちから熱い要望があったので、私は「ほいっ!!」とベルっちと分離してみせた。

「おおおおおおお」

 歓声が上がる。
 満足してもらえて何よりです。
 それに、今回の会議はベルっちも必要になるもんね。

 そして今回も、こういう美少女商品化と言えば! なベストラフィングカンパニーさんが来ていた。
 シアワセヤさんは、イカルガ美少女コレクションみたいな感じで今はイノシカチョウとビクトリアを制作中ですねー。

「本当に二人になってる……。あ、どうもどうも。先日は。今回は純粋なフィギュアなんですが、お二人になったということで二人の姿をそのままフィギュアに……」

「なるほどー」

『なるほどー』

 私とベルっちがふむふむと頷いた。
 そして私はカバンからジャージを出して、ベルっちに着させる。
 一部の社員さんが、「ああ~」と残念そうな声を上げた。
 センシティブは許しません!

「一つ質問なんですが」

 私が挙手した。

「あ、はい、なんでしょう」

「あの、私、その、高校卒業したら配信者も卒業する予定なんですけど、発売間に合います?」

 この事に関しては、配信でもちょくちょく言っている。
 私の配信業は、あくまで高校生の間やる青春のメモリアルみたいな位置づけなのだ……。

「あっはい! そこは大丈夫です。円満引退の場合、思い出のキャラクターみたいになりますし。それにもっと早く完成しますよ。全身を3Dスキャンして、プリンターで出力してから原型師がいじりますんで」

 スピード命らしい。
 クオリティとのバランスに苦心しているとか。
 どんなものが出来上がるのでしょう……!

 ベストラフィングカンパニーさんとの会議は、兄もリモート参加して、じゃあその企画で行きましょうということになった。
 話が早い!
 まあ感謝祭の準備もしてるところだし、さっさと決められるところは決めちゃいたいんだろうなあ。

 私としても異存なし!
 なんかみんな喜んでくれるもんねー。

 なので数日後、私たちはバンダースナッチの社員さんが運転するマイクロバスに揺られて都内の企業に向かった。
 ベストラフィングカンパニーさんの会社です!

 幾つかある営業所みたいなのの中で、職人さんたちを統括してるところらしく。
 ここでベルっちと一緒に、全身スキャンをしてもらったのでした。

 一応、機械操作とチェック担当は気を使って女の人。
 前の可動フィギュアの時は私のアバターのモデルを使ったけど、今度は実物ですよー。

「なんで実物なんです?」

 一回目のスキャンが終わって、差し入れのおやつであるドーナツをいただきながら私。
 ベルっちは粉砂糖が振られたドーナツを一心不乱に食べてる。

「それはですね、可動フィギュアは区分としてはトイなんです。動くし、ポーズを取らせて遊べるからそのためにプロポーションの嘘があってもいい。だけど、非可動のフィギュアは言うなればスタチューです」

「ほうほうほう」

 私はドーナツをむしゃむしゃーっと食べて、紅茶で流し込んだ。

「動かないからこそ、360度から鑑賞されるためのモデルになるわけです。つまり、美観的に嘘が許されない。アニメ的な見た目だろうが、自然でなければならないんですよ。配信者さんのフィギュアは何度も作らせてもらっていますが、最終的にはこうして御本人のスキャンをさせてもらっています」

 担当の人の情熱あふれる説明に、大変納得が行ったのだった。

 なお、私もベルっちも、スキャンするため専用のスーツみたいなのを着た。
 下着の上から体に密着する伸縮繊維な全身タイツみたいなので、顔だけ覆いがなし。
 それでスーツのあちこちに電極がぺたぺた貼り付けられてる。

 これで色々なポーズをするのだ。

『羽はスキャンできないけどいいの?』

「そういうファンタジックなのの造形はむしろ得意分野なので!」

 確かにねー。
 ベルっちの疑問も氷解。

 私と彼女で、おしとやかポーズ、アクションポーズ、ちょっとエッチなポーズなどをやった。

『はづき、エッチなポーズのりのりじゃん』

「えへへ、興味が無いわけではございませんので……」

『同一人物である私もだけどねー』

 とりあえずエッチなポーズは年齢制限が掛かっちゃうから、市場規模の問題が出てくるねという話になった。
 女子高生になんてポーズをさせているんですか。

 結局、戦闘してる感じのアクションポーズ。
 私は小走りからのゴボウを突き出した躍動的なやつ。

 フィギュアのゴボウ折れません?

「取り外し可能にして、これはゴボウとバーチャルゴボウと、その他色々付け替えられるようにします」

「な、なるほどー」

『私が飛んでる姿のフィギュアはどうやるんですか?』

「背景がそのまま台座になるように設定しますんで大丈夫です!」

『なるほどー』

 フィギュアには色々な作り方があるのだ。
 私もベルっちも大変納得した。

 こうして、数日間に渡るやり取りをし。
 春に発売するというフィギュアのスキャンは無事終了したのだった。
 まだこれ、告知しちゃいけないんだよね?

 こういうのを喋れないのは、プロ配信者の辛いところだなあ……!
しおりを挟む
感想 189

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

借金背負ったので死ぬ気でダンジョン行ったら人生変わった件 やけくそで潜った最凶の迷宮で瀕死の国民的美少女を救ってみた

羽黒 楓
ファンタジー
旧題:借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件 借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...